CMソングやドラマ主題歌など、多数のタイアップで知名度を上げている男性シンガーソングライターVaundy(バウンディ)。
J-POP、ロック、R&Bなど複数のジャンルを横断し、多彩な楽曲を手掛けているのが特徴です。
そんなVaundyが2020年に発表した『世界の秘密』は、ネット社会をテーマに制作された楽曲。<ステップだけ>と繰り返されるサビが印象的で、1度聞いたら思わず口ずさみたくなるナンバーです。
今回の記事では、『世界の秘密』の歌詞について考察します。
▼あわせて読みたい!
目次
Vaundyとは
Vaundyは2000年生まれの若手シンガーソングライターです。
2019年よりYouTubeへ楽曲投稿を開始。同年9月に投稿された『東京フラッシュ』は2ヶ月で100万回再生を記録し、一躍話題のアーティストとなりました。
その後も、日本テレビ系ドラマの主題歌『花占い』、「ブルボン アルフォート」のCMソングに起用された『napori』など多くの話題曲を手掛けています。
名前の意味
「Vaundy」という名前は、本人のあだ名からつけられています。
以前に出演したラジオ番組では、「人にぶつかって壁に跳ね返った様子から”バウンドボール”と呼ばれるようになり、そこからバウンディに変化した」と名前の由来を語っていました。
「Baundy」ではなく「Vaundy」なのは、「V」の方が印象に残りやすいと考えたからだそうです。
マルチな才能を持つ
現役大学生でもあるVaundyは、美大でデザインを専攻しています。
VaundyのInstagramでは、彼自身が制作した絵や写真が多く見られます。Vaundyのセンスが光る素敵な作品が並んでいるので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
Vaundyは小さい頃から物作りが好きで、音楽制作も物作りの延長とテレビ番組出演時に語っていました。初めてゲームをしたのは小学4年生の頃。それまではダンボールでゲームを作るなど、身近なもので玩具を作って楽しんでいたそうです。
今回紹介する「世界の秘密」のジャケット写真も、Vaundy自身が手掛けています。
世界の秘密のジャケのデザインは僕が担当しました。
色々試行錯誤してあの写真になってます。
— Vaundy (@vaundy_engawa) December 30, 2020
アートワークやMVも自らディレクションを務め、音楽以外にもマルチな才能を見せるVaundy。
今後、どのように活動の場が広がっていくのか注目です。
Vaundy『世界の秘密』とは
Vaundy『世界の秘密』は、2020年12月27日にリリースされました。
ゆったりしたグルーヴが心地よく、Vaundyの甘い歌声の魅力も存分に感じられる楽曲でしょう。
MVは回転する舞台上で仮面をかぶったダンサーが踊る中、1人無表情で中央にたたずむ女性の姿が印象的です。
回転する舞台を地球と捉えるなら、周りをじっと見つめる女性は「世界の秘密に気づいてしまった人物」を表現しているのかもしれません。
Vaundy『世界の秘密』の歌詞の意味を考察!
『世界の秘密』リリース当時、Vaundyは「みんなが外に出られなくなって悲しいことばかり考えている時に作った」とコメントしており、コロナ禍で制作された楽曲だと明らかにしていました。
歌詞には<ネットサーフィン>のワードが登場。<四六時中グダグダとチクチクが流れる>のフレーズからも、『世界の秘密』はインターネットが欠かせなくなった現代人を風刺している楽曲だと想像できます。
ネット社会に生きる現代人の恐怖
歌詞は<きっと僕らは何かに追われてる>のフレーズから始まります。
Twitter、Facebook、Instagram、TikTokとさまざまなSNSが登場し、多くの人が利用する現代。時間の無駄だと分かっていても、ついつい長時間SNSをチェックしてしまう人もいるでしょう。
ネットを通して誰かと気軽に繋がれるのは便利な一方、24時間365日縛られているようにも感じます。
冒頭の歌詞は、そんな目に見えない恐怖感を表現していると考えられます。
サビの「ステップ」の意味は?
『世界の秘密』と言えば、<ステップだけ>と繰り返される歌詞が印象的。
足を動かしてリズムを刻むステップは、ダンスを華やかに見せてくれます。つまり、ステップは踊り手を格好よく見せる手段と言えるでしょう。
そんなステップを置いてくるのは、「格好つけなくてもいい」のメッセージにとれます。
周りから憧れの眼差しで見られようと、誰もが無意識に見栄を張って生きようとしてしまうもの。
SNSで例えるなら、人気のスポットに出かけたことを一早く投稿して「華やかな人生を送っている自分」を演出しようとする心情にあたるでしょう。
しかし、人は生まれながらにしてそれぞれ魅力を持って生まれてきています。
<リズムに乗っている>を「人生を楽しむ」意味に捉えるなら、格好つけなくてもそのままの自分で十分人生を楽しめると私たちに伝えているのかもしれません。
サビ終盤に登場する<ブレイク>は、芸能人が注目を浴びたときに用いられる言葉。
歌詞では<笑顔の数だけブレイクできる>としており、「笑っていればそれだけで周りから憧れられる素敵な存在になれる」の意味にとれます。
「世界の秘密」とは?
インターネット上では特定の人物を悪者扱いし、周りが叩く現象が頻繁に発生します。
2番の歌詞に登場する<悪者が死んだ><たくさんの命が救われた>は、こうしたインターネットならではの「誹謗中傷」「炎上」を表現しているのではないでしょうか。
ただし、悪者扱いされた人が本当に悪者かはわかりません。悪者扱いされた人物と関わりも無いのに、周りと一緒になって攻撃した人物が見方によっては「悪者」とも捉えられます。
ラストサビ前の<これが良い事か悪い事か>の歌詞の通り、世界において「良い事」と「悪い事」の区別は曖昧です。しかし、普段はそんなことを誰も気にしていません。
「誰もがメディアや周囲の意見によって決まった善悪を正しいと信じきって暮らしている」ことが、Vaundyが楽曲の中で示した「世界の秘密」だったのではないかと思います。
終わりに
Vaundy『世界の秘密』の歌詞を考察しました。
代表曲『東京フラッシュ』が「今の流行りを分析して制作した」と語っているように、Vaundyは世間を観察する能力が高いと感じます。
『世界の秘密』は、そんなVaundyの慧眼さが光る楽曲です。
また、Vaundyの歌詞はさまざまな想像ができるよう上手く余白が残されているのが特徴。人によっては、筆者とは全く異なる意見を持つ人もいるでしょう。
本記事の紹介は1つの解釈です。ぜひ、自分なりに『世界の秘密』の歌詞を読み解いてみてください。
▼あわせて読みたい!