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2003年の隠れた名曲
I
作詞・作曲:堂本光一 編曲:松本良喜
『I』は、2003年にリリースされた『薄荷キャンディ―』のカップリング曲です。
通常盤のみに収録されているということで、まさに”隠れた名曲”の1つ。
光一さんが作詞・作曲、そしてメインボーカルも担当し、剛さんは随所に登場するコーラスで参加しています。
歌詞の内容は、愛に翻弄される女性による心情の吐露。凛とした女性の強さと脆さが、ジャズを基調としたオシャレな曲調の中で艶やかに表現されています。
活動初期に手掛けた楽曲ながら非常にクオリティーが高く、現在もファンから愛され続ける楽曲です。
『I』は、2003年8月13日に発売されたKinKi Kidsの18thシングル『薄荷キャンディー』の通常盤に収録。
Bonnie Butterfly
作詞・作曲:井手コウジ 編曲:米光 亮 / 井手コウジ
續いてご紹介する『Bonnie Butterfly』は、キンキの楽曲の中でもひと際異なる魅力を放つ楽曲です。
「Bonnie」とは、スコットランド方言で「美しい、可憐な、魅力的な」という意味。タイトルからは可憐な蝶が優雅に舞い飛ぶさまが想像できます。
冒頭の英語詞では、甘い言葉で相手の心を開きながら『Bonnie Butterfly』の世界観に一気に惹きこみます。
この楽曲は、遊び心満載な言葉選びが至る所に散りばめられています。
例えば、「ジンのアイス溶ける真夜中 意味ないDryな言葉を交わしてる」という歌詞。
ここで登場するお酒「ジン」からは、一般的に最も使われることが多いドライ・ジンが連想されます。
辛口を意味するお酒のドライと「Dryな(乾いた)言葉」という歌詞が上手く掛け合わされています。なんとかして君を手に入れたい僕と、そんな彼の好意に気づきながら駆け引きを楽しむ魅力的な君という構図が浮かび上がります。
『Bonnie Butterfly』の斬新さは、刹那的な恋愛のように見えて非常に深い愛情が描かれている点です。
ここで興味深いのが、楽曲の後半に登場する「BonnieとClydeのように逃げて堕ちていきたい」というフレーズ。
このBonnie and Clydeというのは1930年代に実在した世界的に有名な犯罪者カップルのこと。後に、彼らを題材にして小説化や映画化されるなど、様々な作品に影響を与えました。
ドキッとさせるような危うさが、魅惑的な『Bonnie Butterfly』をより引き立たせます。同時にその愛の深さゆえに2人の世界に堕落していきたいという気持ちがダイレクトに伝わってきます。
『Bonnie Butterfly』は、2003年10月22日に発売されたKinKi Kidsの7thアルバム『G album – 24/7 -』に収録。2014年12月10日に発売された『M album』ではセルフカバー・バージョンが収録されている他、ベスト・アルバム『39』では、ファン投票で12位にランクインしています。
2005‐2006年の隠れた名曲
春雷
作詞:上田ケンジ 作曲:小田原友洋 編曲:十川知司
つづいてご紹介するのは『春雷』(しゅんらい)です。
「春雷」とは、春の到来を告げる雷のこと。この雷の音で虫が目覚めることから「虫出しの雷」とも呼ばれています。
歌詞は、1枚の写真に写った見知らぬ女性に主人公が感情移入するところから始まります。
まさに雷に打たれたような衝撃とはこのことでしょう。その衝動は、主人公を彼女の元へと駆り立てます。
出会いと別れが入り混じる春。「春雷」を合図に、主人公は今までの自分から卒業して新たな一歩を踏み出そうとします。
アコースティックな楽曲ながら、内面に湧き上がる激しい感情を汲み取ったサウンドに仕上がっています。
『春雷』は2005年6月15日に発売されたKinKi Kidsの21stシングル『ビロードの闇』に収録。ベスト・アルバム『39』では、堂本剛さんが好きな曲の1つとして「TSUYOSHI’S FAVORITE」に収録されています。
雪白の月
作詞:Satomi 作曲:松本良喜 編曲:十川知司
つづいて『雪白の月』をご紹介します。この楽曲はファンにとって有名すぎる名曲でしょう。
本作は2005年にリリースされた『SNOW! SNOW! SNOW!』の通常盤のみに収録されたカップリング曲。
ジャニーズJr.がコンサートでカバーしていることもあり、キンキファンのみならずジャニーズファン全体を通して愛されている楽曲です。
作詞したSatomiさんと作曲した松本良喜さんは、中島美嘉さんの『雪の華』やRUI(柴咲コウ)さんの『月のしずく』等を手掛けてきた名コンビ。
KinKi Kidsの楽曲では『Harmony of December』に収録されたカップリング曲『孤独の街角』を共作しています。丁寧かつ美しい心理描写で珠玉のバラードをいくつも生み出してきました。
『雪白の月』では、過去の恋に思いを馳せる主人公の切ない感情が投影されています。
特にサビでは、実声とファルセットを巧みに使いこなすことで、感情の高ぶりやセンチメンタルな気持ちを見事に表現しました。
そして最大の魅力は、何と言ってもキンキならではの美しいハーモニーです。主旋律もハモリの旋律も共にメロディーとして確立しているのが心地よさを感じさせます。
個性と個性が重なることでさらなる魅力が生まれるという、まさにKinKi Kidsそのもののような音楽構成もまた『雪白の月』の人気の高さの理由ではないでしょうか。
『雪白の月』は、2005年12月21日に発売された22ndシングル『SNOW! SNOW! SNOW!』の通常盤に収録。ベスト・アルバム『39』ではファン投票で3位にランクインしています。
孤独の街角
作詞:Satomi 作曲:松本良喜 編曲:吉田建
続いてご紹介する『孤独の街角』は、哀愁漂うメランコリックな楽曲です。
デビュー曲の『硝子の少年』にも通じることですが、ここまで「雨」の表現が似合うアイドルは未だかつていたでしょうか。
本作も失恋をテーマに書き下ろされました。恋人と別れた主人公は、失って初めてその存在の大切さを痛感します。恋人と共に過ごした街を眺めながら、やりきれない思いを独り噛み締めるのでした。
先ほどご紹介した通り、本作では『雪白の月』を手掛けたSatomiさんと松本良喜さんが再びタッグを組みました。本作ではギターをメインに据え、情熱的なスパニッシュのテイストが取り入れられています。どこか懐かしさもありながら、切れ味抜群の斬新さも忘れない名曲に仕上がりました。
『孤独の街角』は、2006年11月29日に発売されたKinKi Kidsの24thシングル『Harmony of December』に収録されたカップリング曲。