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1stアルバム『THE SUN』制作プロセス
-今年2月には1stアルバム『THE SUN』をリリースしました。同名の楽曲は収録されていませんが、“ALIVE”の歌詞で太陽に言及している箇所がありますね。アルバムタイトルと関係があるのでしょうか?
Regan:“ALIVE”に限らずわりと全曲に太陽の影響がある気がします。これまでは歌詞に月が出てくることが多かったので、その変化は自分でも意外で……それが印象に残っていたので、アルバムタイトルにしました。
-ラウドロック系の作品のなかには、各曲の質は高いのに同じような曲調の楽曲が並んでしまっているものも少なくありません。その点、『THE SUN』はバラエティに富んだ楽曲が揃っていると感じました。このあたりは制作段階で意識していたのでしょうか?
Katsuki:それぞれの曲の作曲段階ではそこまで考えていませんが、似た曲はやっている方も飽きるので、常に何か新鮮に感じる要素は探しています。それらをいざアルバムに落とし込む段階で曲同士が1本のストーリーのように聴けるアルバムになるように、ラストまで聴いたらまた1曲目からリピートしたくなるように曲順を考えました。
桐子:わたしも同じような曲が続くとすぐに飽きてしまうので、「次はこういう曲を作ろう」とある程度大枠のイメージを決めて作っています。ヘヴィなサウンドは大好きですが、いわゆる“歌モノ”も大好きなので、より多くの方にとって聴きやすい作品になっているのではないかなと思います。
-作曲プロセスについてお尋ねします。クレジットを見る限り、桐子さんとKatsukiさんがメインソングライターとして腕を振るいつつ、ときにはメンバー同士で共作をして楽曲を生み出しているのではないかと推察しました。実際の作業プロセスとしては、誰かが持ち込んだアイデアをバンドで練り上げていく、というものになるのでしょうか?
Katsuki:まず自分が作った曲を自分で聴いたときに何回も飽きずに聴けるかどうかが重要です。そのためには考え込んだものではなく、思いつきのアイデアをいかに活かすかを考えました。そのために1人でデモを練り上げるスタイルをやめました。
-楽曲が未完成の状態、つまり他のメンバーがインプットする余地のある段階のデモ音源を提示するようになったということですね。
Katsuki:そうです。僕が自分のアイデアを微妙だと思っても、桐子が「いいね」と言えばそれは面白いことですし、そんな感じのやりとりはよくします。むしろ面白いのは自分以外のアイデアを引き継いでアレンジするケースで、そのときには遠慮なくやりたいことを好き放題詰め込みます。それが原曲者にもウケるので、これはイケるなと思ってますね(笑)
桐子:最終的にはKatsukiが全曲のアレンジをリードしていってくれて、SAISEIGAの曲になる感じです。原石を磨いていく感じで仕上げていくような曲もあれば、アレンジの段階で全くの別物と言っていいほど豹変する曲もあります。特に“Illusion”は最初のアイデアからは想像がつかないような仕上がりになりました。
-Wakkunさんは楽曲の制作過程でどのような役割を担っていますか?
Wakkun:俺は曲の全体図が出来上がったあとのギターの細かなアレンジやギターソロなどを練っています。
-アルバムの冒頭を飾る“RIDE ON”は、イントロが始まった瞬間に思わずガッツポーズが出る名曲ですね。SAISEIGAを初めて聴く人にオススメしたい1曲です。この曲が誕生した経緯について教えてください。
Katsuki:それは嬉しいです。バンドを代表するとにかく強い曲を書きたいとは思っていました。実はこの曲の原型は、パッと浮かんだアイデアだったんです。そのときは特になにも記録せず、頭のなかに数日間残っていたら採用しようと思っていました。で、数日経っても忘れていなかったので、(桐子との)リズムのセッションに持っていきました。
-桐子さんとのセッションに提出した段階で、すでに現在とほぼ同じ形だったんですか?
Katsuki:もともとサビは普通にメロディアスなものを考えていましたが、桐子とセッションしたときに「その展開はありきたりに感じる」と言われて「おおそう来たか!」と。それでリフで押し通す今の形になりました。しかし結果的には破壊的なものではなく、むしろ叙情的にも感じられる(曲になった)。音楽って面白いなと思います。
-“RIDE ON”はバンド的にも自信作だったそうですが、逆に原曲の印象はそれほどパッとしなかったのに作業を進めていくうちに「これは大化けした!」という楽曲はありましたか?
Katsuki:“ALIVE”ですね。これはもう元ネタが何年も前にあったのですが、SAISEIGAには合わないと思っていました。使うつもりも当初なかったのですが、そのときに桐子とセッションしていたアイデアがあまりにもポップすぎて一晩経ってボツにしたんです。でもドラムは良いのでもったいないなと。そこで最後の悪あがきで“ALIVE”の元ネタを桐子のドラムの録音データに当てがってみたんですよ。そしたら何か斬新というか、「アリだな」と思えてきて。
-“ALIVE”はふたつの異なるアイデアから誕生したハイブリッド曲だったんですね。
Katsuki:それをメンバーに聴かせたら好評でしたし、なによりReganの歌詞が決定的にこの曲を活かしたなと思ってます。自分の中の抽象的なスカした印象から生々しいストレートさを持ったロックな曲に変わりましたね。
Wakkun:パッとしなかったというわけではないですが、“Illusion”は初めてライヴでやったときの印象と、収録をしたあとでの印象が変わりましたね。もともと怪しい雰囲気を醸し出してはいたのですが、よりサイケな感じになったと思います。
Regan:ごめん。わたし、RIDE ONかもしれない(笑) パッとしないというよりは、歌モノっぽくなかったり、ちょっと難解に感じたり……。実は最初とっつきにくかったんだけど、ライヴでやったらすごかった。カツくんが「俺たちが抜群にカッコよくなるライヴを想定して書いた!」って言ってたことを思い出します。まあ信じてたけど!