目次
2009年の隠れた名曲
面影
作詞:前田たかひろ 作曲:原一博 編曲:CHOKKAKU
『面影』は、大人っぽさ全開のメロディアスな楽曲です。
作詞を担当した前田たかひろさんは『面影』以外にもキンキの楽曲を数多く手掛け、『キミハカルマ』『99%LIBERTY』『ユメハジメハナ』といった名曲を世に送り出してきました。
作曲の原一博さんは、ジャニーズだけでなくJ-POP界を長年支えてきた音楽プロデューサーです。EXILE、浜崎あゆみ、小柳ゆきをはじめとした豪華アーティストに多数楽曲提供してきました。
ちなみに前田さんと原さんはKinKi Kidsの『エゴイスティック・ロマンス』でもそれぞれ作詞・作曲を担当しています。
『面影』において特筆すべき点は、歌詞とメロディーの融合です。
特にAメロに注目すると、歌詞のアクセントと音程の上がる箇所がほぼ一致しているため、日本語の自然なニュアンスが見事に活かされているのです。
だからこそ、その後に続くやや機械的なBメロがアクセントとなり、楽曲にメリハリが生まれました。
最も強調したいであろう「夢ではあなたを抱けない」というフレーズでは、あえて音を減らすことで聴き手を惹きつけています。
そこで初めて繰り返されるテーマは夢うつつな雰囲気を誘い、つづくハモリで「あなた」を失った絶望感や諦めを感じさせます。
聴けば聴くほど楽曲の内容を掘り下げたくなるような奥深い作品でした。
『面影』は、2009年10月28日に発売されたKinKi Kidsの29thシングル『スワンソング』の通常盤に収録されたカップリング曲。
Missing
作詞:新美香 作曲:Anna Engh・Fredrik“Figge”Bostrom 編曲:CHOKKAKU
『Missing』は、キンキの楽曲の中でも珍しく全編英語詞の楽曲です。
作詞した新美香さんは、アメリカ生まれの帰国子女ということで非常に英語が堪能な作詞家です。
キンキの『Nothing but you』の作詞や、『Love Me More』『Love and Loneliness』『Why don’t you dance with me?』を始めとした光一さんのソロ曲を数多く手掛けています。
『Missing』とは「(あるべきものが)欠けている、見当たらない、抜けている」という意味。
タイトル通り、この楽曲では隣にいるべき大切な人を失ってしまった主人公の心情が描かれています。
この楽曲で特徴的なのは、空の情景が描かれていることです。1番では昼間の青空、そして2番では月の浮かぶ夜空を眺める様子が描写されています。
それらの景色が晴れやかで美しいほど、主人公は自分が失ったものの大きさを静かに思い知らされるのです。
切なくも明るい曲調は、穏やかな雰囲気の中に確実な痛みを感じさせるのでした。
『Missing』は、2009年12月9日に発売された11thアルバム『J album』に収録。
2012年の隠れた名曲
ユキムシ
作詞・作曲:canna 編曲:家原正樹
『ユキムシ』は、2012年にリリースされたシングル『変わったかたちの石』のカップリング曲です。
『青の時代』や『もう君以外愛せない』等を手掛けたcannaが作詞・作曲を担当しました。
「雪虫」とはいわゆる「アブラムシ」のこと。綿に包まれたような見た目から雪虫と呼ばれるようになりました。
北海道や東北地方のような寒い地域に生息しており、初雪が降る前に出てくることから冬の風物詩として有名です。
『ユキムシ』で描かれているのは、おそらく元々は幼馴染だった恋人との遠距離恋愛ではないでしょうか。恋人と離れてから幾度となく迎えた季節の変わり目を「ユキムシ」を通して詩的に表現しています。
この楽曲に胸を掴まれる理由として、間接的な表現で登場人物の心情を表現していることが挙げられます。
日常風景を客観的に捉えた描写からは、君の帰りを待ち望みながら過ごす主人公の想いが滲み出しています。
また、本作では「『ただいま』って そっと 笑った」のように台詞を交えた歌詞が何度か登場します。これらのフレーズは、台詞を言った人物の様子だけでなく、それを受けた相手の表情や反応も同時に想像させることが出来るのです。
なかなか会えず切ない時間を過ごしてきた2人だからこそ、実際に会えた時の喜びや愛おしさは言葉では言い尽くせません。
『ユキムシ』は、2012年1月11日に発売されたKinKi Kidsの32ndシングル『変わったかたちの石』の通常盤に収録。
最後に
今回は、KinKi Kidsの隠れた名曲・前編として、デビューから15周年までの楽曲を11曲厳選してご紹介しました。
後編では、近年にリリースされたシングルやアルバムを中心に隠れた名曲をご紹介します。
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