2020年8月15日の上映を持って完結を迎えた劇場版アニメ『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』。これまで映像化されていないファン待望のシリーズ作品は全3部作で構成され、そしてその主題歌全てを担当したのが、アニメソングなどを中心に活躍するAimer(エメ)です。
今回の記事では3部作第1作目を飾った主題歌「花の唄」がどのように作品の世界観を彩っていたのか、そしてその後の主題歌にも使用された「I beg you」「春はゆく」や、作詞・作曲を担当した梶浦由記さんについても触れていきます。
『Fate』シリーズやAimerに興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』とは
TYPE-MOON(タイプムーン)によって生み出された『Fate/stay night』。
元々はゲームが原作となった同作品は、3つのヒロインルートを起点として、様々なシリーズ作品が現在もなお広がり続けています。
そのシリーズ作品の元となっているのが、下記のタイトルです。
『Fate/stay night』(Fate:セイバールート)
『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』(UBW:遠坂凛ルート)
『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』(HF:間桐桜ルート)
この3つのタイトルの中で、間桐桜ルートの『HF』は今回が初の映像化。3ルートの中でもとりわけ重いストーリー展開が描かれ、『Fate』シリーズにおいて一種の完結に当たる作品です。
Aimer(エメ)とは
ファン待望の初映像化作品。その主題歌を務めるのが、アニソンなどを中心に活動している女性歌手・Aimer(エメ)です。
独特のハスキーヴォイスが特徴的で、2011年にシングル「六等星の夜」でメジャーデビューを果たしました。同楽曲は作家・あさのあつこ原作のアニメ『NO.6』の主題歌に起用されており、またアニメ作品ではないものの、カップリング曲の「悲しみはオーロラに」「TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」もタイアップ曲として使用されています。
その後リリースしたシングル曲「あなたに出会わなければ 〜夏雪冬花〜」がスマッシュヒットを記録。シンガーソングライターの桑田佳祐さんは、自身のラジオ番組で2012年にリリースされた邦楽曲20選から第5位に同楽曲を選出するなど、デビューしてから間もないにも関わらず、その実力はすでに高い水準にあると評価されていました。
そして2017年には『Fate/stay night[Heaven’s Feel]I.presage flower』で主題歌を担当。主題歌となった「花の唄」は、これまでの週間オリコンチャートで自身最高の2位を記録しました。
「花の唄」の評価もあって、続編である『II.lost butterfly』『III.spring song』においても主題歌を担当。この起用によってAimerさんの知名度にも大きく影響し、その後リリースした数々の楽曲はオリコンにおいて上位にランクインするほどになりました。
「花の唄」とは
すでに触れてはいますが、Aimerさんが歌う「花の唄」は、劇場版アニメ『Fate/stay night[Heaven’s Feel]I.presage flower』に使用された主題歌です。本楽曲は主題歌としてだけでなく、メロディーの一部は本編内でも使用されました。
3部作の始まりを彩るだけあり、作品の世界観へと引き込む不思議な魅力に溢れています。下記では「花の唄」にどのような想いが込められ制作されたのか、小ネタを挟みながらご紹介しますので、ぜひご覧ください。
コンポーザー・梶浦由記が携わる
劇場版主題歌「花の唄」及び劇中音楽の制作には、コンポーザーとして活動する梶浦由記さんが携わっています。
梶浦由記さんといえば『Fate』シリーズだけでなく、『魔法少女まどか☆マギカ』『ソードアート・オンライン』『鬼滅の刃』といった人気作品の音楽を担当していることでも有名です。
「花の唄」において作詞と作曲を担当していますが、同楽曲の制作にはAimerさんもaimerrhythm名義で参加。
ちなみに完成した同楽曲に対してAimerさんは「歌詞を追うにつれて、どんどん殴られている感じがした」と、梶浦由記さんの音楽センスに関して驚きの連続であったことを語っています。
ヒロイン・間桐桜の心情を表している
「花の唄」は、作品内でのヒロイン・間桐桜の心情を表している作品であると梶浦由記さんは語っています。
3部作の始まりである『I.presage flower』では、間桐桜は自身の感情を抑え込んでいるので、その点も歌詞の中に落とし込んでいるとのこと。楽曲の歌詞を眺めてみると、「それだけでいいの」「~あげたいだけ」など、確かにやや控えるような表現が使用されています。
「花の唄」には次作のネタバレが含まれている
間桐桜の心情を歌詞に落とし込んだ「花の唄」ですが、実は次作『II.lost butterfly』のネタバレが含まれています。これには梶浦由記さんも意図的に制作したようです。
ここからは筆者の解釈ですが、曲の終盤「わるいことをしたらきっと貴方が怒ってくれると約束したよね」という歌詞があります。
この部分は間桐桜から主人公・衛宮士郎に対する想いが表現されており、「怒る」と「そばにいてくれる」は同意義として捉えているのではないかと思います。
日常から非日常へと巻き込まれる間桐桜が、どのようにして好意を寄せている相手とそばにいることができるのか。かなり歪ではありますが、それが間桐桜の考え抜いた結末だったのかもしれません。
ちなみに『Fate』シリーズの生みの親である奈須きのこが著書の『空の境界』では、ラストにこのようなセリフがあります。
「式。君を一生、許さない(離さない)」
ヒロインの罪を死ぬまでずっと見届け、許すことも離すこともしないと誓う主人公の言葉です。どことなく「花の唄」にも通じるものがあるのではないでしょうか。『Fate』シリーズとはまた違った作品なので、もし気になる方はぜひ読んでみてください。
Aimerから梶浦由記に向けた「花の唄 end of spring ver.」
3部作の全主題歌を担当したAimerさんは、ラストを飾る主題歌「春はゆく」のカップリング曲に第1作目のセルフカバー「花の唄 end of spring ver.」を収録しました。
これはAimerさんから梶浦由記さんへの感謝を込めた楽曲で、アコースティックギターとピアノ、その他弦楽器を主体としたアレンジとなっています。
原曲の激しさと比べると抑え気味で、どことなく優しさや寂しさが漂ってくる歌声。梶浦由記さんに対するAimerさんの気持ちが『Fate』シリーズでのコラボレーションを通して、とても大きいものであったというのが分かります。
「花の唄」以外の劇場版全3作の主題歌
「I beg you」
「I beg you」は『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』に使用された主題歌。2019年1月9日にリリースされました。Aimerさんはインタビューで「今まで歌ったどの曲よりも難しかった」と語っています。
「春はゆく」
「春はゆく」は『Fate/stay night[Heaven’s Feel]III.spring song』に使用された主題歌。2020年3月25日にリリースされました。ちなみにこの曲は、YouTubeでAimerさんと梶浦由記さんによるセッション動画が公開されています。気になる方は下記の動画をご覧ください。
『Aimer × 梶浦由記「春はゆく」the end of spring 2020』
まとめ
『Fate』シリーズはアニメはもちろんですが、それを彩る主題歌も素晴らしいものばかりです。楽曲から読み取れる登場人物達の立ち位置。映像を見てから聴いてみると、また違った視点に気付くことができるかもしれません。
もし気になる方は、アニメの視聴と一緒に主題歌にも注目してみてください。
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