Perfume(パフューム)が活動を始めたのは2000年9月21日。
Perfumeにとって、2020年は結成して20年とメジャーデビュー15周年のメモリアルイヤーです。
コロナの影響から、2020年3月以降ほとんどのアーティストのライブやイベントが中止や延期となりましたが、Perfumeは9月に入ってからメモリアルイヤーを記念するプロジェクト「Perfume 15th&20th anniv with you all」をスタートしました。
「Perfume 15th&20th anniv with you all」は、5つのプロジェクトで構成されています。
- ライブ映像「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」のリリース(9月2日)
2019年9月リリースのベストアルバム「Perfume The Best “P Cubed”」を携えて開催された、2020年2月の東京ドーム公演1日目が収録されています。
- 26thシングル「Time Warp」をリリース(9月16日)
80年代風レトロポップ「Time Warp」のMVは、タイトルにちなんで時間の早送りと巻き戻しがテーマです。
- Perfume主催のオンラインフェスティバル“P.O.P”(Perfume Online Present) Festivalを開催(9月21日)
P.O.P Festivalでは、Perfumeのヒストリーを観覧できる展示やメンバーが出演する番組、地元広島の名産品販売など様々なブースが設置され、9月30日までほぼ全てのアーカイブが配信されていました。有料チケットを購入すると見られるスペシャルコンテンツも人気に。
- 東京ミステリーサーカスで、リアル脱出ゲーム「Perfumeの隣の部屋からの脱出」がスタート(9月22日)
新宿・歌舞伎町の体験型テーマパーク東京ミステリーサーカスのリアル脱出ゲーム「Perfumeの隣の部屋からの脱出」は、Perfumeと極力して部屋から脱出する体験型の謎解きゲームです。
- 初の衣装本「Perfume COSTUME BOOK 2005-2020」を刊行(10月23日)
2005年のメジャーデビューから2020年までに3人が着た761着の衣装についての、ファッション誌「装苑」による写真と解説が掲載されています。
Perfume3人の衣装に関する1万字インタビューや、特に印象深い一着、ファンにはお馴染みのアイテムも紹介。
これら一連のプロジェクト「Perfume 15th&20th anniv with you all」のなかでも、Perfumeの先進テクノロジーを駆使したパフォーマンスにフォーカスしたのが、当初9月4日から9月17日までの2週間限定の予定が上映延長となり全国の映画館で公開された映画「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」です。
この映画は、2019年にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催されたワンマンライブ「Reframe 2019」全8公演を劇場用に編集したもの。
Perfumeを映画館の大スクリーンで見られる貴重な機会ですが、映画なので上映期間が決まっています。
ただ、ファンを特に大事にしており映像作品も数多くリリースしているPerfumeなので、今後DVDやBlu-rayでリリースされることも期待できそうです。
そこで今回は、Perfumenのメモリアルイヤープロジェクト「Perfume 15th&20th anniv with you all」のなかでも最注目の映画「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」を通して、アートとエンターテインメントを横断する稀有なアーティストPerfumeについて迫ってみたいと思います!
目次
映画「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」とは?
「Reframe 2019」を最新テクノロジーと高音質で再構築した映画
「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」は、音楽の聖地として知られる渋谷公会堂が2019年10月に「LINE CUBE SHIBUYA」と名称を変えて再オープンした際の、こけら落とし公演「Reframe 2019」を収録してReframe(再構築)した映画です。
20年にわたって蓄積されてきたライブ映像などの膨大なデータを再構築し、新たな映像表現に昇華しました。
「Reframe 2019」は、再構築をテーマにした最初のライブ「Reframe」の2019年バージョンです。
「Reframe」は、2017年にNHK制作のライブの舞台裏に迫った番組「Perfume X TECHNOLOGY」から生まれた番組企画でした。
2018年3月には、番組と連動した東京オリンピック・パラリンピックのムードを盛り上げる為のスペシャルライブ「This is NIPPONプレミアムシアター『Perfume X TECHNOLOGY』presents “Reframe」を、NHKホールで開催。
この公演にはPerfumeの振付をしているMIKIKOさんとステージ演出担当のRhizomatiksも参加しています。
そして2019年には、さらに進化させた「Reframe 2019」が開催されました。
2019年12月30日にNHK BS プレミアムとNHK BS 4Kで「Perfume×Technology presents Reframe 2019」が放送されましたが、今回は劇場用の特別版です。
Rhizomatiksのアーティスティックなステージ演出が凄い!
シンセサイザーやドラムマシン、ターンテーブルなど常に最先端のテクノロジーを取り入れてきた音楽ジャンルのテクノ。
テクノの語源は諸説ありますが、テクノのゴッドファーザーの異名を持つデトロイトの重鎮ホアン・アトキンスが、アルビン・トフラーの著書「第三の波」にあった、新しい技術を使いこなす先導者を指すテクノレベルズ(Techno-rebels)という造語を気に入り、曲名に付けていたことから生まれたとも言われています。
テクノポップユニットPerfumeにとって音楽とダンスと同じくらい重要なのが、ディスプレイやプロジェクションマッピングなど先進テクノロジーを導入したステージ演出です。
最先端テクノロジーを使ってPerfumeの革新的なステージ演出を手掛けているのは、メディアアートからエンターテイメントまでを網羅するクリエイティブ集団Rhizomatiks。
アート、デザイン、エンジニア、建築、映像、音楽など、各分野のクリエイターやプロデューサーらが多数在籍しているRhizomatiksは、アートとテクノロジーを用いて、アートプロジェクトから大規模な広告、商品開発、公園のデザインも手掛けています。
建物などの物体や空間に映像を投影するプロジェクションマッピングなどで注目されるようになりました。
Perfumeのステージ演出のサポートは、2010年から始めています。
「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」に収録された公演「Reframe 2019」は、ステージ上のディスプレイに投影される映像、音響の可視化や照明との同期、NHK紅白歌合戦でも使用されたダイナミックVRディスプレイ、Perfumeの声をリアルタイムにサンプリングして音楽に構築するなど、数々の先進テクノロジーで話題になりました。
ライブが進むにつれて、リアルなPerfumeと自然なバーチャル映像とのシンクロが深まり、次第に境界線がわからなくなるような不思議な感覚になっていきます。
人気の演出振付家MIKIKOによるポップで独創的なダンス
Perfumeのダンスの振付は、ほぼ全てMIKIKOさんが担当しています。
MIKIKOさんは、BABYMETAL、さくら学院、椎名林檎さん、DAOKOさん、サカナクション、RIP SLYMEなどの振付も手掛けており、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のブームになった恋ダンスや、トヨタ、ソニー、キリンビール、カルピス、パルコをはじめ多くのCMのダンスも手掛けています。
アーティストの間で呼ばれている愛称の「MIKIKO先生」は、アクターズスクール広島第一期生で当時小学5年生だったPerfumeのダンスの先生だったことから。
アクターズスクールでダンスの先生を始めたとき、MIKIKOさんは21歳でした。その後、ダンスカンパニーのELEVENPLAYを立ち上げて、多くのアーティストの振付をしながら、レディー・ガガの前座やリオデジャネイロオリンピック閉会式のオリンピック旗授受の演出・振付もしています。
MIKIKOさんがPerfumeの振付で意識していることは、中田ヤスタカさんが作るPerfumeの曲から受ける無機質さを活かすように、マネキンや人形をイメージして人間離れした動きとポージングにすることです。
そしてPerfumeの最大の魅力である、3人の完璧にシンクロした華麗なダンスを実現するための大事なポイントとして、
- 本番ギリギリまで揃ってない箇所をスクショして送って修正指示をこと細かく伝える
- 体が楽器になるように曲とのシンクロを意識する
- Perfume用の特注ヒールを履いてダンスを美しく見せる
という3点を挙げています。
WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENTに続く2作目
「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」は、Perfumeにとって2作目の映画です。
1作目は2015年に公開された「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」。
「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」は、2014年と2015年にかけての海外公演「Perfume WORLD TOUR 3rd」「SXSW 2015」に帯同し、ステージパフォーマンスや舞台裏まで500時間にわたって収録した映像から、普段のPerfumeの様子を記録するように制作。邦画ドキュメンタリーで史上初の日米同時公開されました。
2作目の映画「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」の元となった「Reframe 2019」では、Perfumeの魅力を引き出しながらも、同時にステージを構成する演出の素材とも言える表現をしています。
監督は2作ともNHKのプロデューサー佐渡岳利さん。
「紅白歌合戦」「MUSIC JAPAN」「スコラ坂本龍一 音楽の学校」「岩井俊二のMOVIEラボ」「Eダンスアカデミー」などを担当し、Perfumeの全てのドキュメンタリー番組を手掛けています。
言葉の壁を越えていくPerfume
厳しい海外メディアも称賛!
これまで4度のワールドツアーを敢行し、アメリカ・ヨーロッパ・アジアの各国で公演しているPerfume。
アメリカで開催された世界最大級の音楽フェスティバルにも2度出演しています。
2015年にはIT界のパリコレと呼ばれる音楽・映画・インタラクティブフェスティバルを組み合わせた大規模イベント「SXSW 2015」のカテゴリーの1つ「SXSW Interactive」で、最終日のヘッドライナーとしてパフォーマンスを披露。
2019年には、アメリカで最もプレミアムな音楽フェスとも言われる、アメリカ最大の野外音楽フェスティバル「Coachella 2019」に日本のエレクトロポップアーティストとして初出演。
Ariana Grande、Childish Gambinoがヘッドライナーを務めるなど豪華なラインナップのなか、BLACKPINKと共に2組のアジアのガールズグループとして大いに注目を集めました。
世界を見渡しても他に類を見ないオリジナリティ溢れるPerfumeを、海外メディアも称賛しています。
- 一糸乱れぬダンスと共に有名なのは、「バーチャル」と「現実」をブレンドした、とてもスタイリッシュで近未来的なパフォーマンスだ。
- ライブを見て、パフォーマンスとステージ演出に魅了され続けた。これはまさにポップのフューチャー。
- アルバムFuture Popは、J-POPガールズグループの枠をさらに広げ続けている。まるでグライムス、ゼッド、チャーチズが恋に落ちて生まれた子供のよう。
- 音楽とキレのあるダンス、そして独特のシアトリカルなスタイルに定評がある。J-POPシーンにおいて、海外でもワンマンツアーができる、数少ないアーティストへと成長を遂げた。
「Disney+ (ディズニープラス)」の第一弾アーティストとしてPerfumeが出演
2019年3月より配信スタートしたウォルト・ディズニー・ジャパン公式配信サイト「Disney+ (ディズニープラス)」にて、初オリジナル音楽ドキュメンタリー番組「Disney マイ・ミュージック・ストーリー」の第1弾アーティストとしてPerfumeが登場しています。
広島での出会いから振り返るとインタビューや、代表曲のパフォーマンスの他にも、ディズニーにまつわる思い出話などディズニー愛にあふれたトークを披露しています。
海外ファンも多いPerfumeのYouTubeチャンネル
YouTubeのPerfume公式アカウントでは人気曲のMVが多数アップされています。
英語で書かれた海外ファンからのコメントが、海外でのPerfume人気の高さを物語っています。
InstagramのPerfume公式アカウントにも海外ファンからのメッセージが。
言葉を介することなく、アートやエンターテインメントに目の肥えた海外ファンを獲得できるのは、歌やダンスとステージ演出で魅せるPerfumeだからこそ。
それでいてYouTubeのPerfume公式アカウントには、日本のファン感涙の動画も続々とアップされています。
https://youtu.be/uXIqDk9jEQc
最後に…
クラブミュージック出身の中田ヤスタカさんが作るテクノポップと、それを表現するPerfume、Rhizomatiks、MIKIKOさん達は、お互いの良さを引き出し合って1つのチームとして機能しています。
コア層に向けて他のどこにもないオリジナルな表現を提示するアートとわかりやすく楽しい娯楽のエンターテインメントを、絶妙なバランスで両立できるのがPerfumeです。
これからもチームPerfumeは、最先端テクノロジーを使って私たちを驚かせ楽しませてくれることでしょう!
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