”WACK” 型破りなアイドル事務所の全貌を解明~社長・サウンドプロデューサー編~

”WACK”  型破りなアイドル事務所の全貌を解明~社長・サウンドプロデューサー編~

型破りなプロモーションでアイドル界をかき回しているWACK。前回は、全所属アーティストについて紹介しました。

彼女たちがここまで全国に名を知らしめたのは、やはり社長・渡辺淳之介をはじめとした運営メンバーの力あってのことでしょう。
彼らが展開する企画やプロモーションには、毎回度肝を抜かされますよね。

今回は、そんなWACKの社長や運営メンバーに焦点を当ててWACKの全貌に迫っていきましょう。

WACKとは

WACKは、BiSをはじめとしたサブカルチャーの最大手アイドルはもちろん、BiSHなどのメジャーアイドルを手掛ける新進気鋭の音楽プロダクション。
特にBiSHは、人気番組「アメトーーク!」で特集が組まれるなど、著名人にも熱狂的なファンが多いことで知られています。

会社名の「WACK」は「わたなべあーてぃすちっくくりえいてぃぶかぶしきがいしゃ(Watanabe Artistic Creative KK)」の略で、社是は「ちんこと言える世の中を。」です。

代表取締役を務めるのは渡辺淳之介で、ファンからは「ジュンジュン」の愛称で親しまれています。

サウンドプロデュースを務めているのは音楽クリエイターチーム「SCRAMBLES」松隈ケンタが担当しており、楽曲面でWACKを支えています。

WACK社長・渡辺淳之介

WACKの創設者で代表取締役・渡辺淳之介。
数々の過激なプロデュースで知られていますが、彼は一体どういった人物なのでしょうか。

渡辺淳之介の経歴や人となりに迫っていきます。

進学校に通った学生時代

渡辺淳之介が通っていたのは、東京都内でも有数の進学校である桐朋中学・高校に通っていました。
母親が小学校の教師で、小学校のころから塾に通う教育熱心な家庭だったそうです。

転機となったのは中学1年生のころ。彼はギターを始め、音楽の世界にのめりこんでいくことになります。
ギターやバンド活動に明け暮れる毎日で、中学2年生ごろから学校には行かなくなってしまいました。

といっても引きこもっていたわけではなく、学校外の友達やバンド仲間と過ごしていたので、学校や家には帰りたくなかったのだとか。

バンドに挫折、裏方の道へ

音楽にどっぷり浸かった当時の渡辺淳之介は、高校2年の時に学校を中退。
地元・八王子のライブハウスで同じくプロを目指す若者たちとバンド活動に明け暮れました。

そんな時に観たのがとある高校生の大会型音楽フェス。
渡辺が観に行ったのは地区予選でしたが、同い年のバンドを観て「あ、これは勝てないな。自分には才能がない」と感じます。

そこから渡辺の目指す方向は、表舞台から裏方へと変わっていったのです。

音楽業界を目指すため、早稲田大学に進学

音楽業界の裏方の仕事をしたいと考えた渡辺は、ひとまず就職活動に関する本を読み漁ったそうです。
裏方の仕事と言っても、レコーディングエンジニアやステージ音響・照明、アーティストのマネジメントなどさまざま。

その中でも彼が興味を持ったのは、レコード会社のディレクター(A&R)。
新しいアーティストの発掘や育成、そのアーティストに合った楽曲制作を担当する仕事です。

就職難易度は非常に高く、高校を中退した渡辺は「有名大学ぐらいは出ていないとまず無理だ」と考え、大学受験を決意。見事早稲田大学に合格しました。

学生1年生の頃は普通に遊んで暮らしていたそうですが、4年になると実際に音楽業界で身を置くようになります。
大学を留年した5年の頃からは、小さな音楽事務所で社員として働きました。

小さいころから学校の先生に怒られてばかりだった渡辺は、厳しいながらも企画書や提案をほめてもらえる音楽業界に居心地の良さを感じていたそうです。

つばさプラスに入社後、WACK設立

早稲田大学卒業後はつばさプラス(つばさレコーズ)に入社し、念願のA&Rの職に就きました。
つばさプラスではBiSthis is not a businessの活動に携わることになります。

2014年にBiSが解散ライブを行った後、つばさプラスを退社し独立。WACKを設立して代表取締役に就任しました。
音楽業界の「なんでも屋」として、マネージメントやプロデュースはもちろん、楽曲制作やプロモーションまで幅広く担当する会社として活動しています。

また、渡辺が活動しているのは音楽業界だけにとどまりません。
アパレルブランド「NEGLECT ADULT PATiENTS」を設立し、道玄坂に実店舗をオープンするなどマルチに活躍しています。

渡辺淳之介・プロデュースの考え方

影響を受けたのはセックス・ピストルズ

音楽が大好きだった渡辺淳之介が大きく影響を受けたのが、イギリスのパンクロックバンド「セックス・ピストルズ」
彼らの活躍の裏にはマルコム・マクラーレンというプロデューサーの存在が大きく、渡辺はマルコムとセックス・ピストルズの関係性に着想を得てアイドルのプロデュースをしているそうです。

他にも、エンタメ・ファッションなど世界各国のコンテンツを参考にしており、「常に新しいことをしたいと思いながら人のモノマネばかりしている」と語っています。
この言葉通り、WACKのグッズの中には海外のロックバンドやスケーターブランドをオマージュしたものも少なくありません。

アイドルはバンドよりも自由度が高い

自らのバンド経験から、渡辺は当初はバンドをプロデュースしたいと考えていた渡辺。
しかし彼は、作詞作曲のできない女の子たち、つまりアイドルのほうが自分の色を出せると考え、アイドルをプロデュースすると決めたそうです。

ゴリゴリのバンドでは不自然だけど、アイドルなら何をやっても許される。そういった自由度の高さが、渡辺のやりたい音楽を表現するのに最適だったのです。

もはや「アイドル」という枠すら飛び越えた奇抜な表現方法は、渡辺が初めてプロデュースに携わった第1期BiSのデビュー曲をみるとわかりますね。

といっても本人は「攻めたことをしている」という自覚はなかったのだとか。
当時ライブ動員が100人ほどしかなかったアンダーグラウンドなBiSを、どうにか知ってもらいたいと必死につくった結果、こういった作品が出来上がったのです。

WACK所属のアーティストは、名前やCDを売るためにこんなことをしているのではなく、あくまでもメンバーやプロデューサーが「面白い」と思うことをやっています。
結果、過激なやり方でもメンバーやファンが付いてくるのではないでしょうか。

アイドルを一人の人間として扱う

渡辺は、現代のアイドルを「消費されやすい存在」と語っています。

一般的なアイドルは寿命が短く、まだまだ若くても「賞味期限切れ」の烙印を押されることも珍しくありません。
そんな厳しい状況でも、アイドル本人は自分たちをプロデュースしてくれる人や事務所に文句を言いづらい。

そんなアイドルを「商品」として扱うのではなく、一人一人を「人間」という対等な存在として扱うのが渡辺の特徴です。
これはWACK所属のアイドル達も感じていることで、SNSでも渡辺とメンバーが頻繁にコミュニケーションをとっている様子がうかがえます。

サウンドプロデューサー・松隈ケンタ

WACKの奇抜なプロモーションはもちろん、彼女たちの攻撃性の強い楽曲も印象的です。
所属アーティストのサウンドプロデュースを担当するのは、音楽制作プロダクション「SCRAMBLES」の松隈ケンタ。

WACK社長の渡辺淳之介とも親交が深い松隈ケンタについて、掘り下げていきましょう。

バンドを率いてデビュー後、作曲家に転身

佐賀県出身の松隈は、ロックバンドBuzz72+(バズセブンツー)のメンバーを率いて上京、2005年にavex traxからメジャーデビューしました。
その後4枚のCDをリリースするも、バンドは活動休止。その後は作詞・作曲家として活動を開始します。

音楽制作プロダクション「SCRAMBLES」発足

作詞・作曲家として活動を始めた松隈は、2011年に音楽制作プロダクション「SCRAMBLES(スクランブルズ)」を発足。
自主企画「ラボフェス」や「サウンドスクランブル」など、積極的に活動していました。

2014年には株式会社となり、松隈は代表取締役に。同時期に「SCRAMBLES & WACK FES」をWACKと合同で開催しました。

SCRAMBLESは楽曲制作だけでなく、アーティストやクリエイターの発掘・育成にも力を入れています。
その一環として、東京の大岡山と下北沢に「スクランブルズミュージックカレッジ」を開校しました。

2018年には活動拠点を福岡に移し、レコーディングブースやリハーサルスタジオを貸す「スクランブルズ福岡スタジオ」で福岡の音楽シーンに貢献しています。

サウンドプロデュースの特徴

「きれいではない音」が持ち味

WACKといえばロックサウンドやEDMなど、激しい曲が印象に残っている人も多いでしょう。
WACKの強みは、まさにそういった攻撃的なサウンドで、松隈ケンタいわく「きれいではない音」にこだわって制作しているそうです。

普通ならノイズを除去したり、聴きやすく編集するのがサウンドエンジニアの仕事。
しかし、あえて音をぐちゃぐちゃに散らかし、一般的なJ-POPの枠組みでは作れないものを生みだしているところに松隈ケンタとWACKのオリジナリティを感じます。

SCRAMBLESは分業制

WACK所属アーティストの楽曲制作は、松隈ケンタをはじめとしたSCRAMBLESのメンバーが手掛けています。
SCRAMBLESのメンバーは完全に固定されているわけではなく、すぐに集まれる10人ほどのメンバーを中心として、100人ほど在籍しているスクール生のアイデアもどんどん使っているそうです。

松隈はメロディを作るのが得意なため、多くの曲のメロディ制作を担当します。
他にも、EDMが得意な人はGANG PARADEの曲のトラックを作ったり、ロック路線が得意な人はBiSHやBiSの曲を作ったり…。
チームで分業制を取ることによって、膨大な量の曲を量産しているのです。

WACKの今後は?

BiSHをはじめ、多くの人気グループを擁する事務所に成長したWACK。

社長の渡辺淳之介は、WACKの今後について「グループ卒業後に女優やタレントとして活躍できるよう、後押しできる会社になれば」と語っています。

一見、メンバーにとっては過酷に見える企画も多いWACKですが、社長は愛をもってプロデュースしているのです。

すでにテレビ番組に引っ張りだこのファーストサマーウイカ(元BiS)など、日本のエンタメ界にWACK出身の人材が進出しています。

今後もWACKから面白い人材が生まれることに期待していきましょう。

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