目次
suisのボーカルの特徴
声質について
ここからはsuisのボーカルはどのような特徴があるのかについて掘り下げてみたいと思います。
n-bunaはボーカリストを探すにあたって、ロックでもバラードでも対応できるようなハスキーな声質を探していたとのことです。
確かにsuisは女性ボーカルとしては声が低めだと思います。しかし、中域のトーンが秀逸で、喉にかからず混じりっけのない透明感のある声質は唯一無二のものだと思います。
また声をフェイクさせず、日本語をしっかりと発音しているという特徴があります。
ですので歌詞を見ずとも何と歌っているか聞き取れます。
簡単なようでこれが出来るボーカリストは少ないでしょう。
歌詞が聞き取りやすいということは、世界観にダイレクトに入り込みやすいということです。
suisはボーカルだけでなく、三井住友銀行の設立20周年を記念したCMでナレーションをした経験があります。いかに声が聞き取りやすいか、わかっていただけますでしょうか。
ライブでもほぼ変わらない安定した音質を保っています。
suisの声質の変化、ヨルシカの音楽性の変化
そんな魅力的なsuisのボーカルですが、デビュー当時と現在ではトーンが異なっています。
ファーストミニアルバム「夏草が邪魔をする」では、現在とは違う少し喉にかかった地声に近い声質の歌が聞けます。
ギターが全面に出たロックチューンな曲が多い印象。
ギターとボーカルは共に中域の音域なので、どちらかの音量を下げ気味にする場合が多いです。
現在のヨルシカはギターを引き気味にする場合が多い印象を持ちますが、このころはどちらも元気です。
セカンドミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」の頃には少し声質が変わっている気がします。
suisのボーカルは曲ごとにトーンを意識しているのがわかり、ボーカルとしての成長が見て取れます。
ファーストフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」では今のボーカルの形が完成した作品です。
低めのトーンを活かし透明感のある声質を堪能することが出来るアルバムとなっています。
公式ページのトレーラーをだけでも聴いてみてください。前作までより声が一歩前に出ているのがわかると思います。
このボーカルのおかげでアツイ曲はとことんアツイですね。
セカンドアルバム「エルマ」では、suisが歌っているときはロックテイストのギターは前面に出なくなってきました。
suisのボーカルを楽曲の中で浮き上がらせることで最大限に活かし、世界観をより伝えられるようにする試みなのだと思います。
前作でsuisのボーカルはほぼ完成されています。
曲によってトーンを巧みに操るボーカルに注目です。
suisの声質の変化についてですが、本人は、
「はじめの頃はうまく歌わないといけない、聴いた人にとって心地よい歌じゃないといけないという思いがあった」
「徐々に自分ではなくヨルシカの作品であるという思いが強くなっていった」
と語っています。
初期とその後ではボーカルの迫力が一段階あがっている気がします。
その辺の意識の違いが影響しているのでしょうか。
ヨルシカの世界観について
ヨルシカは本人達のプロフィールを公開していないので、作品の世界観を伝えるため、ミュージックビデオ等で補完していきます。
suisはミュージックビデオに関わっていないので、世界観を伝えるためにボーカルを通して役になりきる方向性を選んだのでしょう。
また、まっさらな状態で歌って欲しいとのことで、アルバム構想などについてほとんどn-bunaから説明はないそうです。
suisは歌詞から物語を解釈し、自分の中で役を作り、歌う。
そして生まれる、n-bunaが思いもしないような偶然性がヨルシカの世界観を作っているのです。