「神様、僕は気づいてしまった(神僕)」素顔を見せないロックバンドの魅力とは?

「神様、僕は気づいてしまった(神僕)」素顔を見せないロックバンドの魅力とは?

「神様、僕は気づいてしまった(通称:神僕、かみぼく)」は、2016年にデビューを果たした4人組の覆面ロックバンドです。

仮面で覆われた出で立ちは、姿形だけでなく詳細なプロフィールも公表されていません。彼らが鳴らす音とその姿による不気味さも相まって、デビューから数々のタイアップ曲を手掛け、注目を集めました。

ここでは、そんな謎多きロックバンド「神様、僕は気づいてしまった」について掘り下げて、バンド名の由来や魅力について紹介します。

神様、僕は気づいてしまった


https://twitter.com/_kamiboku/media

「神様、僕は気づいてしまった(通称:神僕、かみぼく)」は、2016年に突如現れた4人組のロックバンドです。

ワーナーミュージック・ジャパン内のAtlantic Japanにレーベルを置き、デビューからゲーム・アニメ・映画などの主題歌や挿入歌を手掛けてきました。

なんと言っても仮面をかぶったその見た目には、多くの人に強烈なインパクトを与えたことでしょう。

メンバー全員が白一色の仮面で頭をすっぽりと覆い、それぞれ形は違えど、無表情な面に瞳だけがくり抜かれた様は、神秘的であると同時に不気味さを感じさせます。

もちろん、神僕以外にも覆面やお面、素顔を隠して活動をしてきたアーティストは数多く存在します。MAN WITH A MISSHONClariSamazarashiGReeeeNなど、挙げだせばキリがありません。

そんな神僕と彼らに共通するのは、その見た目からのインパクトによる独自の世界観の創造です。正体不明という言葉。人はそれだけで興味を惹かれ、どんな人がこの音楽を弾いているのかと自分たちからその世界観へと足を踏み入れてきます。

では実際のところ、神僕はどのような意図で素顔を隠して活動をするようになったのでしょうか。その疑問に関しては以下の項目で説明しています。

バンド名の由来

覆面バンドの「神様、僕は気づいてしまった」は、グループ名というよりは一つの文となっており、これも注目すべき点として挙げられます。

この特殊なバンド名ですが、一部からはamazarashi『ムカデ』という楽曲の歌詞にある「神様僕は分かってしまった」をリスペクト、インスパイアを受けたものではないか、という声が挙がっています。

これに関しては、神僕がどうして素顔を隠して活動するかについても触れておきます。

覆面バンドとして活動する理由は至ってシンプルで、その答えは“表情を隠すため”だそうです。

しかし、この至ってシンプルな答えが、バンド名の由来にも関係しています。

まず一つ目が、「神様という不確かな存在にすがって生きているだけだと気づいてしまった。神様もそんな人間に甘えられて酔っているんじゃないか。僕たちはそれに気づいているよ」という思想が根底にあります。

続いて、「そんな世の中に発信される音楽の世界観には、感情的な部分は邪魔であり不要であるがゆえに覆面をかぶっている」というこだわりがあるようです。

このこだわりには自分たちの活動も重要視しており、そのためライブ活動などもあまりする必要がないという考えをもっているそうです。

このバンドの由来は、哲学的でもあり、どこか神秘的な要素が詰め込まれているように思えます。恐らく、初めて知ったという人の中には、この答えを汲み取ることができないかもしれません。

もしかすると、そういった疑問を抱かせることも、このバンド名の由来になったのかもしれませんね。

神僕のメンバープロフィール


https://twitter.com/_kamiboku/media

そんな神僕のプロフィールに関してですが、数多ある覆面バンドと同様に神僕の詳しいメンバー情報というものは伏せられています。現在判明していることは、それぞれの名前と楽器パートのみとなっております。

神様、僕は気づいてしまった

  • どこのだれか(Vo./Gt.)
  • 東野へいと(Gt.)
  • 和泉りゅーしん(Ba.)
  • 蓮(Dr.)

正体は歌い手とボカロP?

素顔だけでなく、詳細なプロフィールに関して秘匿している神僕ですが、一部からはニコニコ動画で活躍していた“歌い手”もしくは“ボカロP”ではないか、との噂が立っています。

まずバンドのボーカルとギターを担当するどこのだれかですが、この正体は歌い手のまふまふに似ていると騒がれています。

続いて、ギターを務める東野へいとは、同じくニコニコ動画で活躍していたボカロPのNeruさんという推測もあるようです。

ニコニコ動画で二人が活動していた際は、Neruさんの曲をまふまふさんがカバーしているなど、ちょっとしたつながりはあるようです。

しかし、真相に関しては肯定も否定もしていないため、無闇な詮索はしないほうがいいでしょう。

覆面だからだけじゃない神僕の魅力


https://twitter.com/_kamiboku/media

神僕の魅力というのは、“正体がわからないミステリアスさ”だけではありません。

もしそれだけであれば、先立つ覆面バンドたちの中に埋もれてしまうだけの存在だったでしょう。

しかし、神僕というバンドには明確なテーマが根底にあり、そのテーマを音に乗せて発信するからこそ注目を浴びているのです。

ここでは、そんな神僕が掲げたテーマとともに、その魅力について紹介します。

バンドの示す「神様」とは

「神様、僕は気づいてしまった」というバンド名にもある“神様”とは、不確かな存在です。いる人にはいて、いない人にはいない。

そんな抽象的な存在に、神僕は人々が抱える“負の感情”に当てはめています。ネガティブな思考にとらわれれば、それをすぐ神に頼ろうとする人間の単純さが擬人化された存在であり、神僕はその曖昧な象徴に対して音楽で挑もうとしているのです。

悲観的な歌詞と叫び声のようなサウンド

そんな神様に対して音楽で挑もうとする神僕の音は、まるで訴えかけるような叫び声のようなサウンドです。

ボーカルのどこのだれかが発するミックスボイスは、現代の悩める少年少女の声を代弁しているかのようにも感じさせます。

「スターオーシャン:アナムネシス」の主題歌として使用された『だから僕は不幸に縋っていました』という曲は、まさにそれを的確に表しています。

尖った歌詞は不満を爆発させようとするかのようで、しかし、その攻撃性の裏には悲観的な部分が見え隠れしています。

そこには繊密に練られた楽曲構成も影響しているでしょう。ボーカルの声を殺さず、しかし完全な脇役には徹しないギターとベース音。それに乗せてくるドラムの切れ味も合わさり、曲全体が突き刺してくるような攻撃性。

そして歌詞に合わせたイントネーションで、ボーカルの歌声は叫び声でもあり、地面に吐き捨てるような印象を持たせています。

音楽で“救済”はしない

悲痛さも感じさせるバンドの曲には、現代の闇を的確に狙ったものが存在します。

闇とは、人によって実に様々です。学校、友人、職場など、日々の暮らしに葛藤し、抱え込んでいる人がほとんどです。

神僕は、そんな人々を“救済”するための曲は演奏しません。彼らは、音楽という手段を使って“共謀”することに意識を向けています。

テレビアニメ「ちるらん にぶんの壱」の主題歌として使用された『僕の手に触れるな』は、思春期を感じさせるわがままや、本音を言えないという葛藤が表現されています。

では、この曲の登場人物はどのようにすれば救えるのか。手を伸ばしても払いのけられてしまう人には何をすればいいのか。

神僕は、そんな疑問に対して手を差し伸ばすのではなく、自分たちも同じことをしようと伝えているのです。

音楽で“救済”はしない。けれども“共謀”はしよう。神僕が演奏する曲には、普通とは少し違った視線から物事をとらえようとする様がうかがえます。

生きた証、理由を千年後に残す

内に秘めた不満や葛藤。では、それを吐き出した先には何が見えてくるのか。何が残るのか。

そんな形に残らないものを残すために、心の苦しさや同時に感じる希望を歌ったのが、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」の主題歌「名前のない青」です。

人の本当の奥底にある“色”というものは、他人にはもちろん、自分ですら気づけないものです。それは次第にわだかまりに変わり、がむしゃらに吐き出したくなる感情へと変化していきます。

しかし、それに気づけた時、それはその人だけの色に変わり、いつしか自分の生きた証になる。

この曲の不思議なところは、疑問に対してああしよう、こうしようという提案や救いの言葉は並べられていません。

曲の中での登場人物は、自分の中の“何か”を見つけたとあります。これには“救い”ではなく“選択”を与えているようにも感じさせます。

“君はどうする?”と、自分は答えを見つけたからと、先に立つ一人として聴くものに問いかけているのだと。

最終的に決めるのは結局は自分だ。これまで世の不条理に対して言葉を突き刺してきた神僕が、そんなメッセージ性を訴えかける。ある意味、これが彼らのバンドとしての答えなのかもしれません。

謎めいているからこそ惹き込まれる

様々な角度からメッセージを飛ばし続ける「神様、僕は気づいてしまった」ですが、謎めいているのはその素顔だけではないと感じます。

神僕の彼らが演奏する曲も同じように謎めいているからこそ、聴く人は自然と惹き込まれてしまうのでしょう。

単なる覆面バンドの一言では片付けられない。これまでのどのバンドとも違う方向性をもった、ジャンルに匹敵するような音楽性。

一度ハマってしまえば、彼らの活躍から目が離せなくなるでしょう。今後もどのような曲を披露してくれるのかと、期待してしまいます。

それでは、ここまでご覧いただきありがとうございます。

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