テレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌がヒットしたことにより、グッと認知度を高めたトラックメイカー「STUTS(スタッツ)」。
とはいえ、まだまだ彼のことをよく知らないという人は多いはず。
「そもそもトラックメイカーって何!?」と思っている人も少なくないでしょう。
そこでこの記事ではSTUTSのプロフィールや肩書について、人気曲と合わせて紹介します。
目次
STUTSのプロフィール
「STUTS(スタッツ)」は愛知県・名古屋市出身のアーティスト。
“アーティスト”というとボーカリストやバンドマンをイメージする方も多いかと思いますが、彼は「トラックメイカー」として活動しています。
あまり聞きなれない肩書きですが、それもそのはず。
実は「トラックメイカー」という言葉が使われるのは主に日本のみで、一般的には「プロデューサー」や「ビートメイカー」と呼ばれています。
具体的な活動内容は、ボーカルがない楽曲「インストゥルメンタル」を制作すること。
STUTSは自身の楽曲もリリースしつつ、様々なアーティストのボーカル以外の音(=バッキングトラック)の制作を手がけています。
つまり、彼はアーティスト兼音楽プロデューサー。
平成生まれの若手ですが様々なアーティストの楽曲制作に関わっており、ヒップホップ等を好む一部の層からは絶大な支持を集めている存在なのです。
STUTSの経歴
STUTSは1989年生まれのまだまだ若いアーティスト。
しかし、その経歴は学歴を含め驚きの連発です…!
彼はどのような道を歩んできたのか、デビュー前と後に分けて紹介します。
幼少期〜高校時代
STUTSが初めてCDを手にしたのは小学校6年生のころ。
ツインボーカルユニット「CHEMISTRY(ケミストリー)」の1stアルバム「The Way We Are」を購入したんだそう。
すると、そこに収録されていた「BROTHERHOOD」という楽曲で初めてラップに触れ、ヒップホップに興味を持ち始めます。
当時は「ヒップホップが好き」という認識はなかったものの、のちに流行する「RIP SLYME」や「KICK THE CAN CREW」を聴くうちに、ヒップホップの虜に。
中学校生活の後半はよりコアなヒップホップミュージックを聴くようになり、ここで初めて「ラップをしたい」と思うようになります。
しかし、ラップをするビートがないことに気づいたSTUTSはビート作りに着手。
そのままのめり込み、高校生の時にサンプリングマシンを購入し本格的なトラック作りを始めました。
ちなみに、この時に購入した「MPC 1000」というサンプリングマシンが、今のSTUTSのスタイルの原点。
トラック作りは雑誌や本を参考に独学で始めたそうです。
STUTSは名門校「ラ・サール中学校・高等学校」出身。
鹿児島県で寮生活をしながら音楽活動をはじめました。
しかし、当時の友人にヒップホップを勧めてもあまり良い反応は得られなかったんだとか。
上京〜デビュー
高校を卒業すると、STUTSはなんと東京大学に進学。
それと同時に上京し、東京のクラブでDJとして活動し始めます。
この頃から自作のCDを配り始め、知り合った人にトラックを提供するという活動もスタート。
さらに「もっと自分の曲を聞いてほしい」と思ったSTUTSは、自らサンプリングマシンを叩くというパフォーマンスも始めます。
当時は珍しかったサンプリングマシンの生演奏が話題を呼び、バックミュージシャンからソロのショーケースまで様々なライブを決行。
徐々に自信をつけていく中で、ついにSTUTSの転機となるある出来事が起こります。
それが、大学の卒業を記念して行ったNY旅行。
ハーレムの路上でライブを行うと多くの人を惹きつけ、さらにその様子を撮影した動画がYouTube上で話題に。
これを機にイベント出演やトラック提供の依頼が増え、2016年4月に初のアルバム「Pushin’」をリリースしたのでした。
デビュー後
1stアルバム「Pushin’」のリリースによりさらに注目を集め始めたSTUTSは、2017年にロサンゼルスで行われたクラブイベント「Low End Theory」に参加。
さらに現地でWEBラジオへ出演、複数のライブを敢行します。
帰国後は「Alfred Beach Sandal」とミニアルバム「ABS+STUTS」を、「鈴木真海子」「SIKK-O」とともにEP「ALLSEASON EP.」をリリース。
翌2018年には「星野源」の楽曲「The Shower」にMPCプレイヤーとして参加すると、半年後にリリースされた「アイデア」でも起用され、MVへの出演も果たします。
現在も星野源のバックバンドで活動していることがあります。
音楽番組等にもさりげなく出演しているので、要チェックです!
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また、同年には2ndアルバム「Eutopia」をリリース。
日本でもビートメイカーとしての認知度を高めて行く中、様々なアーティストへのトラック提供、楽曲制作・編曲を積極的に行い続けます。
そんな中でひときわ脚光を浴びたのが、2021年に放送されたテレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」のために制作した「Presence」。
ベースは同じ曲ながらも様々なラッパーを迎え異なるアレンジを施し、エンディングでは毎週違うバージョンを流すという画期的な取り組みが話題を集めました。
この取り組みは音楽業界から高く評価され、今では国内外問わず注目される存在に。
2022年はどんな活躍を見せるのか、期待が高まっています。
STUTSの人気曲
「チルい」という言葉が新語・流行語大賞に選ばれましたが、STUTSの楽曲はまさに“チル”。
STUTSが制作に関わっている楽曲の中から、特に人気が高い曲をご紹介します。
Presence I(feat. KID FRESINO)
「Presence」は2021年4月にリリースされた楽曲。
テレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌として制作されたものの一曲で、メインボーカルをドラマで主演を務めた女優・松たか子が担当しています。
コーラスにはドラマで夫役を務めた岡田将生・松田龍平・角田晃広も「3exes」として参加。
これだけでも大変豪華ですが、同曲は「KID FRESINO」以外のラッパーを迎えた別の「Presence」が複数公開されたことでも大変話題になりました。
ドラマのエンディングでは毎週異なるバージョンが使用され、その画期的な発想から「第108回ザテレビジョン ドラマアカデミー賞ドラマソング賞」、「東京ドラマアウォード2021 主題歌賞」を受賞。
ドラマ主題歌の歴史に名を残す一曲となったのです。
もちろん、同曲はその発想だけでなく楽曲そのものも非常に魅力的。
哀愁漂うメロディー、松たか子の透き通るような歌声、それぞれのラッパーのアレンジが見事にマッチしています。
アルバム「Presence」では全アレンジを聴けるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
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夜を使いはたして feat. PUNPEE
「夜を使いはたして feat.PUNPEE」は2016年4月にリリースされた1stアルバム「Pushin’」に収録されている楽曲。
メロウなサウンドと人気ラッパー「PUNPEE」の小気味よいラップが癖になる一曲です。
<朝焼けを山手線で運んで走る帰路>というなんともエモい歌詞に象徴されるように、オールで飲んだり遊んだりした朝方に聞きたくなります。
深夜2時過ぎ、クローズが近くなったころのクラブで流されることも多いんだとか。
もちろん夜遊びをしない人が聴いても、心地よいメロディーとラップは魅力的。
リラックスしたいときに聴いてみてください。
Summer Situation
「Summer Situation」は2017年11月にリリースされたEP「ALLSEASON EP.」に収録されている楽曲。
メインボーカルはラップユニット「chelmico」としても活動している「鈴木真海子(すずき まみこ)」が務めています。
同曲は夏をテーマにした楽曲ですがイケイケノリノリな雰囲気ではなく、夏のけだるさを感じるようなサウンドが魅力的。
<近づくほどに遠くになって/遠くなるほどに近づくなんて>という歌詞も情緒的で、一味違った夏を味わいたいときにおすすめです。
同EPに収録されている「0℃の日曜」という楽曲もSTUTSの人気曲。
こちらでは冬の朝が歌われています。
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マジックアワー
「マジックアワー」は2019年7月にリリースされた楽曲。
コーヒー飲料のタイアップを受けて制作された、メロウなサマーチューンです。
同曲は人気ラッパ―「BIM」、RIP SLYMEのMC「RYO-Z」との豪華なコラボレーションでも話題に。
ギターには在日ファンクのギタリストである「仰木亮彦(おおぎ あきひこ)」も参加しているほか、実は歌詞も非常に豪華!
というのも、RIP SLYMEの「マタ逢ウ日マデ」やスチャダラパーの「サマージャム’95」など、名曲を彷彿とさせるリリックがちりばめられているのです。
夏の夕暮れを思わせるようなサウンドに浸りたくなりますが、ぜひ歌詞に集中してみてください。
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Changes(feat.JJJ)
「Changer feat. JJJ」は、2018年にリリースされた2ndアルバム「Eutopia」に収録されている楽曲。
のちにシングルカットされ、7インチ・レコード盤でもリリースされました。
コラボレーションしているのは、神奈川県川崎市出身のラッパー「JJJ」。
STUTS同様トラックメイカーとしても活動しており、自身のトラック集などもリリースしています。
同曲は美しさを感じるメロディーと、<全ての罪に目を瞑る>という歌詞から始まるJJJの優しいラップが魅力的。
2つが絶妙にマッチし、とても穏やかな世界へと連れて行ってくれます。
JJJとはSTUTSがDJとして活動していた大学生時代に出会ったそう。
現在は同じ事務所に所属しています。
STUTSのまとめ
「アーティスト=歌う人、楽器を演奏する人」という認識が強い人にとってはやや異質な存在かもしれませんね。
しかし、STUTSが様々な名曲を生み出していることは確か。
CMソングの制作等も行なっているため、意外と身近な存在だったりするかもしれません。
これを機にぜひSTUTSの楽曲を聴いてみてくださいね。
STUTSがソロでリリースしているインストゥルメンタルも要チェックです!