国内ヘヴィロックシーンにおいて急激にその存在感を増しているのが、2020年11月結成の男女混合ラウドロックバンド・SAISEIGAだ。
ガールズメタルバンド・絶対倶楽部(2022年5月解散)の元メンバー2名を擁することもあり、音楽的にもその流れを継ぐバンドかと思いきや、繰り出されるサウンドは重心の低い極上のラウドロック。
今年2月にリリースされた1stアルバム『THE SUN』に触れれば、SAISEIGAというバンドが持つ無数の可能性の芽を聴き取ることができるはずだ。
今回、カルチャはメンバー全員へのインタビューを敢行。バンド結成の経緯や創作プロセス、将来の展望にいたるまでたっぷりと語ってもらった。
目次
バンドの萌芽はコロナ禍のセッション
-本日はお時間を取っていただきありがとうございます。カルチャ初登場ということで、みなさんの自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
Regan:Regan(リーガン)、ヴォーカルです。
Wakkun:ギターのWakkun(わっくん)です!メタルとコーヒーが大好きです!
Katsuki:ベースのKatsuki(カツキ)です。
桐子:ドラムの桐子(とーこ)です。SAISEIGAのリーダーです。よろしくお願いします!
-まずはバンド結成の経緯についてお尋ねします。2020年5月に絶対倶楽部が解散したあと、桐子さんがKatsukiさんに声をかけたことがきっかけだったと聞いています。その時点で新バンド結成について具体的なアイデアがあったのでしょうか?
Katsuki:全くないです。「何をやる?」とかも話してないですね。遠慮なく好きなことやろうと思ってたくらいです。そもそもお互いにまたバンドをちゃんとやろうとは思ってなかったですし、完全にその場のノリです。その後、ReganとWakkunの加入で意識は猛スピードで変わってはいくんですが、きっかけはそんな感じです。
桐子:特に新しいバンドを組もうという考えはなくて、単純にスタジオで誰かと音を鳴らしたいなと思っていました。(絶対倶楽部の)解散を発表してからの日々とコロナ禍が重なってしまい、自分の中でも消化しきれない思いがありました。この先のことは何も決めてないけど家に閉じこもってばかりいたくないし、やりたいことをやろう、みたいな気持ちでいたと思います。
-なるほど。新バンド結成を意図したものではなかったけれど、桐子さんとKatsukiさんが生み出した新しい音楽の“芽”がSAISEIGAに繋がっていくわけですね。ヴォーカリストとして、絶対倶楽部時代の盟友であるReganさんに声をかけたのは桐子さんにとってはごく自然な流れだったのでしょうか?
桐子:そのことについてはすごく考えました。これまでの経緯もありますし、音楽に対してもバンド全体のことも大事に考える人なので、すんなり「いいよ」とはならないだろうと思っていました。ただ、自分の中でReganのヴォーカルが一番であり、自分の好きなミュージシャンと音楽が出来ることは最高なことだと思うので、ダメかもしれないけど声をかけてみようと決めました。
-実際に声をかけるまでにはかなりの葛藤があったわけですね。Reganさんをバンドに誘うにあたり、Katsukiさんはどのような考えをお持ちでしたか?
Katsuki:僕目線では単純に一緒にやってみたいなと。しっかり歌えて、シャウトをバリバリに出来て、ステージパフォーマンスの表現力も多彩、ファッションやメイクのアート性も高い、さらにフロアを支配する力を持っている、という。これだけの武器と魅力を持ち合わせたヴォーカリストを放ってはおけないと思いました。
-おお! 大絶賛ですね。最初に声がかかったとき、Reganさんはあまり乗り気じゃなかったそうですが、絶対倶楽部が解散したことで一種の“燃え尽き症候群”のような状態だったのでしょうか。加入を決断したきっかけのようなものはありましたか?
Regan:バンドをやるときって“なんとなくやる”ってないんですよ、わたし。やるからには「これを最後にするぞ」ってプライド持って始めてる。自分で決めたことをひっくり返すって、私にとってはエネルギーがいることで。
-つまり、絶対倶楽部のときも「これが最後のバンドだ」と思っていたから、ということですね。
Regan:やりたいだけでやりたくはないし、まずは自分を納得させて、そしてやるからには他者も納得させる結果に繋げたい。そこに少しでも疑問や迷いがあるのは嫌だったんですよね。でも、もし自分と同じような状況の人がいたなら、わたしは「やっちゃえよ」って声をかけるだろうなって。桐ちゃんの新しいヴィジョンに必要とされてるなかで、やらない理由もなかったし。だから言いました。「NOはない!」って(笑)
-言い切りましたね(笑) “All or Nothing”の人だということがよくわかりました。最後に加入したのが、ギタリストのWakkunさんです。Reganさんのご友人の紹介だったそうですが、それまでにギタリスト探しが難航していたのでしょうか? 加入までの経緯やお互いの印象について教えてください。
Wakkun:共通の友人が間に入ってくれて、「一度スタジオに入って合わせてみよう」と。一回合わせただけでしたが、フィーリングがバッチリだったみたいで、SAISEIGAに加入することになりました。初めて合わせた時の印象は、全体的にレベルが高くて、このメンバーでやってみたいと思いましたね。
-まさに“パズルの最後のピース”のようにピッタリだったと。Reganさんは以前からWakkunさんと面識があったんですか?
Regan:わたしも共通の友人から繋がっただけで初対面でした。印象は、なんか暗いけど手先が器用で真面目なヤツ。我の強いヤツはすでに3人もいるので、「バンドが前進するには彼みたいな人が最後にやってくるのかー!」と妙に納得しました(笑)
桐子:第一印象は、大人しい感じの人だなと思いました。実際に音を合わせたら演奏が丁寧で、この日のためにちゃんと仕上げてきてくれたのが分かって、いいギタリストだなと思いました。ギタリスト探しはきっと何か月もかかるだろうなと思っていたのですが、まさかの1人目で出会ってしまいました。
Katsuki:ミュージシャンたるもの口ではなく音に答えを持っているべきだと思いますが、彼の場合はまさにそうです。見た目は大人しそうなのに、すごくこだわりのあるプレイをしてたんですよね。そして全く語らない(笑) 最近は結構語るかな?(笑)
-口数は少ないけれど、“ギターですべてを語る”プレイヤーだったんですね。他のギタリストとスタジオに入らなかったのは、「もうこの人しかいない」とバンド内の意見が一致したということでしょうか?
Katsuki:それだけギターが好きで実直に取り組んでるのはすぐわかりましたよ。むしろこっちが「こんなもんか」と思われないように気合い入りましたね。加入の決め手はReganの「入れよう!」という鶴の一声でした(笑)まあ、運命ってやつだと思いますよ。