今回はマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)に登場する、ソーのキャラクターについて解説していきます。
ソーは北欧神話の雷神・トールが元ネタになっており、神話上の武器を使用するなど、MCUの中でも異色のヒーローです。
アベンジャーズの中ではアイアンマン、キャプテン・アメリカに並ぶビッグ3に数えられ、特に強い力を持ったキャラクターとして描かれました。
そんなソーの強さや魅力を理解するためにも、まずは基本的な部分から復習していきましょう。
目次
ソーってどんなヒーロー?
まず大前提として、ソーは人間ではありません。
そして、雷神と名乗りながらも、全知全能の力を持った神様ではなく、神話の元ネタになった異星人です。
MCUの世界では、北欧神話自体が過去に起きた事実を基にしているという設定があります。そのため、ソーやロキなどの北欧神話の神々が実在しており、地球人とも関係を持つ、独特な世界観が構築されました。
しかし、MCU版のソーを理解する上では、北欧神話に関する知識はほとんど必要ありません。上記の設定だけ覚えていれば、問題なく物語を理解できます。
ソーがヒーローになるまで
1500年以上の時を生きる長寿の宇宙人ソー・オーディンソン。
彼は惑星・アスガルドに住んでおり、地球では神として信仰されるオーディンを父に持つ、最強の戦士です。しかし、その強さゆえに傲慢かつ自己中心的な性格で、とてもヒーローと呼べるような男ではありませんでした。
そんなある日、ソーは宿敵であるフロスト・ジャイアントに大事な儀式を邪魔されました。そのことに腹を立てたソーは、オーディンの言葉にも耳を貸さず、フロスト・ジャイアントの住むヨトゥンヘイムに攻め込みます。
少人数でヨトゥンヘイムに乗りこんだソーは劣勢となりますが、オーディンの助けによりピンチを脱しました。しかし、ヨトゥンヘイムとアスガルドの関係は最悪の状態に。
オーディンが築いた平和を壊してしまったソーは、力を奪われ地球へと追放。普通の人間として生きていくことを余儀なくされます。
しかし、地球での生活はソーを変えました。自身を見つめなおし、これまでの行いを反省する機会に恵まれたのです。
地球を守るヒーローとして覚醒したソーは、再び最強のハンマー・ムジョルニアを持てるようになり、地球にやってきた悪との戦いに身を投じていきます。
ソーの能力
ソーはただでさえ長寿な上に、惑星のパワーを一身に受けても死なない、凄まじい生命力を持っています。
また、彼は人間を超越した怪力の持ち主です。その力は変身したハルクと同等で、『アベンジャーズ』では互角に渡り合う強さを見せていました。
さらには「雷神」の異名にふさわしく、雷を操る超自然的なパワーも体得し、弱点はほとんどありません。そこに後述する武器も加わるため、「アベンジャーズ最強」と言っても過言ではないでしょう。
しかし、敵に敗北した際には現実逃避してしまうなど、精神的に未熟な部分もあるヒーローです。
ソーが使う武器
ソーは武器を持たない生身でも強いヒーローですが、トレードマークにもなる武器が2種登場しています。
特にムジョルニアはソーを語る上では欠かせない武器なので、発音が難しくても覚えておきましょう。
ムジョルニア
清い心を持った人物にのみ使うことが許されているハンマーです。
普通の人間には使うことはおろか、持ち上げることすらできません。ソー以外で持ち上げられたのは、オーディン、ヴィジョン、キャプテン・アメリカの3人のみです。
その力は強大で、ハンマーらしい近接攻撃から、使用者の手元に戻ってくる特性を利用した遠隔攻撃、さらには稲妻を発生させることもできます。飛行能力もあり、ソーの主な移動手段としても使われました。
また、「心の清い人間にしか持ち上げられない」という特性を利用し、敵の身体の上にムジョルニアを置くことで動きを封じることも可能です。
MCUに登場する中でも特に強力な武器ですが、名前が発音しづらいようで、他のヒーローからはほとんど名前で呼んでもらえていません。
ストームブレイカー
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にて、ソーが新しく手に入れた斧です。
力はムジョルニアとほぼ同じですが、ストームブレイカーは宇宙空間を瞬時に移動できるビフレスト(虹の橋)を作り出すことができます。
これにより、ソーは飛行能力だけでなく、宇宙の辺境の地から地球までを一瞬で行き来することが可能になりました。
しかし、ムジョルニアとは異なり、誰にでも使えるという弱点があります。『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、宿敵のサノスがストームブレイカーを奪い、ソーに襲いかかることもありました。
ソーが登場したMCU作品
マイティ・ソー
今作はソーが初登場した作品です。
人間界に追放されたソーが、己の性格を見直し、ヒーローとして覚醒するまでが描かれます。
劇中では人間の女性・ジェーンとの恋愛関係や、敵となってしまった義弟・ロキとの関係など、ソーのキャラクターを形成する上で欠かせないストーリーが語られました。
アベンジャーズ
『マイティ・ソー』のラストで、どこかへと去ってしまったロキを追い、再び地球にやってきたソー。
しかし、地球ではロキの軍勢を倒すためアベンジャーズが結成され、アイアンマンやキャプテン・アメリカと協力し、ロキに立ち向かっていきます。
劇中ではハルクやアイアンマンとの激闘もあり、なかなか結束できないヒーローたちの微妙な関係が描かれました。
映画の最後には無事にロキをアスガルドまで連行し、続編へと繋がります。
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
今作のポイントは、犬猿の仲だったロキとの共闘です。
ストーリーは恋人のジェーンがリアリティ・ストーンに寄生されるところから始まり、ストーンを狙うダーク・エルフとの戦いにまで発展していきます。
今作ではジェーンに危機が迫っただけでなく、最愛の母を失うなど、ソーを苦しめる事件が連続して発生しました。
リアリティ・ストーンとは、現実を司るパワーを持った宇宙に1つしかない石です。劇中では液体状になっており、エーテルとも呼ばれていました。
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
『アベンジャーズ』の第2作目で、映画冒頭からアベンジャーズのメンバーと協力し、任務を遂行します。
前作以上に仲良くなっており、飲み会の際にはムジョルニアをメンバーに持ち上げさせるなど、和気あいあいとした様子も描かれました。
しかし、アイアンマンことトニー・スタークが開発した、人工知能・ウルトロンが暴走。アベンジャーズは再び窮地に陥ります。
ソーは戦いの中でトニーがウルトロンから奪取したボディにパワーを与え、人工生命体・ヴィジョンを誕生させました。
また、今作はソーが初めてインフィニティ・ストーンの存在を知った作品です。ラストではストーンを調査するため旅に出ており、『マイティ・ソー/バトルロイヤル』の冒頭へと繋がります。
インフィニティ・ストーンとは、宇宙に6つだけ存在している強大な力を持った石です。6つすべて集めると、絶対的なパワーを手に入れることができます。
マイティ・ソー/バトルロイヤル
『マイティ・ソー』シリーズ第3作目。シリーズには毎回登場していた恋人のジェーンは、今作のストーリーが始まる前に破局しているため、登場しません。
今作のヴィランは封印されていたソーの姉・ヘラで、ソー以上の強さを持っており、圧倒的な力でアスガルドを支配していきます。
ソーは宇宙の彼方にいたハルク、死んだフリをしていたロキ、そして新キャラクターのヴァルキリーと共闘し、ヘラとの戦いに挑みました。
しかし、ソーの力でもヘラには敵わず、アスガルドを滅ぼすことで勝利するという、強硬的な手段を使ってしまうのです。そのため、故郷を失ったアスガルドの民たちは、巨大な宇宙船で一時的に宇宙を漂流することになりました。
今作ではソーのキャラクターに手が加えられ、今まで以上に笑いを生み出す、コメディ・リリーフとして立ち回ります。また、惑星・サカールを支配するグランド・マスターの部下に断髪されたため、ヘアースタイルが長髪から短髪に変化しました。
さらに、映画冒頭でヘラによってムジョルニアが破壊されたことをきっかけに、戦い方も変わっています。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
『マイティ・ソー/バトルロイヤル』のラスト、アスガルドの民たちが宇宙へと逃げ延びたところからスタートします。
ロキがアスガルドから盗んでいたインフィニティ・ストーンを狙って、最強最悪の敵・サノスが襲来。アスガルドの民を半分殺害しただけでなく、ロキも殺されてしまい、ソーはサノスに敗北しました。
今作では偶然出会ったガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーと交流していき、ムジョルニアに代わる武器・ストームブレイカーを製造する過程が描かれます。
映画の最後では、インフィニティ・ストーンを6つ集めたサノスに一矢報いますが、その瞬間にサノスはストーンの力を発動。全宇宙の生命体の半数が消滅してしまう、最悪の事態に陥りました。
アベンジャーズ/エンドゲーム
今作でのソーはサノスに敗北したストレスで、やる気を失い、肥満体型になっています。
常にネガティブな思考に支配され、かつての誇り高きヒーローの姿は見る影もありません。
消滅した人々を復活させる方法が編み出されても乗り気にはならず、ロケットに説得されてようやく重い腰をあげました。
過去の世界からストーンを取り戻す作戦においては、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』の時代までタイムスリップし、亡き母との再会を果たします。
そして、過去の世界のムジョルニアを手に、4度目となるサノスとの戦いに挑むのです。
肥満状態にあるとはいえ、サノスと戦えるだけの力は残っており、ムジョルニアとストームブレイカーの二刀流で暴れまわります。
サノス撃破後はアスガルドの王位をヴァルキリーに譲り、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーと共に、宇宙へと旅立つ様子が描かれました。
ホワット・イフ…?
MCU世界における、「もしも」のストーリーを描いた今作では、正史とはまったく異なる別世界のソーが登場しました。
今作のソーはロキと兄弟になっておらず、一人っ子です。さらには、地球を滅亡に追いこむほどのパーティーを開いてしまうなど、軽率な性格となっています。
しかし、最終話では世界を監視していたウォッチャーの呼びかけに応え、圧倒的な力を持ったウルトロンとの戦いに参加しました。
ソーの今後は?
『マイティ・ソー』シリーズはMCUの単独作の中で初めて、同一の俳優を起用した、第4作目への更新が確定しています。
映画の公開は2022年とまだ先ですが、現在確定している事項を予習しておきましょう。
マイティ・ソー/ラブ&サンダー(原題)
『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界が舞台で、ソーやヴァルキリーなどお馴染みの面々が集結し、今回はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーまで合流する予定です。
また、『マイティ・ソー/バトルロイヤル』では登場しなかった、ジェーン・フォスターの復帰作でもあります。
詳しいストーリーは明らかになっていませんが、タイトル通りラブ(愛)がテーマになることは間違いありません。『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』以来、しばらく描かれなかったソーのロマンスが楽しめそうです。
第2のソーが誕生する?
『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』では、ジェーンがソーの能力を引き継ぐ展開が確定しています。
しかし、今作のジェーンは乳がんを患っており、がん治療の最中です。
このことから、彼女は病気との戦いと、ヒーローとしての戦いの両方が描かれる、MCU初のキャラクターになります。
ただ、ソーの力を象徴するムジョルニアはヘラによって破壊されました。『アベンジャーズ/エンドゲーム』に登場したムジョルニアも、キャプテンの手によって過去に戻されています。
もちろん、ムジョルニアが登場しないことも考えられますが、ソーの力を表現するためには必須級のアイテムです。
再び製造されるのか、それとも過去から持ってくるのか。ジェーンの覚醒だけでなく、ムジョルニアの動向にも注目です。
最後に
北欧神話をベースとしながらも、独自のヒーローとなったソー。
ビッグ3の中では『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて、唯一シリーズから退場しなかったキャラクターであり、今後のMCUにも関わっていく重要人物です。
しかし、『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』以降の出演は決まっていません。
引退説も囁かれていますが、少なくともソー役を演じるクリス・ヘムズワース本人は引退を否定しており、今後の活躍にも期待ができます。