2020年閏年、1月1日…。
なんの前触れもなく「東京事変、復活(再生)」というビッグニュースが飛び込んできました。
さらに、新曲「選ばれざる国民」の配信、閏日の2月29日から全国ツアーを開始することも合わせて発表され、全国の東京事変ファンは歓喜の声をあげました。
そこで今回は、椎名林檎さん率いる人気バンド「東京事変」について、改めてご紹介してまいりたいと思います。
目次
東京事変とは
東京事変は、2003年に椎名林檎さんを中心に結成されたロックバンドです。
当時、椎名林檎さんはソロのシンガーソングライターとして、すでにトップアーティストの仲間入りを果たしていましたが、2003年11月で活動を休止しました。
そして、2004年5月、正式にバンド「東京事変」として活動していくことを表明します。
人気ロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL」に参戦し、ヘッドライナーを務めることが伝えられると、異例の入場制限がなされるほどの話題を呼びました。
同年9月、シングル「群青日和」でメジャーデビューし、11月にはアルバム「教育」をリリース。
メンバーチェンジを経て、新しい体制で制作した2ndアルバム「大人(アダルト)」が東京事変初の音楽チャート1位に。
シングル7枚、配信シングル2枚、アルバム7枚、カップリングアルバム1枚をリリースし、常に日本の音楽シーンに衝撃を与え続けました。
しかし、2012年1月に突然の解散を発表します。
閏日の2012年2月29日に行われる日本武道館最終公演で、惜しまれながらその活動に終止符をうったのです。
そして8年もの月日が過ぎた2020年、復活(再生)を宣言しました。
東京事変・信じられないような奇跡
今回、復活を宣言した東京事変について、非常に興味深いエピソードがあります。
2012年2月29日に活動を終え、8年後の同じ閏年の同じ日に活動を再開させるというのも、素敵な復活劇だと思います。
しかし、それが奇跡ではありません。
東京事変が2012年8月29日にリリースした、最後のカップリングアルバム「深夜枠」に収録されている『ただならぬ関係』という楽曲があります。
このMVで、メンバーが様々な衣装を着てオリンピックの入場行進をするシーンがあります。
そして、2020年1月1日に突如配信された「選ばれざる国民」のMVにも同じシーンがあります。
しかも、2020年は56年ぶりに東京でオリンピックが開催される年。
もうお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、東京がオリンピック開催地に選ばれたのは2013年9月8日(日本時間)なので、2012年の時点では東京オリンピック開催などわかりようがないのです。
閏年である2012年の解散を決め、その時点でオリンピックを彷彿させるようなシーンをMVに盛り込み、復活を宣言した2020年に東京オリンピックが現実のものになっているという、にわかには信じがたい奇跡が起こっているのです。
偶然なのかも知れませんが、東京事変というグループが奇跡的な運命に導かれていたということは、紛れもない真実です。
東京事変・メンバー
椎名林檎(しいなりんご)
- 本名:椎名由美子
- 生年月日:1978年11月25日
- 出身:埼玉県生まれ、福岡県育ち
- 担当:ボーカル
椎名林檎さんは、学生時代からバンド活動をし、当初はドラムを担当していました。
ドラム担当であったことから、ビートルズのドラマーであるリンゴ・スターの名前を拝借して「椎名林檎」にしたそうです。
歌手を目指し、高校を中退した椎名林檎さんは、アルバイト生活を送りながらデモテープを送る日々を過ごしていました。
そして1998年5月、1stシングル「幸福論」でメジャーデビューを果たします。
それまで日本の音楽シーンにはなかった異質な音楽センスを発揮し、若者を中心に絶大な支持を得ました。
そして、彗星の如く現れた魅惑のアーティストとして人気を獲得した椎名林檎さんは、稀有な音楽センスで邦楽シーンに衝撃を与えていくことになります。
本来なら消されるはずのブレス音を歌唱の一部に取り入れることや、ロックでありながら歌謡曲の要素を融合させることによって絶妙な妖艶さを表現したことなど、椎名林檎さんならではの音楽を確立したのです。
「歌舞伎町の女」「ここでキスして。」「本能」「ギブス」「罪と罰」など、怒涛のごとくヒット曲を世に出し、アルバム「無罪モラトリアム」「勝訴ストリップ」はミリオンセラーを記録。
2003年にソロ活動を休止させ、2004年より東京事変のボーカルとして活動を開始しました。
2012年の東京事変解散後は、エレファントカシマシの宮本浩次さんやウルフルズのトータス松本さん、宇多田ヒカルさんといった他アーティストとのコラボなど、積極的な活動を見せます。
2016年のリオオリンピック閉会式にて、クリエイティブ・スーパーバイザー及び音楽監督として、次開催地である東京大会のプレゼンテーションの演出を手がけ、AR(拡張現実)を取り入れた先進的で日本らしいショーを披露し、世界にその名を知らしめました。
東京オリンピック・パラリンピック演出メンバーにも選出されている椎名林檎さんですが、今度はどんなファンタスティックなショーを見せてくれるのか、大きな期待が寄せられています。
そして2020年日付が1月1日に変わって間もなく、新曲発表と共に東京事変復活を表明しました。
亀田誠治(かめだせいじ)
- 本名:亀田誠治
- 生年月日:1964年6月3日
- 出身:アメリカ・ニューヨーク
- 担当:ベース
米・NYで生まれ、1歳で帰国した亀田誠治さん。
シューベルトの子守唄をアレンジし、「誠治はよい子」という歌詞をリピートさせる斬新な歌を、母親が延々と歌って聴かせてくれるなど、とてもユニークでオープンな家庭環境で育ちます。
幼い頃から音楽に親しんで育った亀田誠治さんは、中学生でベースを始めました。
大学時代からデモテープをレコード会社に送り、プロのミュージシャンを目指していた亀田誠治さん、1989年から音楽プロデューサー及びアレンジャーとしてアーティストの楽曲を手がけるようになります。
そして、同時にベースプレイヤーとして様々なコンサートに帯同するなど、瞬く間に活躍の場を広げていきました。
2004年、元々楽曲に大きく携わっていた椎名林檎さんと共に、東京事変のメンバーとして活動を開始。
バンド活動と並行して、多くの人気アーティストの楽曲アレンジも手がけ、2007年及び2015年には日本レコード大賞編曲賞を受賞しています。
2009年、2013年には自身が主催するライブイベント「亀の恩返し」を日本武道館で開催し、大きな反響を呼びました。
2012年、東京事変は解散し、さらに音楽プロデューサーとしての活動を活発化させます。
これまでに椎名林檎さんを始め、平井堅、GLAY、スピッツ、いきものがかり、絢香、など多数のアーティストの楽曲に関わり、ミリオンセラー、プラチナディスク、ゴールドディスクをいくつも世に送出。
今、最も忙しい引くてあまたの音楽プロデューサーとして活躍中です。
刄田綴色(はたとしき)
- 本名:畑利樹
- 生年月日:1976年10月5日
- 出身:島根県
- 担当:ドラム
刄田綴色さんは、幼少の頃から日本古来の音楽である神楽に触れて育ちました。
中学・高校ではブラスバンド部に所属し、パーカッションを担当。
高校卒業後すぐ上京し、1998年にバンド「scope」を結成しました。
椎名林檎さんの兄・椎名純平さんや中島美嘉さんなどのサポートメンバーを務め、2003年には椎名林檎さんのツアーにバックバンドとして参加します。
2004年東京事変の正式メンバーとして活動を開始。
その傍ら、フジファブリックやシンガーソングライターのLOVE、miwa、RADWINPSなど、多くのアーティストのサポートメンバーとして全国を飛び回り、多忙な日々を送ります。
刄田綴色さんのドラムテクニックはかなりハイレベルで、日本人離れしたシャープなグルーヴ感を出せる稀有なドラマーとして、他のドラマーからも一目置かれるほど。
人気アーティストがこぞって信頼を寄せる実力派ドラマーとして、広く活躍されています。
浮雲(うきぐも)
- 本名:長岡亮介
- 生年月日:1978年10月7日
- 出身:千葉県
- 担当:ギター
浮雲さんは、音楽が趣味だった父親の影響で、ギターやピアノを習い始めました。
学生時代からバンドを組み、同時に様々なバンドでサポートメンバーとして活躍。
2000年、椎名純平さんのバックバンド「The Evil Vibrations」でギターを担当したことから、椎名兄妹と深く関わることになります。
2005年、東京事変に加入。
この時に椎名林檎さんから『浮雲』と命名されました。
東京事変やペトロールズでのバンド活動と並行して、星野源やともさかりえ、大橋トリオ、RAD WINPS野田洋次郎のソロプロジェクト・illionなどのサポートも行なってきました。
独特のギターサウンドを奏でる浮雲さんは、ギターコレクターとしても有名で、古く珍しいものも含め50本以上も所有しているそうです。
伊澤一葉(いざわいちよう)
- 本名:伊澤啓太郎
- 生年月日:1976年7月4日
- 出身:岡山県
- 担当:キーボード
歴史深い倉敷市に生まれた伊澤一葉さんは、中学生の時にギターを始め、バンド活動に勤しむようになりました。
大学中退後、1998年〜2003年までバンド・NAMで活動。
2004年にバンド・あっぱを結成し、2005年には東京事変へのメンバー入りを打診され、参加を決意しました。
これまでに大橋トリオやSalyu、柴咲コウ、aiko、米津玄師など人気アーティストのサポートや楽曲参加を多くこなしています。
キーボードの他にギターやボーカルもでき、東京事変の楽曲においてとても大きな存在感を発揮しています。
さらに、the Hiatus(ザ・ハイエイタス)、katsina session(カチナ・セッション)といったバンドでも活動中。
「一葉」という名前は、「樋口一葉」を彷彿させますが、由来は別のところにあります。
伊澤一葉さんの父親が営む会社の社訓「一陽来福」と、自身が小学校へ提供した楽曲「木の葉のお金使えます」から、「一葉」と名付けたそうです。
東京事変・人気おすすめ曲
東京事変の楽曲は、椎名林檎さんのみならずそれぞれのメンバーも、作詞や作曲を手がけています。
人気の曲は本当にたくさんありますが、その中でも厳選してご紹介してまいりたいと思います。
群青日和
まずは東京事変のデビュー曲で、音楽業界を大いに湧かせるバンドの始まりを飾った曲です。
いきなり椎名林檎さんのブレスから始まり、胸をドキっとさせます。
集結した最強メンバーの自己紹介さながら、それぞれアグレッシブで崇高な演奏を披露しています。
透明人間
https://www.youtube.com/watch?v=vYnC0DzpdQs
2ndアルバム「大人(アダルト)」に収録されている曲で、作詞は椎名林檎さん、作曲は亀田誠治さんが担当しました。
ベースソロで始まるこの曲は、ベーシスト亀田誠治さんならではの技ありな1曲です。
発表されたのは2006年でしたが、2018年になってライオンが「NONIO」のCMに起用したことで、また広く知られることになりました。
ベースが主役でいくのかと思いきや、しっかり他の楽器もときめかせるポップな仕上がりがチャーミングです。
落日
2005年11月にリリースされた、シングル「修羅場」のカップリング曲です。
切ない別れを思わせる歌詞は、いつも独特の表現で作詞される椎名林檎さんが、特に感情をストレートに打ち明けているように感じさせます。
これまで大きく取り上げられることのなかった曲ですが、東京事変ファンの中でも特に人気のある隠れた名曲です。
東京事変・魅力
東京事変の魅力といえば、もはや言葉で言い表すことのできない「音楽のハイセンスさ」ではないでしょうか。
ボーカル椎名林檎さんは、想像を遥かに超えてくる表現方法でいつも人々を驚かせます。
そして、メロディーはいつの間にか頭の中でローテーションされる中毒性を持つのです。
ベースの既成概念を覆す革命家とも言われる亀田誠治さんは、あえて本来の音より半音ずらして弾くという、革新的なベースを披露したりします。
ドラムの刄田綴色さんは、これでもかというほど手数の多いドラムで惹きつけ、浮雲さんは独自路線のギターサウンドを、個性が強いメンバーの音に絶妙なバランスで見事に乗せてみせます。
伊澤一葉さんに至っては、2012年の解散ラストライブのアンコールで、本来ベースソロで始まる『透明人間』をピアノソロで弾き出すという、ロマンが最高に溢れるキーボーディスト。
どこを切り取っても魅力しかない東京事変が、どれだけ年月が過ぎても愛され続けるのは必然なのです。
ちなみに、2012年に開催された「東京事変ラストライブ」では、『ほんとのところ』披露時に刄田綴色さんがボーカルを、そしてドラムを椎名林檎さんが叩いたり、『怪ホラーダスト』では、伊澤一葉さんがリードボーカルで椎名林檎さんがピアノを弾くというサプライ
ズで、観客を大いに驚かせました。
そういった演出も、東京事変の魅力の一つでしょう。
最新情報
東京事変・2020年全国ツアー開催決定!
2020年1月1日に新曲「選ばれざる国民」を配信し、活動を再生させた東京事変。
そして、来たる閏日の2020年2月29日から、全国ツアー「Live Tour 2020 ニュースフラッシュ」を開催します。
東京事変のファンにとって、夢にまでみた念願の再会を叶えてくれるステージです。
- 東京国際フォーラム ホールA(2/29,3/1)
- 大阪フェスティバルホール(3/6,3/7)
- 仙台サンプラザホール(3/14,3/14)
- 札幌文化芸術劇場hitaru(3/21)
- 福岡サンパレスホテル&ホール(3/28,3/29)
- 名古屋国際会議場センチュリーホール(4/4,4/5)
- NHKホール(4/8,4/9)
上記の全13公演が予定されています。
チケットは争奪戦となること必至だと思いますが、東京事変の再生の瞬間は本当に楽しみですね。
新曲「ふつうとは」NHK「みんなのうた」に書き下ろし
オールタイム・ベストアルバム「総合」を、2021年12月22日(水)に発売する東京事変の新曲「ふつうとは」がNHK「みんなのうた」で、2022年2月から3月にかけて放送されることが発表されました。
椎名林檎作詞、伊澤一葉作曲のこの曲は、東京事変初の「みんなのうた」起用ソングということもあり、期待が膨らみます。
VRイベント「バーチャルマーケット2021」にて東京事変のエリアジャック企画開催!
2018年にスタートした、仮想空間でアバターなどの3Dアイテムや洋服、PC、飲食物など実物の商品を売買できる世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」にて、東京事変のエリアジャック企画が展開されます。
仮想空間上の渋谷である「パラリアル渋谷」の、スクランブル交差点をわたった先に現れる大型ビジョンにおいて、ベストアルバム「総合」に収録される「仏だけ徒歩」のミュージックビデオが放映される他、さまざまなビルの広告もすべて、東京事変の作品のジャケットやアーティスト写真で埋め尽くされるます。
YouTubeではジャック企画のイメージ動画が公開されています。
「総合」ティーザー映像&オフィシャル・ライナーノーツ公開!
12月22日にリリースされる東京事変のオール・タイム・ベスト・アルバム「総合」と、オール・タイム・ミュージック・ビデオ集「Prime Time」の発売に先駆け、ティーザーとオフィシャル・ライナーノーツが公開されました。
新曲2曲を含む全30曲が収録された東京事変初のベスト・アルバムのティーザーは、52秒で一気に彼女たちの軌跡を思い起こさせる内容で、長年のファンは必見です。
NHK「みんなのうた」に新曲書き下ろし「ふつうとは」2/4配信リリース!
東京事変が、新曲「ふつうとは」を2月4日に配信リリースします。
同番組の2022年2〜3月度のテーマソングとなっている本楽曲は、作詞を椎名林檎、作曲を伊澤一葉が手掛けています。
最後に…
8年の月日が流れファンを突如として歓喜させてくれた、東京事変についてご紹介してまいりました。
邦楽シーンに眩しいくらいの異彩を放つ東京事変の凄さについて、改めて気づくことができました。
オリンピックイヤーである2020年を皮切りに、これからどんなサプライズと感動を与えてくれるのか、とても楽しみですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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