1年の内、話題となったワードを集めた2020年流行語トップテンに選ばれた「鬼滅の刃」(きめつのやいば)。
大人から子どもまであらゆる世代を魅了し、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」は興行収入は400億と日本映画史上歴代1位を獲得しました。
更に今年2021年には新作TVアニメシリーズ「鬼滅の刃 遊郭編」の放送も控えており、世間の“鬼滅熱”は冷めやらぬままです。
目次
豪華声優が出演?!「鬼滅の刃」とは
「鬼滅の刃」は大正時代の日本を舞台に、鬼狩りを進める主人公・竈門炭治郎の成長を追う物語です。
家族を鬼に殺され、妹・禰󠄀豆子も鬼に変えられてしまった炭治郎は、家族を殺した鬼への復讐と禰󠄀豆子の鬼化を食い止めるべく奮闘します。
吾峠 呼世晴による漫画が原作ですが、TVアニメや劇場版でも爆発的なヒットを見せています。
なかでも、声優陣が豪華なのが特徴的です。主人公・竈門炭治郎を演じるのは『四月は君の嘘』有馬公生役の花江夏樹、炭治郎と共に旅する我妻善逸役は『うたの☆プリンスさまっ♪』来栖翔役で人気を博した下野紘、大人気キャラクター・胡蝶しのぶはアニメ映画『聲の形』のヒロイン・西宮硝子を演じた早見沙織など、アニメ界で人気を博している声優陣です。
実力・人気のある声優たちが新たに命を吹き込んだからこそ、このような人気が生まれたのかもしれませんね。
「鬼滅の刃」を彩る4つの歌
さて、TVアニメや劇場版「鬼滅の刃」と共に話題を集めたのが、魅力的なテーマソングでした。
今回は「鬼滅の刃」にまつわる4つの歌について、その魅力を徹底解説していきます。
NHK紅白歌合戦でも披露された「紅蓮華」
「鬼滅の刃」のTVアニメシリーズのオープニングを飾ったのは、言わずと知れた「紅蓮華」です。2019年、2020年のNHK紅白歌合戦でも披露されたこの曲、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
全体的にドラムのリズムとギターの音色がカッコよく響くロック調で、シンガーLiSAの歌唱力が光る1曲となっています。
始まりはBメロから?!
ポップスの音楽は、Aメロ→Bメロ→サビと進行するのが定番です。
Aメロで状況説明、Bメロでサビに向けて少しずつ盛り上げ始め、サビでキャッチーなメロディを歌いあげることにより、1曲の中で緩急を生み出しています。
しかし、「紅蓮華」の冒頭を飾る“強くなれる 理由を知った”は、実はBメロです。
定番ではないものを聴くと、その意外性により、もっと耳を傾けたくなります。
また、「紅蓮華」はBメロ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビと、サビへ到達する道のりがとても長いです。
サビはまだかまだかと、無意識の内に強く惹きつけられてしまいますね!
他にBメロから始まっている曲として、いきものがかりの「風が吹いている」等があります。
1番とリズムの異なる2番のBメロ
また、「紅蓮華」の2番のBメロでは歌詞を変え、細かなリズムを早口で歌いあげています。
1番と同じように進行することが多いポップスの中で、これもまた意外性のある進行です。
1番と同じリズムでは語り切れない!という歌詞のメッセージ性の強さ、またその意外性も、聴き手に“もう1回聴きたい!”と思わせる魅力の1つかもしれません。
話題を集めた「紅蓮華」一発撮りバージョン
2019年に生まれ、YouTubeで話題になり続けているチャンネル「THE FIRST TAKE」。
これは人気のアーティストが楽曲を一発撮りで歌う様を配信しているチャンネルです。
LiSAの「紅蓮華」も2019年12月に配信され、2021年7月現在で再生回数が1億1000万回を超えています。
ピアノのみのシンプルな伴奏、また一発撮りとは思えないほどのクオリティを魅せるLiSAの歌唱力が、多くの人の心を鷲掴みにしています。
▼あわせて読みたい!
炭治郎の決意を歌い上げる「from the edge」
「鬼滅の刃」TVアニメのエンディングを飾る「from the edge」。オープニング「紅蓮華」と同じく、歌唱担当はLiSAです。
アニメソングだと、オープニングとエンディングで歌手が異なることが多いのですが、世界観に統一感をもたせるために、あえてLiSAが起用されたそうです。
炭治郎の気持ちとリンクする曲の構成
曲の冒頭で”悲しみに 囚われたくはない”を悲痛な声で歌い上げるLiSAの歌声が、サビでは”さあ立ち上がるんだ”と力強くなっています。
家族を鬼に殺され、愛する妹も鬼に変えられてしまい絶望感から、運命を変えるために立ち上がる炭治郎の心境の変化を、見事に表しています。
作曲は「Kalafina」のプロデュースなどを手がけた梶浦由記
そんな「from the edge」の作曲を手がけたのは、NHK「花子とアン」、アニメ「空の境界」シリーズの音楽担当として知られる梶浦由記。
「鬼滅の刃」でも椎名豪と共に音楽を担当した梶浦由記が作曲したからこそ、ストーリーに合わせた仕上がりになっています。
アニメファンにとっての隠れた名曲?!挿入歌「竈門炭治郎のうた」
「鬼滅の刃」TVアニメの第19話「ヒノカミ」の挿入歌であり、エンディングテーマでもある「竈門炭治郎のうた」。
アニメファンの間で根強い人気を誇るこの曲の魅力は一体どこにあるのでしょう?!
歌唱を担当するのは中川奈美
この曲を1度聴いてみて、“あれ?鬼滅の刃の歌を歌っているのって、LiSAだけじゃないの?”と疑問に思った人もいることでしょう。
「竈門炭治郎のうた」の歌唱を担当するのは、LiSAではなく中川奈美です。
透明度が高くクセのない、ウィスパーボイスで歌われることにより、“どんなに打ちのめされても 守るものがある”という歌詞がまっすぐ心に響きます。
中川さんの声は、「鬼滅の刃」のTVアニメシリーズの中でもコーラスなどで歌唱しているため、気になる人はアニメ全編をもう一度チェックしてみると良いかもしれません?!
作曲は「鬼滅の刃」劇中の音楽を彩る椎名豪
作曲は「鬼滅の刃」TVアニメ、劇場版「無限列車編」でも梶浦由記と共に音楽を担当した椎名豪。彼はストーリーと親和性の高い音楽を作り上げることで有名な作曲家です。
「竈門炭治郎のうた」でも、炭治郎が強敵を前にしても妹・禰豆子のために戦うという静かな決意を、壮大なオーケストラ音楽で表しています。
第62回レコード大賞を受賞!「炎」
解説の最後を飾るのは、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌「炎」です。この曲はなんと、第62回レコード大賞で大賞を受賞しています。
過去のレコード大賞受賞作品といえば、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、サザンオールスターズ「TSUNAMI」など、その年を代表する名曲が並んでいます。名だたる名曲の数々に仲間入りするなんて、改めて「炎」そして「鬼滅の刃」が沢山の人に影響を与えたことが分かりますね。
世界観を凝縮したコラボ歌詞
「from the edge」と同じく、「炎」もLiSAと梶浦由記のコラボ作品となっています。普段なかなか共作しないと言われる梶浦由記ですが、「炎」はLiSAと2人で歌詞を作っています。
「無限列車編」の主役である竈門炭治郎と煉獄杏寿郎の気持ちが、あらゆるところに散りばめられています。
胸に迫る高音で
曲中の“未来のために”、“強くなりたい”、“振り返らずに”といった決意のこもった歌詞では、かなり高い音が使われています。
高音を歌うときの喉がキュッとしまったような声も相まって、歌い手であるLiSAを通して、炭治郎の切実な思いが伝わってくるかのようです。
信念を曲げないで!圧巻の2番の構成
Aメロ→Bメロ→サビがポピュラー音楽の王道の流れであることは先に説明しました。「炎」も1番は王道の進行を辿っているのですが、2番ではAメロ→Bメロ→Cメロ→サビと進行していきます。
しかも、Cメロの“音を立てて崩れ落ちて行く / 一つだけの / かけがえのない世界”の後はギターとドラムの間奏が続き、一瞬音が途切れます。その後一気にクライマックスのサビへ向かうところが、何ともドラマチックな展開になっています。
劇中の前半で、炭治郎は大きな選択を迫られます。家族との幸せな日常が続く夢の中で生き続けるか、非情な現実を生きていくのか。葛藤の末、現実を戦って生きていこうとする気持ちが、曲の構成にも表れていますね。
まとめ
今回、「鬼滅の刃」のTVアニメと映画に関わる4つの歌について解説しました。
TVアニメのオープニング曲「紅蓮華」は、Bメロで始まり2番で曲のリズムが大きく変わるなど、もっと聴きたくなる新奇性に溢れていました。
エンディング曲の「from the edge」は炭治郎の気持ちと曲の構成をリンクさせており、絶望の淵から立ち向かっていく姿をダイナミックに表しています。挿入歌である「竈門炭治郎のうた」ではLiSAではなく中川奈美が歌唱を担当しています。
力強さが魅力のLiSAと違い、ウィスパーボイスの声質が心に沁みます。劇場版の主題歌である「炎」は、炭治郎と煉獄の葛藤や前に進む気持ちをバラードの中で歌い上げています。
どの曲もそれぞれに魅力があり、「鬼滅の刃」を彩っています。新作アニメ「鬼滅の刃 遊郭編」が始まる前に、ぜひもう一度聴き直してみてくださいね!
▼あわせて読みたい!