今回は、Zepp Nambaの10周年記念ライブやJAPAN JAM 2022など、メジャーデビュー30周年を越えてもライブ活動が活発で、今でも10代~20代の邦ロックファンも魅了している、国民的バンドスピッツ特集です。
スピッツと言えば、「ロビンソン」「空も飛べるはず」「夢じゃない」「スターゲイザー」「優しいあの子」などヒット曲揃いですが、これまでに生み出してきた名曲はまだまだあります!
全てを紹介しようとすると途方もない数になるので、知らない人にはぜひ聴いて欲しい、知ってる人には『それそれ!』と頷いてもらいたい、厳選した隠れた名曲10選をご紹介します!
目次
スピッツ・経歴
音楽を聴かない人でもバンド名は一度は聞いたことがあるであろうスピッツは、東京造形大学に通っていたギター・ヴォーカル草野マサムネさんとベース田村明浩さんを中心として、後にギターの三輪テツヤさんとドラムの﨑山龍男さんが加わり、1987年に結成。
1991年3月にシングル「ヒバリのこころ」と、アルバム「スピッツ」の同時リリースでメジャーデビューしています。
当時は音楽雑誌には取り上げられていたものの、チャートにランクインすることはなくセールスも伸び悩んでいました。
転機は1993年に外部プロデューサーを迎えて制作を始めたこと、ヒット曲をよく知るプロデューサーに舵取りを委ねたことで、「裸のままで」「君が思い出になる前に」といったヒットシングルを連発。
そして、1995年4月の11th シングル「ロビンソン」の大ヒットをきっかけにして、以降オリコンチャートトップ10の常連になりました。
またライブハウス出身のバンドということもあって、小さなライブハウスからアリーナ、野外まで、多数のイベントやフェスにも出演し、ライブバンドとしての確固たる評価も獲得していきました。
さらには、草野マサムネさんのやさしい歌声と穏やかでキャッチーな楽曲で、多くの映画やドラマ、CMなどにも起用されています。
映像が浮かぶ情景描写、アートや文学、哲学からの影響も感じさせる奥深さもあって、スピッツ好きを公言するアーティストや文化人も多く、多くのフォロワーも生み出しています。
スピッツ・隠れた名曲10選
僕のギター
スピッツの楽曲は、草野マサムネさんの透明感のある声と哲学的で文学的でもある歌詞が特徴的とよく言われますが、演奏面においてもスピッツらしさが表れています。
演奏スキルが高い猛者揃いのメンバーの中でも、サウンドで最もスピッツらしさに貢献しているのは、ギターの三輪テツヤさんです!
「ロビンソン」のイントロに代表されるアルペジオのフレーズと、基本に忠実で丁寧なうえに安定しているギタープレイで、スピッツを牽引しています。
涼し気なアートワークが印象的な、2007年リリースの12th アルバム「さざなみCD」の1曲目を飾る「僕のギター」は、スピッツファンの中でも評価が高い隠れた名曲のひとつ。
エレキとアコギの2種類のギターが、雨の中のストリートミュージシャンをイメージしたこの曲を彩っています。
草野マサムネさんの優しい歌声が始まり、進むにつれて次第に伸びやかな歌声に変わり曲もドラマチックに展開していく、壮大なスケールの楽曲です。
仲良し
1998年リリースの8th アルバム「フェイクファー」に収録されている「仲良し」は、17th シングル「運命の人」のカップリングですが、元々はA面候補として制作されていました。
アルバムとシングルでは、それぞれ別バージョンの「仲良し」が収録されています。
結成当初はチーターズやザ・スピッツとしてパンクなどの激しい音を鳴らしていたスピッツでしたが、THE BLUE HEARTSの「人にやさしく」に衝撃を受けて一時活動を休止し、後にスピッツとして改めて活動を開始したのは、スピッツを語るうえで欠かせない有名なエピソードです。
朗らかで牧歌的でもあるアコギから始まる「仲良し」は、ふと昔の恋が頭をよぎった瞬間を描いたような3分にも満たない曲であり、そのことが短い曲が多いパンクロックをしていた、わかりやすく尖っていた頃のスピッツを思い起こさせてくれます。
鳥になって
インディーズ時代にすでに制作されていた楽曲で、1991年10月にリリースされた3rd シングル「魔女旅に出る」のカップリングが「鳥になって」です。
スピッツも特に思い入れのあるインディーズ時代の代表曲で、インディーズの頃やカップリングを集めた1999年3月リリースのアルバム「花鳥風月」に収録。
1988年に「鳥になって」と「UFOの見える丘」を収録した、自主製作で限定1000枚リリースした今では貴重なソノシートには、数万円の価値がついたことも。
ソノシートの頃のパンクな「鳥になって」は、前のめり気味なギターとドラムで、ヴォーカルを引っ張っていますが、新たにレコーディングされたCD版では、草野マサムネさんの伸びやかな歌声を活かす為に、ギターとリズム隊は後方に下がっています。
ワタリ
ゲスの極み乙女の川谷絵音さんは、別バンドIndigo la End(インディゴ ラ エンド)のインディゴを、スピッツの7th アルバム「インディゴ地平線」から発想したほどのスピッツファンですが、特に好きな曲にあげているのが「ワタリ」です。
前作の10th アルバム「三日月ロック」に引き続き、プロデューサーで東京事変のメンバーでもある亀田誠治さんがプロデュースした、11th アルバム「スーベニア」収録曲です。
スピッツのメンバーが日本一のエンジニアと信頼する、高山徹さんがレコ―デング・エンジニアを担当。
以来現在まで、亀田誠治さんと高山徹さんのタッグがスピッツの楽曲制作を手掛けています。
アルペジオに合わせて、
誰のせいでもねえ すべて俺のせい
可笑しいほど白い花を手に持って
と始まりドラムのビートで推進していく、ロックなスピッツ全開の一曲です。
猫になりたい
スピッツのファンクラブ限定ライブ「GO!GO!スカンジナビア」で演奏して欲しい曲アンケートにおいて、あまりの人気から殿堂入りしてしまったほど、ファンから愛されている「猫になりたい」。
1994年7月の9th シングル「青い車」のカップリング曲としてリリースされましたが、たわしにヒゲを描いて猫に見立てたCDジャケットからもわかるように、当初はこの曲がA面になる予定でした。
スピッツのトリビュート・アルバム「一期一会 Sweets for my SPITZ」では、椎名林檎さん、松任谷由実さん、奥田民生さんなどがカバーしていますが、中でもほんわかした雰囲気のつじあやのさんが歌う「猫になりたい」が白眉の出来と絶賛されています。
猫になりたい 君の腕の中
寂しい夜が終わるまでここにいたいよ
甘えたい気持ちを歌っていると思いきや、
猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ
と時折ドキッとすることを言う点も、スピッツらしいと思わされます。