SPY×FAMILY 【アニメ主題歌解説】Official髭男dism × 星野源! 話題の2曲を徹底解説

SPY×FAMILY 【アニメ主題歌解説】Official髭男dism × 星野源! 話題の2曲を徹底解説

2022年4月9日にTV放送・ネット配信がスタートし、多くの話題を集めているアニメ「SPY×FAMILY」

既に漫画・アニメファンから絶賛の声を浴びていた原作が待望のアニメ化ということで、メインビジュアルやキャストが初めて発表された際はネットが爆発的に盛り上がりました。

更に同年の3月下旬、盛り上がりを加速させる新情報が発表されました。

それは、アニメのオープニング主題歌をOfficial髭男dismが、エンディング主題歌を星野源さんが担当するというもの。

日本の音楽シーンを牽引し続ける豪華2組が、同じ作品の主題歌を同時に担当。インパクト充分なこの情報は世間に大きな衝撃を与え、Twitterでも発表後にすぐさまトレンド入りしました。

今回は、アニメ「SPY×FAMILY」の内容を軽く振り返りつつ、物語を彩る2曲の主題歌にスポットを当て解説します。

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「SPY×FAMILY」はどのような作品か?

原作を手がけるのは、これまで「TISTA」「月華美刃」を連載している遠藤達哉さん。3つ目の連載作品である「SPY×FAMILY」は、集英社「少年ジャンプ+」で読むことができます。(2022年4月時点)

アニメ主題歌の魅力へ迫る前に、作品の内容を簡単におさらいしましょう。

舞台は、十数年もの間冷戦状態を続けている東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)。

西国の情報局に所属する一流スパイ・黄昏(たそがれ)は、東国の国家統一総裁ドノバン・デズモンドの動きに探りを入れるため、オペレーション〈梟〉(ストリクス)と称した極秘任務を言い渡されます。

その内容は「デズモンドの息子が通う名門・イーデン校で行われる懇親会に潜り込むため、子供をつくり入学させろ」というもの。しかもタイムリミットは1週間。

精神科医ロイド・フォージャーとして素性を隠し、娘役と母役を見つけ出すことに成功した黄昏ですが、なんと娘・アーニャの正体は超能力者。さらには母・ヨルも殺し屋という裏の顔を持っていました。

3人が互いに正体を隠し、仮初の家族として過ごしながら世界の危機に立ち向かう。非常に特殊な設定でありながら、まるでホームドラマを観ているような温かさも感じられる作品です。

オープニング主題歌・Official髭男dism「ミックスナッツ」

2022年4月15日にMV公開・デジタル配信が行われた、オープニング主題歌「ミックスナッツ」

MVは同年4月29日時点で再生回数が600万回を突破し、連日怒涛の勢いで記録を更新しています。また、Billboard JAPANのストリーミング・ソング・チャートで堂々1位を獲得するなど、その人気はとどまることを知りません。

「1日に何度も聴いてしまう」「天才すぎる」とファンを唸らせる楽曲の魅力とは、一体何なのでしょうか。

イントロから聴き手の心を掴む仕かけ満載!

物語の幕開けを彩る「ミックスナッツ」は、イントロから歌いだしの約15秒間だけでも、物語の世界へ聴き手を引き込む工夫が随所になされています。

まず曲の開始直後、車のクラクションやサイレンを思わせる激しいエレキギターが鳴り響きます。その後を追うようにベースが階段の上り下りを繰り返し、ピアノが奏でる音階はどことなく不穏です。

敏腕スパイとして暗躍を続ける主人公・黄昏と、彼を捕らえようとする敵対勢力との追走劇を目撃した気分になれます。「SPY×FAMILY」のオープニングにぴったりのスリル満点なサウンドに心を掴まれること間違いなし。

更に楽曲全体としては、叩きつけるような疾走感溢れるドラム、Official髭男dismと切っても切り離せない関係にあるホーンセクション・Fire Hornsの迫力満点なアンサンブルなど、サウンドをより盛り上げてくれる要素がこれでもかとつまっています。

そして何より、サポート含むメンバーの分厚い演奏に埋もれることなく、むしろバンド全体を前へ前へと引っ張っていくボーカル・藤原聡さんの圧倒的な歌唱力に脱帽です。
「ハイトーンが凄い男声ボーカル」としてTVやネットでたびたび話題にのぼる藤原さんですが、今回の「ミックスナッツ」でも高音を歌い上げるテクニックが見事に発揮されています。

「偽りの家族」が紡ぐ絆をピーナッツで表現

Official髭男dismでは、ほぼ全曲の作詞・作曲を藤原さんが担当しています。

新曲を待ちわびるファンの予想を毎回良い意味で裏切ってくれる音楽センスは、バンドメンバーすら「恐怖に近いものを感じる」と語るほど。
「SPY×FAMILY」の世界観を念頭に置きつつ制作された最新曲「ミックスナッツ」にも、聴き手を思わず唸らせる表現があちこちに散りばめられています。

まず、タイトルの「ミックスナッツ」について。

アニメ公式サイトのインタビューで藤原さんは、エスパー少女・アーニャの好物がピーナッツであることにヒントを得たと語っています。

お菓子やおつまみの定番であるミックスナッツは、ピーナッツを含め多種多様なナッツが混ざりあっているもの。フォージャー家の3人がそれぞれ正体を隠し、普通の家族を演じている姿と重なります。

続いて、曲中に登場する歌詞を見てみましょう。


隠し事だらけ 継ぎ接ぎだらけのHome,you know?

噛み砕いても無くならない 本音が歯に挟まったまま

1番のサビです。この部分では、共に一流の腕をもつ者同士でありながら家族の秘密を知らないロイドとヨル、2人の秘密を全て知りながら自分もまたエスパーであることを隠したいアーニャの関係性が歌われています。

「SPY×FAMILY」のように特殊な世界でなくとも、家族に見せない顔があったり、言えない秘密を抱えたりすることは珍しくありません。

同じ屋根の下でずっと一緒に過ごしていても、胸がつっかえたように本当のことを話せない。そんなもどかしさやよそよそしさが「継ぎ接ぎだらけのHome」「本音が歯に挟まったまま」という歌詞で見事に表現されています。

ナッツが歯に挟まってしまった状態と、本当の思いが自分の中でつっかえた様子をかけ合わせるアイデアはまさに天才としか言いようがありません。


生まれた場所が木の上か地面の中か それだけの違い

許されないほどにドライなこの世界を 等しく雨が湿らせますように

こちらは2番のBメロです。

アニメの公式インタビューにて、藤原さんは「木から生えるナッツと地面の下で育つピーナッツとで、ピーナッツだけは見た目は似ていても本当は違う種類だと分類されていた」と語っています。

ロイド・ヨル・アーニャの3人は、任務遂行のためにつくられた偽りの家族です。しかし、本物かどうかは些細なこと。「日常の小さな幸せや悲しみを共有できる存在がそばにいて、大切に想えるのならそれで充分ではないか」というメッセージが2番Bメロの歌詞には込められています。

このように、楽曲全体を通して「SPY×FAMILY」の世界観を尊重しつつ、現代社会を生きる私達の心にもそっと寄り添ってくれる歌詞が魅力です。
ぜひ一度フルで聴き、ヒゲダンワールドを味わってみてください。

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