平沢進 – 40年以上にわたってシーンに君臨する鬼才音楽家 | 頭痛が消えると話題の楽曲とは…?

平沢進 – 40年以上にわたってシーンに君臨する鬼才音楽家 | 頭痛が消えると話題の楽曲とは…?

平沢進(ひらさわすすむ)は日本在住のミュージシャン・シンガーソングライター・音楽プロデューサー・映像CGアーティスト。

世に送り出した楽曲は400曲以上、デビューから半世紀に渡り国内外のアーティストたちに影響を与え続けています。

老いてなお旺盛な表現欲に駆り立てられ、日本最大級の音楽の祭典フジロックことフジロックフェスティバルに参加するなど、精力的な音楽活動で新境地を開拓する彼の魅力とはなんでしょうか?

宇宙的な広がりを内包する平沢ワールドの奥深い魅力を徹底解説します!

平沢進・プロフィール

  • 生年月日:1954年4月1日
  • 出身:東京都足立区
  • 年齢:67歳(2021年時点)
  • 最終学歴:東京デザイナー学院卒
  • 肩書:ミュージシャン・音楽プロデューサー・映像CGアーティスト・有限会社ケイオスユニオン代表取締役
  • 音楽ジャンル:ポップロック シンセポップ テクノポップ ブログレッシブロック ニューエイジ エレクトロポップ ニューウェイブ
  • 影響を受けた著名人 宮沢賢治 河合隼雄 シオドア・スタージョン ピンク・フロイド その他多数
  • 別名 異母犯抄 坂田四郎 福来良夫 ヴォルキス・プロラデューク
  • 愛称 師匠 ヒラサワ ステルス 音楽使い おっさん
  • オフィシャルサイト 「平沢進 Susumu Hirasawa」
  • オフィシャルTwitter @Hirasawa_Info
  • 平沢進個人Twitter @hirasawa
  • オフィシャルYouTubeチャンネル hirasawasusumu

平沢進は1954年(昭和29年)4月1日に東京都足立区で生まれました。

幼少時の趣味はラジコン。牛乳配達の青年が実家にレコード配達してくれたのがきっかけで音楽の素晴らしさに目覚め、10歳の頃にはエレキギターの演奏に挑戦。

小学生時代は壮絶ないじめに遭ったものの、恩師の存在に救われたと本人が証言しています。

早熟な演奏の才能を買われて年上グループのバンドに誘われ音楽活動に傾倒。

その後モトクロスに興味が移って一時的に音楽から離れますが、高校生の頃にトラック事故を体験したのがきっかけで、再び音楽の世界に戻ってきました。

愛読書は宮沢賢治の詩集や小説です。

1973年、東京デザイナー学院在学中にHR/HMバンド「マンドレイク」を結成しました。

「マンドレイク」は大手レコード会社複数にスカウトされる実力派バンドに成長されるも、1978年に解散。

平沢進は「マンドレイク」元メンバーの田中靖美とともに、電子音楽主体のバンド「バッハ・リヴォリューション」に参加します。

「バッハ・リヴォリューション」では後年P-MODELや平沢ソロのプロデューサーとなる神尾明朗と出会い、時代に先駆けた独自の表現を突き詰めました。

1979年にバンド「P-MODEL」を新たに結成、メジャーデビューを果たします。当時はCDの売り上げを事務所にとられてしまい、極貧に喘いでいたそうです。

1988年12月、「P-MODEL」が活動休止。ミュージシャン平沢進としてソロ活動に注力し、国内外を飛び回ります。

この頃から複数のアニメーションへの楽曲提供を始めました。

特に日本アニメーション界の巨匠・今敏とは親交が深く、『千年女優』『パプリカ』『妄想代理人』のテーマソングを手がけています。

『千年女優』(「ロタティオン[LOTUS-2]作詞・作曲・編曲 平沢進)

『パプリカ』(「白虎野の娘」作詞・作曲・編曲 平沢進)

『妄想代理人』(オープニングテーマ「夢の島思念公園」エンディングテーマ「白ヶ丘-マロミのテーマ」作詞・作曲・編曲 平沢進)

『パプリカ』のエンディングテーマ「白虎野の娘」は、アメリカで開催された第79回アカデミー賞のオリジナル歌曲部門のノミネート対象作品に選ばれました。

近年では三浦建太郎原作の人気アニメ、『ベルセルク』シリーズ劇中歌「灰よ」をはじめとする楽曲を制作しています。

『ベルセルク』と平沢進の付き合いは長く、20年以上に及びます。

この間平沢進は『ベルセルク』TVアニメ版・劇場版・ゲーム版のサウンドトラックを制作し、2021年5月に急死した原作者・三浦健太郎とも交流を結んでいました。

「大ベルセルク展 〜三浦建太郎 画業32年の軌跡〜」には、平沢進自身が祝辞のビデオメッセージを寄せています。

平沢進の個人事務所「有限会社ケイオスユニオン」設立

平沢進は1997年にアイスリープロモーションを退社。個人事務所である「ケイオス・ユニオン」を設立し、代表取締役に就任します。

後に平沢進はアイリスリープロモーション在籍時代に忙殺され、パニック障害を患っていたと告白。

「このままでは死ぬと思いマネージメントの事務所を脱出し、その後レコード会社を脱出した。」とツイートしており、当時のスケジュールの過酷さが凝縮されていますね。

よりのびのびした環境で自分の理想とする音楽を突き詰める為、事務所設立に踏み切った背景が明かされます。

平沢進の音楽の特徴

平沢進の音楽の最大の特徴として挙げられるのは、その深遠な精神性と高邁な思想性です。

哲学や文学にも造詣が深い平沢進は斬新でポエティックな言葉選びや神々しささえ感じさせる荘厳なメロディーを強みとし、日本のミュージックシーンに転換点をもたらす金字塔を打ち立てました。

またイラク戦争や東日本大震災などの非日常体験を経て、ディストピアな世界観がより濃く反映されるようになり、神話と科学が結び付いた重層的な深みを増していきます。

これは『ディストピア三部作』と呼ばれる『BLUE LIMBO』『白虎野』『点呼する惑星』に顕著な傾向です。

平沢進と数々のアニメーション映画でタッグを組んだ今敏は、彼の音楽の真髄は「相反するものの同居」に集約されると言及し、「テクノロジー全盛の近現代において非科学的であると断罪される神話とテクノロジーが平然と同居しながら、両者がバランスをとっている。」「澄み渡った気持ちの良い青空の下、瀕死の子供たちが笑っているイメージ。」と語りました。

さらに平沢進の音楽を語る上で外せないのがナチュラリストな文豪・宮沢賢治の存在。

ポーランドの眼科医・ルドヴィコ・ザメンホフが提唱したいかなる国家にも属することがない世界共通言語、エスペラント語に心酔した宮沢賢治にならい、平沢進も一見不条理で意味が通らないながら、韻や響きの美しさで酔わせる言葉に軸をおいた作品世界を描き出しました。

平沢進は「 一般的にはヒューマニズムの人というイメージがあるかもしれませんが、宮沢賢治の作風ってすごくテクノですよ。」と語っており、過去には「ヒラサワの全アルバムを15秒で包括する方法:宮沢賢治を3行も読めばいい。」と断言しました。

ボーカロイドを用いた曲作りにも意欲的で、LOLAに『確率の丘(2005)』『白虎野の娘(2006)』を唄わせています。

ポップやロックはもとよりテクノやニューウェイブを取り入れ、ジャンルボーダーで常に進化し続ける平沢進の音楽は、そのオンリーワンの魅力でもって世界中の人々を虜にしてやみません。

平沢進の賞歴


第79回アカデミー賞歌曲賞部門ノミネート候補
デジタルコンテンツグランプリ2001「作品表彰の部」経済産業大臣賞 ならびにエンターテイメント部門最優秀賞
その他多数

平沢進の音楽性に影響を受けたアーティスト

唯一無二の個性を持った平沢進には、国内外の多くのアーティストが影響を受けています。

ミュージシャンではDAOKOAimerメトロノーム米津玄師、トビー・ドライヴァー、リッカルド・ブレッドが主たる顔ぶれ。

特に米津玄師はボカロPや歌い手として活動していた頃を振り返り、「平沢進はニコニコ動画で神格化されていた。」と証言。

初めて聴いた平沢進の楽曲である『Mother』を「今まで聴いたことない感じがたまらなかったです。」「会ってみたい?いや、尊敬する人には会いたくないですね。」と絶賛しました。

さらに「本当に聴いた事ないような新しい音楽なんだけども、どこかに懐かしさ、ノスタルジアを宿している。そこには何か普遍的な何かがあると思った。」「ものすごいバランス感覚で成り立っている音楽だなと。自分の音楽でもバランス感覚を大事にしようと、この時に初めて思えた。」と、旧知の今敏の考察にも通じる鋭い指摘をしています。

平沢進のネット上での活動

平沢進は早くからインターネットを介した音楽表現の多様性に注目していました。

1994年に活動再開した「改訂P-MODEL」はインターネットと共に歩み、オフィシャルサイトにおいてライブツアーの模様やレコーディング風景を配信しています。

2009年には平沢進個人のTwitterアカウントを開設、フォロワー3万人突破記念のイベント「東京異次弦空洞」を行いました。

2021年にはフォロワー24万人突破を祝し「24曼荼羅(不死MANDALA)」を開催しています。

また『けいおん!』アニメがヒットしていた時には、主人公の平沢唯のアカウントと間違えられてフォロワーが一気に急増する珍騒動が起き、「間違えてないか?私は平沢進だぞ。平沢唯じゃない。」とツイートするお茶目な一面を覗かせました。

2012年6月にはニコニコ生放送に出演し、約88000人もの来場者を動員する快挙を成し遂げます。

ファンのリクエストに応じる形で同年11月23日にもニコニコ生放送に出演し、この時も約70000人が詰めかけました。

平沢進の代表曲紹介

Mother


1998年発売のアルバム『救済の技法』収録曲。

『新世紀ヱヴァンゲリヲン』で式波・アスカ・ラングレーを演じた声優、宮村優子に提供した曲のセルフカバー。
原曲よりスローなテンポに改変され、男性口調に修正されました。

ユング心理学におけるグレート・マザーをテーマとし、平沢進曰く「人生を変えた一曲」。生命を育む大地や宇宙など、広義における母性の神秘を掘り下げた感動的な曲です。

ちなみにグレート・マザーとは集合的無意識の中に偏在する母なるものの概念をさし、子どもを独占・束縛する二面性も併せ持ちます。

平沢進が提供した曲(女声バージョン)を聴きたい方は、宮村優子のアルバム『魂』『大四喜』をチェックしてください。

パレード

映画『パプリカ』の劇中歌。

カラフルな悪夢さながら奇想天外な世界観とナンセンスな歌詞を融合させ、平沢進独自色を強く打ち出したシュールな曲です。

異次元にトリップしたいなら必聴。

金星

三島由紀夫原作、吉田大八監督の映画『美しい星』の劇中歌。リリカルでポエティック、どこか民族音楽調のメロディーがノスタルジーをかきたてる曲です。

映画と合わせて聴くと一層余韻が増しますね。

夢見る機械

2014年に再販されたアルバム『サイエンスの幽霊』収録曲。

実在の国名を散りばめて旅の軌跡を綴る、物語性の強さが特徴。長いイントロを経て挿入される、水先案内人を思わせる冒頭の独白が印象的ですね。

COLD SONG

2021年発売のアルバム『BEACON』収録の平沢進初ソロカヴァー曲。

ヘンリー・パーセルの歌劇「アーサー王」の劇中歌『The Cold Song』が元ネタで、クラウス・ノミが唄ったことでも知られています。

アーサー王の悲劇を文学的な表現で朗々と歌い上げる、老練の凄味が伝わってきます。

賢者のプロペラ

2000年発売のアルバム『賢者のプロペラ』収録曲。「ケイオス・ユニオン」移籍後、初の発売楽曲となります。

テーマは錬金術で、ミャンマーやタイの音源を取り入れたエスニックなミュージックに仕上がりました。

映画『千年女優』では収録曲のアレンジバージョンが複数用いられています。

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