1997年に『硝子の少年』で鮮烈なCDデビューを果たしてから、今年で25周年を迎えるKinKi Kids。
これまでキンキは様々な音楽ジャンルの楽曲を世に送り出し、アイドルの域をはるかに超越した音楽活動を続けてきました。
本記事では、そんな彼らの楽曲作品の中から隠れた名曲を前編・後編に分けてご紹介。
後編となる今回は、『M album』(2014年)から現在までの楽曲から11曲ピックアップしていきます。
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目次
KinKi Kidsとは
KinKi Kidsは、1997年7月21日に1stシングル『硝子の少年』と1stアルバム『A album』の同時発売でCDデビューしたジャニーズのアイドルデュオです。
メンバーは奈良県出身の堂本剛さんと、兵庫県出身の堂本光一さんという関西コンビ。
共に1979年生まれの同級生ということもあり、本物の兄弟のように仲の良い2人は、系統の異なる美しいビジュアルも相まって、デビュー前から絶大な人気を誇っていました。
当時のジャニーズ事務所にとって、関西出身のメンバーのみで構成されたグループを結成するのも、デュオをデビューさせるのも初めての試みでした。
音楽面においても現在に至るまで高い支持を保ち続けています。
2022年7月27日には、最新シングル『Amazing Love』をリリース。
本作は、キンキのデビュー曲『硝子の少年』や『ジェットコースター・ロマンス』を手掛けた山下達郎さんが作曲を担当したことでも話題となりました。
山下さんが「今、この時代にKinKi Kidsに歌って欲しい楽曲」ということで書き下ろした鮮やかでハートフルな楽曲。キンキの2人が作詞を務め、25周年に相応しい作品に仕上がりました。
2022年8月5日に発表された「オリコン週間合算シングルランキング」では『Amazing Love』が首位を獲得。デビューシングルから45作連続で初登場1位という記録を自己更新しました。
2014年の隠れた名曲
Want You
作詞:木村友威 / 和田昌哉 作曲・編曲:和田昌哉
まずはじめに、2014年12月10日に発売された14thアルバム『M album』から4曲ご紹介します。
『Want You』は、キンキの色気が存分に詰め込まれた楽曲。
今までありそうで無かったR&Bテイストということもあり、ワイルドかつスタイリッシュな作品に仕上がりました。
作詞を担当した木村友威さんは、SMAPや島谷ひとみ、家入レオといったアーティストに歌詞を提供してきました。近年ではNiziUの『Step and a step』や『Baby I’m a star』の作詞を担当したことでも有名です。
作詞・作曲・編曲の全てに携わった和田昌哉さんは、自身もR&Bシンガーとして活躍する音楽プロデューサー。『Want You』ではシャッフルリズムのエッセンスを取り入れ、楽曲に躍動感を与えました。
本作では、色気と危うさがないまぜになり、欲望のままに相手を欲しがる様がミステリアスに描かれています。
Bメロではエフェクトを重ね、あえて落ち着いたトーンで歌うことで今にも溢れそうな衝動を抑えているかのようです。キンキが今まであまり多用してこなかった歌い方を取り入れているところもポイントです。
そこから「Want You」というテーマを繰り返しつつ、抑えきれない欲望をぶちまけるようにサビに繋がります。考え抜かれた楽曲構成によって『Want You』の世界観を余すことなく展開させています。
aeon
作詞・作曲・編曲:田中直
『aeon』は『M album』の通常盤に収録されたカップリング曲です。
「aeon」とはラテン語で「永遠、無限、永劫」を意味します。永遠の愛を描いた楽曲かと思いきや、歌詞を読み解くと失恋ソングであることが分かります。
ではこの”永遠”というテーマは楽曲のどの部分に繋がるのか。それは、愛しい人を失ってしまった世界に意味を見出せない主人公の「時を止めてしまいたい」という願いでした。
彼は、許されないと分かっていても、恋人と愛し合っていた過去の時間の中で生き続けたいと強く感じているのです。
ここまでご紹介した楽曲を見ても分かる通り、キンキはジャニーズの中でも失恋ソングが非常に多いユニットです。
しかし、同じ失恋ソングでも各楽曲が切り取る側面は多種多様です。作品を重ねるにつれその多彩さは広がりを見せ、キンキの新たな魅力に繋がっています。
僕らの未来
作詞・作曲・編曲:平田祥一郎
つづいて『M album』からご紹介する『僕らの未来』は、多くの人の胸に響くであろうハートフルソング。
作詞・作曲・編曲を手掛けた平田祥一郎さんは、モーニング娘。やアンジュルム、℃-uteといったハロプログループの編曲やプログラミングを多数手がけてきました。
大切な人と未来を見据え、共に歩んでいこうというメッセージが込められた本作は、ウェディング・ソングとしても人気の楽曲です。
楽曲のテーマは未来ですが、「疲れたら あの公園で 足を休めて 語り合おう」等、僕と君の共通の過去に絡めたフレーズも登場します。「あの公園で」という一言だけで、その場所で過ごした2人の思い出が鮮やかに蘇ります。
本作で印象的なのは、どちらかが躓いた時にもう一方の存在が救いになるというあたたかいメッセージです。
「僕が君を支えるんだ」という一方的な想いではなく、お互いの存在が未来の自分達にとって助けになると心から信じている気持ちが伝わってきます。
かつてキンキが結成10周年で行った初の2人旅企画の中で、剛さんが「どちらかが調子悪い時はどっちかが前に出るというのが自然に成り立っている」と語っています。まさにキンキの在り方を落とし込んだ楽曲でもあるのです。
Where is
作詞・作曲:Kaiomii 編曲:浅野尚志
『M album』から最後にご紹介するのは通常盤に収録された『Where is』です。
ダイレクトにサビから始まるのですが、剛さんの第一声から胸を掴まれること間違いありません。
まるで流星群が流れていくように、美しくスピーディーなこの楽曲。EDMの魅力がたっぷり詰め込まれ、全体的に近未来的な雰囲気が漂います。
基本的にサビでは同じメロディーが繰り返されるのですが、ハモリが多用されていることもあり非常に中毒性があります。
歌詞を見てみると、かつては結婚までしていた主人公ですが、今は別れて独りで過ごしているのでしょう。
しかし、君を失ったことで当たり前だった日常がそうではなかったことを痛感するのでした。
最も大切な物に気づいた主人公が、君を迎えに行こうと決意するラストの展開もロマンティックです。