ヒトリエ 絶望の淵から復活した高純度ロックバンドのメンバーや経歴とは…?

ヒトリエ 絶望の淵から復活した高純度ロックバンドのメンバーや経歴とは…?

多くのファンが悲しみに包まれたwowaka(ヲワカ)さんの急逝を乗り越えて、シノダさんがヴォーカルを引き継ぎ3人体制になったヒトリエは、2021年2月17日にニューアルバム「REAMP」をリリースします。

ヒトリエのリーダー兼コンポーザー、ヴォーカル・ギターだったwowakaさん不在の影響が心配されましたが、瞬間的に虜になるフレーズ、独特な世界観のサウンドと歌詞を駆使した高純度のロックバンド・ヒトリエは健在です

今回は、高速4つ打ちに早口の歌詞を乗せるという、邦ロックに新たなジャンルを確立したヒトリエをご紹介します

ボーカロイド出身のロックバンド・ヒトリエとは?

元々ヒトリエは、wowakaさんが1人でやっていたVOCALOIDプロデューサー(以下ボカロP)から始まりました。

「裏表ラバーズ」「ローリンガール」「ワールズエンド・ダンスホール」などの代表作や現実逃避Pの愛称で知られていたwowakaさんは、2011年に発表した「アンハッピーリフレイン」まででボカロPとしての活動を一旦休止。

MEMO

wowakaさんや米津玄師さんなど、ニコニコ動画で人気のボカロP8人によって2011年3月に設立された、インターネット発アーティストによるインディレーベルBALLOOM(バルーム)。BALLOOMのリリース作品第一弾として5月にリリースされたのが、wowakaさんの1stソロアルバム「アンハッピーリフレイン」でした。

ボカロPでやりたいことを全てやり尽くし、『本格的に音楽にのめり込んだきっかけはバンドで、自分の言葉を自分で歌いたいと思った』と、wowakaさんはバンド活動を始めます。

そして、以前からネット上で知っていたゆーまおさんに声をかけ、ゆーまおさんの知り合いだったイガラシさんも合流し、2011年の冬にひとりアトリエとして活動をスタート

MEMO

ゆーまおさんとイガラシさんを誘った理由は、wowakaさんが「会話ができて、人間的に大丈夫だと思えたから」という理由からでした。

ですが初ライブを終えると、「やりたい音楽をするにはギターがもう1人必要」と、イガラシさんが元々知っていたシノダさんが2012年3月に加入し、バンド名もヒトリエに変更しました

ヒトリエは、ニコニコ動画で圧倒的な人気のwowakaさんが率いるロックバンドということもあり、ワンマンライブが即完売結するほど当初から人気と注目度は抜群でした。

結成まもなく2013年11月には自主レーベルの非日常レコーズを立ち上げて、2014年1月にシングル「センスレス・ワンダー」でメジャーデビュー。

ヒトリエの代名詞とも言われる高速4つ打ちに早口の歌詞を乗せる曲は、邦ロックシーンでは画期的な発明と評されています

メロディが激しく上下する独特な曲が多いことでも知られており、wowakaさんが歌い方に抑揚の少ないボーカロイドで曲を作るボカロPだったことが要因です。

ネットシーンで知り合ったメンバー

wowaka(Vo/Gt)

作詞作曲、アートワーク、そしてリーダーも務め、バンドの発起人であり、ヒトリエの中心人物です。

MEMO

wowaka(ヲワカ)とは、元GO!GO!7188のユウさんが結成したロックバンドチリヌルヲワカのファンだったことが由来。

米津玄師さんなどと共に『ボカロっぽい音楽』を確立した人物であり、ボーカロイド界隈では音楽の影響力は米津玄師さん以上でした

小学校でピアノとアコースティックギターを始めて、中学3年生からギターにのめり込みます。

2009年5月に、ニコニコ動画にボーカロイドを使った曲「グレーゾーンにて。」を投稿。

この曲に添えられた「現実逃避って、いいよね!」という自身のコメントから、「現実逃避P」の愛称が付きました

ボカロP時代の代表作には「ローリンガール」「ワールズエンド・ダンスホール」「アンハッピーリフレイン」など。

『ポップでありながらこれまで無かった曲を作りたい』『音楽で発明をしたい』という思いから、高速4つ打ちビートに早口で歌う曲が生まれました

ヒトリエ結成以降はバンドに専念していましたが、初音ミク10周年の2017年に再びボカロ曲「アンノウン・マザーグース」をニコニコ動画とYouTubeに投稿しています。

2019年3月からの全国ツアー中の4月5日に急性心不全により逝去。

米津玄師さんはブログで、『僕にとって彼はライバルであり、親友であり、どこか兄のようでもあった。でも亡くした。今は虚しいけど、それも時間が攫(編注:さら)って行くんだろうなと思う』と綴っています

シノダ(Vo/Gt)

ヒトリエ2代目のヴォーカル・ギター。

中学2年からハイスタのコピーバンドでギターを弾き始め、高校に入り作曲するようになり、名古屋の大学に進学してからバンドを始めました。

2005年より名古屋のバンドJONNYのギタリストとして活動をスタート

ヒトリエの前身バンドひとりアトリエは2012年1月から3人で活動していましたが、ギターがもう1人必要と、勧誘されて加入します。

MEMO

wowakaさんは自身の音楽を、『作ろうとしているのは、ギターの音が2つ鳴っているもので、左右のギターが違うことを弾いていながら噛み合っているもの』であると、ヒトリエには2人のギタリストが必須と考えていました。

2019年6月1日に東京・新木場STUDIO COASTで行われた「wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST」では、wowakaさんがあまりにも難解な曲を歌っていたことに戸惑いつつも、全曲歌いました。

アイドルグループSLEEの初オリジナル曲「絶対最大瞬間風速」を楽曲提供もしています。

中学・高校と聴いていたのはNUMBER GIRLとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT。

絵や漫画を描き、ゲームやアニメ好き。

大学生の頃に同級生から紹介された郵便配達のバイトをしており、郵便の赤い車を運転して配達していたことがあります。

イガラシ(Ba)

他のアーティストからも認められるほどのベーステクニックの持ち主

小林武史さん、ユニコーンのABEDON(阿部義晴)さん、銀杏BOYZの峯田和伸さんと同郷の山形県出身です。

高校の吹奏楽部のコントラバスを経て、大学でベースを始めました。

ギリシャ彫刻のような整った顔立ちと長髪というクールな見た目に反して、ヒトリエの営業担当と言われるほど人懐っこい性格でダントツにコミュ力が高く、先輩から可愛がられています

菅田将暉さんの「7.1oz」や、ヴォーカルグループのLittle Glee Monsterの「人生は一度きり」などに、ベーシストとして参加もしています。

ゆーまお(Dr)

機材車の運転を担当するほどの車好き。

とても真面目な性格で、音楽に対してストイックに向き合っています

曲制作も行い、3人になって初めてのアルバム「REAMP」の先行シングル「YUBIKIRI」を作曲しています

最も影響を受けたのはサンボマスターで、高校でドラムを開始。

メンバーになる前から、ヘビロテしていたほどwowakaさんの大ファンでした。

ツアー遠征にゲーム機を持っていくほどのガチゲーマーで、アニメ好きです。

MEMO

wowakaさん、シノダさん、ゆーまおさんは、ヒトリエ結成以前からネットに自分の作品をアップしており、当時はボーカロイドやバンドのコミュニティの交流や情報交換が活発だったことから、メンバーになる以前からそれぞれが存在を知っていました。

ヒトリエ経歴

デビューから順調なステップアップ

2012年冬から2013年春にかけて、インディーズで自主製作のミニアルバム「ルームシック・ガールズエスケープ」とEP「non-fiction four e.p.」を発表したヒトリエ。

2013年に立ち上げた自主レーベル「非日常レコーズ」から、2014年1月にシングル「センスレス・ワンダー」をリリースしてメジャーデビューしています

2月にはミニアルバム「イナジナリー・モノフィクション」をリリースし、同年11月に邦ロックファン待望の1stフルアルバム「WONDER and WONDER」を発表。

ROCK IN JAPAN FESTIVALやRISING SUN ROCK FESTIVAL、ARABAKI ROCK FEST.など大型フェスにも立て続けに出演し、ライブバンドとしての評価も獲得します。

ライブ中心の活動を続けるなか、比較的マイペースに良作をリリース。

2016年1月にリリースした3rdシングル「ワンミーツハー」が、アニメ「ディバインゲート」のオープニングテーマに起用。

続けて、2018年11月の4thシングル「ポラリス」も、アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」エンディングテーマと、2作連続でアニメのタイアップとなり知名度が格段にアップしていきました。

ヒトリエの象徴wowakaの急逝

そんな順風満帆のヒトリエでしたが、これからさらにビッグになろうかという矢先の2019年4月8日にwowakaさんが急性心不全により逝去。

2019年2月リリースの4thアルバム「HOWLS」に合わせて、3月から全国15会場をまわるツアー「ヒトリエ TOUR 2019 “Coyote Howling”」の真っ只中でした。

あまりにも突然の死に、メンバーやスタッフ、そして多くのファンも現実を受け止めきれなかったそうです。

3人で新生ヒトリエをスタート

ですがヒトリエは、wowakaさんの遺志を継ぐかのようにすぐに3人で活動を再開。

シノダさんが2代目のヴォーカル・ギターとなり、6月1日に「ヒトリエ TOUR 2019 “Coyote Howling”」のファイナル公演を予定していた新木場STUDIO COASTにて、追悼ライブ<wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST>を開催。

wowakaさんの誕生日である11月4日に、過去のツアーを収録した映像作品「HITORIE LIVE TOUR UNKNOWN 2018 “Loveless”- 2017 “IKI”」をリリースします。

2020年8月には初のベストアルバム「4」をリリースし、それまでの4人としてのヒトリエにひとまず区切りを付けました。

10月に生配信ライブを開催し、2021年2月にはシノダさんがフロントマンになって初のアルバム「REAMP」をリリース。

「REAMP」では、シノダさんが全曲の作詞をするなどメインコンポーザーとなり、イガラシさんとゆーまおさんが2曲ずつ作曲し、3人で全10曲のアレンジをしています

ヒトリエ人気オススメ曲

曲に少女の主人公が多いことについてwowakaさんは、『少女的な思春期や反抗期のちょっとすれた斜に構えた感じが好きで、世界に私はひとりだけというような、孤独感や焦燥感などのもやもやを歌詞にしている』と語っています。

メロディを口ずさみながら歌詞を考える為に意味よりも語感を大事にしており、「っ」「ッ」の促音や「ん」の撥音を多用しながら、高速で上下に跳ねるメロディがヒトリエの曲の特徴です。

ポラリス

4thシングル「ポラリス」は、アニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATION」のエンディングテーマに書き下ろした曲です。

「BORUTO」主人公のうずまきボルトが、1人になっても自分が信じた道を突き進む姿にインスパイアされたwowakaさんは、メンバーやファンなど信頼できる人がいるなかでの孤独をテーマにしました

エモーショナルで美しいメロディも特徴的なシンプルなナンバーです。

アンノウン・マザーグース

2017年の初音ミク10周年に合わせて、wowakaさんが約6年ぶりに制作した「アンノウン・マザーグース」。

バンドのヒトリエでも演奏されており、2018年7月にはライブ音源「アンノウン・マザーグース 2018.3.25 at EX THEATER ROPPONGI」を配信リリースしています。

ボカロPからバンドのフロントマンとなったwowakaさんが、『初音ミク、wowaka、ヒトリエにとって、自分の人生においてもかなり大事な曲』と位置づけています。

普段曲についての説明をほとんどしていなかったTwitter上で、「アンノウン・マザーグース」についての思いをツイートするほど特に思い入れの強い曲です。

センスレス・ワンダー

2014年1月にリリースした、ヒトリエのメジャーデビューシングル。

ヒトリエはこの曲で、高速四つ打ちギターロックを邦ロックシーンに宣言しました

初期衝動をそのままぶつけたようなカオティックでパワフルな曲です。

SLEEPWALK

wowakaさんの音へのこだわりを注ぎ込んだ「SLEEPWALK」は、ほぼ全ての作業を1人で行いました

制作に関わっていない他のメンバーも、一度wowakaさんがイメージしたものそのままを忠実に表現した曲が聴いてみたかったそうです。

抑えめなビートであまり抑揚をつけずに歌うことにより、ヒトリエらしいダンスミュージックに仕上がっています。

YUBIKIRI

3人体制になって初めてのシングル「YUBIKIRI」は、作詞をシノダさん、作曲はゆーまおさんです。

ピアノには、ゆーまおさんの友人であるパスピエの成田ハネダさんが参加。

これまでのヒトリエにはなかった、突き抜けた軽快さを感じさせる曲です

米津玄師さん、miletさん、Official髭男dismなどのMVも手掛けている田辺秀伸さんによる不思議なMVは、一発撮りの映像をループさせています。

最後に…

wowakaさんが残してくれたヒトリエの曲はこれからも無くなることはなく、いつまでもSpotifyやYouTubeなどに残り続けます。

新たな展開を期待させてくれる、シノダさん、イガラシさん、ゆーまおさんによる第2期ヒトリエの活動に注目です!

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