ヨルシカ – 高い文学性と緻密なコンセプト! 珠玉の人気曲・代表曲10選

ヨルシカ – 高い文学性と緻密なコンセプト! 珠玉の人気曲・代表曲10選

ボカロP出身のコンポーザーn-buna(ナブナ)さんとヴォーカリストsuis(スイ)さんのバンドヨルシカは、8月1日から2年ぶりのライブツアー『ヨルシカ LIVE TOUR 2021「盗作」』を開催します。

ツアーのスタートに合わせて8月3日から全国のローソンでは、人気曲「雨とカプチーノ」をモチーフにしたオリジナル飲料「ヨルシカ 雨とカプチーノ 〜ビターカプチーノ〜」の販売などコラボキャンペーンも実施。

「先入観をなるべくなくして曲を聴いて欲しい」と、2017年の結成以来ヨルシカは2人の顔とプロフィールは非公開のままです。

楽曲よりも人が前に出ないように徹底することでヨルシカの作品は様々な解釈が可能となり、YouTubeのヨルシカ/n-buna OfficialアカウントのMVにはファンが思い思いにコメントを残しています。

n-bunaさんは『ヨルシカはコンセプチュアルなものにしたい』と、アルバム毎に明確なコンセプトを決めることもヨルシカならでは。

そこで今回は、あらためてヨルシカの代表曲や人気曲を10曲ご紹介します!

文学と俳句仕込みの芸術性の高さとポップさを併せ持つヨルシカ

「ただ君に晴れ」など人気曲多数のバンドなのでご存じの方も多いとは思いますが、まずは簡単にヨルシカとは?について。

中学生でエレキギターを買いノートパソコンで音楽制作を始めて、「透明エレジー」などの人気曲を持つボカロPとして活動していたn-bunaさんは、すでにゲストボーカルとして面識のあったsuisさんと2017年にヨルシカを結成しました。

テレビやメディア出演はほとんどなく、ニコニコ動画やYouTubeを中心に活動していたヨルシカでしたが、2018年5月にリリースした2nd ミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」がオリコンの週間チャートで5位にランクインします。

その後も、オスカー・ワイルドなどの文学や種田山頭火ら近代俳人から影響を受けた芸術性とポップさも併せ持つ楽曲や、その世界観に没入できるコンセプチュアルなアルバムなどで高い評価を獲得。

「君の名は。」「天気の子」新海誠監督もツイートするほど称賛しています。

アニメとリアルを自在に行き来するMVも注目を集めており、約1.4億回再生の有名曲「ただ君に晴れ」の他にも、「だから僕は音楽を辞めた」は約1.1億回、「言って。」は約1億回を記録。

2019年からはライブツアーも開催し、今年も8月3日から全国6都市8公演のライブツアーが行われます。

ヨルシカ人気曲

ただ君に晴れ

suisさんの透明度の高い歌声と疾走感ある爽やかなサウンドや、より一段と夏感をプラスするMVが印象的なヨルシカの代表曲です。

ロックを聴き続け、文学や近代俳句が好きなコンポーザーn-bunaさんらしい「夜に浮かんでいた」で始まる歌詞や、正岡子規から引用した「絶えず君のいこふ」のフレーズなど、唯一無二のオリジナリティの高さがヨルシカの最大の魅力です。

言って。

n-bunaさんが『シンプルにいいものを作ろうと思って作った』『この曲が好きです』と語る「言って。」。

無邪気にも聴こえるsuisさんの「言って」で始まりますが、進むにつれて「いった」「逝った」に変わり、すでに君がいないことがわかっているという切ない曲です。

物語の世界観が近いとも思える映画監督新海誠さんも、『素晴らしいなー。』とツイートしています。

雨とカプチーノ

『サビに入った瞬間に、この曲を知らない友達がパッと顔上げてすごく驚いた表情をしていた』とMVのコメントにあるほどに、サビの転調が鮮烈な人気曲「雨とカプチーノ」。

「夏泳いだ花の白さ、宵の雨」の歌詞は、正岡子規の俳句「水草の 花の白さよ 宵の雨」からの引用とも言われています。

8月3日から全国のローソンで、この曲をモチーフとした「ヨルシカ 雨とカプチーノ 〜ビターカプチーノ〜」が販売されています。

だから僕は音楽を辞めた

音楽を辞めることになった青年エイミーが旅先で出会った少女エルマに向けて作った14曲で構成されている、2019年4月リリースの1st フルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」の表題曲です。

それまでヨルシカが描く物語の主人公であるエイミーやエルマが見ている情景や心情を描いていたので、アルバム「だから僕は音楽を辞めた」ではn-bunaさんの思想や過去に思っていたことなどリアルな部分を注ごうと制作。

n-bunaさんが『音楽以外どうでもいい』と思うほどかなり尖っていた数年前にすでにあった曲であり、ヨルシカの代表曲のひとつです。

花に亡霊

「花に亡霊」は、2020年公開のアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の主題歌に起用されました。

ヨルシカにとって初の映画タイアップだったにも関わらず映画の主題歌の為に制作したものではなく、3rd アルバム「盗作」の収録曲として作っていたこの曲が映画の雰囲気とマッチしていたら主題歌にしてください、という話だったそうです。

n-bunaさんによると制作当時は意味を込めた歌に反発していたそうで、綺麗な言葉と情景とメロディだけを詰め込んだ、深い意味の無いただ綺麗なだけの曲がコンセプトです。

靴の花火

ボカロPだったn-bunaさんにとってバンドヨルシカとしての初作品である、1st ミニアルバム「夏草が邪魔をする」の人気曲であり、3rd デジタルシングルです。

元々初音ミク鏡音リンなどのボカロマニアで、特にヴォーカリスト経験も無く家で掃除する時に歌ったり料理しながら鼻歌を歌っていた程度だったsuisさんでしたが、『ロックで映えて、バラードや浮遊感のある曲も歌える、ちょっとハスキーなピッタリだと思える声質』『運よく出会うことができてよかった』とn-bunaさんは絶賛し、ヨルシカは誕生しました。

歌詞は宮沢賢治の「よだかの星」をモチーフにしており、n-bunaさんが好きなフレーズ「夏の匂いがする」も入っている特にファンが多い人気曲です。

パレード

芸術至上主義のn-bunaさんは、生涯誰にも見せることなく小説や絵を作り続けたアメリカの作家ヘンリー・ダーガーの生き方を理想とし、感動を呼び起こすなどエンターテイメント的なものではなく、自分が納得できる音楽を作ることを心掛けています。

「パレード」の歌詞で最も詞的な「君の指先の中にはたぶん神様が住んでいる」の個所を、suisさんは『すごい』と絶賛し、ギタリストやイラストを描く友人達などの顔が浮かんでくるそうです。

思想犯

2020年7月にリリースされた3rd アルバム「盗作」収録曲。

「盗作」では、夏の空気を感じさせる、切なさや悲しみを美しく表現するというようなヨルシカのイメージを一度壊そうと、音楽において最大のタブーである盗作をコンセプトに、聴いた人が眉をひそめるようなものをと制作。

『この曲は歌がよく、アルバムの中で僕が一番好きな歌。ちょっと怖いくらいの無感情のようなのが入り、ゾッとする感じが出ている。』とn-bunaさんも特に気に入っている人気曲です。

「思想犯」のモチーフは、イギリスの作家ジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」

俳人尾崎放哉の句「春の山のうしろから煙が出だした」「入れものがない両手で受ける」のオマージュとして、歌詞には「春の山のうしろからまた一つ煙が立つ」「入れ物もない両手で受けて」という個所も。

負け犬にアンコールはいらない

1st ミニアルバム「夏草が邪魔をする」のセルフオマージュである、2nd ミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」表題曲です。

「夏草が邪魔をする」収録の「言って。」の私が何度も生まれ変わり、「雲と幽霊」の僕にもう一度出会うという話をもとに、ミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」は作られています。

何度も生まれ変わることをアンコールに見立てて、遊び心としてそのテーマを否定するような曲をと制作。

デモの段階ではサビを声を張って歌っていたsuisさんが、レコーディングの際にはあまり張らない歌い方で強く感情を込めた歌い方に変えたことが、曲にあまりにもピッタリでn-bunaさんは驚いたそうです。

春泥棒

新海誠さんが監督した「大成建設」のCMソングに起用されました。

東京・立川市の昭和記念公園にある一本のヒノキを見ていた時に、『あれを桜に見立てて曲を書こう。月並みだが花を寿命とすると風は時間で、つまりは春風。春風が桜を散らすのだから春泥棒だろう』と連想して制作しました。

アルバム「盗作」の物語において、桜は音楽を盗作している主人公の妻の生命のメタファーであり、生命を散らそうとする時間のことを泥棒としています。

幻想的な映像美のMVは、高校生の頃に強い衝撃を受けたHIDETAKE TAKAYAMA「Express feat. Silla (múm)」のMVを作った森江康太さんによるものです。

横浜・八景島シーパラダイスの水槽前で演奏した配信ライブ「Live 前世」から、「花人局」「春泥棒」が公開されています。

まとめ

文学や俳句から強く影響を受け、新海誠さんをも魅了する芸術性の高さがヨルシカです。

切なさや哀しさを伴うからこそ深く芳醇な表現が可能となります。

ヨルシカの人気曲を聴きながら、自分の内面の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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