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2016年の隠れた名曲
Fall Dance
作詞・作曲:成海カズト / 編曲:成海カズト・長田直之
『Fall Dance』は、2016年7月20日に発売された36thシングル『薔薇と太陽』の通常盤に収録されたカップリング曲です。
相手を心から愛していたにもかかわらず、曖昧な関係を続けてしまった主人公。最終的には別れを決め、離ればなれになってしまうといった内容の失恋ソングです。
楽曲の冒頭で「夏の木漏れ陽」と歌われていることから、現時点での季節は夏なのでしょう。
タイトルにもある「Fall」は「落ちる」の他に「秋」も意味する単語。『Fall Dance』とは葉が舞い散る季節に向けて、彼らの恋が終わってしまったことを意味しているのかもしれません。
「ゆらり」や「ひらひら」といった擬態語が、独特な流麗さを引き出しています。
naked mind
作詞・編曲:堂島孝平 作曲:川口進 / Fredrik Samsson
『naked mind』は、2016年9月21日に発売された15thアルバム『N album』のリード曲です。
『N album』は、”naked & natural”をテーマに自然体なKinKi Kidsを表現したアルバムです。
「裸の心、ありのままの心」を意味する『naked mind』は、本アルバムの充実度を象徴するに相応しい楽曲です。
作詞・作曲を担当したのは、同アルバムの共同プロデューサーとして携わった堂島孝平さん。
人気アニメ「こち亀」の主題歌として有名な『葛飾ラプソディー』の生みの親としても知られています。
『naked mind』には、堂島さんが得意とする洗練されたシティーポップの魅力が所狭しと詰め込まれています。
遊び心が楽曲構成にも表れており、イントロやAメロ、サビの至る所に印象的なギターのリフが何度も登場します。かと思えば随所で曲調が変化し、1曲の中で様々な表情を楽しめます。
年々増していくキンキの大人の余裕と楽曲の抜け感がマッチし、新しい化学反応を見せました。
星ミル振リ
作詞:久保田洋司 作曲:萩原和樹 編曲:堂島孝平
同じく『N album』から『星ミル振リ』をご紹介します。
作詞した久保田洋司さんは、前半の記事でもご紹介した『to Heart』の作詞を手掛けた人物。また、作曲した萩原和樹さんは、SMAPの『ひなげし』の作詞・作曲やKinKi Kidsの『愛について』の作曲を担当しました。
『星ミル振リ』の最大の魅力は、一度聴いたら忘れることの出来ないサビです。
「忘れられるわけない」という語感を活かしたまま、キャッチーなメロディーに当てはめられています。1曲通したときにサビを最高のボルテージで迎えられるよう、作詞家と作曲家が緻密に計算して制作したことが分かります。
胸が締め付けられるような切なさと、今はもう傍にいない恋人を愛おしく思う気持ちが、聴き手の中に一気に流れ込んでくる魅力的な楽曲です。
Kaiomiiよりご報告です。
先日ですが、
12月10日発売のKinki Kidsさん「M album」通常盤12曲目
「Where is」の作詞、作曲をしました。僕も大好きな曲なので
沢山の人に聞いてもらえればと思います!よろしくお願いします!
— 央海 加亥 (@Kaiomii) January 15, 2015
陽炎〜kagiroi
作詞:堂本剛 作曲:堂本剛 / 堂島孝平 編曲:十川ともじ
『N album』から最後にご紹介するのは『陽炎〜kagiroi』です。堂本剛さんが作詞・作曲を手掛け、堂島孝平さんが作曲に参加しています。
「かぎろい(かぎろひ)」には、いくつか異なる意味があるようです。1つは「かげろう」の同義語で地面から空気が炎のように揺らめいて立ち上って見える自然現象を指します。そしてもう1つは「夜明け方の光、曙光」のこと。
剛さんの地元である奈良県では、朝焼けに染まったピンク色の空を「かぎろい」と呼ぶのだそう。おそらく『陽炎〜kagiroi』は後者の夜明けの光をテーマに書かれた楽曲なのでしょう。
歌詞から感じられるのは、まさに「諸行無常」の世界観。刹那的な現象に、人の存在の儚さを重ねて表現されています。
決して止めることの出来ない時の流れの中で、それでも必死に生きていいのだろうかと自問自答する主人公。
静かなエネルギーに満ちた本作は、どこか哲学的な雰囲気も纏っています。