女王蜂 【人気曲解説】唯一無二の存在感を放つバンドの人気曲10選

女王蜂 【人気曲解説】唯一無二の存在感を放つバンドの人気曲10選

2009年の結成以来、唯一無二の存在感とジャンルに縛られない楽曲で、人気を博しているバンド女王蜂

結成から10年以上が経ち、これまで発表した楽曲も70曲を超えています。今回はその中から女王蜂の名曲を10曲紹介していきます。

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女王蜂の名曲10選

女王蜂の押さえておきたい名曲を10曲紹介します。どの楽曲も女王蜂の歴史を語るうえで欠かせないものばかりです!

火炎


アニメ『どろろ』のタイアップにもなり、それに加えて、2020年の「THE FIRST TAKE」での歌唱によって更に曲の知名度は上がり、今や女王蜂の押しも押されもせぬ代表曲の1つとなりました。

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バージョン違いの「火炎(FLAME)」の再生数も含めると、2022年5月末現在、約2400万回再生で女王蜂のMVの再生数ではダントツの1位です。

バラード調で始まり、ラップ激しいギターソロもあり、更には琴の音色で和も感じさせ、とても4分足らずの曲とは思えないほどの情報量と表現力で、違う曲を何曲も聴いたような満足感を得られます。

リリースは2019年と比較的最近の楽曲ですが、原曲はアヴちゃんが16,7歳の頃に作ったものでかなり古くから存在していた曲でした。

次のシングルにこの曲を提出しようと思っていたところにアニメのタイアップが決まり、運命を感じたという逸話も!この話を聞いてもなお、『どろろ』のために書き下ろされたのではないかと思うほどアニメの世界観にもマッチしています。

しかしその一方で、歌いだしの「Party is over それでも踊りたかった」という歌詞は、バンドと向き合い続けたアヴちゃんが言いたかったフレーズでもあり、「火炎」は女王蜂の歴史を振り返っても大きな意味を持った曲です。

『どろろ』のタイアップ曲として。そして、アヴちゃんが女王蜂と向き合った曲として。2つの側面から楽しめる「火炎」は女王蜂を聴き始めるならまず聴くべき1曲です!

HALF

2018年にアニメ『東京喰種:re』のエンディングテーマとして発表されたのがこの曲。

深い歌詞も女王蜂の魅力の1つですが、「HALF」もアヴちゃんの自伝的な歌詞が心に突き刺さる名曲になっています。

半分だって思ったことないぜ」という歌詞は「ジェンダー」や「混血」などの言葉が連想されることが多い女王蜂が歌うからこそ、特段の説得力が生まれる言葉です。多様性を認めてくれるような歌詞に力強さを感じずにはいられません。

曲調に目を向けると、へヴィなギターサウンドが悠々としたテンポの曲調に乗って、「このギターを聴け!」と言わんばかりに存在感を放っています。この堂々としている曲調に、広い会場でも十分届きそうなスケールを感じることができ、「人間の二面性」という曲の普遍的なテーマにさらなる説得力を与えています。

アヴちゃんはこの曲のインタビューで、

「速いのか遅いのか、暗いのか明るいのか、言いきれないのが人間らしい。暗いだけ・明るいだけの人間はいなくて、どちらもあるのが人間じゃないですか。」

と話しており、テンポ曲の明るさなど、どちらとも取れる要素を持たせて、両面ある人間らしさを狙って表現しているのが分かります。

アニメのタイアップで沢山の人に届いたのと同時に、人間の二面性というテーマに沢山の人が共感し、「HALF」はより多くの支持を得ることになりました。

女王蜂の名前をより全国的にしたという意味では、「火炎」とともに双璧をなす曲です。

催眠術

女王蜂はバンドという体を成しているものの、バンドならではの音」という固定観念をいつも吹き飛ばしてしまう程の楽曲を我々に提供してくれます。それを感じられる1曲にこの「催眠術」が挙げられます。

ビブラートが印象的なギターリフが頭に残って仕方がありません。この曲を象徴するようなフレーズで、まさに催眠術にかけられているようです。

ギターが一定のリズムで聞こえてくるうえに、アヴちゃんの歌唱もラップのようなので、さながらヒップホップを聴いている感覚になります。

しかしそれだけに終始せず、サビになると、激しいアレンジに変化し、そしてまたメロになるとヒップホップのような横ノリのリズムに戻ってまたサビでは縦ノリに…と、リズムの緩急が凄まじく、この曲の中毒性を高めている要因の1つになっています。

1曲の中で女王蜂が持つ音楽性の受け皿の広さをまざまざと見せつけられる楽曲です。

金星

比較的悲しげな曲が多い女王蜂において、珍しく明るい曲調で光輝く部分を表現した楽曲になっています。キラキラしたミラーボールがイメージできるようなディスコサウンドが心地よく、踊りたくなるほどです。

「金星」が発表された2016年、邦ロック界では4つ打ちの踊れる曲が全盛の時代でした。アヴちゃんはそれらを聴きながらこの曲を作ったと話しています。

確かに4つ打ちではあるものの、テンポは緩く、テンションの高さや疾走感がトレンドだった、当時流行の4つ打ちサウンドとは一線を画しており、女王蜂流のオシャレな4つ打ちに仕上がっています。

またMVでは、アヴちゃんがスーツを着てかっこよく踊っているのが印象的!いつもは女性を表現することが多いアヴちゃんですが、このMVに関しては男らしいアヴちゃんが観られる貴重な映像でもあります。

聴覚的にも視覚的にも、他の女王蜂の楽曲との違いを味わえるのでオススメです!。

デスコ

2011年に公開された映画『モテキ』のメインテーマとしてお馴染みの「デスコ」。女王蜂が結成から2年で世に見つかるきっかけになった楽曲であり、初期の女王蜂を語るためには欠かせない人気曲です。

パンクロック歌謡曲ダンス…さまざまな音楽がミックスされた曲を奇抜なビジュアルのバンドが演奏する…。印象に残らない方が難しいほど。

結成した2009年からこの曲は存在しており、その頃から世界観がしっかりした楽曲でした。

結成間もない頃の「デスコ」のライブ映像が残っていますが、何年も活動しているかのような風格とクオリティで、唯一無二の存在感はもう既に備わっていました。

インディーズでのライブが話題になり、第一線で活躍しているバンドマン達がこぞって「女王蜂の『デスコ』って曲がやばい」と話題にしていたという話も。

その後、2010年のフジロックに出演、そのライブを観たアパレルブランド「ヒステリックグラマー」のデザイナーのつながりで同ブランドのパーティーに出演、そのパーティーにモテキ』の大根仁監督が出席しており、映画のタイアップが決まります。

口コミで話題になっていった「デスコ」は沢山の縁を作っていき、女王蜂最初のブレイクに繋がった曲になりました。

女王蜂の活動初期特有のピリピリした雰囲気ポップさを同時に味わえる珠玉の名曲も是非押さえておきたい1曲です。

Introduction

作詞作曲も行い、表現力やカリスマ性が凄まじいため、女王蜂はどうしてもアヴちゃんに目が行きがちになるのですが、楽器隊の素晴らしさも見逃せません

特にこの「Introduction」は演奏の見せ場が分かりやすい楽曲です。

ギターリフは歌そのものよりも口ずさみやすいほどキャッチー。そのため、イントロで使われたり、サビのような役割も果たしたりと全編で聞こえてきます。そして、エレキギターだけでなくアコースティックギターも途中で入り、曲のアクセントをつけるのに一役買っています。

また、ベースと歌のみになるパートもあり、やしちゃんがスラップをクールに決める部分も見せ場のひとつです!

ドラムは叩く叩かないのメリハリがある曲のため、ドラムが鳴っている時の存在感と安定感は絶大。所々で曲のテンションを高揚させるフレーズもあり、まさにタイトルの和訳である「始まり」を思わせるワクワク感を演出してくれます。

アヴちゃんだけではない、女王蜂のバンド全体としての魅力が随所に表れている名曲です。

DANCE DANCE DANCE

2017年にリリースされたアルバム「Q」に収録されている、タイトル通りダンサブルなナンバーです。

メロがひたすら繰り返されて、サビはどこだと思わせる曲構成が、枠にハマらない曲を生み出し続ける女王蜂らしいです。そして、ピアノの旋律を際立たせるパートも設けて、繰り返しだけでは終わらずに静けさを演出して、単調にならないような工夫も盛り込まれています。

曲の内容は恋愛にまつわるもので、歌詞に何度も登場する

BOY MEETS GIRL
BOY MEETS BOY
GIRL MEETS GIRL

というフレーズには男女間だけではないさまざまな間柄の色恋の形を想像できます。

歌詞にも曲構成にもそれまでの既成概念を壊す力があり、女王蜂の中でもとりたてて前衛的な楽曲です。

BL

低音のギターリフとピアノのイントロから既にダークな曲なのが想像できる「BL」。曲中はあえて鳴らさないパートがあり、音に隙間を感じます。バンドのアンサンブルというより、音の少なさで感じる不穏さを堪能するための曲調になっています。

BL」はサビの歌詞「Black Love」「Black Life」の頭文字をとったものです。また他にも「Blue」や「Border Line」というワードが出てきますがそれらも「BL」と略すことができ、より「BL」が意味深長な言葉だと気付きます

HALF」で、スタジアム級のスケールを見せていた女王蜂ですが、インディーズの頃によく見られていたダークな要素も女王蜂の魅力の1つでした。メジャーで活動するにつれ、そういった要素は薄くなるものですが、女王蜂はメジャーでもダークさを表現しています。しかもアルバムの中の1曲ではなく、表題曲として発表する辺りに女王蜂の攻撃的な姿勢が感じられます。

ただの暗い曲であれば、近寄りがたく、聴くのに苦痛になる場合もありますが、「BL」は暗さの中にも、抑揚表現サビの凄み艶かしい歌声などアヴちゃんの表現力を中心に聞き所が満載なので、1つのエンターテイメントとして飽きずに聴けるのが魅力です。

「ダーク」や「アングラ」という言葉だけでは片付けられない、更に深い魅力を体験してみてはいかがでしょうか。

売春

ショッキングなタイトルとそれとは裏腹な優しい曲調とのギャップに2度面食らってしまう「売春」。

アヴちゃんが男声と女声の1人2役をこなすひとりデュエット曲」です。

世の中にデュエット曲は多数ありますが、1人で歌う人はまずいません。さらにアヴちゃんは、はっきり男女を分けて歌う芸の細かさも備えていて、言葉の発音1つ1つにそれぞれ男性らしさ、女性らしさが感じられます。男性にも女性にもなれるアヴちゃんだからこそ歌える曲です。

そして、売春や不倫がテーマなだけあって、不埒な関係ゆえに終わりがある「かなしさ」いけないことと分かっていても止められない「かなしさ」などさまざまな「かなしさ」が入り交じっていて、悪い事とはいえ、切ない世界観に胸が苦しくなります。

「売春」という独特な題材とアヴちゃんの専売特許のひとりデュエットが融合したオリジナリティ溢れるこの楽曲も女王蜂を楽しむ上で欠かせません。

ヴィーナス

ドラマ『怪奇恋愛作戦』のオープニングのために書き下ろされた曲。

この曲の前に、アヴちゃんがタイアップ先へ自信作を提出しましたが、ボツになってしまい、むくれながら即興でピアノを弾いていると「ヴィーナス」が出来たというエピソードがあります。エンタメを諦めることでエンタメになった曲と語っています。

ピアノで作られた曲ではあるものの、イントロをはじめ、随所に印象的なギターフレーズが散りばめられているのが聞き所の1つです。

フレーズはギターのひばりくんが考えたもので、彼が女王蜂に正式加入後、初のシングルというのもあり、名刺代わりのギタープレイが光る楽曲です。

ひばりくんが加入してからの女王蜂は、ギターでの表現の自由が効くようになり、活動当初からあった音楽性の幅がより広くなりました。

初期の女王蜂にもギターサウンドが際立つ楽曲はありましたが、それは激しさや衝動を表現しているものがほとんどでした。もちろん「ヴィーナス」のギターにも激しさはあるのですが、それに加えて、転調部分でのギターサウンドには切なさや優雅さを感じられるなど、音楽的引き出しが増えています。

初期の良さも踏襲しつつ、より洗練されたのが「ヴィーナス」なのです。

女王蜂再始動後、初のシングルというのもありますが、音楽性の変化の一端をここで垣間見られるので、女王蜂の歴史の中でも大切な1曲になっています。

まとめ

女王蜂の楽曲を聴いていると、ジャンルで音楽を聴くのが勿体ないという気持ちになり、「どれだけかっこいいか」というシンプルなものさしで良いのだと再認識させられます。

それは、ヒップホップロックディスコなどさまざまな曲調をない交ぜにして自分達の楽曲に落とし込んでいるから感じられるもので、さまざまな曲調を聴けて飽きがこないのも女王蜂の楽曲の魅力です。

こちらで紹介した以外にも沢山の名曲がまだまだあります!ジャンルの垣根を飛び越えて、予想もつかない展開が楽しめる女王蜂のサウンドに、1度耳を傾けてはいかがでしょうか。

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