中毒性の高い音楽と、誰もが抱える悩みや葛藤を綴った歌詞が人気のボカロP・かいりきベア。
「ベノム」や「ダーリンダンス」を筆頭に、思わず身体が揺れてしまうノリの良い楽曲を数多く生み出しています。
この記事では、かいりきベアの音楽がもつ魅力や代表曲、特におすすめしたい「歌ってみた」作品を紹介します。
目次
かいりきベアのプロフィール
ツイッターは誕生日のたびに風船が上に飛んでくけど、
この風船は僕らの残りの寿命を表してるんじゃないかって疑ってる🎈— かいりきベア (@kairiki_bear) September 30, 2018
性別:男性
誕生日:9月30日
かいりきベアの名が広まることになった最初のきっかけは、ボーカロイド・GUMIのためのオリジナル曲「完全懲悪ロリィタコンプレックス」が大ヒットしたこと。アップテンポなロックサウンドと共に、社会問題へストレートに切り込んだ歌詞が話題を集めました。
「完全懲悪ロリィタコンプレックス」をはじめ、2012年~2017年頃のかいりきベアの作品は、ディストーション(歪み)を取り入れたヘヴィなロックサウンドが特徴です。当時の作品について、かいりきベアは「インビジブル」「人生リセットボタン」などで有名なボカロP・Kemu(堀江晶太)の影響を強く受けていたと語っています。
以降もかいりきベアは、ボーカロイドのための楽曲を制作しながら、歌い手やYouTuberなどさまざまな方面への楽曲提供を精力的に続行。
ここ数年(2020年頃~2022年現在)で発表されている楽曲を聴いてみると、歯切れのいい高音が魅力のテレキャスターと、頭に残りやすいキラーフレーズを頻繁に使用しているのが分かります。聴きながら思わず身体を動かしたり、メロディを口ずさんだりしてしまう人も多いのではないでしょうか。
ダウナーで後ろ向きな感情を歌うことが多い自身の楽曲について、かいりきベアは「歌詞は全部、僕自身が人生で感じたことを書いているんです」と語っています。常日頃抱えている不安や悩みを上手く吐き出せない人、孤独感に苦しんでいる人に「ひとりじゃない」と語りかけるような歌詞にもぜひ注目してみてください。
「かいりきベア節」が炸裂!代表曲4選
ベノム – かいりきベア feat.flower
「ベノム」は、2018年8月5日に開催された「v flower DJ NIGHT」のために書き下ろされた楽曲。flowerとはロックに特化した女声ボーカロイド「v4 flower」のことであり、少年らしさを感じさせる中性的な歌声と、中~高音域にかけての伸びの良さが特徴です。
TikTokで「ベノム」の音源を使用したダンス動画が流行したのをきっかけに、YouTubeでの再生回数も爆発的に増加しました。2022年6月時点で、総再生回数は4000万回を突破しています。Sou、莉犬など有名な歌い手も次々と歌ってみた動画を投稿しており、なんとあのガチャピンまでもがベノムの歌ってみたにチャレンジ。かいりきベア本人も「まさか自分の曲も歌ってもらえるとは……」と驚きのコメントを残しています。
この楽曲は、絶妙に歪んだギターの音色や、打ち込みのビートによって生み出されるノリの良さが魅力。イントロや間奏部分で繰り返し奏でられるキャッチーなフレーズにも注目してみてください。
ダーリンダンス – かいりきベア feat.初音ミク
「ダーリンダンス」がYouTube・ニコニコ動画へ投稿されたのは2020年8月。以降、凄まじい勢いで再生回数が伸びていき、現在では「ベノム」と並んでかいりきベアの代表曲のひとつに数えられています。同曲が収録されている4thアルバム「ダーリンシンドローム」も要チェックです。
この楽曲では「地雷系女子」と呼ばれる、依存気質が強めでいつ爆発するか分からない、厄介な性格の女子の姿が描かれています。
「ダーリンは本命のダーリンのことではない」とかいりきベア本人が語っているように、主人公である女の子は心からの愛情を求めているわけではありません。自分の承認欲求や一時的な寂しさを埋めてくれる存在を求めては「冴えない愛情論でおねだり」する女の子の姿に、現代社会の闇を覗いたような気分にさせられます。
ダンサンブルなビートと電子音に乗せ、ダークで自虐的な言葉を綴った楽曲の世界観にぜひ浸ってみてください。
アンヘル – かいりきベア feat.鳴花ミコト
2019年3月30日に発表されたボーカロイド、鳴花ヒメ・ミコトのサウンドデモ用に制作された楽曲。現在、ニコニコ動画ではフルバージョン、YouTubeでは楽曲の一部分(1分半程度)を聴くことができます。
楽曲のタイトルになっている「アンヘル(Ángel)」とは、スペイン語で「天使」のこと。英語のエンジェルと同じ意味です。それを踏まえながら楽曲を聴いてみると、天界で暮らす天使が、理不尽な苦しみに溢れた現代社会で生きる人々を見守っているようなイメージが浮かんできます。
かいりきベアはTwitterで、この「アンヘル」について「この世は決して地獄なんかじゃないよ 生きてるだけで幸せなんだよって曲」だと語っています。しかし、そのメッセージをストレートに言葉で届けるのではなく、パンチの効いた皮肉まじりの「かいりきベア節」を炸裂させているのが見事です。
また、サビで繰り返し歌われる「生 生 生 生」の部分は、たとえば「生きろ」のような呼びかけの言葉になっていないぶん、生命そのものに対するより強い想いが感じられます。
ルマ – 莉犬
6人組エンタメユニット・すとぷりのメンバーである莉犬のために書き下ろされた楽曲。初音ミク版も同時にYouTubeへ投稿されており、両バージョンの聴き比べをして楽しめるのも嬉しいポイントです。
ギターが繰り返し奏でる特徴的なフレーズや、疾走感溢れるビートが楽曲の中毒性を倍増させています。ロックサウンドを得意とするかいりきベアらしさに溢れた楽曲と言えるでしょう。
歌詞の内容は「満点な人生も秀才な解答もございません」と歌う主人公が、学校や会社といった組織、あるいは世間から一方的に与えられる「×点(ばってん)に反抗し、自分を貫こうとするというもの。また、この楽曲を歌う莉犬のヴィジュアルが犬をモチーフとしていることから、MVや歌詞にも犬を連想させる要素がいくつか登場します。
「犬」=主人の命令に大人しく従う存在というイメージが一般的ですが、この楽曲では同じ犬の鳴き声でも「言いなりなんてウンザリだ!」と力強く主張しているように感じられます。
可愛らしさと色気を併せもった莉犬の歌声にもぜひ注目して聴いてみてください。サビの終わりに入る「ワオーン!」のかけ声は、心を鷲掴みにされてしまうこと間違いなしです。
▼あわせて読みたい!