DAVII(ダビ) 都会をポップ&アンニュイに奏でる気鋭のシンガーソングライターを徹底解説

DAVII(ダビ) 都会をポップ&アンニュイに奏でる気鋭のシンガーソングライターを徹底解説

DAVIIのオススメ曲5選 Part.2

「Nothing Without You」『Would you?』(2019年)収録

もはや自分に愛を抱いていない恋人に別れを告げる、いわゆる失恋ソングである「Nothing Without You」。アカペラの歌い出しに唸らせられ、DAVIIの声質の良さに改めて痺れてしまいます。

「いい人でいようとする 君のその不必要な説明はもうしなくていい」と言い放つフレーズには一見潔さがありますが、すぐ後で「I can understand バカだけど」と自嘲してみたりと、ほろ苦さや未練も垣間見える歌詞が深いです。

曲調は次第にトレンドを意識した打ち込み系のサウンドがメインになり、リズミカルな一面もありますが、バックで鳴るDAVIIのピアノの旋律にはやはり切なさがかき立てられます。

「Who am I」『?=3 GENEZIS3』(2022年)収録


ヒップホップを取り入れるなど新しさに挑戦した『?=3 GENEZIS3』「Who am I」もまたDAVIIの第二形態を予感させる一曲です。

ドラムサウンドが耳に残る印象的なリズム、シンプルで力強いボーカルに頼もしさがありますが、イントロとコーラスでリフレインする「Who am I?」のフレーズや「私は今どこへ なぜ歩いているのか」という不安を吐露する歌詞には、暗闇に支配された心情が濃く反映されています。

古ぼけたブラウン管テレビにDAVIIのポートレートが浮かび上がって始まるMVは、彼の追い詰められた胸のうちがビジュアルで表現されていて一層悲劇的な色合いを感じさせます。

『?=3 GENEZIS3』についてDAVIIは「プロデューサーとして早くに成功を収めたことで、純粋に音楽制作を楽しむよりも商業的な評価を求めるようになった時期の苦悩から生まれた」と語っています。アルバム制作を経てそうした屈折から解放され、現在は「チャート上位の曲が、本当に愛されている音楽なのか疑問があります。ランキングはアーティストのクリエイティビティを邪魔するのではないでしょうか。そういうことを考えずに芸術にかかわりたいです」という信念を口にしています。「経験してきた闇と光に向かって進む旅」だったと回想したアルバムを経て、次はどんな姿を見せてくれるのでしょうか。

最後に

生粋のシティ・ボーイであるDAVII。透明感と情感が調和したボーカルスタイルとジャジーなピアノサウンド、成熟したセンチメントを持つ内省的な歌詞は、大人っぽくありながらポップで聴きやすい楽曲です。

加えて最新作『?=3 GENEZIS3』は、プロデューサーとして早くに成功を収めたことで欲が生まれてしまい、心に負担が出来た経験から生まれたとインタビューで明かしているように、競争に明け暮れる都会の現代人が抱える憂鬱を理解し、癒やすような楽曲が収録されています。

ジャズ、ポップ、そしてヒップホップと、自身の音楽要素をアップデートしながらK-POPの地平線も開拓し続けているDAVIIの冒険がどこまで行くのか、期待が膨らみます。

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