1995年に1stアルバムをリリースして以来、パワフルなロックサウンドで多くのファンを魅了してきたフー・ファイターズ(Foo Figthers)。
長きにわたって世界中のアリーナで観客を熱狂させ続けており、今やアメリカを代表するロックバンドの一つです。
本記事では、
「フー・ファイターズに興味がある!」
「海外のロックバンドってどんな感じなんだろう…?」
という方に向けてフー・ファイターズの魅力や経歴、オススメの曲などを紹介します!
目次
フー・ファイターズの魅力
フー・ファイターズの魅力は90年代的なオルタナティブロックを基礎にしつつも、胸に秘めた衝動を爆発させるラウドなサウンドにあります。
絶叫を織り交ぜたボーカル、アグレッシブなギター、エネルギッシュなドラムス。
バンドが創りだすアンサンブルからは圧倒的な気迫や強烈なエモーショナルさがあふれ出ています。
また、ロックスターとしての風格が漂っているのも、フー・ファイターズが世界中で愛される理由の一つでしょう。
なお、『ジョジョの奇妙な冒険』に同名のスタンドが登場するため、日本ではそちらのイメージが強い人も多いかもしれませんね。
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フー・ファイターズの経歴
伝説の終わりと始まり
現在は6人編成で活動するフー・ファイターズ、その中心人物はボーカルとギターを担当するデイヴ・グロールです。
・ドラマーとしてのデイヴ・グロール
デイヴ・グロールは元々ドラマーとしてキャリアをスタートしています。
80年代にはハードコア・バンドのスクリームに在籍していましたが、その名を一躍有名にしたのは90年代の伝説的ロックバンドニルヴァーナでしょう。
シアトルのローカルな音楽ジャンルから、世界中を巻き込んだ一大ムーブメントへ発展したグランジロック。
ニルヴァーナはブームを象徴するバンドで、2ndアルバム『Nevermind』は現在までに全世界で3000万枚の売上を記録しています。
しかし、中心人物のカート・コバーンが1994年に自殺したことにより、ニルヴァーナは突如として終焉を迎えました。
・ターニングポイント
盟友カート・コバーンの死に深く傷ついたデイヴ・グロールは、その傷を癒すように以前から録りためていた自作曲のデモテープを制作します。
そのデモテープは徐々に評判を呼び、ついには大手のレコード会社から声がかかるようになりました。
こうしてフロントマンとしてのデイヴ・グロールが誕生し、フー・ファイターズというロックバンドの歴史が始まります。
もう一度伝説へ
フー・ファイターズはメンバーの脱退や加入などの紆余曲折を経ながらも、ロックスターの名に相応しいキャリアを築き上げていきます。
アルバム総売上3200万枚超、累計12冠に及ぶグラミー賞受賞、初ノミネートでの「ロックの殿堂」入り。
世界の音楽シーンではロックにシビアな状況が続いていますが、フー・ファイターズは新しいアルバムをリリースする度にヒットチャートの上位にその名を刻んでいます。
ビリー・アイリッシュはフー・ファイターズのキャリアを「26年間ロックの灯火を運んでくれた」と称賛しましたが、その言葉はフー・ファイターズの歩んできた道のりを見事に表していると言えるでしょう。
フー・ファイターズは己の全てを完全燃焼させるようにして、ハードなロックを今も昔も世界中で鳴らし続けています。
バンドのボス:デイヴ・グロールは一体どんな人物なのか?
とにかくいい人!
デイヴ・グロールは海外でThe Nicest Man in Rockと称賛されており、その優しさや思いやりを感じられるエピソードが数多く存在しています。
・金鉱事故とフー・ファイターズ
2006年にオーストラリアで起きた金鉱事故などは最も有名な例でしょう。
地中深くに取り残された作業員はフー・ファイターズの曲を聴きながら救助の瞬間を待ち続けていたそうです。
その話を聞いたデイヴ・グロールは、作業員が救助されたあと一緒にお酒を飲もうと招待をしています。
ロックスターらしからぬ気さくさと困難に打ち勝った人へのリスペクトが感じられる一幕と言えるでしょう。
・子どもに優しいロックスター
また、微笑ましさを感じられるエピソードとしては、10歳の少女からの挑戦に応じてドラムバトルを繰り広げたことが挙げられます。
子どもに関する心温まるエピソードは数多く、デイヴの優しさがよく現れています。
もちろん自分の子どもに対する子煩悩ぶりもなかなかで、海外ツアー中に片道15時間を費やして娘とのダンスパーティに参加したことがあるんだとか。
・ライブでのコミュニケーション
また、筆者が足を運んだ日本でのライブでは、
「ここまで分かりやすい英語を話してくれる海外のミュージシャンは他にいない!」
と思えるほど丁寧に観客へ向けて話しかけていました。
相手の気持ちに立ってコミュニケーションを取れる人柄を感じられて、ほっこりしたのを今でも憶えています。
でも、いい人なだけじゃなく……?
単なる「いい人」だけでは終わらないのがデイヴ・グロールのパーソナリティです。
音楽に関しては非常にストイックで、初期のメンバーにはほとんど追い出されるような形でバンドを去った人もいました。
また、他のメンバーに対してもバンドのボスとして毅然とした物言いをしている印象を受けます。
音楽に対する強い情熱が、デイヴ・グロールの根底にあるのは間違いないでしょう。
自伝の執筆やドキュメンタリー作品の監督など幅広い活動を行っているのも、デイヴ・グロールのエネルギッシュなパーソナリティを示唆していると言えます。
デイヴ・グロールは日本酒愛好家としても有名です。酒造メーカーとタッグを組んでフー・ファイターズの曲を聴かせながら醸造した日本酒を発売するほどですから、その熱意は相当なものでしょう。
デイヴ・グロール以外のメンバー:経験豊富なプレイヤーたち
フー・ファイターズにはデイヴ・グロール以外にも実績のあるミュージシャンが名を連ねています。
ここでは現在のメンバーを紹介します。
テイラー・ホーキンス/ドラムス
1997年加入。ドラムス担当。まれにボーカルを取ることも。
フー・ファイターズのメンバーになる前にはアラニス・モリセットのツアー・ドラマーとして活躍していました。
ネイト・メンデル/ベース
1995年加入。ベース担当。
エモが好きな人にとっては、サニー・デイ・リアル・エステートのメンバーとしても見逃せない存在でしょう。
クリス・シフレット/ギター
1999年加入。ギター担当。
メロコアのレジェンド ノーエフエックスのファット・マイクたちと一緒にミー・ファースト・アンド・ザ・ギミー・ギミーズとしても活躍しています。
パット・スメア/ギター
正式メンバーとしての加入期間は1995年~1997年及び2010年から現在まで。ギター担当。
ザ・ジャームスのメンバーやニルヴァーナのツアー・ギタリストとしても有名です。
ラミ・ジャフィー/キーボード
2017年加入。キーボード担当。
ボブ・ディランの息子ジェイコブ・ディランが率いるザ・ウォールフラワーズの一員としても活躍していました。
フー・ファイターズのオススメ曲5選
Best Of You(ベスト・オブ・ユー)
フー・ファイターズ最大の魅力であるロックの衝動と熱さが強烈に感じられるナンバーです。
「誰だって壊さなくちゃならない鎖に縛られてる、君にだってある」
「君は抵抗するために生まれたのか? それとも虐げられるためか?」(どちらも筆者訳)
歌詞にも現れているように、自分を縛り付ける何かを引きちぎろうとするような気迫で最初から最後まであふれかえっています。
メロディアスでエモーショナル、エネルギッシュでダイナミック。
力強いギターや勇ましいドラムスが、障害物を押しのけて突き進むような迫力を巻き起こしています。
そして、忘れてはならないのが己の全てを叩きつけるようなデイヴ・グロールのボーカルでしょう。
荒々しくも純粋な感情がデイヴの歌声に乗せられ、尽きることのない濁流のようにほとばしっています。
生きることの意味を、我々の魂に問いかけるような楽曲と言えるでしょう。
※5thアルバム『In Your Honor』に収録されています。
Monkey Wrench(モンキーレンチ)
もちろんフー・ファイターズらしい熱さも全開、サビでは「お前のモンキーレンチ(工具の一種)になんて絶対にならない」(筆者訳)と力強く歌い上げています。
降りかかった災難に対して唾を吐きかけるような歌詞にも現れているように、苛立ちの感情を表に出す爽快さが『Monkey Wrench』の魅力と言えるでしょう。
スピード感にあふれたビート、ラウドなギター、メロディアスながらも時にブチ切れるボーカル。
耳馴染みの良いサビも相まって、日本のロック好きにも響きやすいサウンドになっています。
ライブでは後半から終盤にかけて演奏されることが多く、クライマックスに向けて盛り上げていくだけの爆発力を秘めた楽曲なのは間違いないでしょう。
※2ndアルバム『The Colour And The Shape』に収録されています。
The Pretender(ザ・プリテンダー)
こちらもフー・ファイターズらしい気迫を感じさせる、熱いナンバーです。
デイヴ・グロールは政治的な意味合いが込められた歌であることをほのめかしており、反抗や奮起を感じさせる言葉が並んでいます。
もの悲しいイントロから一転、切り裂くようなスネアの打音をトリガーにして一気に疾走する展開は聴く者の心を激しく揺さぶるでしょう。
疾走感のあるビート、分厚く荒々しいギター、畳みかけるようなメロディを全身全霊で歌うボーカル。
ロックスターとしての貫禄とフレッシュな衝動を併せ持つサウンドは、まさしくフー・ファイターズの真骨頂。
ロックのエネルギッシュな魅力を感じさせる、鮮烈な楽曲と言えるでしょう。
※6thアルバム『Echoes,Silence,Patience & Grace』に収録されています。
Learn To Fly(ラーン・トゥ・フライ)
今まで紹介したテンション高めの楽曲とは異なり、『Learn To Fly』ではフー・ファイターズの穏やかな一面が楽しめます。
ギターのラウドさは健在ですが、全体的に優しい雰囲気が漂っているのが『Learn To Fly』の素晴らしいところでしょう。
「救いを求めて空を見上げている 生きている証を探している 自分を輝かせてくれる何かを探している」(筆者訳)
生きる意味を探し求める等身大の歌詞も相まって、誰の心にも届きそうな普遍的な魅力を感じさせてくれます。
ゆったりとしたサウンドを楽しめる、リラックスした雰囲気のポップなナンバーです。
※3rdアルバム『There Is Nothing Left To Lose』に収録されています。
My Hero(マイ・ヒーロー)
力強いドラムスとラウドなギターが印象的な、ミディアムテンポでエモーショナルな楽曲です。
意味深なタイトルもあってカート・コバーンをテーマにした曲ではないかとも噂されていましたが、デイヴ・グロールは(時代によって見解にブレがあるものの)普通の男性をテーマにしていると公言しています。
やや繊細な雰囲気はもちろんのこと、壮大な迫力も感じさせるのが『My Hero』の魅力でしょう。
しなやかでダイナミックなサウンドとデイヴ・グロールの感情をぶつけるような歌い方が相まって、パワフルで勇壮なサウンドに仕上がっています。
荒々しさと優しさが違和感なく同居している、デイヴ・グロールの人柄を感じさせるナンバーと言えるでしょう。
※2ndアルバム『The Colour And The Shape』に収録されています。
最後に
本記事ではフー・ファイターズに興味がある方に向けてバンドの魅力や経歴、オススメの曲などを紹介してきました。
キャリアを重ねても激しさを保ち続けるフー・ファイターズ、その行く先をこれからも見届けていきたいですね!