2022年6月でメジャーデビュー10周年を迎える、4人組ロックバンド・cinema staff(シネマスタッフ)。
激しさの中に繊細さが同居した聴き応えのあるサウンド、そして異彩を放つ美しいボーカル。
全てが見事なバランスで合わさった楽曲は聴き手の心を掴んで離しません。
本記事ではcinema staffのメンバーや経歴などを紹介。彼らの魅力を紐解きます。
目次
cinema staffとは?
cinema staffは、オルタナティブ、エモ、ポストロックなどの音楽に影響を受けたロックバンド。
彼らの楽曲では、攻撃的なサウンドが身体の芯まで響き、その中でも感情を揺さぶるメロディが強い存在感を発揮しています。
バンド名は、ACIDMAN主催イベント「cinema」の響きの良さと、映像が浮かぶようにしたいと考えたことに由来。
cinema staffのメンバー
ここからはcinema staffのメンバー4人を紹介します。
辻友貴(つじともたか)
- 誕生日:4月28日
- 出身地:岐阜県
ギター担当は辻友貴。
辻が音楽を始めたのは中学生の頃。通っていた塾で出会った音楽好きの先生に、辻からギターを教えて欲しいと頼んだことがきっかけです。
ライブでは、全身を使って激しくギターをかき鳴らす姿が印象的な辻。
彼は三島と共に在籍するバンド・peelingwardsでの活動も行い、ここでもギターを演奏しています。
自身のレーベル「LIKE A FOOL RECORDS」を持っているのも特徴で、CDを扱う実店舗と飲み屋が一緒になったLFRを運営。
飯田瑞規(いいだみずき)
- 誕生日:4月8日
- 出身地:岐阜県
ボーカルとギターの担当は飯田瑞規。
幼い頃から音楽が身近な環境で育った飯田は、小学生の頃に合唱の伴奏でアコースティックギターを披露。この時に人前で演奏する楽しさを知ります。
場の空気を作ることができる唯一無二の歌声を持つ飯田。
どの楽曲においても、優しさと力強さを兼ね備えた彼の歌声は抜群の存在感を放ちます。
2018年10月にはソロ作品の発表やゲストボーカルとしての楽曲参加でも話題を集めました。
・『楽園の君』:元the cabsの高橋國光によるソロプロジェクトösterreich(オストライヒ)の楽曲。同曲はTVアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』第2期EDテーマに起用。
三島想平(みしまそうへい)
- 誕生日:8月30日
- 出身地:岐阜県
ベースを担当し、ほとんどの楽曲で作詞・作曲を手がける三島想平。
小学生の三島がバンドやポップスに興味を抱いたのは、姉から渡されたカセットテープに録音されていた、ゆずの楽曲を聴いたことがきっかけ。
三島のベースでは、シンプルながら力強さを感じさせる演奏が光ります。ライブでは、美しく響く三島のコーラスにも要注目です。
cinema staff以外の活動でも異彩を放つ三島。アイドルへの楽曲提供、ゲームやCM音楽の制作など幅広い舞台で才能を発揮しています。
辻と共に参加するpeelingwardsの活動で、ギターとボーカルを担当。またösterreichの楽曲にはベースとして参加しました。
久野洋平(くのようへい)
- 誕生日:12月8日
- 出身地:愛知県
ドラム担当は久野洋平。
音楽経験者の父親を持つ久野が、本格的にドラムを始めたのは中学3年生の頃。同級生からバンドに誘われたのがきっかけです。
久野のドラムプレイでは、緩急を自在に使い分けつつ、しなやかにスティックを動かす姿から目が離せません。
cinema staffの経歴
ここからはバンド結成からの軌跡を辿ります。
バンドの結成~インディーズデビュー
2003年、岐阜県の高校1年生だった辻、飯田、三島の3人によって前身バンドが始動。
高校2年生の頃には、三島がNUMBER GIRLの音楽を聴き、衝撃を受けます。これがcinema staffの作る音楽に大きな影響を与えました。
同じく岐阜出身のLiSAは、岐阜のライブハウスで切磋琢磨する間柄でした。
そして2006年には、三島が大学の音楽サークルで出会った同学年の久野をバンドに誘い、cinema staffが現在の形になります。
同年、ヤマハ主催の「TEENS’ MUSIC FESTIVAL」に出場。渋谷公会堂(現:LINE CUBE SHIBUYA)で開かれた決勝大会まで進み、バンドとしての頭角を現しました。
そこから東京にも遠征する機会を増やしつつ、音楽活動を続けていた4人。
そんな中、東京・高円寺で行ったライブが残響レコードの関係者の目に留まり、cinema staffは2008年にミニアルバム『document』でCDデビュー。
2010年3月には東京と名古屋で初のワンマンライブを開催し、活躍の舞台を広げていきます。
残響レコードは、9mm Parabellum Bulletなどを輩出したインディーズレーベル。
メジャーデビュー
2011年6月に初のフルアルバム『cinema staff』を発売。バンド名をタイトルに冠した同アルバムは、cinema staffの魅力を凝縮した作品となりました。
そして2012年6月20日、ポニーキャニオンからEP『into the green』でメジャーデビュー。
さらに勢いを増しながら、4人は精力的に楽曲発表やライブ活動を行っていきます。
2013年にはメジャーデビュー後初のフルアルバム『望郷』を発売。
本作は故郷への想いをあらゆる角度から描き出した意欲的なアルバムとなりました。
アルバムの完成からほどなくして、cinema staffにタイアップ曲の依頼が届きます。
これこそが、攻撃的かつ疾走感溢れるサウンドが響くナンバー『great escape』(※亀田誠治プロデュース)。
2013年8月に発売した同曲は、社会現象を巻き起こしたTVアニメ『進撃の巨人』の後期エンディングテーマに起用され、大きな話題を呼びます。
アニメイベントなど新しい場所で演奏する機会も増え、バンドを新たな地平に導く一曲となりました。
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憧れの舞台に立った4人
2010年よりセルフプロデュースを行い、個性豊かな楽曲を発表し続けてきたcinema staff。
一方で外部のプロデューサーを迎え、楽曲制作に新鮮な風を吹かせてきました。
- 亀田誠治
- 江口亮
- 竹内亮太郎
なかでも同郷の江口亮を迎えて制作したアルバム『eve』(2016年5月発売)では、ポップな面が大きく打ち出され、より幅広い層に届く楽曲が並びました。
そしてデビュー当初からいつか立ちたい場所と公言してきたのが、日比谷野外大音楽堂。2017年10月、ついに夢見た舞台に立つ瞬間が訪れます。
雨が降るドラマチックな風景の中、4人がこれまで培ってきた全てをぶつける演奏は、会場に詰め寄せた観客を魅了。
常に攻め続けてきたcinema staffのカッコよさが溢れ出たライブとなりました。
CDデビュー10周年と一時活動休止
2018年にはCDデビューから10周年を迎え、バンドはライブ漬けの濃密な日々を過ごすことに。
- ・cinema staff×アルカラ Split EP『undivided E.P.』RELEASE TOUR ~A.S.O.B.i~
- ・デビュー10周年記念ライブシリーズ two strike to(2) night~バトル・オブ・オオバコ
怒涛のライブイヤーだった2018年。
ボーカル・飯田の喉を休めるため、cinema staffはその年の12月から約3カ月に渡ってライブ活動を休止します。
休止期間を経て、2019年2月には再びTVアニメ『進撃の巨人』のエンディングテーマ担当が決定。3月からのライブ活動再開も発表されます。
3月には岐阜と東京でTHE BACK HORNとの初ツーマンライブを行い、ファンの前で再びエネルギッシュな姿を披露しました。
さらなる高みへ
2020年には新型コロナウイルスの影響で、cinema staffが予定していたライブも延期を余儀なくされます。
同年3月28日には、延期となった昭和女子大学人見記念講堂でのホールワンマンライブの代わりに、YouTubeで公開レコーディングを実施。
異例の試みで完成した楽曲は『3.28』のタイトルで配信リリースされました。
中々ライブができない状況下、自分たちの音を磨くことを突き詰めていた4人。
2021年11月には4年ぶりのアルバム『海底より愛をこめて』を発売します。ネガティブな感情をも自然な形で表現した同アルバムは、聴き手の心に優しく寄り添いました。
cinema staffが歩みを進めた先に見据えるのは日本武道館。
音楽と真摯に向き合いながら、進み続ける4人のさらなる活躍に期待が膨らみます。
cinema staffの魅力
ここからはcinema staffが放つ魅力を3つ紹介します。
激しいサウンドと美しい歌声が共存した楽曲
cinema staffの楽曲で特徴的なのは、轟音を響かせるサウンドの中でも光を放つ、ボーカル飯田の美しい歌声の存在です。
各々の演奏スキルの高さが遺憾なく発揮されたサウンドと、ボーカル飯田の美しい歌声が絶妙なバランスで共存した楽曲は、唯一無二の魅力を持ちます。
三島の紡ぐ物語性の高い歌詞や、聴き手の共感を呼ぶ歌詞にも要注目。
音楽活動で重きを置くライブ
cinema staffはライブに重きを置いたバンドであり、2018年がライブの1年になったことはその好例でしょう。
1つ1つのライブに全身全霊でぶつかってきたcinema staff。4人全員の個性が前面に押し出されたライブでは、火傷するほど高い熱量のパフォーマンスが観客を圧倒します。
地元・岐阜への愛
cinema staffは全国デビュー後も、地元・岐阜への想いを大切にするバンドです。
ライブの最初には「岐阜」から来たことを口にするのがお約束で、あらゆる場面で地元への想いを発信しています。
そんな岐阜への愛は、先にも触れたアルバム『望郷』を初め、楽曲やフェスの開催に結実。
なかでも2013年より始まったcinema staff主催フェス「OOPARTS」は盛り上がりを見せ、地元に密着した定番イベントとして成長しています。
cinema staffの楽曲3選
ここからはcinema staffの楽曲を3つ紹介します。
海について
cinema staffの楽曲には「海」をテーマにしたものが数多くあり、この『海について』は代表的な作品の1つです。
本楽曲は3部構成で、演奏時間が7分を超える大作。
ギター、ベース、ドラムの織り成すサウンドが心地よく、その中で伸びやかな歌声が美しく響きます。
後半で流れるハーモニカの音色はどこか懐かしい感覚を呼び起こし、感情に訴えかけるような飯田の歌声が胸を締め付ける楽曲です。
シャドウ
アルバム『blueprint』に収録された楽曲で、嫉妬や後悔を感じながらも前に進む決意が歌われています。
本楽曲が想起させるのは、熱い想いを胸に抱いて走り続けるcinema staffの姿。
目まぐるしく移り変わるドラマチックな展開に、共感を呼ぶ歌詞、そして力強い飯田の歌唱が胸に迫ります。
悩みながらも前に進む人の背中を押してくれる楽曲です。
Name of Love
TVアニメ『進撃の巨人』Season 3 Part.2のエンディングテーマに起用された楽曲。
ピアノから始まるイントロで楽曲の世界に引き込まれ、言葉の1つ1つを大切に歌い上げる飯田の心を込めた歌唱が、聴き手の心を強く揺さぶります。
聴き終わった後に、温かな涙がこぼれること必至の壮大なバラードです。
最新情報
「storyflow」MV公開
cinema staffが、最新アルバム「海底より愛をこめて」より「storyflow」のミュージック・ビデオを公開しました。
最後に
一歩一歩、着実に歩みを進めてきたcinema staff。
彼らの奏でる音楽の先には、いつもファンと故郷・岐阜の存在があります。
確かな足取りで正直に音楽を続ける4人は、これからもきっと私たちに素晴らしい景色を見せてくれることでしょう。