バカリズムがMCを務める音楽番組『バズリズム02』。
同番組の人気企画のひとつが、その年にブレイクする可能性が高いアーティストをランキング形式で発表する『コレがバズるぞ!』です。
数多くの音楽関係者が予想に参加していることもあり、非常に信憑性の高いランキングとして音楽ファンからの注目を集めています。
しかし、アーティストのブレイクにはさまざまな要素が絡んでおり、“良い音楽が必ず売れる”わけではないのが難しいところ。
毎年数多くのアーティストが関係者の期待を背負ってデビューしていく中、成功を掴めるのはごくひと握り。
成功への狭き門をくぐることができず、失意のうちに消えていくアーティストも少なくありません。
その数たるや、「あのバンド、すごく良かったのに売れなかったよね…」という話題だけで音楽仲間たちと1日飲み続けられるほどです。
本企画の主旨は、過去の『コレがバズるぞ!』を振り返り、その予想の精度を検証してみようというもの。
1位に選出されたアーティストが順当に大ブレイクしている年もあれば、「この人がこんな順位だったの!?」という年もあり、2021年の視点から見るとなかなか興味深いランキングになっています。
さあ、まずは2016年へタイムスリップしましょう!
目次
コレがバズるぞ!・2016年
『コレがバズるぞ!』の原点となった2016年。
2017年以降とは異なり、初年度は上半期・下半期の2回に分けてランキングが発表されています。
他の年度との整合性を図るため、各半期の上位5アーティストを紹介することにしました。
- 1位:WANIMA
- 2位:Mrs. GREEN APPLE
- 3位:SUPER BEAVER
- 4位:My Hair is Bad
- 5位:Suchmos
- 1位:My Hair is Bad
- 2位:夜の本気ダンス
- 3位:D.A.N.
- 4位:ぼくのりりっくのぼうよみ
- 5位:雨のパレード
今から5年前の『コレがバズるぞ!』はこのような結果となっています。
上位には今やアリーナ級の会場を楽々とソールドアウトさせるアーティストの名前がズラリ。
上位5組からは漏れましたが、上半期の7位にはSumikaもランクインしており、期待の若手アーティストが多数顔を揃えた年だったと言えるのではないでしょうか。
この中で「大バズ」と形容できるほどの活躍を見せたアーティストを挙げていきましょう。
WANIMA
2016年上半期の1位に選出された3人組パンクロックバンド・WANIMA。
いまやドームクラスの会場を舞台に数万人のオーディエンスを熱狂させる大物バンドへと成長を遂げています。
2014年にパンクの名門レーベルPIZZA OF DEATH RECORDSからミニアルバム『Can Not Behaved』をリリースしたWANIMAは、翌年秋には1stアルバム『Are You Coming?』を発表。
ツアーやフェス出演に明け暮れる日々を経てバンドとしてひと回り成長した姿を示すかのような力作となった『Are You Coming?』は、なんとオリコンアルバムチャートで初登場4位という好成績を記録。彼らの名を全国に轟かせました。
2015年の時点でこれだけのチャートアクションを残している彼らが『コレがバズるぞ!』の1位に選出されたのも当然のことでしょう。
その期待に応えるかのように、2016年8月には彼らの代表曲となった“ともに”をリリース。
同曲のMVはすでに再生回数1億回を突破し、今もその数を伸ばし続けています。
2017年末には自身初となる『NHK紅白歌合戦』の出場も果たした彼ら。文句なしの「大バズ」となりました。
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Suchmos
WANIMAと並ぶ「大バズ」アーティストは、5位に選出されたSuchmos。
「和製ジャミロクワイ」の売り文句も納得の洒脱&濃厚な音楽性で一大ブームを巻き起こした6人組ロックバンドです。
2013年に産声を上げたSuchmosは、2015年7月に1stフルアルバム『THE BAY』を発表。これがオリコン週間アルバムチャートで26位という好成績を記録し、期待の若手アーティストとして注目を集めることになります。
2016年の下半期の『コレがバズるぞ!』で5位に選出された背景には、『THE BAY』のヒットがあったことは間違いありません。
その期待に応えるかのように、2016年1月に発表された2枚目のEP『LOVE&VICE』は『THE BAY』を上回るチャートアクションを記録。
同作からは大ヒットシングル“STAY TUNE”が生まれ、早くもSuchmosの名は日本全国に轟くことになります。
2018年末には『NHK紅白歌合戦』に出場。ヴォーカルのYONCEが挨拶代わりに発した「臭くて汚ねえライブハウスから来ました」はいまだに語り草となっています。
2019年には横浜スタジアムでの単独公演を成功させるなど、国内屈指のモンスターバンドとして大きな存在感を発揮しました。
さらなる活躍が期待されていましたが、2021年2月3日に突然の活動休止を発表。
彼らが眠りから覚める日はいつになるのでしょうか。
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その他のバズアーティスト
2016年の『コレがバズるぞ!』からは、WANIMAとSuchmos以外にも多くのアーティストがブレイクを果たしています。
特に目立った活躍を見せたアーティストとしては、Mrs. Green Apple、Super beaver、My hair is badの3組が挙げられるでしょう。
3組ともすでにアリーナ級の会場で演奏するビッグバンドへと成長を遂げており、押しも押されぬトップアーティストとして音楽シーンを牽引しています。
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コレがバズるぞ!・2017年
- 1位:ヤバイTシャツ屋さん
- 2位:ポルカドットスティングレイ
- 3位:Yahyel
- 4位:Official髭男dism
- 5位:Nulbarich
- 6位:Shout it Out
- 7位:Ivy to Fraudulent Game
- 8位:Amelie
- 9位:魔法少女になり隊
- 10位:Creepy Nuts
2017年の『コレがバズるぞ!』ランキングは上記の通り。
上半期・下半期の2回に渡って発表された初年度から一転し、2017年は年に1度だけとなりました。
番組では30位までのランキングが発表されていますが、スペースの都合上、ここでは上位10組の発表とさせていただきます。
2016年と同様、「大バズ」アーティスト2組をご紹介していきましょう。
Official髭男dism
2017年の『コレがバズるぞ!』から生まれた「大バズ」アーティスト、1組目は4位にランクインしたOfficial髭男dismです。
ピアノをフィーチャーした耳ざわりの良いバンドサウンドと王道のグッドメロディーのコンビネーションで、老若男女のハートを見事に射貫くことに成功しました。
今や“ヒゲダン”の四文字を見聞きしたことのない人は日本国内にいないのではないか、などと思ってしまうほどの知名度を獲得した超人気グループです。
しかし、2017年版『コレがバズるぞ!』が放送された当時、ヒゲダンはまだ“下積み時代”の真っただ中。将来の成功を夢見る一介のインディーズバンドでしかありませんでした。
それまでにリリースした作品もオリコンチャートで100位の壁を破ることができない状態で、この時点で彼らの将来性を見出して4位にランクインさせた音楽関係者の慧眼にはただただ驚くばかりです。
2018年4月にメジャーデビューを果たしたヒゲダンはそのポテンシャルを開花させ、スマッシュヒットを連発。
そして、2019年5月に満を持してリリースしたのが、彼らの人気を決定付けた名曲“Pretender”です。
同年末の『NHK紅白歌合戦』にも初出場を果たし、ヒゲダンブームをさらに加速させていきました。
その後も映画の主題歌、テレビ番組のテーマ曲、CMソングなど彼らの音楽を耳にしない日はないほど大車輪の活躍を見せているヒゲダン。
文句なしの「大バズ」認定です。
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あいみょん
2017年の「大バズ」アーティスト2組目は、令和を代表する女性シンガーソングライター・あいみょんです。
「ちょっと待ってよ! あいみょん? ランキングに名前載ってないよ!」と思った方は、細かいところにまで目が行き届く人ですね。
そうなんです。あいみょんは先ほどご紹介した上位10組には入っていません。
ではどこに名前があるかと言うと、なんと24位。
今の人気ぶりを考えると「あのあいみょんが!?」と思ってしまいますが、これは間違いではありません。本当に24位なんです。
この当時のあいみょんの状況を振り返ってみると、前年11月にメジャーデビューを果たしたばかり。インディーズでの活動で熱狂的なファンを多数獲得していたとはいえ、知名度の点ではまだまだといったところでした。
『コレがバズるぞ!』ランキングでも24位に留まっており、関係者の見方としては「将来性はあるけど、すぐにブレイクするような存在ではない」というものだったのではないでしょうか。
しかし、2017年のあいみょんはその期待を遥かに凌駕する活躍を見せます。
8月に大名曲“君はロックを聴かない”をリリースすると、その翌月に発表した初のフルアルバム『青春のエキサイトメント』は超ロングセラーを記録。最注目アーティストの仲間入りを果たしました。
2018年8月にはあいみょんの名を全国区に押し上げた大ヒット曲“マリーゴールド”を発表。これでもう勝負ありです。
同年末には『NHK紅白歌合戦』にも初出場。新世代の女性シンガーソングライター像をお茶の間に印象付けることに成功しています。
歌の表現力とソングライティングに年々磨きがかかるあいみょん。こちらも満場一致で「大バズ」認定です。
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その他のバズアーティスト
Official髭男dismとあいみょん以外のアーティストについても検証していきましょう。
1位から10位までの顔ぶれを眺めてみた時、ブレイクしたアーティストとして5位のNulbarich、10位のCreepy Nutsの名前を挙げる音楽ファンが多いのではないでしょうか。
特にCreepy Nutsの名前はお茶の間にまで浸透しており、一般層がヒップホップに興味を持つきっかけとして機能している感もあります。
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コレがバズるぞ!・2018年
- 1位:CHAI
- 2位:teto
- 3位:SIX LOUNGE
- 4位:ハルカミライ
- 5位:ドミコ
- 6位:BiSH
- 7位:Ivy to Fraudulent Game
- 8位:Hump Back
- 9位:Saucy Dog
- 10位:緑黄色社会
2018年版『コレがバズるぞ!』の結果は上記の通りとなります。
前年と比べると、ロックバンドの比率が圧倒的に増した顔ぶれとなっているのが一目瞭然。
さあ、2018年の「大バズ」アーティストをご紹介していきましょう。
BiSH
この中で真っ先に名前を挙げたいのは、6位にランクインした“楽器を持たないパンクバンド”BiSHです。
厳密にはロックバンドではなくWACK所属の6人組アイドルグループですが、そこは「Punk is attitude, not style」。仕掛け人である渡辺淳之介の主導による前例の無いプロモーションの数々はまさにパンクの精神です。
ここで番組放送当時のBiSHの状況を振り返っておきましょう。
2016年のメジャーデビュー後、“清掃員”と呼ばれる熱狂的なファンを急増させていき、2017年には7,000人規模の単独公演を成功させるまでの人気グループに成長していたBiSH。
2017年12月には、翌年5月に自身初となる横浜アリーナ単独公演を開催することを発表していました。つまり、2018年版『コレがバズるぞ!』の放送は、横浜アリーナ公演の発表から日が浅い時期だったことになります。
横浜アリーナといえばキャパ1万人以上の大会場。そんな夢の舞台に手が届きかけているBiSHが6位にランクインしたのは当然のことかもしれません。
その見込み通り、2018年はBiSHにとってさらなる飛躍の年となりました。
3月にリリースしたシングル“PAiNT it BLACK”でオリコン週間シングルチャート1位を獲得すると、勢いそのままに横浜アリーナ公演は全席完売の大盛況。名実ともにトップアーティストの仲間入りを果たすことに成功しています。
その後、『アメトーーク!』や『しゃべくり007』といった人気番組でも大きく取り上げられ、従来のアイドルらしからぬBiSHの魅力はお茶の間にまで浸透。
ブレイクした後も決して守りの姿勢に入らない“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。「大バズ」認定です。
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King Gnu
もう1組の「大バズ」は、圧倒的なスケール感で日本ロックシーンを制してみせた怪物バンド・King Gnuです。
あいみょんの時と同じく「ちょ!待てよ!どこに名前載ってるんだ!」とお叱りを受けそうですが、King Gnuも『コレがバズるぞ!』トップ10圏外から大ブレイクを果たしたアーティスト。
30位まで発表されたランキングのちょうど真ん中、15位にその名前を見つけることができます。
2018年版『コレがバズるぞ!』放送当時のKing Gnuの状況を簡単に整理しておきましょう。
前身バンドでの活動を経て、2017年4月にKing Gnuへ改名したばかりだった彼ら。
同年リリースの1stアルバム『Tokyo Rendez-Vous』はオリコンチャートの100位圏内になんとか入る程度のチャートアクションで、将来有望ではあるものの、ひとことで言えば“実力派のインディーズバンド”といったポジションでした。
しかし、彼らが怪物として覚醒したのはここからです。
2018年9月リリースの“Prayer X”で注目を集めると、翌2019年2月にはMVの再生回数3億回超を誇るモンスターシングル“白日”を発表。
その後の活躍は言わずもがな。圧倒的な演奏力と底知れぬオーラで日本の音楽シーンに決して消えない爪痕を刻みました。
新曲を出すたびに過去の自分たちを刷新し、超越していく異形のロックバンド・King Gnu。もちろん「大バズ」認定です。
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その他のバズアーティスト
2018年の『コレがバズるぞ!』ランキング、BiSHとKing Gnu以外のアーティストにも目を向けてみましょう。
1位に先取されたCHAIは、そのユニークなサウンドとイメージが海外の音楽ファンから高く評価されているバンドです。
2020年には世界中で絶大な人気を誇る覆面バンド・Gorillazのアルバム『Song Machine: Season One – Strange Timez』に参加。
「あのGorillazとコラボ!?」と大きな反響を呼んだことは記憶に新しいところです。
9位のSaucy Dog、10位の緑黄色社会もまさに今が“伸び盛り”といったところで、これからの成長が大いに期待できるアーティスト。
2019年に幕張メッセ公演を敢行した4位のハルカミライのポテンシャルにも大きな期待してもいいでしょう。
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