独特の世界観を築き上げ、言葉を繊細に操る吉澤嘉代子。
甘い歌声で恋心を歌ったかと思えば、憎悪混じる心境を力強く歌ったり…曲ごとに魅力も表情もコロコロ変わり、聞けば聞くほど虜になるアーティストです。
「本気で魔女修行をしていた」という変わった少女時代を過ごした吉澤嘉代子。
彼女の音楽はまさしく”魔法“のように、私たちを様々な世界に連れていってくれます。
そんな吉澤嘉代子のプロフィールと魅力を詳しく紐解き、異なる表情ごとにおすすめの楽曲も紹介していきます。
目次
吉澤嘉代子のプロフィール
楽曲ごとに主人公が異なる歌詞や、繊細に選ばれた言葉。
吉澤嘉代子の魅力はどのように生まれたのか見ていきましょう。
魔女修行に明け暮れる少女時代
お母さんと私 pic.twitter.com/orE7BhGgSi
— 吉澤嘉代子 (@yoshizawakayoko) May 9, 2021
埼玉市川口市の鋳物工場町で生まれ育った吉澤嘉代子。ご両親は金型の工場を営んでいたそうです。つぶれた工場の一室を自分の部屋としてもらい、引っ越しをする小学五年生まで魔女修行をしていました。
ホウキを持ち、真っ黒なスカートに身を包み、本気で魔女になろうとしていた少女。
彼女の魔女修行は自分の世界を確立させ、好きな”妄想”を”才能”として後に開花させるきっかけとなりました。
不登校になり、サンボマスターと出会う
引っ越しをきっかけに、大切な部屋と魔女修行に別れを告げます。
しかし、小学5年生から中学を卒業するまで不登校になってしまい、本来なら学校にいるはずの時間に図書館に入り浸り、小説を読んでいたそう。魅力的な表現豊かな歌詞は、たくさんの本に触れたことで生まれた努力の賜物ですね。
不登校の日々を送る中、テレビから流れたサンボマスターの音楽に衝撃を受け、「自分のために歌っている」と感じたそうです。
そんな心の支えとなったサンボマスターの音楽を聴き、自分を奮い立たせながら卒業式に行ったことを明らかにしています。後にサンボマスターのライブに訪れたことをきっかけに、自分も音楽を職業にしようと決意したそうです。
デビューを見据えて楽曲制作を始める
通信制の高校に入学し、軽音部で音楽の楽しさを知るも、周りとの情熱の差を感じて1人で楽曲制作を始めます。
この時から曲を作り溜め、デビュー後のアルバムの構成も既にあったと言います。
2010年にヤマハ主催で開催されたコンテスト、「“Music Revolution Song Contest” TOKYO FINAL」においてはオーディエンス賞を受賞。さらに同年11月のヤマハ主催のコンテスト「“The 4th Music Revolution” JAPAN FINAL」ではグランプリとオーディエンス賞をダブルで受賞という素晴らしい快挙を遂げます。
その3年後にはインディーズ 1st mini Album「魔女図鑑」を発売。
デビューするまでの音楽活動にのみ注目すると、順風満帆に思ってしまいますよね。
しかし、人とのコミュニケーションに悩み、本に救いを求めていた過去や、デビューを見据えて楽曲を作り溜めていたことを思うと、見方が大きく変わってきます。デビュー直後で既に独特の世界観が確立されていたことも納得できますよね。
魔女修行や図書館に入り浸った日々は、彼女が音楽活動するために必然的だったとも言えます。
吉澤嘉代子の魅力を紹介
歌詞も表現方法も唯一無二!
吉澤嘉代子の魅力を徹底解説していきます。
曲ごとに異なる表情
曲によって七変化する姿はまさに”魔女”のよう。
1つのアルバムを聞いていても、本当に同じアーティストなのか?と思うほど、歌い方も歌詞の世界観も異なります。
彼女の代表作とも言える「残ってる」のように、繊細で儚い世界観のイメージが強い方はきっと驚くはず。
ムダ毛について歌った「ケケケ」や、好きなのに優しくできない葛藤をポップに歌う「鬼」など、振り幅が非常に広いのに、どの楽曲にも共通して吉澤嘉代子らしさを強く感じます。
また、カフェの店員や、23歳の女の子、殺人犯…と曲ごとに主人公が具体的に描かれているので、1曲ごとに演じているかのよう。気づけば独特の世界観の虜になっているはずです。
表現豊かな歌詞
彼女を一躍有名にした「残ってる」は、特に小説的な魅力が詰まっている楽曲。
相手との過ごした余韻に浸る心情を「残ってる」と表現し、朝帰りの心情を細やかに歌った曲ですが、物語に深みを与えている背景も注目ポイント。
歌詞の季節は夏の終わりですが、
「かき氷いろのネイルが剥げていた」
「秋風が街に馴染んでいく中で」
と直接的に表現しないことで、情景がより細かく浮かび世界観に深みを与えています。
また、「色」を「かき氷いろ」のようにあえて漢字表記していない表現が多いのも魅力の一つ。ひらがなで表現していることで感じる柔らかさや余白を味わうこともできます。
耳で歌詞を堪能するのはもちろん、目でも歌詞を楽しむことで、聞けば聞くほどに楽曲の世界観が色づいていきます。
また、吉澤嘉代子が歌う恋心は、足取りが軽くなるようなポップな楽曲ばかり。
しかし歌詞に注目すると、相手を思うが故に暴走する恋心も見事に表現されています。
「恋がしたい 恋がしたい 人の道外れてしまうような」(「美少女」より)
「熟れた果肉を齧るなら 黒い種ごとのみこんでね」(「洋梨」より)
危なっかしいけれど、どこか共感してしまう艶かしい歌詞は吉澤嘉代子ならでは。
楽しくキラキラしていることだけが恋ではないことを見事に表現しています。
ジャケットやMV、衣装のこだわり
「月曜日戦争」のアニメーションをはじめ、ツアーグッズも手がけているたなかみさきや、「鬼」のアニメーションを手がけたRingなど、吉澤嘉代子の世界観をより確立させ魅力的にしているジャケットやMVも注目ポイントです。
曲を聞いても、ジャケットを見ても、はたまたMVや衣装を見ても世界観が一貫しているので、吉澤嘉代子の曲はもちろん、手がけたアーティストのファンにもなってしまいます。
MVやジャケット、グッズを手がけるアーティストにも注目し、世界観を堪能してみてくださいね。
●たなかみさき
「月曜日戦争」のジャケットとMVのアニメーションをはじめ、「女優ツアー2019」ではグッズのイラストも手がけている、イラストレーターのたなかみさき。「洋梨」ではデュエットも果たし、SNSでは公私ともに仲が良い姿が伺えます。
●Ring
「鬼」のMVのアニメーションを手がけたRing。
MVには、氣志團の綾小路翔とコラボした楽曲のタイトルにもなったブルーベリーシガレットや、魔女修行をともにしたほうきなど…よく見ると、吉澤嘉代子にまつわる様々なモチーフが散りばめられています。可愛く細かいイラストは、何度見ても新たな気づきがあり、楽曲の中毒性をより高めています。
●てらおかなつみ
「吉澤嘉代子の発表会」や「吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂」など様々なグッズやイラストを手がけた、てらおかなつみ。
「吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂」6月20日(日)
オフィシャルグッズのイラスト描かせていただきました🐶🎂🐾 https://t.co/C4LYW7Dok7@yoshizawakayoko pic.twitter.com/ZpDd2AoEJW— てらおか なつみ (@teraoka_natsumi) June 3, 2021
このイラストでは、吉澤嘉代子をはじめとする個性豊かなバンドメンバーを犬で表現しています。
柔らかい曲線と優しい色合いは吉澤嘉代子の雰囲気にぴったり。
答えあわせ🐶 pic.twitter.com/nMPNOoqNqN
— 吉澤嘉代子 (@yoshizawakayoko) June 20, 2021
●田中大資
「赤青ツアー2021」や「吉澤嘉代子の日比谷野外音楽堂」での衣装やグッズを手がける刺繍作家の田中大資。
🪡~🎀~☆彡~📞~💔~👹~🐉~🍬~🚙~👼 pic.twitter.com/zoU38M1FyA
— tanakadaisuke (@tanakadaisuke18) March 29, 2021
アルバム「赤星青星」ではジャケットの衣装だけでなく収録曲に合わせた刺繍も手がけ、世界観をより神聖なものにしています。
異なる表情ごとに紹介!吉澤嘉代子のおすすめの曲
吉澤嘉代子の様々な表情を楽しめる曲を紹介します。
多様に繰り広げられる吉澤嘉代子ワールドをぜひ楽しんでくださいね。
小説のように繊細な楽曲|ストッキング・東京絶景
「残ってる」のように、些細な心情の変化や不安定さを丁寧に掬い取った曲を紹介します。
世界観を深く味わいたい方におすすめの曲はこちら。
●ストッキング
「魔女の宅急便に泣いた十三歳の夏には もどれないことを知る」。
かつて自分を「特別」だと思っていた時から、遠く離れてしまった様を繊細に歌っています。
●東京絶景
音楽において、東京は孤独や雑多の象徴として歌われることが多く、帰る場所ではなく戦う場所として表現されることが多いもの。しかし「東京はうつくしい」と表現し、誇張されずに東京の良さそのものが表れています。
- 23歳
- 泣き虫ジュゴン
- よるの向日葵
可愛さがぎゅっと詰まった楽曲|アボカド feat.伊澤一葉・未成年の主張
「鬼」で吉澤嘉代子の可愛さの虜になった方におすすめ!
ポップな恋心を、独特の世界観で描く曲を紹介します。
●アボカド feat.伊澤一葉
吉澤嘉代子のバンドメンバーでもある、伊澤一葉(東京事変)と作曲した「アボカド」。
他の女性と同じように捉えられたくないけれど、「わたしの恋を決めつけて」と揺れ動く気持ちが可愛らしく歌われています。
楽曲を聴くと、アボカドという曲名に納得するはずです。
▼あわせて読みたい!
●未成年の主張
「夢で逢えたって しょうがないでしょう」とうっとりと歌ったり「あなたが好きです」と強く訴えかけたり…様々な歌い方が堪能できる曲です。
音源も素敵ですが、1人ギターを抱え、物おじせずに巣鴨の街を歌いながら歩く姿に吉澤嘉代子の魅力が詰まっています。
- 手品
- 洋梨
- ユキカ
清澄な強さのある楽曲|ものがたりは今日はじまるのfeat.サンボマスター・ミューズ
伸びやかな歌声に心が洗われること間違いなし。
清澄な気持ちに包まれながらも、凛と前を向けるような曲を紹介します。
●ものがたりは今日はじまるの feat.サンボマスター
作詞作曲ともにサンボマスターの山口隆が手がけています。
かつて、自分を支えて音楽の世界へと導いてくれたサンボマスターが曲を手がけ、過去の吉澤嘉代子と重なるような女の子が登場するMVは、彼女の過去を彼女自身が救っているかのよう。
扉の外に一歩踏み出す姿は何度見ても胸が熱くなります。
出演した女優・吉岡里帆とはMVをきっかけに仲を深め、SNSでもライブにいく姿が度々見られます。
●ミューズ
誰しも持ち合わせる危うさや脆さを見事に表現しながらも、前を向けるように背中を押される曲です。美しい演奏と優しく強い吉澤嘉代子の歌声は心を潤すはず。
- 綺麗
- おとぎ話のように
- 流星
シュールさが癖になる曲|ケケケ・ブルーベリーシガレット
聴くたびに味わい深くなり、気づくと口ずさんでしまう独特の世界観…。
シュールだけどキャッチーさも兼ね備える曲を紹介します。
●ケケケ
ムダ毛についてここまで深くかっこいい世界観を持てるのは吉澤嘉代子だけ!
聴き始めはつい笑ってしまいますが、「守るために生まれて 疎ましく思われて剃られた」と絶妙に面白くかっこいい表現は癖になります。
●ブルーベリーシガレット
不良の先輩に憧れ、ワルになりたがる内気な女の子を歌った曲。氣志團の綾小路翔が不良の先輩となり、ひょうきんな雰囲気をより漂わせ、何度聞いても楽しめます。
ストーリー性が詰まっている、間奏や曲の終わり方も必聴です。
- チョベリグ
- じゃじゃじゃ feat.ザ・プーチンズ
- 麻婆
まるで映画のよう!ストーリー性のある楽曲|地獄タクシー・最終回
起承転結がはっきりした歌詞と、華麗に転調する演奏は映画のよう。
MVの世界観と合わせて是非堪能してくださいね。
●地獄タクシー
歌詞の語り部は殺人犯の主人公と、殺された夫。
ドロドロとした狂気が存在しながらも、色気と品が垣間見え、絶妙なバランスを保っています。
「魂をたくし」「支度しい!」「いま行くし!」と「タクシー」にかけられた言葉選びも魅力的!
●最終回
地獄タクシーのように、ジャズ調で強い歌声にはまった方におすすめです。
落ち込むこととがあっても、今日を最終回にして強く前へ。女性の強さが詰まった逞しい曲です。
- サービスエリア
- シーラカンス通り
- 逃避行少女
まとめ
吉澤嘉代子の魅力やおすすめの曲を紹介しました。
知れば知るほど掴みどころがなく、その魅力に虜になること間違いなし!
恋をした時も、相手を恨めしく思う時も、優しく慰めてほしい時も…どんなシュチュエーションでもあなたに寄り添う曲が必ずあるはずです。
今後の音楽活動にも注目しながら、多彩な吉澤嘉代子の魅力を堪能してみてくださいね。
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