世界最高峰の舞台で活躍している日本人アスリートたち。
トップアスリートは、その道を極めれば極める程、とてつもなく孤独になるといいます。
その競技が、個人や団体ということは関係なく。
そんな彼ら、彼女らが、集中力を高めるため、自分を奮い立たせるため、そして戦いから離れて心を癒すために聴く音楽があります。
アスリートたちのお気に入りの音楽について、エピソードと共に紹介していきます。
目次
大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルスに所属する、メジャーリーガー大谷翔平選手。
世界最高峰であるメジャーリーグの舞台で、投手と打者の二刀流という、誰も想像しえなかった偉業に挑戦しています。
彼が、日本ハムファイターズ時代からずっと登場曲として使用し、エンゼルス本拠地での初打席の時にも使用した曲が、イギリスの人気歌手であるオリー・マーズの『Wrapped UP』。
オリー・マーズ『 Wrapped UP』
海を渡った大谷翔平選手が抱く大きな夢は、日本時代に共に戦い、その背中を押して見送った日本ハムファイターズ球団関係者の夢でもあります。
多くの人にとって思い入れのある曲で登場した大谷翔平選手は、迎えた本拠地初打席で、なんと本塁打を打ってみせました。
アメリカに行った大谷翔平選手が、同じ登場曲を使ってくれたこと、そして見事本塁打で本拠地デビューを飾ったことに、日本ハムファイターズ球団関係者は胸を熱くしたのでした。
八村塁
日本人として初めてNBAドラフト1巡目(全体9位)指名を受け、ワシントン・ウィザーズに入団した、バスケットボールの八村塁選手。
マイケル・ジョーダンが主宰する「Jordan Brand(ジョーダン ブランド)」と契約するなど、大注目を浴びています。
期待の新人としてバスケットボールファンの注目を一身に浴びる八村塁選手が、お気に入りのプレイリストの1曲目にチョイスしているのが、アメリカの人気歌手クリス・ブラウンの『No Guidance(feat.Drake)』。
クリス・ブラウン『No Guidance(feat.Drake)』
クリス・ブラウンとドレイクといえば、かつて取り巻き同士の乱闘騒ぎを繰り広げたこともある因縁の2人。
そんな2人が関係を修復し、コラボレーションした話題作です。
MVでは、当時の争いを彷彿させるような構図が描かれますが、結末はなんともハートウォーミング。
プレイリストには他にも、21サヴェージやコダック・ブラック、リアーナなどの楽曲が収録されています。
久保建英
10歳でスペインに渡り、FCバルセロナの下部組織に入団した久保建英選手。
「日本のメッシ」や「天才」と呼ばれ、その一挙手一投足が常に注目されてきました。
18歳になった時には、スター選手ばかりを擁するレアル・マドリードとの契約を発表し、日本のサッカーファンを大いに驚かせました。
そんな久保建英選手がお気に入りなのが、イギリス人シンガーソングライターのパッセンジャー。
2009年に解散したバンド「パッセンジャー」のボーカルを務めていた彼は、解散後もバンド名で活動しています。
親しみ深い歌声で、知らずに聴いてもだんだんと引き込まれるような魅力を持ったシンガーです。
パッセンジャーの代表曲は、『Let Her Go』。
パッセンジャー『Let Her Go』
イギリスの音楽チャートでは、ミリオンセラーを記録している名曲です。
日本語、スペイン語、英語を操る語学堪能な久保建英選手ですが、年齢を考えると、とても大人っぽいチョイスです。
羽生結弦
フィギュアスケート男子シングルの羽生結弦選手。
2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪にて、2大会連続金メダルを獲得している羽生結弦選手は、現時点でフィギュアスケート界のトップに君臨しています。
真っ白な氷上でたった一人、音と重なるように美しく舞う姿は、全世界のフィギュアスケートファンをうっとりさせます。
そんな彼が試合前、自らを鼓舞するために聴いていた3曲がこちら。
和田光司『風 ~re-fly ver.~』
テレビアニメ「デジモンアドベンチャー」の主題歌を担当してきた、和田光司さんの楽曲。
元々、羽生結弦選手がデジモンのファンであったことから、お気に入りの一つにあがりました。
2016年、42歳という若さでこの世を去ってしまった和田光司さんですが、アニメファンをはじめ、今でも根強い人気を誇っています。
BUMP OF CHICKEN『夢の飼い主』
BUMP OF CHICKENの曲は、ほとんどそらで歌えるくらい、羽生結弦選手はBUMP OF CHICKENの大ファン。
アーティストが憧れるアーティストとして、音楽界でも一目置かれる存在のBUMP OF CHICKENの楽曲は、どれもドラマチックな名曲揃い。
この『夢の飼い主』も、藤原基央さんならではの視点で描かれた「夢」の話です。
最初は胸を張って自慢するほどだったのに、だんだんと気持ちは薄れ、いつの間にか大切でなくなってしまっていた。
気づいた時には、すでに別人のようになってしまっていたけど、大切なものを再び思い起こす。
そして、以前よりも愛おしく感じる。
大切なもの全てに通ずる、あたたかい一曲です。
阿部真央『戦いは終わらない』
シンガーソングライター阿部真央さんの4thアルバム「戦いは終わらない」の表題曲です。
ドラマ「ドラマティックナイン」のオープニングテーマ曲に起用されたこの曲は、誰に何を言われようとも自分を信じて貫けと、力強いメッセージが感じられる曲です。
常に注目を集めるトップアスリートは、いつだって良い言葉ばかりが投げかけられるわけではありません。
時には、蔑まれたり、妬まれたり、否定する声がどこからか聞こえてくるものです。
そんな時に寄り添い、もやもやしたものを吹っ切らせてくれる音楽の力は、アスリートにとって必要不可欠なのです。
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大坂なおみ
女子テニスシングルス、グランドスラム優勝3回を果たした大坂なおみ選手。
日本人テニスプレーヤーとして、シングルスでのグランドスラム優勝を果たしている唯一の選手です。
インタビューやプライベートで見せる、試合中のパワフルさとは打って変わったチャーミングさが人気の彼女は、R&Bを特に好んで聴いています。
中でも大ファンと公言しているのが、バルバトス出身の人気R&B歌手リアーナ。
リアーナ『Umbrella』
才能を見出されたリアーナは、16歳で渡米。
全世界で2億5000万枚以上をセールスする、世界的大人気歌手となりました。
R&B女性シンガーの中で「最高」と評されるリアーナ、若くして世界レベルのフィールドで戦う大坂なおみ選手。
どこか同じような雰囲気を漂わせる二人です。
渋野日向子
お茶目な笑顔が印象的な女子プロゴルファー、渋野日向子選手。
AIG全英女子オープンで優勝を果たし、日本女子ゴルフ界42年ぶりの快挙を成し遂げました。
少しのミスが命取りとなるゴルフは、いかに集中力を持続させ、かつ平常心を保たせることがカギとなります。
とてつもないプレッシャーに押しつぶされそうになる時も、一人で乗り越えなければいけません。
神経を研ぎ澄ました戦いのあとでも、笑顔でファンを和ませてくれる渋野日向子選手。
そんな彼女が大好きなのは、FANTASTICS from EXILE TRIBE。
FANTASTICS from EXILE TRIBE『Winding Road~未来へ~』
EXILEに始まる一大メガグループとなった、LDH所属アーティストの一端を担うFANTASTICS from EXILE TRIBE。
中でも渋野日向子選手がお気に入りなのが、俳優としても活躍しているパフォーマーの佐藤大樹さん。
AIG全英女子オープン優勝を果たした時には、憧れの佐藤大樹さんから祝福メッセージが届けられ、何よりのご褒美になりました。
伊藤美誠
2020年、ITTF(国際卓球連盟)世界ランキング2位となった卓球の伊藤美誠選手。
世界大会がテレビでも中継されるようになり、卓球人気が年々上昇している理由の一つが、伊藤美誠選手の活躍でしょう。
日本人最高位まで登り詰めた伊藤美誠選手は、世界NO.1まであともう一歩のところまできています。
競技から離れた伊藤美誠選手は、オシャレが大好きなとても可愛らしい女の子ですが、試合中は全く隙を見せない圧倒的な強さで相手を寄せつけません。
そんな彼女が練習中や試合前に聴くのが、Little Glee Monsterの『I BELIEVE』。
Little Glee Monster『I BELIEVE』
5人5様の歌声が重なり合った時、とんでもない音力を発揮するLittle Glee Monster。
圧倒的な歌唱力で歌にメッセージを込める彼女たちは、若者の心に強く響くアーティストです。
プライベートでも親交があるという伊藤美誠選手とLittle Glee Monsterは、畑は違えど日本が誇る今最も輝く若者の代表的存在でしょう。
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池江璃花子
競泳女子、池江璃花子選手。
数々の世界大会で優勝を果たし、競泳界のスターとして2020東京オリンピックでも金メダルが期待されていたのにも関わらず、突然白血病という病魔に襲われ、競技から離れることになってしまいました。
しかし、彼女は今、完全復活を目指して必死にトレーニングを積んでいます。
普通なら挫けてもおかしくない状況なのに、笑顔で必死に泳いでいます。
ひたむきな彼女の姿に心打たれている人は、今世界中にたくさんいることでしょう。
そんな池江璃花子選手が自分の境遇と重ね合わせたのが、King Gnuの『白日』。
King Gnu『白日』
唯一無二の音楽センスから生み出される、芸術的な楽曲が人気のKing Gnu。
2019年の年末にはNHK紅白歌合戦に出場し、この『白日』を披露しました。
過去には戻れない、どんなにあの時が素晴らしくても、前に進むしかない。
そんなメッセージは、池江璃花子選手の心を揺さぶり、とてもポジティブなものにしてくれました。
つまづいたって、何度でもゼロからやり直せばいいんだと、これ以上ない勇気を与えてくれる名曲です。
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野口啓代
プロフリークライマー、野口啓代選手。
ボルダリング・ワールドカップで年間総合優勝4回を誇る、日本を代表するクライマーです。
女子クライマーのパイオニアとも言われる野口啓代選手は、2020年に開催される予定だった東京オリンピックが自身の集大成となるはずでした。
スポーツクライミングが初めてオリンピック競技となった2020東京オリンピックで誰もが、彼女の活躍と栄光を手にする姿を夢見ていたのです。
1年延期という難しい状況の中ですが、野口啓代選手は「大好きな競技生活が1日でも長く過ごせる」とポジティブに捉え、トレーニングを続けています。
そんな彼女は練習中も洋楽を好んで聴き、中でも好きなのが、レディー・ガガの『Applause』。
レディー・ガガ『Applause』
単身スペインでトレーニングしている時にずっと聴いていたこの曲を耳にすると、その時のがむしゃらな自分の姿を思い出すようです。
驚くような奇抜な衣装でいつも話題を振りまくレディー・ガガは、日本にも多くのファンがいます。
波乱万丈な人生を歩んできたレディー・ガガの楽曲は、どれも衝撃的でエネルギーに溢れていますが、どこか寂しさと優しさが混在しているようにも聴こえる、不思議なオーラを纏っています。
終わりに
音楽というものは、勇気や自信、優しさ、悲しみ、切なさなど、様々な感情を人々に与えることができます。
音楽は、言葉と音が一緒になることによって生み出される魔法のようです。
アスリートたちもその魔法によって、集中力を高められたり、心が癒されたりしているのでしょう。
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