2022年1月7日放送、日テレ系人気音楽番組「バズリズム02」内で、毎年恒例の企画「今年これがバズるぞ!BEST10」が発表されました。
首位からWurtS、INI、Kroi、NEEと気鋭のニューカマー・アーティストが名を連ねる中、第5位に選出されたのが京都発・男女混合スリーピースロックバンドHakubi(はくび)です。
片桐(Vo/Gt)の抱える弱さや悩みをストレートに紡いだ歌詞、その弱さを押し殺すかのように真っ直ぐ突き抜ける力強い歌声が、多くの人々の心に刺さっています。
2017年結成のHakubiは、1stアルバム『era』を従えて昨年の9月にメジャーデビューをしたばかり。
「バンド名は聞いたことあるけど、どの曲から聴けば良いかわからない」と一歩踏み出せない方々のために、選りすぐりのおすすめ曲を10曲一挙紹介!
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目次
2022年おすすめ!気鋭のバンドHakubiとは
・片桐(Vo/Gt)
・ヤスカワアル(Ba)
・マツイユウキ(Dr)
2022年。数多の若手気鋭バンドの中で個人的に最もおすすめしたいバンドが、Hakubiです。
2017年に京都で結成されたHakubiは、人気音楽番組「バズリズム02」内の恒例企画「今年これがバズるぞ!BEST10」で第5位にランクインするなど、今年大注目の男女混合スリーピースロックバンド。
女性ボーカル片桐をフロントに据え、ギター、ベース、ドラムといった非常にミニマルな構成で音を鳴らしています。
Hakubiというバンド名は「三国志・蜀書・馬良伝(しょくしょ ばりょうでん)」の登場人物である馬良が、「白眉」と呼ばれていたことが由来です。
荊州襄陽郡宜城県の名家・馬氏には5人兄弟がいた。いずれの人物も秀才であると評価されていたが、その中でも一際才に恵まれていた人物こそが四男の馬良。彼の眉には白い毛が混じっていたことから、周囲から「白眉」と呼ばれるようになった。地元の人々から「馬氏の5人息子の中で、『白眉最も良し』」との噂が広まったのをきっかけに、白眉という単語はしだいに「数多の優れたものの中で、特に優れているものや人の例え」という意味合いを持つように。
「バンドの中でも特に優れた存在になりたい」、そんな願いがHakubiというバンド名に込められているのです。
また、Hakubi公式HPのプロフィール欄には「音源とは違う泥臭いライブバンドの側面も魅力の一つ」なる文言が記載されており、一つ一つのライブを丁寧に積み重ねて多くのファンを獲得していった彼らを、端的に形容しています。
Hakubiのアーティストグッズはシンプルな色味やロゴがセンス抜群。普段使いにもおすすめできるものが多いので、彼らのライブに行く際はぜひゲットしてみては?
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Hakubi – おすすめ曲10選
嘘偽りない感情を露わにした片桐の歌声に加え、ソリッドに研ぎ澄まされたバンドサウンドも魅力のHakubi。
ここでは、そんなHakubiの記名性が歌詞やメロディーに色濃く現れたおすすめ曲を10曲紹介します。
今後長きに渡り人生の支えとなるような、メッセージ性に富んだ名曲が数多くラインナップしていますので、ぜひお気に入りの曲を複数見つけてもらえたら幸いです。
辿る
Hakubiおすすめ曲の1曲目として紹介する『辿る』は、2017年発売の1st EP『夢の続き』の収録曲。
メジャー1作目のアルバムとして昨年9月にリリースされた『era』には、リアレンジして収録されています。
端的な言葉で言えば、エモーショナルなギターロックが躍動し心を突き動かされる楽曲ですが、最も注目すべきは、不安定で今にも壊れそうな男女2人を取り巻く恋愛模様、「この関係性がいつか途絶えてしまうのでは」と揺れ動く畏怖心を歌った曲であること。
艶やかなムードを帯びた片桐の歌声とその裏で躍動するバンドサウンドの対比が、恋愛に見え隠れする脆弱性を色濃く表しているような印象を受けます。
1st EP『夢の続き』に収録されているもの(公式YouTubeチャンネルに音源あり)とメジャー1stアルバム『era』収録のリアレンジver.では、アレンジのニュアンスが大きく異なるので、双方の音源を聴き比べてみるのもおすすめです。
22
『22』は、当時22歳だった片桐が等身大の心情を描いたバラードで、2020年9月リリースの5th EP『結 ep』に収録されています。
徒労感を誘うドラマチックなピアノアレンジ、《どこか冷めたふりしたまま 諦められず大人になってた》と始まる22歳の素直な感情が溢れ出た歌い出しが印象的。
《なりたかった自分》になれず、それでもまだ諦めきれない大人たちの心に優しく寄り添い、《これでよかった》と肯定する勇気を与えてくれるような力がこの『22』にはあります。
片桐が17歳の頃に書いた『17』という楽曲もあり、間隔を5歳空けて曲を書いていることから、『27』の制作も視野に入れているのではないでしょうか。
午前4時、SNS
片桐がメジャーデビューというものに対して自分なりに感じる怖さを歌った『午前4時、SNS』は、2019年11月リリースのEP『追憶』の収録曲。
曲が誕生した背景を理解したうえで聴くと、《僕の音楽の神様はメジャーデビューで何かをなくした》という歌詞の輪郭がはっきりと浮かび上がり、より深く耳に刻まれます。
中盤で加速するメロディー、そこから堰を切ったように片桐が感情を爆発させるパートが印象的。
感情を押し殺して生きることに慣れてしまった人々の代弁者として、ありったけの感情を解き放つ片桐の威風堂々たる頼もしさが、瞬発力ある歌声に表れています。
直後、リバーブの効いたギターリフにダイナミズム盛んなドラミング、縦横無尽にうねるベースラインが束となり一斉に畳み掛ける尖っ切ったアンサンブルは、圧巻そのものです。
ハジマリ
『ハジマリ』は、2020年9月リリースの5th EP『結 ep』に収録されている楽曲。
曲の序盤は負の感情を歌った歌詞が目立ちますが、力強く鳴るバンドサウンドを背に、終盤へ向かうに連れて前向きな感情へと面舵を切り替えていきます。
最後には《負けるつもりはないからさ 自分らしく生きろよ》と、自分の道を突き進もうとする決意が片桐の歌声にも後押しされており、立ち塞がる障壁を跳ね除けたい人々の背中を、力強く押してくれる曲です。
color
昨年6月に配信リリースされた『color』は、アニメ『Artiswitch(アーティスウィッチ)』の第2話の挿入歌として書き下ろされた曲。
アニメ『Artiswitch』は、サンライズとアソビシステムが手掛けたオリジナルアニメーション。ファッションとアート、ミュージック各分野のアーティストが集結した気鋭のプロジェクトとして注目されている。
《自分の足で歩いていくんだ/その道をただ進め》、《向かい風を味方に/これでいいんだきっと》と、弱い自分、劣勢な現在地と真正面から向き合いながらもひたすら前向きな感情を歌った、疾走感溢れるソリッドなロックサウンドが牽引する曲となっています。
曲中で3度登場する《ただ進め》という言葉の持つ推進力は計り知れず、片桐の声に憑依することで、どこか途方もない場所まで連れて行ってくれそうな感覚が、全身を駆け巡ります。
夢の続き
『夢の続き』は、2017年発売の1st EP『夢の続き』の表題曲。
夢を追う途中で誰もが感じるであろう葛藤や不意にくる孤独感を軽快なギターロックの軌道上で歌っており、現在進行形で夢を追っている人、あるいは過去に夢を全力で追いかけた経験のある人々の共感を一挙に誘う曲です。
イントロで疾走するオーバードライブの効いたギターリフに一聴きで心を奪われたのも束の間、どこか少年っぽさ、あどけなさを感じる片桐の純朴な声で歌われる《夢ってかっこよかったよな みんな忘れちゃったのかい?》というワードにすぐさま胸を打たれます。
公式YouTubeチャンネルでのMV総再生回数は320万回を超えるなど(2022年2月現在)、バンド結成初期から根強い人気を誇る楽曲としての確固たる地位を保っています。
どこにも行けない僕たちは
『どこにもいけない僕たちは』は、2019年4月リリースのHakubi初となる全国流通音源『光芒』のカップリング曲。
序盤から、心臓の鼓動を彷彿とさせる4ビートを刻むキック音、《どこにも行けない僕たちは/明日が怖いと泣いていた》と力強く放たれる片桐の叫びに似た歌声に、心を激しく揺さぶられます。
3分00秒〜3分09秒のアルペジオと片桐の歌声が優しく絡み合うパートが効果的なアクセントとなり、大サビの瞬発力を高めているのも聴きどころです。
大人になって気づいたこと
2020年3月に配信Singleとしてリリースされた『大人になって気づいたこと』。
《大人になって気づいたこと/好きなことを当たり前に好きと言えなくなったこと》と、”大人”になってしまった自分自身に対するシニカルな感情をぽつり、ぽつりと吐き出す歌い出しが、“大人”という普遍的な存在に対し不信感を抱く者たちの共感を誘います。
アルペジオを多用したバンドサウンドに、可憐なストリングスを加えたドラマチックなアレンジ、静と動の緩急が顕著なリズムアプローチの変化。
矛盾を抱えながらも、最終的には1人の大人として生きていかなければならないという事実と真摯に向き合う覚悟、あるいは単なる妥協なのかもしれませんが、そういった心境の変化が緻密に工夫されたアレンジによって表現されています。
栞
昨年8月に配信リリースされた『栞』は、メジャー1stアルバム『era』の1曲目を飾る重要な曲。
昨年11月公開の、高畑充希が主演を務めた映画『浜の朝日の嘘つきどもと』の主題歌であり、劇中で描かれる優しくて温かい人間ドラマに準え書かれた歌詞からは、陽光のような明るい景色が思い浮かびます。
中でも注目すべきは《数えきれない光をくれたあなたに/私は今何を返せるのだろう》というサビの一節。
大切に想う「あなた」に向けた「私」からの最大限の感謝の気持ちが、この一節に表れているように感じます。
道化師にはなれない
おすすめ曲のラスト10曲目を飾るのは、2021年4月に配信先行シングルとしてリリースされ、メジャー1stアルバム『era』にも収録されている『道化師にはなれない』。
乃木坂46の3期生・久保史緒里が主演を務めたカンテレとBSフジによる共作ドラマ『クロシンリ』の主題歌として書き下ろした曲で、Hakubiにとって初の連続ドラマ主題歌となりました。
1サビ後の間奏ではリバーブの効いた浮遊感あるギターサウンドが全面に押し出された挑戦的なアレンジも見られ、全体を通して爽快かつ幻想的なギターロックの様相を呈しています。
ディレイを効果的に使用しながらフェードアウトしていくアウトロから醸し出される、どこか危なっかしい雰囲気も艶やかで魅力的。
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最後に
以上、「今年これがバズるぞ!BEST10」で第5位にランクインした今年大注目のバンドHakubiのおすすめ曲を10曲紹介してきました。
昨年9月に待望のメジャーデビューを果たし、タイアップ作品やメディアへの露出もより一層増えていくであろうHakubiからはますます目が離せません。
「ロックだのJ-POPだの、ジャンル分けされない音楽でありたい」と片桐が語っているように、Hakubiは今後も自分たちの音楽が秘める可能性を信じ、ただ真っ直ぐに突き進んでいくことでしょう。
3月からは、ライブハウス・府中Flightを皮切りに全国を回る『巴・粉塵爆発ツアー』を敢行予定の彼ら。
日本各地のライブハウスで彼らは、コロナ禍で溜まっていく鬱屈すらも希望の陽光に変えてくれる力強い歌を、きっと届けてくれるはずです。
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