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ロック・ライヴ関連の専門用語
新しい趣味ができた時、ジャンルを問わず初心者を悩ませるのが縦横無尽に飛び交う「専門用語」の数々。
それはロック初心者にとっても例外ではないでしょう。
専門用語がわからなくて音楽ファン同士の会話に入っていけない…という悩みを抱えている人も少なくないかもしれません。
今回はロックファン界隈でよく使われる用語から12個を厳選してご紹介します!
アー写(あーしゃ)
<アーティスト写真>を略したもの。
作品の宣伝やメディア露出の際などに使用される、いわば公式の宣伝用写真。
新しい作品をリリースする時や新しいイメージを打ち出したい時など、定期的に撮り直すのが一般的です。
アー写を見ただけで「これは〇〇の時のやつ!」と即答できる熱心なファンも多いはず。
【用法】
〇〇の新しいアー写見た?
見たよー。あまりにも尊くて拝んじゃったよ
インスト
インストゥルメンタル(Instrumental)を略したもので、ヴォーカルが入っていない楽器だけの曲のこと。
Instrumentは「楽器」を意味する名詞で、その形容詞であるInstrumentalは「楽器の」という意味になります。
ヴォーカルが入っている曲であっても、楽器だけで演奏されているパートを「インストパート」と表現することもあります。
また、CDショップや楽器店などの店内でおこなわれるインストア・イベントのことを「インスト(イベント)」と表現することがありますが、どちらの意味で使っているのかは話の流れで判断できるでしょう。
【用法】
この曲ずいぶんイントロ長いね。なかなか歌が始まらない…
あ。インストだよ、この曲。
インプロ
インプロヴィゼーション(Improvisation)を略したもので、その場のひらめきで生み出される即興演奏のこと。
いわゆる「アドリブ」のこと、と言えばニュアンスが伝わりやすいかもしれません。
「ギターソロをインプロヴァイズした」などと動詞として使用する場合もあります。
ライヴでもCD音源と同じギターソロを弾くギタリストがいる一方、その場のノリで毎回違う演奏をするインプロ派のギタリストも少なくありません。
【用法】
今日の〇〇さんのギターソロ凄かったね…
あれが全部インプロなんだから本当に神だよ!
上手・下手(かみて・しもて)
ステージの左右を表す用語で、客席から見て右側を上手、左側を下手と呼びます。
演奏技術の上手い下手のことではないので注意してください。
ツインギター体制のバンドではリードギタリストが上手に立つことが多いですが、バンドによっては逆になっていることもあり、必ずしもルールがあるわけではありません。
【用法】
今日のライヴはどのあたりで観る?
僕は〇〇さんのファンだから上手に行くつもりだよ!
セトリ
セットリストの略で、ライヴで演奏する曲目とその順番のこと。
ほとんどのアーティストはその日のセトリを記した紙をステージ上に貼っておいて、曲順を確認しながら演奏をしています。基本的にお客さんからは見えない位置に貼ってありますが、小さなライヴハウスの最前列などで観ているとセトリ用紙がしっかりと見えてしまうことも…。
ツアーの全公演で同じセトリを演奏するアーティストもいれば、公演ごとに数曲を入れ替えるアーティストもおり、セトリに対する考え方はアーティストによってさまざまです。
機材トラブルやその場でのひらめきによって事前に決めたセットリストから逸脱することもあり、それがライヴの醍醐味のひとつでもあります。
事前にセトリを決めておくアーティストが大多数ですが、アメリカの超有名ロックバンドGuns N’ Rosesは「演奏する可能性がある楽曲」が書かれたリストだけを準備しておき、その場のノリで次の演奏曲を決めていたと言われています。
【用法】
今日のライヴのセトリ、すごかったね…
本当に神セトリだよ。観に来てよかった!
対バン(たいばん)
複数のアーティストが出演し、順番に演奏をおこなう形式のライヴイベントのこと。
「〇〇と△△が対バンする」のように動詞として使用することもできます。
いわゆる前座(オープニングアクト)とは意味が明確に異なるので混同しないよう注意が必要です。
対バン相手は、イベントの主催アーティストが招いたゲストという扱いになっており、先輩格に当たるアーティストが先に演奏することも少なくありません。
対義語として、単独アーティストによる公演を意味する「ワンマン」があり、その派生語としてツーマン(出演アーティストが2組)やスリーマン(出演アーティストが3組)などもあります。
お目当てのバンドが演奏している時だけ盛り上がり、対バン相手の演奏時には床に座り込むなどの行為はマナー違反となります。
【用法】
〇〇のツアーが発表されたね!
対バンも豪華なんだよね。チケット取れるか心配になってきた…
タッピング
タッピング(Tapping)はギターやベースの奏法の一種で、ピッキングする側の手指で指板上の弦を叩く(Tap)ことによって音を出すテクニック。
このテクニックを使うことによって、通常では指が届かないところにある音を演奏することが可能になります。
右利きのプレイヤーの場合、右手を指板上に持って行くことから、日本では「ライトハンド奏法」という和製英語で親しまれている奏法です。
テクニック志向のギタリストにとっては必須テクニックとなっており、両手タッピング(Both Hands Tapping)を駆使した超絶技巧を披露するギタリストもいるほど。
その起源については諸説あるものの、ロックギターの奏法として確立したのはVan Halenのギタリストであるエドワード・ヴァン・ヘイレン(2020年に死去)であることは誰もが認めるところでしょう。
デビューアルバムに収録されたインストゥルメンタル曲“Eruption”での燃えるようなタッピングは世界に衝撃を与えました。
【用法】
この曲をギターでコピーしたいんだけど、ソロが難しくて…
タッピングの嵐なんだよね。練習あるのみだよ!
バーカン
バーカウンターを略したもので、ライヴハウスの中にあるドリンク類を提供するカウンターのことです。
ライヴハウスではチケット代の他に、入場時にドリンク代を支払うシステムになっています。
以前は入場時のドリンク代として500円を徴収していた会場が大半でしたが、消費税が10%になったのを機に600円に値上げした会場も少なくありません。
入口でドリンク代と引き換えに渡されるドリンクチケットをバーカンに持って行くと、好きな飲み物と交換してもらうことができます。(値段の高い飲み物の場合、ドリンク代との差額を現金で支払うように言われることもあります。)
ちなみに入場時にドリンク代を徴収されるのは、多くのライヴハウスが「飲食店」として営業の届け出をしているからです。
飲食店として営業許可を受けている以上、飲食物を提供せずにライヴだけを提供するわけにはいかない…というわけですね。
【用法】
どこ行ってたの? もうすぐ開演だよ!
ごめんごめん。バーカンが大行列でさ…
箱(はこ)
「ハコ」と書く場合もありますが、これはライヴ会場のことを指します。
ライヴハウス規模の会場に対して使われることが多く、会場の規模に応じて「大箱」や「小箱」など形容詞を付けることも。
人によってはアリーナクラスの大会場を箱と形容する場合もあり、厳密な定義が存在するわけではありません。
【用法】
この箱は初めて来たなー。前からあった?
今年出来た箱だよー。新しくて綺麗だよね
ヘドバン
ヘッドバンギング(Headbanging)の略で、音楽に合わせて激しく頭を振る行為のこと。
観客だけではなくステージ上のミュージシャンがおこなうケースも多く、特にヘヴィメタルなど激しい音楽では日常的に見られる光景です。
ヘヴィメタルのファンを称して「ヘッドバンガー(ヘドバンをする人)」と呼ぶこともあり、ヘヴィメタルと決して切り離せない重要な行為だと言えるでしょう。
ビジュアル系のファンの間でも広く浸透している行為で、8の字ヘドバンや土下座ヘドバンなど独自の変化を遂げています。
その歴史は古く、1969年におこなわれたLed Zeppelinのコンサートにまでルーツを遡ることができるという説もあるほどです。
過度なヘッドバンギングは健康への悪影響が指摘されています。体調と相談しながら安全にライヴを楽しみましょう。
【用法】
いやー。最高のライヴだった!
ヘドバンしすぎて首が痛いよ。でも幸せ…
ミーグリ
ミート&グリート(Meet & Greet)を略したもので、ライヴの前後などにファンがアーティストに直接会うことができる企画を指します。直訳すると「面会と挨拶」ですね。
ミーグリ権が付属したチケットを販売するアーティストもいれば、「CDを買った人の中から抽選で〇名をミーグリにご招待!」のように作品のプロモーションの一環としておこなわれる場合など、さまざまなケースがあります。
握手とサイン、記念撮影がセットになっている場合がほとんどで、サウンドチェックの見学やバックステージツアーなどファンにとってはたまらないオプションが付属していることも。
会場の出入口でアーティストを待つ「入り待ち」や「出待ち」はミーグリとは呼びません。アーティストや会場、近隣住民の迷惑になる行為は自重しましょう。
【用法】
どうしたの? 珍しく緊張してるね。
これから〇〇さんのミーグリなんだ…。何を話せばいいんだ…
モッシュ
モッシュ(Moshing)はライヴで観客同士が音楽に合わせて身体をぶつけ合ったり押し合ったりする行為のこと。
パンクやハードコア、ヘヴィメタルなど激しい音楽性のライヴで発生することが多く、大規模会場ともなると客席のあちこちにモッシュピット(モッシュが発生しているゾーン)が同時多発的に出現することも珍しくありません。
ライヴの醍醐味としてモッシュを楽しむ愛好家がいる一方、他人に迷惑をかける行為として嫌悪する音楽ファンも少なくなく、賛否両論が存在している行為でもあります。
モッシュピットの中を左回りに走り回るサークルモッシュ、左右に分かれた観客同士が正面衝突でぶつかり合うウォール・オブ・デスなど派生形も存在し、中にはゴキブリモッシュ(Cockroach Moshing)という変わり種まで…。
誰かを傷つけるための行為ではないので、悪意を持ってぶつかったり突き飛ばしたりする行為はマナー違反です。
転んだ人がいたらすぐに助け起こすなど安全に配慮しながら楽しみましょう。
【用法】
今日のモッシュはすごかったなー。戦場だったよ
楽しかった!明日は全身筋肉痛だね!
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