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みきとPのおすすめ曲
いーあるふぁんくらぶ
みきとPが初めてミリオンを達成した「いーあるふぁんくらぶ」。
中国語を習う女の子が描かれており、アジアンなムードと、口に出したくなる語感が印象的な楽曲です。
みきとPの名を一躍有名にした「いーあるふぁんくらぶ」ですが、彼自身この楽曲のヒットは想定外だったそう。
「曲の投稿間隔が空いてしまうから、気軽に楽しめるおやつみたいな曲を作ろう」と軽い気持ちで制作された「いーあるふぁんくらぶ」。
みきとPは、過去にアップした楽曲は、誰でも「歌ってみた」を投稿できるようにインストをアップしていましたが、本楽曲は「誰も歌わないだろう」とインストバージョンを用意していなかったのだといいます。
しかし、動画を公開するや否や、「歌いたい」という問い合わせが殺到。
瞬く間に話題曲となりました。
楽曲制作時は、ライブでボカロ曲が歌われる機会が増えていたということもあり、イベントで盛り上がるような1曲に仕上がっています。
実は本楽曲の裏テーマは「当時のみきとPが感じていたこと」。
サビ部分の「だんだん君と同じ言葉が使えるね」は、歌詞通りになぞれば「中国語を勉強していくにつれて、好きな人と同じ言語が使えるようになる」という意味になりますが、裏には、「ボカロという文化を知らなかった僕が曲を作るうちにリスナーと同じものを共有できるようになった」というみきとPの気持ちが隠れているそう。
また、サビ最後の「うぉあいにー 言えるかな」には、「僕の音楽を受け入れてくれてありがとう」というみきとPなりの遠慮がちな感謝が込められています。(「うぉあいにー」は中国語で「愛しています」の意味)
現在でも多くの活動者がカバーしており、根強い人気を誇る「いーあるふぁんくらぶ」。
スマートフォン向けアプリゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」にも収録されており、当時ボカロ文化に触れてこなかった人にも広がりを見せています。
「ミリオン達成」とは、ニコニコ動画において100万回再生を突破した曲のことを指します。
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少女レイ
夏らしい爽やかさと、生と死の暗さが歌詞に描かれている「少女レイ」。
本楽曲は、1994年に放送されていたドラマ「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」をモチーフに書き下ろされた楽曲です。
本楽曲のサウンド面で印象的なのが、エレキギターが使用されておらず、アコースティックギターの音色を軸に構成されているという点。
モチーフにしたドラマの主題歌であったSimon & Garfunkelの「A Hazy Shade of Winter(冬の散歩道)」もエレキギターが使用されておらず、アコースティックギターの音色が印象的であったことが理由なのだといいます。
「少女レイ」で描かれているのは、「君」と「僕」で表されている二人の少女。お揃いのキーホルダーを持つほど仲の良かった二人ですが、「僕」は次第に「君」へ恋心を抱き始めます。
次の標的に置かれた花瓶 仕掛けたのは僕だった
恋心が抑えきれなくなった「僕」は、「君」をいじめの標的にしてしまいます。
「君」を孤立させることによって、自分へ依存してくれるだろうという考えからの行動ですが、追い詰められた「君」は、踏切へと飛び出し、命を失うことに。
「僕」は『もう会えない「君」にとり憑かれてしまいたい』と思いを抱くようになります。
そして、歌詞の最後に紡がれている言葉は「透明な君は 僕を指差してた―。」。
まるでレイ(霊)となった「君」の幻覚を見たかのような「僕」の視点で楽曲は締めくくられます。
女性の笑い声や踏切の遮断機が降りる警告音が散りばめられている本楽曲。
MVは、遮断機が降りた踏切の中で向かい合った少女二人の一枚絵で構成されています。
思春期特有のゆらぎや不安定な心、ドロドロとした気持ちが描かれた歌詞と、疾走感のある軽やかなサウンドの対比が特徴的な楽曲です。
バレリーコ
みきとPが2014年に公開した楽曲「バレリーコ」。
タイトルから連想できるように、歌詞やMV内にもバレエの表現が数多く登場します。
「バレリーコ」の中には、性的な描写がところどころに含まれていますが、下品な雰囲気を一切感じさせません。
ファンからも「上品なエロさがある」と言われている楽曲です。
楽曲に登場するのは、全校男子から狙われているようなかわいらしい女の子。
MVには、セミロングの清楚そうな女の子が映っていますが、「純情少女と勘違いされて」「目と目を合わせて戸惑うフリした」と、歌詞では腹の奥の黒さが描かれています。
「初体験」「大出血」などの直接的な言葉が並ぶAメロに対し、Bメロでは「ゆらり揺れるジャンパースカート」「ひっそり覗くスラックス」と、情景的な歌詞。
Aメロが偽りのない女の子の心の中、Bメロが第三者から見た女の子の姿だと捉えることもできます。
サビでは、「さあ踊りましょう」と呼びかける女の子。
本楽曲の序盤で、彼女は自分のことを「プリマ」だと称しています。
「プリマ」は、「プリマ・バレリーナ」の略称であり、「バレエ団の女性第一舞踊手」を表す言葉。
「今日もプリマになって純情少女を演じる(踊る)」と開き直った主人公が見えます。
ステップを踏んでいるような軽やかな曲調の中に出てくる「エッサホイサ」という言葉が、性的な生々しさを想像させます。
自分を演じ、全てを捧げた先輩と青春を送る彼女でしたが、ある日恋のライバルが出現。
しかし、モテモテの彼女は、「あんな女に先輩をとられるわけがない」と自信満々。
「邪魔する猫はしっしっしっ」と余裕の振る舞いで、先輩との男女の関係を続けていきます。
しかし、ある日「もう限界だ」という言葉と、先輩が涙を流す様子が描かれます。
この「もう限界だ」という歌詞は2回登場。
「…もう限界だ」
もう限界だ
耳で聴くと同じですが、歌詞を見ると違いに気づきます。
限界を迎えたのは、彼女の偽りの仮面に気付いた彼氏の声かもしれませんし、自分を偽ることに疲れた彼女の心の声かもしれません。
「限界」のあと、女の子が彼氏に問いかけた言葉は「マスカーレイド?どちらにするの?オデット?オディール?」。
マスカーレイドは、仮面舞踏会を指します。オデットは白鳥、オディールは黒鳥。
バレエ作品として有名な「白鳥の湖」の中では、オデットとオディールがひとりの王子様に恋をする描写があります。
楽曲の女の子が問いかけるオデットとオディールは「偽りの自分」と「本当の自分」だと捉えることができるでしょう。
MVでは、この箇所で「彼女ノピルエットハ 黒鳥(オディール)スラモ止メラレナヰ」と赤字で表示されます。
ピルエットは、片足のつま先を軸に一回転すること。
本当の自分でさえ止められないくらいに、純情の仮面を被った少女が暴走する直前であることを連想させます。
最後のサビでは、「ねぇグッバイ最後に踊りましょう」という歌詞が登場。
二人は、別れの道を選び、最後にもう一度体を重ねます。
限界を迎えたのはどちらだったのか、オデットとオディールはこの先どうなってしまうのか。
聴く人ごとに解釈が異なるようなストーリー性と美しい性描写が光る楽曲です。