優等生の女子高生(元ヤンキー)の虎視虎子が、鹿のようにツノが生えた鹿乃子のこを助けたことでハチャメチャな日常生活が始まるガールズコメディ『しかのこのこのここしたんたん』。
2024年7月からTVアニメが放送を開始するや否や国内外で話題になっています。“観るシカない”アニメの、“聴くシカない”中毒性あるОP・EDテーマ曲を紹介します。
目次
TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』
概要
漫画家でイラストレーターのおしおしおの漫画『しかのこのこのここしたんたん』が原作のTVアニメ。元ヤンキーであることを隠している優等生の女子高生が、鹿と人のハイブリッドでツノが生えた女の子を助けたことで、ハチャメチャな日常を繰り広げるドストレートコメディです。2019年から2023年まで少年マガジンエッジ(講談社)で連載され、現在は同社のマガジンポケットにて連載中です。
監督はアニメ『干物妹!うまるちゃん』の太田雅彦が務め、アニメ『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』と同じくWIT STUDIOが制作しています。
本作品が初のアニメ化となった原作者のおしおしおは「萌えマンガではない、本気でギャグをやり切ってほしい」と意気込みを伝え、制作陣はそれに応えるように「第1回シカデミ―賞作品賞受賞」「シカに聞いたおすすめのアニメ2024年No.1受賞」など、パロディに富んだPV映像を打ち出しています。
あらすじ
物語の舞台は、多摩川が流れ緑豊かな東京23区外の街、日野市。都立日野南高校に通う元ヤンキーのパーフェクトガール、虎視虎子(通称こしたん)は、登校中にツノが電線に引っかかってぶら下がっている女の子、鹿乃子のこ(通称のこたん)と出会います。なぜツノが生えているのか、なぜ電線に引っかかっていたのか、すべてが衝撃的な始まり。
虎子の学校に転校してきたのこは、虎子を部長に「シカ部」を立ち上げ、その後、虎子の妹である虎視餡子、のこに憧れる馬車芽めめも入部して、賑やかでハチャメチャな日常が繰り広げられていく物語です。
鹿乃子のこ(潘めぐみ)、虎視虎子(藤田咲)、虎視餡子(田辺留依)、馬車芽めめ(和泉風花)、猫山田根子(久保ユリカ)、狸小路絹(土屋李央)、燕谷千春(赤﨑千夏)、ナレーション(鳥海浩輔)
✳( )内は声優名。
TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』OP・ED
OP:「シカ色デイズ」シカ部
OPテーマは、鹿乃子のこ(潘めぐみ)、虎視虎子(藤田咲)、虎視餡子(田辺留依)、馬車芽めめ(和泉風花)のシカ部4人が歌っています。早口言葉のように〈しかのこのこのここしたんたん〉と何度も繰り返すフレーズが頭をぐるぐる巡るリズミカルな楽曲です。
「作品のタイトル名が耳に残る楽曲を」というオファーで和賀裕希が作曲しています。タイトルをいろんなリズムと速さでひたすら連呼し続けた結果、1番しっくりきた速さに辿り着いたと語っています。耳に残るイントロから、曲調はキュートなポップやワルツへと変化して、最後に再びイントロのリズムが戻って来るというループ度120%のクセ強ソング。
歌詞では〈トナカイは仲間 カモシカはウシ科/でもでも まとめて偶蹄目〉と、鹿と似た動物の分類を説明したり、〈神の使いたるシカを崇めよ〉と奈良の鹿についてのミニ情報も添えています。
のこたんの口癖〈ぬん!〉や、鹿が散策している〈とことこ/のこのこ/ぴょこぴょこ〉の擬音も、音楽と同じく耳から離れず、中毒性は増すばかり。曲の中には鳴き声も隠れていて、電波ソングでありながら学習ソングの要素も含んでいます。
シカ部の4人が“シカダンス”を踊っているOP映像は、配信から12日間で1400万回再生を越え、「Billboard JAPANダウンロード・ソング集計速報」(2024年7月8日~7月10日)では、GEMNやYOASOBI、Aimerら人気アーティストを抑えて1位を獲得。
各SNSでも若者や芸能人たちが「踊ってみた、歌ってみた」動画を投稿し、海外ではアニメ好きを中心に「なぜ鹿なのか」と反応しながらも本曲をノリノリで楽しんでいます。第1話の放送から国境を越えて“シカ旋風”を巻き起こしています。
ED:「シカせんべいのうた」鹿乃子のこ、虎視虎子
EDテーマは、鹿乃子のこ(潘めぐみ)と虎視虎子(藤田咲)がキュートに歌うデュエットソングで、ギャグが爆走する本編の締めくくりにホッコリするマーチです。吹奏楽器が鳴り、太鼓や木管打楽器ものどかに協奏し、鹿たちが奈良公園のあちこちで自由に過ごしている様子をイメージさせます。
江戸時代前期から存在し、奈良の鹿ものこたんも好きな「鹿せんべい」をテーマに、鹿の可愛らしさや鹿せんべいを狙っている雰囲気などをユニークに表現しています。特に〈お店を見つめる シカ〉のフレーズからは、鹿せんべいを持っている人には寄っていくけれど、販売露店とは一線を引いた礼儀正しさも感じさせてほほえましくなります。
奈良の鹿愛護会の協力のもと制作されたED映像もOPテーマ曲と同じく注目を浴びています。春日大社や興福寺で過ごす鹿の群れや、実際に鹿せんべいが作られている工房の様子を流しています。
原材料の小麦粉と米ぬかを混ぜるところから手作業で梱包するシーンまで、まるで工場見学をしている気分になる映像。鹿と鹿せんべいという、大和の変わらぬ光景を支えている人々にスポットを当てた、レトロで斬新なEDです。
神の使いであり、天然記念物である奈良の鹿。鹿せんべいはすぐに与え、ほかの食べ物は与えない、誤飲予防のためゴミは捨てないなどルールがあります。
しかしながら、お店が出ていない時間帯に鹿せんべい以外の食べ物を与える観光客も多いのも事実。鹿の誤食や事故に繋がっているため、2022年から奈良公園の2か所に「鹿せんべいの自動販売機」が設置されました。箱は食べても問題ないお米で作られていています。
TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』まとめ
作品は原作者に馴染みのある東京都日野市が舞台ですが、奈良県のマスコットキャラクターせんとくんから応援メッセージが届き、奈良市も公式Xでアニメ化を取り上げたりと歓迎ムード。鹿にゆかりのある奈良公園や嚴島神社、日野市も聖地巡礼の地になりそうな予感もします。
鹿や文化についても学べて、脳内ループする不思議なOP・EDテーマ。国内外でシカブームが巻き起こる中、本曲を聴くことでマナーある楽しい観光に繋がってくれたらと願います。