ドレスコーズ【作品解説】最新映像作品『ドレスコーズの味園ユニバース』

ドレスコーズ【作品解説】最新映像作品『ドレスコーズの味園ユニバース』

『ドレスコーズの味園ユニバース』・ディスクレビュー Part.2

ユニバースとどこかの誰かのラブストーリー

MCを挟み全曲ラブソングであることを宣言し「ラストナイト」へ。昨夜の楽しかった思い出を歌うこの楽曲でストーリーとしては一夜明けたことがわかります。続いて毛皮のマリーズ時代、ベーシストの栗本ヒロコがメインヴォーカルをとっていた「すてきなモリー」を志磨自身が歌うバージョンで披露。会場の音圧と温度を再現したようなカメラワークでこちらの興奮も煽ってきます。

イントロを長くとり「エロイーズ」へ。前半の燃え上がるようなラブソングとは対照的に中盤は失った恋へのラブソングが中心となっており、ストーリーとしては「昨日と今日と明日をつないで宇宙を見に行く」ことと、どこかの誰かのラブストーリーの紆余曲折が軸になっていることがわかります。そして志磨遼平のキャリアの中でも屈指のラブソング「Mary Lou」へ。許されざる恋への覚悟を歌った楽曲がストーリー上で意味を持って未来への希望を示しています。

MCではメンバー紹介を。今回はアルバム「戀愛大全」のレコーディングメンバーをそのままツアーメンバーに起用しています。お馴染みの有島コレスケ(B)をはじめ、ビートさとし(Dr)、中村圭作(Key)、志磨が編んだという三つ編みの田代裕也(G)、そして志磨遼平(Vo)の5人編成です。

序章、それぞれの朝

後半はスウィンギンなロックンロール・ナンバー「やりすぎた天使」でスタート。キーボードの音色がノスタルジックに響き、志磨もステージ上を跳ね回ります。ノンストップで「コミック・ジェネレイション」へ。ネオン管は虹色に背景を彩りスパンコールのトップスの男を妖しくそしてきらびやかに照らし、その姿はあまりにもアンダーグラウンドのスター。そして最後に轟音ラブソング「恋をこえろ」を歌い上げます。燃え上がった恋が消えかけ、しかしあきらめずにいた男は開き直り自らの信じる恋を貫く覚悟を決め、恋をこえていくのでした。ギターノイズの残響とネオン管で暗転。

アンコールではMCで「一晩だけのまぼろしをきっと見たのよ」「一晩たったら忘れようね」と志磨が語り、「愛のテーマ」を披露。ストレートに、そしてハッピーに愛を歌う楽曲で未来への希望をはっきりと提示しています。苦難を乗り越え愛を誓い合ったふたりはこの先どうなっていくのでしょうか。おやすみ、ユニバースと語りラストナンバー「序曲(冬の朝)」へ。紆余曲折あったラブストーリーは、永遠の愛を誓ったふたりにとっては序曲だったのです。そして朝といえばストーリーとしては3日目を意味する朝です。導入のショートムービーにあった台詞から昨日、今日、明日をつないでいったことがわかります。

セットリストのストーリー性、ステージそのものの背景と志磨遼平とバンドメンバーのポテンシャルが高次元でまじりあい、奇跡的なシンクロを果たしたライブだといえます。

ドレスコーズ志磨遼平の言うところの宇宙(ユニバース)、まぼろしの一夜をたしかに見ることができる、キャリア史上でも屈指のライブ映像でした。

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