ホールジー(Halsey) – BTSのコラボ曲も大ヒット! 新時代を切り開く女性アーティストとは…?

ホールジー(Halsey) – BTSのコラボ曲も大ヒット! 新時代を切り開く女性アーティストとは…?

BTSとのコラボ曲、『Boy With Luv』が話題となり、日本でも大人気のホールジーさん。
メンバーのJ-HOPEは、2021年に受けた「BTSの親友は誰?」という質問に、「ホールジー」と回答しました。

そのホールジーさんは、自身の恋愛や経験を歌いながら、社会問題に声を挙げる注目の女性です。
今回は、率直な言葉で支持を集めるホールジーさんの人気の秘密、経歴、代表曲を紹介します。

ホールジーとは?

プロフィール


本名:Ashley Nicolette Frangipane(アシュリー・ニコレット・フランジパーネ)
生年月日:1994年9月29日
出身地:アメリカ合衆国 ニュージャージー州ワシントン
シンガーソングライター

「ホールジー」という名前の由来

「Halsey(ホールジー)」という名前の由来は、ニューヨークにある地下鉄の駅「ホールジー・ストリート」と、本名のアシュリーをアナグラムで表現したもの。

MEMO

「ホールジー」という芸名を付けた理由は、「違う誰かになりたいと考えたから」。双極性障害との戦いや、ホームレス生活を経験したホールジーさんは、本名ではない名を名乗ることで、自信を纏おうとしたのです。
この経緯からも解るように、ホールジーさんは度々大きな苦労を経験して、その思いをファンに語っています。

デビュー前の困窮時代、ホームレスの過去

ホールジーさんの人生は、アメリカのニュージャージー州で幕を開けます。

学齢期のホールジーさんは、両親の仕事が安定しなかったために、引っ越しを繰り返していました。
生活も荒れており、17歳の頃に23歳のヘロイン中毒の男性と恋愛関係に。この時期に双極性障害を診断され、自殺を図ったことも告白しています。

高校卒業後に進学するも、すぐに中退。19歳でニューヨークに渡りますが、ここでも困窮した生活は変わりませんでした。路上生活者となった彼女は、彼氏の家やホームレスのシェルターを転々として過ごします。

彼女の生活の苦しさは、「本気でセックスワークを考えた」という発言からも明らか。
そんなホールジーさんの人生を変えたのは、10代から始めていた音楽制作でした。

2014年『Ghost』が人生を変える

2014年のこと。ニューヨークにいたホールジーさんは、仲間のツテでとある男性に出会います。男性はホールジーさんに、数百ドルで楽曲制作を依頼しました。実はこの男性、ホールジーさんのマネージャーとなるアンソニー・リー氏という人物。

アンソニー氏は、ホールジーさんがふと口ずさんだ曲に驚きます。当時、本名のアシュリーを名乗っていた彼女は、「ホールジー」として楽曲をウェブで公開しました。これが瞬く間に評判となり、複数のレーベルから契約が舞い込む事態に。この楽曲こそ、『Ghost』です。

MEMO

ホールジーさんの運命を変えた『Ghost』は、2015年にリメイクMVが発表されています。親日家であるホールジーさんは、曲の前に日本語のナレーションをつけ、日本でMV撮影を行いました。
同2014年に『Room 93』(EPアルバム)をリリース後、2015年には『BADLANDS』を発表。全米チャート2位を達成しスターダムに躍り出ました。

ストレートに感情を綴るホールジーさんの歌詞

ホールジーさんの楽曲は、聞き心地の良いエレクトロ・ポップ。一気に世界に引き込むメロディアスな曲調に、切ない恋愛を描く歌詞を乗せています。
例えば、代表曲のひとつ『Without Me』の歌詞について。

元彼に捧げたと言われる『Without Me』では、彼氏を献身的に支え愛情を尽くしながらも、裏切りから別れを選ぶ心情が描かれます。しかし、「私なしで生きていけると思うの?」と繰り返すところに、切ない未練を感じるでしょう。

「まだ好き、でも別れるしかない」と言う、割り切れない恋心のリアルさ。ここにファンは共感せずにいられません。

MEMO

失恋を綴ることが多いホールジーさんですが、自ら別れを決断したり、未練を持ちながらも忘れようとしたり、強靭さを見せるところも魅力です。

勇敢に行動する新時代のポップアイコン

人権問題を撤廃し、新たな変化を遂げようとしているアメリカで、ホールジーさんはあらゆる社会問題に切り込む1人です。

ホームレス支援

ホームレス時代の経験から、生活困窮者の支援を行う彼女は、「ホームレスは不運が積み重なった結果」と発言。「生活に困るのは、その人の努力していないから」という風潮に、Noを突きつけました。

フェミニズム運動

2018年1月。女性の抗議運動「ウィメンズ・マーチ」に参加し、性的暴行を受けた友人のことや、性行為を強制された経験を綴ったポエムを発表。

女性が理不尽に傷つけられる現実、力のある者が積極的に声を挙げ、行動していくことの重要性をスピーチしました。

LGBTQ+の支持・支援団体への寄付活動

2018年11月、「ヴィクトリアズ・シークレット(VS)」のステージで歌唱したホールジーさん。

しかし、12月にVSがテレビ放送される直前、CMOが「トランスセクシャルはモデルに採用しない」と問題発言をします。
かねてより差別が問題視されていたVSに、アメリカ中から抗議の声が殺到しました。

CMOは発言を撤回しましたが、ホールジーさんは発言を看過せず、声明を発表します。

声明では、LGBTQ+を支援する団体を挙げた上で、自分が寄付活動をしていることを公表。
さらに、発言で傷ついた当事者たちに対して、「私たちが味方だと忘れないでほしい」と訴えました。

「自分は黒人」と宣言しているホールジーさん

ホールジーさんの両親は、父親がアフリカ系アメリカ人の黒人、母親が白人のバイレイシャルです。

2つの人種にルーツを持つホールジーさんは、「バイレイシャルの両親を誇りに思う」と語った上で、自身は黒人であると宣言しました。

アメリカで長く議論されてきた黒人差別問題は、2020年5月25日に起きた「ジョージ・フロイド事件」により爆発。フロイド氏を抑えた白人警官への批判、人種差別への抗議は、アメリカから世界にまで広がりました(Black Lives Matter「BLM」問題)。

ホールジーさんは、このBLM問題に立ち上がったアーティストの1人で、一般人に混じっての抗議運動にも参加しています。この活動中に、警察のゴム弾に被弾する被害にも遭いながらも、負傷した市民の手当に奔走しました。

勇敢な彼女は、BLM問題に沈黙する著名人を批判し、才能ある黒人を育成する特別基金も設立。人種差別撤廃のために、活発な活動を続けています。

2021年に赤ちゃんを出産!


2021年7月19日、ホールジーは第1子となる男子を出産。念願のママになりました。

子供は男の子で、エイダー・リドリン・エイディンと名付けられています。
父親は、脚本家で恋人のアレフ・エイディン。
「何よりも母親になりたかった」と語っていたホールジーさんは、ステージに上がる直前に流産した経験も公表しています。

子宮内膜症の治療や流産を経験しながらも、赤ちゃんを出産したことについて、感謝と幸福を伝えました。
待望の赤ちゃんを授かったホールジーさんに、『Boy With Luv』でコラボしたBTSも、祝福のメッセージを贈っています。

BTSとホールジーさんの関係とは?


2019年4月、韓国のアーティストBTSとホールジーさんのコラボ曲、『Boy With Luv』が発表されました。
両者は度々交流を見せ、BTSがゴールドのマイクをプレゼントして、ホールジーさんを驚かせたことも。

ホールジーさん側も、BTSにキラキラしたブレスレットをプレゼントするなど、積極的な交流が続いています。
改めて、BTSとホールジーさんの関係を振り返りましょう。

『Boy With Luv』コラボはホールジーさん側から


世界的な話題となった『Boy With Luv』のコラボは、ホールジーさん側からBTSに依頼されたものです。

RMによると、以前にビルボード・ミュージック・アワードのバクステで会った時に、「MVを見てファンになった」とホールジーが打ち明けたそう。
その後、ホールジーが韓国を訪れる機会があり、「コラボしようよ」と持ち掛けられたそうです。

この話を覚えていたRMは、『Boy With Luv』のトラックを聴いたときに、ホールジーに合うのでは? と思いつき、コラボが実現しました。
ビルボード・ミュージック・アワード2019では、ステージコラボも実現しています。

あわせて読みたい!

グラミー賞の人種差別に言及

2019年には、ホールジーさんの『Without Me』が、ビルボード・チャートHot100でソロ初の1位を記録。
「グラミー賞にノミネートは当然」と噂されたものの、驚くことにノミネートはナシという結果に。

ホールジーさんの落選は、「グラミー賞の差別問題」を再び浮き彫りにし、多くの議論の的となりました。
またこの年は、『Boy With Luv』もノミネートを逃しています。

ホールジーさんは声明を発表し、「『Without Me』は素晴らしい曲。みんなイライラしないで」とファンを労わりました。
続けてBTSにも言及し、「BTSはもっと多くの賞にノミネートされているはずだった。アメリカは遅れている。必ずその時は来る」と、前向きな言葉を残しています。

BTSへの人種差別に猛抗議!

ホールジーさんは、BTSが理不尽な差別や批判に晒された時に、批判の声を挙げている1人です。

2021年3月、BTSがカバーした『Fix You』(コールドプレイ)を聴いたドイツの司会者は、「冒涜している」と批判。
さらに、「このカバーのせいで、20年の休みを北朝鮮で過ごすことになる」と、差別的な発言をしました。

もちろん抗議が殺到し、「ユーモアだった」と司会者は苦しい釈明。
しかし、これを見逃すホールジーさんではありません。

「人種差別を、放送のためのユーモアでごまかしてはいけない」
「アジア系へのヘイトスピーチが蔓延する中、酷すぎる発言だ」
「BTS及びアジアのコミュニティに対し、きちんと謝罪すべき」

残念ながら、世界ではこうした差別発言は珍しくなく、BTSも蔑視の対象にされてきました。
その中でのホールジーの抗議は、BTS本人やARMY、アジアの人々を勇気づけたでしょう。

おすすめの曲を紹介します!

Without Me


2018年10月8日に発表された楽曲です。
2020年1月17日発売『Maniac』に収録。
ホールジーさんがソロとして初めて、ビルボード・チャートHot100で1位を獲得し、12週連続でトップを守り続けた代表曲。
公開恋愛をしていた元彼が歌詞のモデルと言われ、彼に献身的な愛を注いだ日々、未だ残る未練を歌いあげています。

この説を裏付けるかのように、「『Without Me』はとても個人的な曲。ホールジーではなく、アシュリーとして歌詞を綴った」と、ホールジーさんはコメントしています。

You should be sad


2020年1月10日に発表された楽曲です。
1月17日発売の『Maniac』に収録。

こちらも失恋の曲で、別れた恋人に言いたい言葉を並べています。
「あなたは自分で思う立派な男じゃない」
「お金・薬・車みたいなもので、あなたの心は埋められない」「
「あなたとの子供が出来なくて良かった」

ホールジーさん曰く、浮気されて別れた男を歌った曲とのこと。
もちろんこの曲も、実体験がベースになっているのでは? と囁かれています。

歌詞だけ読むと少し過激ですが、アコースティックギターが切なさを誘い、途中のエレキギターが悲しみの叫びのよう。
この歌詞をメモに綴るホールジーさんを思うと、別れてなお深い情が見えるようです。

Colors


2015年8月28日発売『BADLANDS』に収録。

やはり、別れた恋人への思いを綴った楽曲です。
恋愛と自分をブルーに、彼を赤に例えているところがポイント。

彼は赤い色だから、相性の良い青を持つホールジーさんを好きになりました。
が、ホールジーさんの方は、「彼が触れると紫になってしまう」と感じています。
彼と一緒にいると自分は変わってしまう、その自分が好きではなかったのでしょう。

彼がいない今、彼女の目に映るのはブルーのみで、彼との思い出すら青に染まりました。
それは彼女にとって、どんなことだったのでしょうか。

Graveyard


『Graveyard』は、2019年9月13日にMV公開された楽曲です。
2020年1月17日発売『Maniac』収録。

これまでの彼女に同じく、別れた彼を想う気持ちが繊細に綴られています。
しかし、「去って行った恋人に出会うため、どこまでも追いかける」と歌うところが、いつもの彼女と少し違うところ。
ミディアムテンポの曲は優しく、爽快に彼女の決心を後押しするかのよう。

Sorry


『Sorry』は、2018年2月3日にMV公開されました。
2017年6月2日発売『Hopeless Fountain Kingdom』収録。

『Sorry』のMVは、1996年公開の映画『ロミオ+ジュリエット』のオマージュです。
ただのオマージュで終わらず、ロミオとジュリエットが逆転しているところに、ホールジーさんらしさが詰まっています。

ピアノに乗せて歌う歌詞は、わざと避けていた恋人への謝罪。
これ以上好きになることへの怯え、別れの予感が漂う悲痛さが溢れる楽曲です。

2021年には映画制作も発表!


常に新しい挑戦を続けるホールジーさんは、2021年に映画出演・脚本執筆にも挑戦。
この映画は、8月27日に発売したアルバム、『If I Can’t Have Love, I Want Power』のコンセプトを映像にしたものです。

1時間ほどの映画には、妊娠への恐怖や喜び、出産についての思いが込められています。
世界で上映されることが決まっており、日本でも公開される可能性が。
ホールジーの新しい世界を覗きたい方、アルバムをより深く理解したい方は、この映画のチェックもお忘れなく。

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