『ジョジョの奇妙な冒険』|第5部『黄金の風』を解説!

『ジョジョの奇妙な冒険』|第5部『黄金の風』を解説!

2021年12月からアニメ・シリーズ最新作『ストーン・オーシャン』が放映されることでも話題を集めている、『ジョジョの奇妙な冒険』。

『ジョジョの奇妙な冒険』とは1986年に週刊少年ジャンプで連載開始した荒木飛呂彦の漫画で、最新シリーズである第8部『ジョジョリオン』もこのほど完結しました。

シリーズ既刊は130巻で、その総発行部数は1億部を突破。日本を代表する超メジャー・タイトル作品です。

この『ジョジョ』の最大の特徴が、ジョースター一族の数奇な運命と様々な戦いを描いた大河ドラマのようなシナリオ。

シリーズが変わる毎に時代や舞台、登場キャラクターや主人公までも移り変わり、そのそれぞれで素晴らしいストーリーと熱いバトルが展開されるのが『ジョジョ』の面白さの1つ。

どのシリーズも人気が高く、読者によってお気に入りのシリーズは違いますが、その中でもひときわ高い支持を集めるのが第5部『黄金の風』です。

2018年10月にはアニメ化もされ、再び注目を集めたこの『黄金の風』、この記事ではその魅力を徹底的に解説していきます。

『黄金の風』あらすじ

『黄金の風』の舞台は2001年のイタリア。

ジョースター家の血を奇妙にも引く少年、ジョルノ・ジョバァーナが主人公です。

彼の夢はギャングスターで、イタリアを裏から牛耳る巨大ギャング組織「パッショーネ」の頂点に上り詰める野望を胸に秘めています。

「パッショーネ」の下っ端、涙目のルカを倒したことでジョルノは組織に目をつけられることになりますが、ジョルノを始末するために送り込まれた刺客、ブローノ・ブチャラティとの出会いが彼の運命を大きく変えることに。

ブチャラティとの戦いの中で、彼の正義感や「パッショーネ」への反感に気づいたジョルノは、自身の夢に協力するようブチャラティに求めます。

そしてジョルノはブチャラティ・チームの一員として「パッショーネ」入団を果たしますが、組織の「ボス」から降ったあるミッションを契機に、ジョルノは死闘にその身を投じていくのです……

『黄金の風』の登場人物

ジョルノ・ジョバァーナ

本作の主人公が、このジョルノ・ジョバァーナ

「ジョジョ」シリーズの主人公は全員ジョースター家の血を継いでいますが、ジョルノもまたジョースターの血統を持つ15歳の少年です。

しかし彼の父親はジョースター家の人間ではありません。

彼の父親はジョースター一族の宿敵であり、第3部『スターダスト・クルセイダース』で空条承太郎たちとの死闘の末敗北したあのDIO

DIOは第1部『ファントム・ブラッド』において、主人公ジョナサン・ジョースターとの最後の戦いの後、生き残るためにジョナサンの首から下を乗っ取っています。

つまりDIOの肉体はジョナサン・ジョースターのものであり、その子供であるジョルノもまた、ジョースター家の血統を引き継いでいるのです。

父親こそDIOですが、ジョースター家の正義の血統はジョルノにも間違いなく受け継がれています。

一方で冷静沈着で合理的な性格はDIOの面影を思わせ、15歳ながら目的のためなら手段を選ばず、敵の命を奪うことも厭わない冷徹さも併せ持ちます。

スタンド「ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)」

ジョルノのスタンド(幽波紋)は「ゴールド・エクスペリエンス」。

近距離パワー型の人型スタンドですが、歴代主人公のスタンドと比べるとそのパワーは一段劣ります。

「ゴールド・エクスペリエンス」の能力は「触れたものに生命を与える」というもの。

地面を木に変えて攻撃を回避したり、人間の体のパーツを生み出すことで負傷の治癒をしたり、攻撃以外にも様々に活用することのできる便利な能力です。

そして物語終盤、「ボス」との最終決戦で「ゴールド・エクスペリエンス」は更なる進化を果たします。

それこそが、「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」。

スタンド能力の先に到達したこのスタンドは全ての能力パラメータが「なし」となっていますが、それはこのスタンドが計りかねないほどに強力無比であることを示してます。

その能力は「動作や意志の力を全て『ゼロ』に戻す」という究極のもの。

如何なる攻撃もこの能力の前では無に帰し、「レクイエム」の攻撃を受けた者は死という結果に到達することすらなく、永遠に死までの過程を繰り返すことになります。

この能力を評してジョルノは「終わりのないのが『終わり』」としており、その絶対的な能力は間違いなく「ジョジョ」史上最強でしょう。

ブローノ・ブチャラティ

ブローノ・ブチャラティはジョルノが所属するチームのリーダーであり、第5部のもう1人の主人公とも言えるキーパーソンです。

その人物像は、仲間を見捨てない優しさと目的遂行のためには自身の危険も顧みない勇敢さを持ち合わせた正義漢で、チームのメンバーからも全幅の信頼を置かれています。

「パッショーネ」の一員でありながら麻薬密売に手を染める組織の体質に密かな憤りを感じていて、ジョルノとの邂逅を機に組織に反旗を翻すことを決意し、「ボス」の打倒を目指すことになります。

スタンド「スティッキー・フィンガー」

ブチャラティのスタンド名は「スティッキー・フィンガー」。

「ゴールド・エクスペリエンス」同様近距離パワー型の人型スタンドですが、その戦闘能力の高さは「ゴールド・エクスペリエンス」を凌ぐものがあります。

そしてその能力は、「触れたものにジッパーを取り付ける」という一見ユーモラスなもの。

しかしその印象とは裏腹に、ジッパーを開けることで物体を切断/接着することや、ジッパーを開けた内部に広がる空間を自由に移動するという芸当も可能。

ブチャラティ自身の冷静な判断力も相まって、実に多彩かつ強力なスタンドと言えるでしょう。

レオーネ・アバッキオ

ブチャラティ・チームの最年長が、このレオーネ・アバッキオ

当初は新入りであるジョルノを冷遇していましたが、ジョルノの勇気や有能さを知ってからは、態度こそ横柄なもののジョルノをチームの一員として認めるようになります。

かつては警察官という、ギャングとは無縁の経歴を持つ彼ですが、自身が汚職に手を染めたことが遠因で同僚が殺されてしまうという出来事が彼の人生に暗い影を落とすことに。

警察官を辞め、全てに絶望しながらギャングの道に進んだ彼ですが、ブチャラティの気高さに感化され、彼に対しては絶対的な信頼を寄せています。

スタンド「ムーディー・ブルース」

アバッキオのスタンドは「ムーディー・ブルース」。

その能力は「過去に起きた出来事をリプレイする」というもの。

能力発動中、「ムーディー・ブルース」が人物やスタンドに姿を変え、そこで何が起こったのかを再現します。

ビデオ・プレイヤーのように一時停止や巻き戻し、早送りをすることも可能で、その調査能力は非常に高いのですが、リプレイ中は無防備になってしまうため戦闘向きのスタンドとは言えません。

しかし「ボス」の正体を突き止めることを第一の目標としたブチャラティ・チームにとっては最も重要なスタンド能力でもあり、事実「ボス」はアバッキオを優先して始末しようとしていました。

グイード・ミスタ

グイード・ミスタは如何にもラテン系といった陽気な性格で、チームの中ではムードメーカー的存在です。

その性格ゆえに、チームの中ではブチャラティの次にジョルノを仲間として認めた人物でもあります。

ブチャラティが「パッショーネ」を裏切ると宣言した時も、持ち前の楽観思考で躊躇なく彼について行くことを決めました。

そんな彼の唯一と言ってもいい弱点が、数字の「4」

「4」という数字を病的に嫌い、「4」が関わった途端に弱気になり、本来の陽気さや勇敢さを失ってしまいます。

スタンド「セックス・ピストルズ」

ミスタはを使って戦いますが、彼の戦闘を支えるスタンドが「セックス・ピストルズ」。

銃や弾丸自体は本物ですが、「セックス・ピストルズ」は弾丸に取り憑き、その軌道を自在に操ることができます。

「ピストルズ」はNo.1からNo.7までの計6体で(No.4は前述の「4」への恐怖心から欠番です)、それぞれが独立した人格を持つ自立型のスタンドです。

「ピストルズ」は会話もできる珍しいスタンドで、弾丸を操るだけでなく、敵の様子を偵察することや味方に戦況を伝えることもできます。

ナランチャ・ギルガ

ミスタと共にチームのムードメーカー役なのがナランチャ・ギルガです。

女性的にも見えるあどけない外見や子供っぽい性格から、一見するとギャングでないように思えますが、一度激昂すれば仲間であれ容赦なく攻撃する激情の持ち主。

過去にブチャラティに救ってもらった経験から彼に崇拝にも近い憧れの念を抱いており、キャラクター設定の「ヒーロー」の欄には「ブローノ・ブチャラティ」と書かれているほどです。

スタンド「エアロスミス」

ナランチャのスタンドは、戦闘機型の「エアロスミス」。

戦闘機として機銃や爆弾を用いた攻撃もできますが、その特殊能力は「二酸化炭素の検知」。

射程距離が長く、二酸化炭素検知の能力で索敵、攻撃することができます。

常に敵が襲ってくる危険のあるジョルノ達にとって、この索敵能力は大いに重要な役割を果たしました。

ジョジョ5部はアニメもスゴイ!

第5部は1995年から1999 年にかけて週刊少年ジャンプで連載されていましたが、完結から19年後の2018年にTVアニメ化しています。

人気漫画である以上アニメ化のハードルは高い「ジョジョ」ですが、第5部のアニメは非常にクオリティが高く、国内ファンのみならず海外の反応も好意的でした。

その高い評価は、原作を丁寧に再現した構成も勿論ですが、アニメならではの追加要素も大きな要因。

ここからは、アニメ版「ジョジョ」5部にしかない魅力についても語っていきましょう。

「ジョジョ」愛を感じるOP

アニメに欠かせない存在であるオープニング

アニメ版「ジョジョ」では、そのOPを実に効果的に使用しています。

それが、後半のOPである『裏切り者のレクイエム』での特殊演出です。

アニメ版「ジョジョ」では最終決戦のクライマックスでそれまでのOPとは違う演出を施すのが通例でしたが、この第5部においてもそれは健在。

第34話からは、ラスボスである組織の「ボス」、ディアボロのスタンド「キング・クリムゾン」の能力を表現した特殊演出が、それまでのOPでは登場しなかったメロディーと共に挿入されています。

しかし、第5部のOPはこれだけでは終わりません。

第38話のOPでは、ジョルノのスタンドが「矢」の力によって進化を遂げた姿である「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」がディアボロの能力を打ち破るシーンが更に追加されています。

そして、ジョルノが一瞬見せるポーズは、彼の父であるDIOが第3部で見せたものと同じという演出も。

「ジョジョ」愛に溢れたこの演出には、全ての「ジョジョ」ファンが胸を熱くすることでしょう。

インパクト抜群の勝利確定演出、「処刑用BGM」

そしてもう1つ、アニメならではの要素がBGM

特にファンの間で評価が高いのが、『il vento d’oro』という楽曲です。

タイトルを邦訳すると第5部のサブタイトルである「黄金の風」となるこの曲ですが、もっぱらタイトルではなく「処刑用BGM」と呼ばれています。

その呼び名の由来は、敵スタンド使いに対してジョルノがとどめを刺すシーンで流れることが多いことから。

特に楽曲後半、ピアノの独奏に移り変わるパートが印象的で、ジョルノの華々しい勝利を彩るこの楽曲は「ジョジョ」5部のアニメを語る上では避けては通れないものになっています。

おわりに

今回は『ジョジョの奇妙な冒険』第5部『黄金の風』のキャラクターや、アニメの魅力についてご紹介してきました。

第5部はそれまでのシリーズとは独立したストーリーなので、このシリーズからでも十分に楽しめる内容になっています。

「ジョジョには興味があるけど、漫画もアニメも多すぎて手が出しにくい…。」

そんな方は、まずは5部だけでも触れてみてはどうでしょうか?

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