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鳳月杏のおすすめ公演
花組時代『あかねさす紫の花』
2018年に上演された、飛鳥時代を舞台に、中大兄皇子と大海人皇子の兄弟と、2人に愛される女流歌人・額田女王との愛憎模様を描いたオリジナル作品です。
本作で、鳳月は、中大兄皇子と仏師・天比古の2役に挑戦。
中大兄皇子役は、トップスター明日海りおとの役替わりであり、演者ごとの人物像の解釈の違いと、その違いをどう演じればより舞台が面白くなるかを意識していたそうです。
鳳月の中大兄皇子は、政治的には有能ながら、弟の大海人皇子の妻である額田女王を奪ってしまう「苛烈で強引な強い男」。
為政者として時に過酷でなければならない孤独も抱えた、男としての色気に溢れた若き皇子として人気を博しました。
また、額田女王を愛しながらも立場的に絶対に結ばれることのない仏師・天比古役は、柚香光との役替わり。
愛する人の姿を菩薩像として生み出そうとする芸術家肌の人物であり、鳳月にとっては自身と最もかけ離れた難役だったと語っています。
月組男役3番手『桜嵐記』
2021年に上演された、月組トップスター珠城りょうの退団公演。
南北朝時代の南朝の武将・楠木正行の短くも鮮烈な生き様を描いた、元宝塚歌劇団所属の人気演出家・上田久美子が手掛けた人気舞台です。
鳳月が演じたのは、楠木3兄弟の次男であり、唯一の妻帯者である楠木正時。
父の遺志を継ぎ、武士としての誇りに生きる兄・正行(珠城りょう)、時に過激な感情を露にする弟・正儀(月城かなと)とは対照的に、穏やかで愛妻家の正時は、鳳月の落ち着いた温和なキャラクターとも重なり、人気の高い役柄です。
物語のラスト、妻の身を守るために離縁を告げ、正行と共に最後の戦いに身を投じるシーンは必見。
「すまぬが先に行く、兄上。三途の川で妻が待っているのでな。ご武運を」と息絶える正時の兄弟愛、妻への愛情、武士としての生き様には、多くのファンが涙しました。
月組男役2番手・東上公演『ELPIDIO(エルピディイオ)』
2022年に上演された、20世紀初頭のスペイン・マドリードを舞台にした、植民地問題や戦争の悲惨さなどをベースにした大人の恋物語。
重いテーマでありながら、主人公のロレンシオ(鳳月杏)が素性を隠して侯爵になり替わるなどコメディ要素もたっぷりのユーモラスな作品で、鳳月の人気もあり、大変なチケット難だった作品です。
鳳月は、ロレンシオ、ロレンシオがなり替わるアルバレス侯爵、アルバレス侯爵本人の3役を見事に演じ分けるだけでなく、スペイン人でありながらキューバで育ったことによる複雑な植民地への思いや、革命で失った友人の存在、それらの過去を覆い隠す普段の明るい仮面と繊細な感情を自然に表現し、彼女の芝居力の高さを改めて浮き彫りにしました。
また、スーツや軍服、マタドール服など、男役としての魅力をたっぷり堪能出来る数々の衣装も、本作の魅力の一つです。
鳳月杏×天紫珠李大劇場トップお披露目公演『ゴールデン・リバティ』
2024年11月16日から2025年3月9日まで上演される、大劇場トップお披露目公演です。
19世紀後半のアメリカ大陸横断鉄道を舞台に、列車強盗団「ワイルドバンチ」の生き残りで国家の金庫を強奪しようとするジェシー(鳳月)と国家機密の運搬に使う鞄「外交公嚢」を持つ謎の女性アナレア(天紫)による、躍動感あふれる恋と冒険の西部活劇。
熱い思いを秘めた大人の色気と包容力を持った男、ジェシーのイケメンぶりは、新生月組のトップスターとしてのお披露目に相応しい人物像で、高い人気を博しています。
まとめ
鳳月杏は、成熟した大人の男性としての余裕や色気、特に「芝居の月組」で培われた高い演技力によって人気を集める月組のトップスターです。
「舞台にはその人が大切にしているものがにじみ出る」と語り、人生の大半を男役に捧げてきた芝居巧者の鳳月と、彼女率いる新生月組の魅力をぜひ直接劇場でご覧になってください。