星野源と聞いて皆さんはどういう印象を持つでしょうか?
「恋ダンス」?「逃げ恥」?あるいは「うちで踊ろう」?
いずれにせよ、星野源のイメージというのは「ポップな好青年」といったものがほとんどだと思います。
ただ、音楽家としての星野源、星野源の音楽の魅力を分析すると、実はかなり一筋縄ではいかない存在なんです。
少なくともただの売れ線J-Popアーティストで片付けてはいけない、そういうかなりコアな存在です。
今回は星野源の音楽が持つ魅力について迫っていきたいと思います。
目次
ブラックミュージックからの影響
まず、彼の音楽の最大の特徴として挙げられるのはブラック・ミュージックからの影響です。邦楽をメインで聴く人には馴染みの薄いジャンルですよね。
ブラック・ミュージックとは文字通り、アフリカン・アメリカンが培ってきたポピュラー音楽の総称です。ソウルやファンク、ヒップホップなんかもこのジャンルに入ります。
具体的に例を挙げると、『SUN』という楽曲。
星野源の代表曲で、聴いたことがある人も多いと思います。
とてもポップでキャッチーな曲ですが、実はこの曲は「キング・オブ・ポップ」、マイケル・ジャクソンに捧げた曲なんです。
2番に出てくる「hey J !」という歌詞。この「J」というのはマイケル・ジャクソンのこと。
歌詞も彼にあてたものですし、音楽的にも彼へのリスペクトが感じられます。『ロック・ウィズ・ユー』という楽曲と聴き比べるとわかりやすいでしょうか。
他にも例えばプリンスにディアンジェロ、ケンドリック・ラマーといったブラック・ミュージック界の重鎮からの影響を星野源は公言していますが、他のJ-Popではあまり感じられないブラック・ミュージックの質感というのは星野源の音楽の大きな魅力の1つです。
付け加えると、これは彼の音楽そのものというより、音楽に対する姿勢の問題ですが、ブラック・ミュージックを邦楽的に表現するということに星野源はとても自覚的です。
それこそ『SUN』の収録されているアルバムのタイトルは『YELLOW DANCER』。この「YELLOW」というのは「黄色人種」のことです。
ルーツであるブラック・ミュージックを大事にしつつも、日本人の日本人による日本人のための音楽であることを忘れない。これも、星野源の音楽の魅力の大きな根拠だと思います。
余談ですが、この「日本人としての音楽」に意識的というのは、おそらくはYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)にヒントを得ていると予想できます。YMOの主宰である細野晴臣と星野源は親しい間柄で有名ですから。