いまやCM出演や俳優としても活躍している「歴史縛りファンクネスバンド」レキシ。
5人組ファンクバンドSUPER BUTTER DOGのキーボーディストや、中村一義を中心としたバンド100sのメンバーとして、ユーモアあふれるパフォーマンスで人気を博した池田貴史のソロユニットです。
今回はレキシの経歴や魅力なども含め、独特なヴィジュアルに隠された秀逸な音楽性のルーツを探っていきます。
レキシファンの稀有ズの皆様、あけましておめでとうございます。ラフ&ピースの気持ちで楽しい一年になると良稲♪本年もどうぞお手やわらカニ♪#レキシ#謹賀新年#SHIKIBU pic.twitter.com/Qx9JN9cINE
— レキシ official (@REKISHIofficial) January 1, 2022
目次
レキシのプロフィール
明日12月29日21時
スペシャルドラマ
『99.9-刑事専門弁護士-
完全新作 SP 新たな出会い篇
〜映画公開前夜祭〜』
放送です!明日これを観てからの〜
明後日12月30日から公開になる
『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』
も是非!いとこんちに誰がやって来るのか?
も、お楽しみにゼァ! pic.twitter.com/G0pR9Vp7kD— レキシ 池田貴史 (@ekechang) December 28, 2021
- 本名:池田貴史(いけだたかふみ)
- 生年月日:1974年2月15日(47歳)
- 出身地:福井県鯖江市
- 血液型:A型
レキシこと池田貴史は福井県鯖江市の出身。両親が営む仕出し屋があったビルでよく遊ぶ子どもだったようです。トレードマークのアフロヘアと大きなサングラス、派手な羽織袴姿という出で立ちでお笑い要素が強いパフォーマンスのオリジナリティーは、そんな幼少期から育まれたものでした。
本人が5歳のときに出席した親戚の結婚式でのこと。さだまさしの『関白宣言』をピアノで弾き語ると大人たちから大喝采を浴びます。それからというもの、人を楽しませるパフォーマーとしてのセンスを身につけていくことに。若干5歳で亭主関白の夫から妻へ送るメッセージを歌った『関白宣言』を弾き語る姿は、とても微笑ましいですよね。
現在も「さだまさしはファンクだ」と公言するほどに、自身の音楽性に影響を受けています。また『8時だよ!全員集』などでおなじみのザ・ドリフターズの影響は絶大。幼いながらも『ドリフの早口ことば』にブラックミュージックの要素を見出し、レキシとしての楽曲づくりにその源流はあるようです。
メリス🎄 pic.twitter.com/281o04FkH7
— レキシ 池田貴史 (@ekechang) December 25, 2021
そもそもライフワークとして始めたレキシとしての活動。自分が楽しむためにしている音楽を周りもおもしろいと感じてくれていることに驚きを覚えたといいます。
椎名林檎や斉藤和義、秦基博など数々の名だたるアーティストからラブコールが絶えないレキシ。今は亡きお笑い界の重鎮・志村けんとも交友関係にあり、たくさんのアドバイスをもらうなど彼を師匠と呼び慕っていたようです。
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レキシの経歴
高校時代からバンドを結成して音楽活動を続けていたレキシこと池田貴史。実は日本の音楽シーンを語るうえで外せない2つのメジャーバンドに所属していたんです。さっそくそのバンドを紹介していきましょう。
キーボーディストとして活躍したSUPER BUTTER DOG
- 永積タカシ/Vo.Gt
- 竹内朋康/Gt
- 池田貴史/Key.Cho.Vo
- TOMOHIKO/Ba
- 沢田周一/Dr
SUPER BUTTER DOGは1994年にボーカルの永積タカシとギターの竹内朋康を中心に結成されました。永積タカシは現在シンガーソングライターとして活躍するハナレグミです。池田貴史は高校時代の同級生だった竹内朋康に誘われ、キーボード担当として加入します。1997年にアルバム『FREEWAY』でメジャーデビュー。その後日本を代表する5人組のファンクバンドとして数々のアーティストに影響を与えました。
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多くの名曲を世に送り出したSUPER BUTTER DOG。ファンク・キラーチューンとして反復するフレーズとベースラインがクセになる『FUNKY ウーロン茶』はライブでも高揚感マックスです。
また2001年にリリースされたシングル『サヨナラCOLOR』は、俳優の竹中直人が同曲にインスパイアされ制作した映画『サヨナラCOLOR』として2005年に全国公開されています。ファンクバンドとしてのグルーヴを重視しつつも歌ものとしての奥深さも内包したSUPER BUTTER DOGの唯一無二な音楽性は聴く者の心をつかんで離しません。
2008年に惜しまれつつも解散しますが、日本のファンクバンドとして彼らが残した名曲やライブパフォーマンスは、いまも褪せることなくファンの胸に刻まれています。
もともとレキシは池田貴史がSUPER BUTTER DOG在籍中に、メンバーの永積タカシと沢田周一と共に結成されます。ライブのアンコールなどでレキシとしてパフォーマンスをしていたとか。2007年に池田貴史がレキシとして1stアルバム『レキシ』を発表し、ソロ活動をスタートさせました。
中村一義を中心としたバンド100s【Hyaku-Shiki】
- 中村一義/Vo.Gt
- 池田貴史/Key
- 町田昌弘/Gt
- 小野眞一/Gt
- 山口寛雄/Ba
- 玉田豊夢/Dr
100s(ヒャクシキ)は2004年から活動をスタートした6人組のロックバンドです。
中村一義のバックバンドとしてフェス出演したことをきっかけにバンド結成しました。独特のボーカリゼーションで存在感を放つ中村一義を中心とした多彩なメンバー構成による圧倒的なバンドサウンドで紡がれる楽曲。ずっと潜っていたくなるような音世界が展開されます。
結成当初、池田貴史は中村一義とラーメンをすすりながらアルバムを何枚作るか話をしたといいます。お互いアルバムは3枚作るという同じ思いを抱いていました。そして実際100sは『OZ』『ALL!!!!!!』『世界のフラワーロード』という3枚のアルバムを残し、2010年以降活動を休止しています。
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レキシの魅力
名だたるアーティストから愛されるレキシ。音楽シーン以外でも活動の幅を広げています。人々を惹きつけてやまない高い音楽性と人間力はどのように育まれたのでしょう。
歴史縛りの歌詞と正統派メロディメーカー
レキシの創り出す楽曲は、骨太なブラックミュージックをベースとしていながら歴史縛りのユニークな歌詞で笑いに昇華することが特徴ですが、斉藤和義から「名曲の無駄遣い」と評されることも。また昭和歌謡やジャズ、ロックなどを網羅したサウンド作り、センスあふれる音楽性に正統派メロディメーカーとしての定評があります。
歴史の大ファンであることから、もっと歴史を身近に感じてほしいという思いが歌詞に投影されているレキシ。一見ふざけているようにもとれる歌詞ですが、レキシ自身はダブルミーニングを意識しているそう。メッセージ性をストレートに打ち出しさずとも、巧妙な構成で現代にも通じる感覚をキャッチーに表現しています。
2ndアルバム『レキツ』に収録されている大人気曲『狩りから稲作へ feat.足軽先生・東インド貿易会社マン』は、縄文時代の狩り中心の生き方と弥生時代の稲作文化を比較して恋の相手が選んだ稲作定住の道を自分も歩むという壮大なラブソング。
縄文土器 弥生土器 どっちが好き? どっちもドキ
縄文土器 弥生土器 どっちが好き? どっちもドキ
「どっちもドキ」のドキは、土器とドキドキという感情表現をかけたダブルミーニングです。いきなり歌いだしが縄文土器や弥生土器だと、なかなか楽曲の持つメッセージがすんなり伝わらないですよね。しかしそれ自体がレキシの創り出す音楽の魅力となっているのでしょう。
有名アーティストとのコラボ
レキシはこれまで数々の豪華アーティストとコラボしてきました。そんなレシキの作品に参加する際は「レキシネーム」という称号を付けられます。そこで代表的なレキシネームを一部紹介しましょう。
・Deyonna(椎名林檎) ・旗本ひろし(秦基博) ・森の石松さん(松たか子)
・齋藤摩羅衛門(斉藤和義) ・足軽先生(いとうせいこう) ・オシャレキシ(上原ひろみ)
錚々たるメンバーですが、ほんの一部です。ここまでレキシが求められる理由について、公私ともに交流のあるいとうせいこうは、アーティストが純粋に楽しめる音楽制作の場としてレキシという存在が機能しているからだと評しています。
確かに想像しただけで楽しそうですよね。
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CMやドラマ・映画出演
舞台挨拶に参加してきました。海街diary本日公開です。是枝監督と♪ pic.twitter.com/PiYWRGUyzp
— レキシ 池田貴史 (@ekechang) June 13, 2015
レキシは池田貴史名義で俳優としても映画やドラマに出演しています。2015年には是枝裕和監督の映画『海街diary』に女優の夏帆演じる三姉妹の三女・千佳の恋人役で出演。その風貌を生かした味のある演技で注目されました。翌年2016年には、嵐のメンバーとして活躍していた松本潤主演のドラマ『99.9‐刑事専門弁護士‐』に気さくな小料理屋の店長役で出演。ドラマが進むにつれてキーとなる役どころを演じました。
ドラマ以外にも、2016年にはダイハツ『Thor(トール)』のCMソングに2ndアルバム『レキツ』に収録された『きらきら武士』が起用され、本人もパパ役で出演。さらに2019年にはP&G『ファブリーズ』の新CM・園長先生のススメシリーズに園長先生役で起用されます。アフロヘアのユーモアあふれる園長先生はとてもハートウォーミングでした。
【レキシ】P&Gファブリーズの新CMにレキシの出演が決定致しました!
池ちゃん扮する園長先生が、99.9%除菌&24時間抗菌のファブリーズで、これからの季節に活発になる菌から子ども達を守ります!
本日より全国でオンエアされますので皆さま是非ご覧くださいませ♪https://t.co/31uKB4ZExY pic.twitter.com/ua5c9kKe3K— Laughin (@Laughin_JP) February 22, 2019
レキシのおすすめ曲
1曲1曲の完成度がすばらしいレキシの楽曲。取捨選択が非常に難しいですが、タイアップやファン以外にも人気があるおすすめの曲を紹介していきます。興味はあるけど聴いたことがないという人も、これをきっかけにレキシの色彩豊かな楽曲に触れてもらえたらうれしいです。
きらきら武士 feat.Deyonna
2011年リリースの2ndアルバム『レキツ』に収録された人気曲。椎名林檎がレキシネーム・Deyonnaとしてフィーチャリングで参加しています。一度聴いたら耳から離れないフレーズ。無意識に口ずさんでしまうようなインパクトのある歌詞が魅力です。またMVに出演いている一人二役の女性、モデルの仲川希良がとてもキュートでかわいいと話題になりました。
2016年にCMソングとして起用され、レキシ本人も出演し『きらきら武士』の人気が再燃しました。
年貢 foryou feat.旗本ひろし、足軽先生
4thアルバム『レシキ』の収録曲。秦基博がレキシネーム・旗本ひろしとしてフィーチャリングで参加しています。軽快で穏やかなメロディとギターのカッティングが心地よい本曲。曲名に年貢とありますが、実はウェディングソングとして作られた曲なんだそうです。
このまま年貢 全部 キミに届けて
全部 年貢 for you
納めたLove you Love you キミに届け
サビのパートを歌詞だけで見てもウェディングソングとは分かりづらいですが、秦基博の温かなボーカルとメロディが非常にエモーショナルに展開するので、じっくり歌詞を咀嚼しながら聴くとメッセージが伝わってきます。ラップは足軽先生こといとうせいこう。独特のリズム感とセンスはいとうせいこうにしか出せないとレキシが語るように、曲の世界観を見事に引き出しているのにも注目です。
ギガアイシテル
『ギガアイシテル』は2020年9月3日にリリースされた4thシングル。同年4月に公開された映画『映画 クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』の主題歌です。落書きがテーマなだけに、作者不詳で日本最古のマンガといわれる『鳥獣戯画(チョウジュウギガ)』を同じコンテクストとしてリンクさせています。そこに子どもの頃の心情や本能を温かく見守る大人の視点で歌詞を展開させていて、キャッチーながらも聴けば聴くほど心に沁みる名曲です。
君のその落書きも いつか誰かの宝物
消さないで 離さないで
残しておいて その思いを
シンプルな音作りを心掛けて制作を進めていくうちに、徐々にカラフルな構成になり最終的には映画の世界観と見事にリンクしたという本曲。ヒップホップアイドルユニットlyrical schoolのminanがレキシネーム・MC旧石器で参加しています。また、クレヨンしんちゃんがしん・暴れん坊将軍としてラップで参加しているバージョンのMVには着ぐるみを着たしんちゃんも登場。レキシと一緒にギガダンスを踊る姿は必見です。
最後の将軍 feat.森の石松さん
5thアルバム『Vキシ』収録『最後の将軍 feat.森の石松さん』。テーマは大政奉還です。最後の将軍・徳川慶喜と大政奉還に恋愛を重ねた壮大なロックバラード。アルバム最後を飾るにふさわしい本曲を透明感あふれる豊かな情感で歌い上げるのは、森の石松さんこと松たか子です。
MVでは2015年の映画『海街diary』でレキシの恋人役を演じた女優の夏帆と再び共演しています。映画では仲の良い親密な恋人同士だった二人。今回のMVでは、やさしすぎて少し意気地のない男性と気持ちを残しながらも去っていく女性のやるせない恋愛事情をショートムービー仕立てで演じています。そんな夏帆のレキシネームは我が家の家宝。夏帆(かほ)と家宝(かほう)を引っ掛けたにせよ、夏帆は家宝級の美しさ。レキシのネーミングセンスが光ってますよね。
GET A NOTE
2018年にリリースされた、レキシ初の両A面シングル『S&G』。1曲目『GET A NOTE』はアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングテーマに起用されています。原作者の水木しげるの大ファンというレキシ。オファーの際は相当高いハードルに悩んだといいます。タイトルはもともと鬼太郎の下駄の音がモチーフで、最初はカタカナ表記の『ゲタノオト』だったそう。
メロディがボブ・マーリーの『Get Up Stand Up』を彷彿とさせ、往年の水木しげるもレゲエを好んで聴いていたというエピソードにも繋がります。レキシの水木しげるへのリスペクトが溢れ出ていますよね。
また両A面のもう1曲は、2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」のパワープッシュソングに起用された『SEGODON』。西郷をせごどんと読むことを広めたいというNHKからの要望に応えて制作された本曲。ドキュメンタリー風のMVでは西郷隆盛に扮したレキシと、CDジャケットの手書き風景を観ることができます。
まとめ
独特のヴィジュアルと笑いのエッセンスで音楽シーン以外でも絶大な人気を誇るレキシ。
同じ音楽シーンを牽引する大物アーティストからも「名曲の無駄遣い」と言わしめるほど、その楽曲づくりには定評があります。ふざけているようでそのベースにはしっかりブラックミュージックのグルーヴが根付いている。それが日本史と現代社会を紐づける歌詞の世界を引き立てながらも、精緻なサウンドにのったメロディが繰り返し聴いていても心地よく耳に響いてきます。
そんなレキシのこれまでの楽曲に興味がわいたり、これからの活動を楽しみにしてもらえたらとてもうれしいです。