Aimer(エメ) – 野田洋次郎提供曲「蝶々結び」を徹底解説!サウンドの特徴や歌詞の意味は?

Aimer(エメ) – 野田洋次郎提供曲「蝶々結び」を徹底解説!サウンドの特徴や歌詞の意味は?

はじめに

あなたは最近「蝶々結び」で何を結びましたか?

Aimer今や日本を代表する女性シンガーの一人です。
その地位を獲得したのは、RADWIMPSの野田洋次郎が楽曲提供&プロデュースしたピアノバラード「蝶々結び」がきっかけです。
この記事では今も変わらぬ人気を誇る「蝶々結び」ができた背景、楽曲や歌詞に込められた想いをひも解いていきます。

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Aimerとは?

まずはAimerの紹介をします。
Aimerをなんて読むかわからない方もいますよね。
Aimerの読み方は「エメ」で、その由来は愛称からと言われています。

Aimerは2011年にメジャーデビューしました。
15歳の頃に声帯に負担をかける歌唱が原因で声帯を痛め、沈黙療法を半年も行った経験があります。
声帯は今も完全な状態には戻っていませんが、負担がかからないような歌い方を獲得。
結果的に一度聞いたら忘れない、ハスキーなのに甘いという奇跡的な声質を維持しています。 

メディア露出

メディア露出は少ないAimerですが、「蝶々結び」が日本テレビ系『スッキリ!!』のテーマソングに採用されたり、テレビ朝日系『ミュージックステーション』に初出演したりしました。

「蝶々結び」の楽曲概要

「蝶々結び」はAimerがデビュー5年後の2016年8月に、11thシングルとしてリリースされました。
野田洋次郎が知り合いにAimerのCDをもらって聞いたことがきっかけとなり、ずっと暖めていたこの楽曲を彼女に提供しました。

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岩井俊二監督のMUSIC VIDEO

MVは『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、音楽と関係の深い作品も制作している映画監督の岩井俊二が担当しています。
MVは蝶々結びをする人たちが多数出演しており、楽曲の世界観をさらに広げた感動的な作品になっています。

「蝶々結び」徹底解説

靴紐やリボンを結ぶ目的で、よく使われる蝶々結び。
結び方が左右対称であることから、この楽曲では蝶々結びを人と人の関係におけるバランスや儚さ、難しさに例えています。

ここから、楽曲を徹底解説していきます!

サウンドの特徴

シンプルで美しいピアノアレンジが印象的な楽曲です。
後半からは、バンドアンサンブルになりますが、Aimerの歌声を活かすアレンジになっています。

楽曲を彩るピアノは楽曲提供者である野田洋次郎ギターとコーラスはハナレグミの永積崇とそうそうたるメンバーが参加しています。

Aimerの声の特徴

Aimerの歌い方で特徴的なのは、ブレス音がしっかり聞こえるところです。
ブレスとは息継ぎのことですが、ブレス音をノイズと見なしてマイクが拾わないようにする歌手もいます。
彼女のブレス音が「蝶々結び」の中で、恋人との距離感が伝わる表現になっています。

楽曲パート分析

イントロ

楽曲はじめは、シンセサイザーとAimerの声とも取れるサンプリングされた音が鳴ります。
その音が途切れた瞬間Aimerのブレス音が聞こえ、ピアノの4つ打ちとともに歌が始まります。

1番

Aimerがピアノを弾き語りしているような印象の歌いはじめは、蝶々結びの方法の説明です。
普通に聞いていると、蝶々結びのやり方を聞いているようです。
しかし、この部分の歌詞をしっかり聞くことで、のちに展開されるストーリーが深く心に染み入ってきます。

序盤は一人で蝶々結びをしている歌詞に聞こえます。
しかし蝶々結びが完成する瞬間の
〈「せーの」で引っぱって〉
いるシーンは一人で両手を使い引っ張っているようにも、誰か相手がいるようにも感じられます。
この部分は、後半に向けた伏線になります。

サビに向けて演奏はダイナミックになっていきます。
そしてサビになると、バンド全体の演奏になり、ドラマティックな展開へ。

〈羽根は大きく 結び目は固く なるようにきつく結んでいてほしいの〉
歌詞は結び方についての希望を誰かに語っています。
そして続くのは〈腕はここに〉と、今この瞬間のぬくもりを感じさせられることから、主人公が恋人に語っていることがわかります。

2番

2番の歌詞は、片っぽを引っ張ると簡単にほどけてしまう蝶々結びは、簡単に壊れてしまう恋愛を重ねます。
MVで制服のリボンを片方だけ引っ張りほどくシーンは、なぜか胸が苦しくなります。

そして、作ることより壊すことの方が遙かに簡単という儚さも表現されています。
それでも片方を引っ張ってほどくのではなく、結ぶ時と同じように左右均等の力で
〈「せーの」で引っぱって〉
ほどくということは、お互い平等でありたい気持ちが伝わります。

Bメロの歌詞では、蝶々結びのこだわりから、主人公の心理に繋がっていきます。
あなたも蝶々結びの形を整えたり、ほどけないように結び目を引っ張ったりしたことがあると思います。
主人公もそうして羽根を広げすぎてしまい、違和感を覚えています。
まるで恋愛関係を頑なに守ろうとした時に、心がいびつになっている
そんな状況を例えているようです。

サビになると永積崇のエレキギターの音量が上がり、強く迫ってきます。
このパートで再び恋人に語りかけているのは、過去よりも〈夢〉という未来への希望であり、前向きな主人公の気持ちが感じられます。

Cメロ~大サビ

ここからピアノの演奏もダイナミックとなり、新しい展開に入ります。
歌詞では黙って引っ張ってかっこ悪い羽根にしないでほしいということを、恋人に語りかけています。
〈結んだつもりが ほどいていたり 緩めたつもりが 締めていたり〉
という部分は、恋人を大切にしようとすればするほど、恋愛関係が壊れそうになる例えなのではないでしょうか?

ドラムフィルが入り、切ないギターリフが印象的な大サビに入ると、野田洋次郎の控えめで暖かい声がAimerとデュエットします。
リリース時のインタビュー記事によると、彼はもともと歌入れに参加する予定ではなかったようですが、彼の声が入ることで楽曲の完成度が圧倒的に上がっています。

男女の声が重なるこのパートから、歌詞も〈二人〉とハッキリ表現されていきます。
二人が糸の端と端をそれぞれが持っていて、たぐり寄せ合ったら一つの糸だったという内容は、まさに「運命の赤い糸」を表現しているのでしょう。
ただ「運命の赤い糸」との違いは、蝶々結びに例えて
〈結ばれたんじゃなく結んだんだ〉
としているところです。
赤い糸によって出会うべき人と結ばれることが運命と言うならば、この楽曲では運命に身を委ねるのではなく、自分と相手の糸を「結ぶ」ことに決めたのです。

序盤では一人で引っ張っていたようにも見えた糸の端と端を
〈二人で「せーの」で引っ張ったんだ〉
と歌っているように、二人で引っ張ることで蝶々結びを完成させたのです。
序盤にあった伏線がここで回収されていることが感動的でした。

アウトロではコーラスが柔らかく重なり、恋人同士が蝶々結びのように強く結びついているようで、優しい気持ちで聞き終えました。

おわりに

はじめに、あなたは最近「蝶々結び」で何を結びましたか?と質問した通り、誰もが日々何かを結んでいます。
MVでは靴紐や制服のリボン、さまざまな場面で蝶々結びをしていました。

「蝶々結び」は、結ぶことを人と人の繋がりに例えたラブソングでした。
蝶々結びは、片方だけじゃなくて両方から「せーの」と引っ張らないと、バランスが崩れてしまいます。

野田洋次郎は、蝶々結びを恋愛に例えるという手法で、「運命の赤い糸の現代版」とも言える物語を作ったのです。
そして「運命の糸は自分で選ぶ」という強い意志こそが、この楽曲で一番伝えたいことだったのではないでしょうか?

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