2021年7月14日に発売された、松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム「風街に連れてって!」。
日本の音楽シーンに多大な足跡を残して来た作詞家、松本隆と今回のトリビュートアルバムに参加されたアーティスト、収録された楽曲、そしてアルバムの魅力について紹介していきます。
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目次
松本隆とは?
細野さん、誕生日おめでとう!長生きしてね! pic.twitter.com/1aZxCYQ209
— 松本 隆 (@takashi_mtmt) July 9, 2021
松本隆は、日本語ロックの先駆けとなったバンドはっぴいえんどのドラマーとしてデビュー。当時からバンドの楽曲の作詞を手掛け、独特の作風で一躍注目を浴びました。
はっぴいえんど解散後は、作詞家兼音楽プロデューサーとしての活動をスタートさせ、1980年代には松田聖子を始め数多くのアイドル、アーティストに詞を提供。作曲家・筒美京平とのコンビで幾多のヒット曲を生み出しました。
また作詞以外に文筆活動も行なっており、私小説「微熱少年」を出版、のちに映画化されました。2017年には紫綬褒章を受章し、現在は自主レーベル風待レコードの運営を中心に、若手の育成にも努めています。
松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム「風街に連れてって!」
— 松本 隆 (@takashi_mtmt) July 7, 2021
日本音楽シーンを代表する作詞家である松本隆ですが、2021年で活動50周年を迎え、トリビュートアルバム「風街に連れてって!」がリリースされました。
このアルバムは松本隆が作詞を手掛けた名曲を、B’z、宮本浩次、吉岡聖恵、幾田りら、三浦大知など当代きってのアーティストたちがカバー。
時代を超えたコラボレーションにより、名曲たちにまた新たな魅力が吹き込まれています。
それではアルバムに収録されている楽曲について、その魅力を紹介して行きます!
「夏色のおもいで」
松本隆の作詞家デビュー曲であるチューリップの名曲。筒美京平が大絶賛したことでも知られ、この曲をきっかけに二人は共作を始めることになりました。
ストリングスが絡む奥行きのサウンドが華やかさの中にもどこか寂しさを感じさせ、そこに吉岡聖恵のどこまでも伸びやかなでピュアな歌声が、より楽曲に瑞々しさを加えています。
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「君は天然色」
言わずと知れた、日本音楽史に堂々とその名を刻む大瀧詠一の大名曲。
原曲のキラキラした雰囲気を生かしつつ、「魔法の絨毯」で彗星のごとくJ-POPシーンに登場した川崎鷹也の伸びやかでソウルフルな歌声が新たに力強さを加えています。
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「SWEET MEMORIES」
松本隆との作曲家・編曲家の大村雅朗のコンビによって誕生した多くの名曲の中でも、CMのタイアップソングとしてリリースされ、一世を風靡した「SWEET MEMORIES」。オリジナルは松田聖子の歌唱によるものでした。
大村雅朗の影響でプロデューサーを志すようになったという亀田誠治は、自身もウッドベースの演奏で参加し、この楽曲をよりアコースティックなアレンジに仕上げました。そこに幾田りらの憂いを帯びた表情豊かな歌声が混ざり、よりアダルティーな世界観が展開されています
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「SEPTEMBER」
エレファントカシマシのフロントマンとして、ロックサウンドの中で熱く歌う印象の強い宮本浩次。
ブラスロックとも言えるサウンドアレンジにより竹内まりやの名曲の華やかさがさらに際立ち、意外にも相性の良い、宮本浩次の歌声と打ち込みのドラムが新たなシティポップの可能性を感じさせる仕上がりになっています。
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「Woman“Wの悲劇”より」
映画「Wの悲劇」の主題歌で、主演であった薬師丸ひろ子により歌われたこの楽曲。
伴奏はピアノだけという編成ですが、同じく女優である池田エライザのウィスパーヴォイスがピアノの響きと相まって、美しさの中にもひとすじの強さを感じさせる独特のサウンドに仕上がっています。
「セクシャルバイオレットNo.1」
松本隆の作品として、初めてオリコンチャートで1位を取った「セクシャルバイオレットNo.1」。松本孝弘がサポートを務めていたという桑名正博のこの曲は、松本隆と筒美京平による黄金コンビによるものでした。
レコーディングメンバーとして、B’zの作品にも参加している亀田誠治の直接のオファーによりカバーが実現しました。松本の畳み掛けるギターワークが楽曲のゴージャスさをより際立たせ、その上を行く稲葉浩志のロックヴォーカルのお手本とも言える歌唱が唯一無二のサウンドを作り上げています。
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「スローなブギにしてくれ(I want you)」
1981年にリリースされた南佳孝の楽曲「スローなブギにしてくれ(I want you)」。
6/8拍子の骨太なロッカバラードは60年代のブルースやロックに多大なる影響を受けつつ、そこに現代的な感覚を落とし込む天才GLIM SPANKYがカバーし、退廃的な美しさを演出しています。
一発録りで、ダビングもしていないという今回のアレンジ。しびれます。
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「キャンディ」
高校生の時に、吉田拓郎に見出されスターダムを駆け上がった原田真二。
歌とピアノという、これ以上ないシンプルかつごまかしの利かない編成ながら、三浦大知の切なさを帯びた歌声とエレキピアノの響きが夢見心地のようなサウンドを作り上げています。
圧倒的なグルーヴ感を持つ三浦大知が自身でチョイスしたというこの曲は、現代における世界基準といって間違いないでしょう。
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「風の谷のナウシカ」
米津玄師との「打上花火」で一躍世間に名を知らしめたラップシンガー、ヒップホップMCのDaoko。
原曲の荘厳な雰囲気にポップな音作りを加えたサウンドに、個性的なキャンディヴォイスを持つDaokoのヴォーカルが楽曲の持つファンタジックさをより引き出しています。
松本隆、細野晴臣の作品の中でも、最高傑作として語られることの多い「風の谷のナウシカ」。
コロナ禍における現実世界の状況と映画の世界観が重なる今だからこそ、歌での浄化を期待したとプロデューサーの亀田誠治は語っています。
「ルビーの指環」
寺尾聰6枚目のシングルとして1981年にリリースされた「ルビーの指環」。
ご存じ大人のポップスの金字塔と言えるこの楽曲を、横山剣が酸いも甘いも噛み分けたダンディーなヴォーカルで歌い上げ、改めて男の哀愁を感じさせるサウンドとなっています。
原曲のアレンジとの差別化に苦労したという亀田誠治はビリー・ジョエルの「The Stranger」などを参考に、都会的、摩天楼のサウンドスケープを目指したといいます。
「風をあつめて」
はっぴいえんどの大名曲として、松本隆のキャリアの中でも特別な意味を持つ「風をあつめて」。
特にmanakaは細野晴臣の大ファンであるといい、歌詞の持つ繊細な心象風景をLittle Glee Monsterの皆が持つカラフルな歌声の重なりが、歌詞の世界観をより鮮明に打ち出しています。
基本宅録で、打ち込みやギターまで亀田誠治が行ったというアレンジに加え、3番まであるこの楽曲を3人のヴォーカリストが歌い繋ぐことにより、聞こえてくる情景が移り変わります。
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まとめ
今回は松本隆トリビュートアルバム「風街に連れてって!」について紹介してきました。
松本隆の名前を初めて聞いた、と言う方も収録されている楽曲はどこかで聴いた事がある、と言う方も多いのではないでしょうか?
今回のようにどの楽曲も原曲の輝きはそのままに個性豊かなアーティストとのコラボレーションにより、また新たな魅力を発見する事が出来ます。初めて聴く方もそうでない方も、このアルバムを通して楽曲の持つ魅力を発見出来るのは素敵ですね。
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