2018年以降、韓国では新たなジャンルが人気となりました。その名は「ニュートロ」で、現在や未来を表す「New」と、過去という意味を持つ「Retro」を融合した「懐かしさの中にも新しさが存在する」という新造語です。
「ニュートロ」は、ファッションやインテリアだけには留まらず、ゲームや音楽などのカルチャーにまで及び、80年代や90年代のファッションに身を包んだK-POPアイドルたちがシティポップを歌う光景が音楽番組で見られるようになってきました。
今回紹介する「DKZ(ディーケージー)」は、ニュートロブームを取り入れたコンセプトが特徴で、2022年にメンバーが大ヒットドラマに出演したことがきっかけで、グループの人気も急上昇したという大注目のボーイズグループです。
目次
DKZって、どんなグループ?
DKZは2019年4月にDONGYエンターテインメントからデビューしたボーイズグループです。デビュー当初は「DONGKIZ(ドンキッズ)」という5人組グループで活動していました。
ファンクラブ名は「ドンアリ」で「DONGKIZはファンに、ファンはDONGKIZに夢中になる」という意味が込められており、メンバーは略して「アリ」と呼んでいます。
DONGKIZというグループ名には「アジア(Dong)から始まって、世界に伸びていく子供(KIDZ)」という意味が込められており、メンバーは全員が地方出身であることも珍しいと感じました。インタビューでは方言が抜けきらない様子も見られ、それがDONGKIZの魅力にもなっています。
また、K-POPアイドルグループには「公式カラー」が設定されていることが多いのですが、DONGKIZは公式カラーが4色あることが特徴です。愛の妙薬を意味する「LOVE POTION」、デビュー日である4月24日が入った「424XGC」、誕生木のライムを意味する「LIME PUNCH」、ファンの輝く未来を意味する「SILVER STARLIGHT」です。
公式カラーはグループ名がDKZに変更されてからも、そのまま受け継がれています。
懐かしさを感じさせる楽曲たち
2018年10月、DONGYエンターテインメントは2019年のデビューを目指して今年中にプロモーションアルバムを公開することを発表。それに先立って公式YouTubeにBIGBANGやiKONなどのカバーダンス動画を投稿したり、学校訪問やバスキング公演(路上ライブ)などを通じてアピールしました。
そして、2018年11月21日にフリーデビューシングル「DONGKIZ Pre-debut D/S 1.」でプレデビューすると、タイトル曲「NOM」では1970年代に流行した「ロッキングダンス」を振り付けに取り入れたり、韓国で流行語にもなった「놀 줄 아는 놈인가(ノルチュルアヌンノミンガ?:遊び上手な奴なのか?)」を歌詞に盛り込んだりと、DONGKIZが再解釈した「ニュートロ」を披露しました。
DONGKIZは2019年4月24日にプレデビュー曲「NOM」と、リミックスバージョンを含んだシングルアルバム「DONGKIZ ON THE BLOCK」で正式にデビューしています。
その後もDONGKIZは「新しさ」と「レトロ」を融合した「ニュートロ」をコンセプトに楽曲を発表。ディスコやファンクなどの90年代を印象付ける曲調と、DONGKIZならではのフレッシュさをプラスしたパフォーマンスが若者を中心に人気となっていき、2019年に開催された「Asia Artist Awards」では、注目度の高いアーティストに贈られる「フォーカス賞」を受賞しています。
メンバーの脱退と加入
2022年3月、DONGYOエンターテインメントは公式ファンコミュニティで、怪我のため休養中だったウォンデとムニクについての状況を知らせました。新たなカムバックを控え、ウォンデは今後もリハビリが必要ということからグループを脱退することになり、ムニクもまだ完全に回復していないということからカムバック活動を控えるとのこと。
さらに、新たなメンバーが3人加わることやグループ名が「DONGKIZ」から「DKZ」へと変更になることも発表され、あまりにも突然の発表にファンからは「ウォンデ脱退とか聞いてない」「情報量多すぎて整理できない」など戸惑いの声があがりました。
激しいパフォーマンスや、昼夜関係ない多忙なスケジュールによりアイドルの体調不良や怪我などは他のグループでも多々見られることですが、ここまでの大改変が一度に発表されることは珍しく、ファンが驚くのも無理ありません。
ドラマ効果でチャート逆走行
新体制となったDKZですが、2022年3月にはメンバーのジェチャンが韓国で爆発的な人気となった小説を実写化したドラマ「セマンティックエラー」に出演しました。このドラマは韓国だけではなく日本でも注目を集めるドラマになり、配信ランキングでは1位を獲得。原作のキャラにぴったりとハマったキャストも話題となりました。
ドラマが終了した後も人気が止まることはなく、ドラマのフォトエッセイが3万部以上売れたり「早くシーズン2を制作して!!」といった声がSNSに投稿されました。そして、ジェチャンへの注目はDKZの楽曲にも反映されていったのです。
DKZが過去に発売された楽曲が韓国の音楽チャートで逆走行を起こし、2022年4月に発売された6枚目のシングルアルバム「CHASE EPISODE 2.MAUM」は初動売上10万枚を突破、前作「CHASE EPISODE 1.GGUM」の100倍となる数字を記録しました。
ジェチャンは後にバラエティ番組で「セマンティックエラー」がBL(ボーイズラブ)というジャンルであったことから「事務所はイメージなどを心配して出演を反対したけど、オファーそのものに感謝しないといけなかった。やれるものは全部やってみようと思った」と語っており、自分で出演を強く決めたことを明らかにしました。
ユニット活動にも注目!
2020年6月、メンバーのムニクとジェチャンがユニットデビューしました。ユニット名は「DONGKIZ I:KAN(ドンキッズ アイカン)」で「I:KAN」はムニク(MUN IK)とジェチャン(JAECHAN)の文字から取っています。
デビュー曲「Y.O.U」は、ヒップホップが主体となりながらも90年代を彷彿とさせる曲調で、MVの作りも当時の雰囲気がそのまま感じられます。