主人公が異世界転生を果たし、様々なスキルを活かして派手にバトルする傑作は数多くありますが、「キャラクターがレベルアップしない」すなわち「成長しない」という設定を冠した作品は少し珍しいかもしれません。
物語の舞台は、十数年前に突如として異次元と現世界を結ぶ通路、通称「ゲート」が発生した架空の世界。この世界で超人的なスキルを覚醒させた「ハンター」たちの活躍を描いたアクションファンタジーであるアニメ『俺だけレベルアップな件』の魅力を、作品を格好よく彩る主題歌とともに紹介します。
目次
アニメ『俺だけレベルアップな件』とは?
アニメ『俺だけレベルアップな件』の原作・原案は、ストーリーを担当するChugongと作画を担当するDUBU(REDICE STUDIO)のコンビによる韓国の小説およびウェブトゥーン(漫画)です。韓国語版はD&Cメディアから刊行され、日本語に翻訳された紙版がKADOKAWAより、電子書籍版がPiccomicsより刊行されています。
この作品が生まれた韓国において、原作の小説版は2018年の時点で完結。そして漫画版は韓国語版が 2021年12月に、日本語版が少し遅れて2022年1月に本編の完結を迎えています。日本国内における小説版の刊行は1冊のみですが、漫画版は16巻まで刊行されています。(ともに2024年6月現在)
あらすじ・登場人物
十数年前に突如として異次元と現世界を結ぶ通路、通称「ゲート」が発生して以来、特殊な能力を覚醒させた「ハンター」たちが異世界に足を踏み入れ、様々なモンスターと戦って世界を守る役割を果たすと同時に、報酬を得ていました。
ハンターと呼ばれる超人たちは、ひとたび能力を覚醒させるとそれ以降は能力の変化や成長が見られない、つまりレベルアップはしないというルールに縛られています。
覚醒した能力に従って最上級のS級から最下級のE級に分類され、ランクの高いハンターほど社会的な地位も高くなりますが、主人公の水篠旬はE級ハンターの中でもとりわけレベルが低く、周囲から「人類最弱兵器」と揶揄されていました。
そんな彼は、とあるダンジョンの攻略中に、驚異的に難易度の高い「二重ダンジョン」のトラップに掛かって無念にも命を落とします。しかし、強力なモンスターの無残な攻撃を受けて意識を失う直前、とある行為によって奇跡の生還を果たし、さらに、すでに能力が覚醒したハンターでありながら、なぜかレベルアップできる謎の身体を手に入れます。
作品のタイトルが示す通りに「俺だけレベルアップ」できる世界で、ハンターとして驚異的な躍進を遂げつつ、様々な危機を乗り越えていきます。
アニメ『俺だけレベルアップな件』OP・ED主題歌
LEveL / SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER
第1期OP主題歌「LEveL」は、挑戦に満ちた一曲です。
これまで『進撃の巨人』や『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』あるいは『プロメア』など数多くのヒットタイトルで劇伴を手掛けた経歴を持つ凄腕のクリエイターである澤野弘之が、自身の展開するボーカルプロジェクトの名義であるSawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキヌジーク)を用いて、グローバルに活躍の舞台を広げ続ける韓国出身の5人組ボーイグループ・TOMORROW X TOGETHERとタッグを組んでリリースしています。
聴き終えた後も不思議な余韻が残る、どこか中毒性がある独特なリズムとメロディーが印象的な楽曲と、TOMORROW X TOGETHERのコラボレーションについて、澤野弘之は、「それぞれの色を持つボーカルアプローチによって楽曲のグルーヴやサウンドのエッジを広げて貰え、彼らのアーティストとしての魅力を感じながら制作する事ができました」とコメントしています。
YouTubeで公開されているノンクレジットOPムービーをチェックすると、大迫力のバトルシーンが視界に飛び込んでくると同時に、ゲートの向こう側で繰り広げられる命を賭した戦いと何事もない平穏は、常に隣り合わせであることに気づかされるような演出が印象に残ります。
また、同じくYouTubeで公開されている「LEveL」のMusic Videoにおいては、作中で大きな魅力の1つである大迫力のバトルシーンを、一体感のある華麗なダンスで表現しているようで、どちらも必見です。
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request / krage
第1期ED主題歌「request」を歌っているのは、新鋭のシンガーソングライター・krage。
日本人の父と中国人の母の間に生まれた彼女は、幼少期より国籍を問わず様々なジャンルの音楽を聴いて育ち、音楽というものに自然と魅力を感じながらバンド活動に打ち込むようになります。
やがて2020年よりソロとしての活動を始め、同年の4月には、TK from 凛として時雨の名曲でありアニメ『東京喰種トーキョーグール』のOP主題歌としても知られる「unravel」をカバーし、ピアノの旋律に乗せた繊細な歌声で多くのファンを魅了。YouTubeに投稿された動画は、2024年6月現在で約275万再生を記録しています。
このような形で、2022年4月にSony Music Associated Recordsよりメジャーデビューを果たす前からTK from 凛として時雨とささやかなつながりを持つkrage。今回の楽曲を同じくTK from 凛として時雨がプロデュースしたことも、どこか不思議な縁を感じます。
「request」をプロデュースしたTK from 凛として時雨は、「微力ながらkrageさんのレベルアップのお手伝いをさせて頂きました」とコメントしています。
YouTubeで公開されているノンクレジットEDムービーをチェックすると、誰もいない部屋で一人、椅子に座り込んで謎のモニターを見つめる水篠旬の姿が描かれていますが、彼が胸の内に抱えている閉塞感を、透き通るようで力強いkrageの歌声が打ち破っていくような印象を受けます。
アニメ『俺だけレベルアップな件』まとめ
OP主題歌のアニメーションを観てもわかるように、本作の魅力の1つには、躍動感あふれるアクションシーンが挙げられます。かつて「人類最弱兵器」と揶揄された水篠旬が、能力の再覚醒を経て最強のヒーローを目指す姿には、思わず胸が熱くなります。
作中にはショッキングな描写や展開も多く、特に物語の序盤はほかのキャラクターとともに恐れおののく姿も描かれています。しかし能力の再覚醒を経験してからは、ただ恐れるだけではなく、時には目を覆いたくなるような脅威にも敢然と立ち向かっていく水篠旬。そんな彼の背中を後押しするように、非常に力強くて中毒性のある主題歌が、物語の世界に情熱を添えています。
すでにアニメ第2期の制作も決定し、物語の続きを待ち望むファンのボルテージも最高潮。次のステージでは果たしてどのような物語が描かれるのでしょうか。新たなOP・ED主題歌の登場とともに、今から楽しみでなりません。