2021年11月1日をもって「完結」という道を選んだV6。長年お茶の間に笑顔を届けてくれたグループなだけに、寂しい思いをしている方も多いと思います。
V6といえば、歌・ダンス・アクロバット全てにおいて高いパフォーマンスを誇る実力派。誰一人欠けることなく活動を続け、2020年にはデビューから25周年を迎えた長寿グループでもあります。
彼らのヒットソングといえば『WAになっておどろう』や『愛なんだ』などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は、V6の楽曲の魅力はそれだけではありません。彼らは、常に新しい音楽ジャンルを取り入れ続けたアーティストグループでもあるのです。音楽番組では、V6をあまり知らない人でも楽しめるよう、知名度の高い楽曲を中心に披露してきました。しかし、ライブやコンサートでファンに見せるV6の本気の姿には、天と地ほどのギャップがあります。
今回は、そんなV6の魅力を最大限お伝えするため、有名曲やアイドルソングをあえて外し「V6の攻め楽曲-表題曲-」を集めてみました。
「今が最高」を更新し続けてきた”V6の本気”をぜひその目で確かめてください。
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目次
V6【表題曲】
way of life(発売:2007年12月12日)
『way of life』は、2007年11月から放送開始された人気ドラマ「SP 警視庁4係」の主題歌です。メンバーの岡田准一が主演を務めたこのシリーズは、直木賞作家の金城一紀が台本を書き下ろし、「踊る大捜査線」シリーズを手掛けた本広克行が総監督を務めるという豪華ぶり。そして、金城が原作・脚本を担当し、2005年に公開された映画「フライ,ダディ,フライ」以来となる岡田と堤真一の共演が実現しました。このドラマは深夜枠での放送だったにもかかわらず、毎話高視聴率をたたき出し、ドラマ終了後には映画が2本立てで公開されています。
作曲を担当した山口寛雄(やまぐちひろお)は『way of life』の他にも、V6の『メジルシの記憶』『キミヘノコトバ』『レッツゴー6匹』などを手掛けており、ポップな曲調から切ないバラード曲まで多彩なジャンルを書き下ろしてきました。
昨今のドラマ作品は、映画化されると同時に主題歌も変更されるケースが多いですが、『way of life』は、「SP」のドラマシリーズから最終章の映画に至るまで、一貫して起用されました。実はこの楽曲、ドラマのストーリーを追えば追うほど、歌詞の内容と登場人物の心情や生い立ちがリンクしていくのです。主題歌がストーリーに華を添え、作品として理想的な形が実現しました。
また、それまで王道のアイドル路線を走ってきたV6にとって、切なさや哀愁を深堀りした『way of life』は、音楽面でも大きな転換をもたらしたのではないでしょうか。
「SP」関連では、菅野祐悟が作曲したメインテーマ『Seculity Police』をサンプリングした『SP”Break the wall” feat.V6 & ☆Taku Takahashi(m-flo)』も配信されています。
この楽曲は「live tour 2011 Sexy.Honey.Bunny!」で初披露され、2015年に発売された『SUPER Very best』通常盤に収録されています。
蝶(発売:2008年5月28日)
V6が最も多く主題歌を務めてきたドラマは、井ノ原快彦出演の「警視庁捜査一課9係」です。Season3の主題歌となった『蝶』は、シリーズの中でも異彩を放っています。
この楽曲は、冒頭で奏でられるスパニッシュギターによってラテン系の風合いが引き出され、ミステリアスかつ情熱的な雰囲気が漂います。
歌詞は、蝶のように自由奔放に生きる女性へ向けた、男性の狂おしい恋心を描いています。主人公は彼女が嘘をついていると知りながら、愛ゆえに自ら翻弄されることを選ぶのでした。
作詞を担当した木下智哉(キノシタトモヤ)は、『愛をコメテ』(作詞・作曲)、『心からの歌』(作詞)、『バリバリBUDDY!』(作詞・作曲)など、V6の楽曲を数多く手がけています。作曲をメインで担当した加藤裕介は、映画「大決戦!超ウルトラ8兄弟」の主題歌である『LIGHT IN YOUR HEART』の作曲も担当しました。
『蝶』の音楽的な特徴は、ダンスにも活かされています。フラメンコをモチーフにした振り付けは、ダイナミックかつ妖艶で、まさに大人のダンスチューンへと引き上げました。中でも注目ポイントは、間奏でメンバーが輪になって踊るシーンです。踊り続けている間にも、次々と変化していく美しいフォーメーションは、まさにV6の技術とチームワークの賜物です。
GUILTY(発売:2009年9月2日)
”大人のアイドル”というV6のアーティスト色をより一層強めたのが『GUILTY』です。
「GUILTY」とは日本語で「罪悪感」や「やましい気持ち」などを意味します。楽曲で描かれているのは、男女の過ちに対する”ぬぐえない罪の意識”です。
物語はある男女の出会いから始まり、他愛ない会話から、いつしか逢瀬を繰り返すようになります。実は相手女性には恋人がおり、主人公とは許されない関係を続けていることが明らかになります。主人公の「愛している」という言葉に嘘はありません。しかし、彼女と結ばれることは決してない現状に、愛を口にすればするほど切なさが積もっていくのでした。
MVでは、黒スーツを身にまとったメンバーがホワイトバックを背に、スタイリッシュなダンスを披露しています。全体を通してモノクロで構成された映像は、洗練された印象を与えます。冒頭から繰り返しテーマを奏でているハープの美しい音色には、危うい関係の中に見え隠れする純愛を投影しているのかもしれません。無駄な音は重ねず、ビートの切り替えで楽曲にメリハリを生み出しています。冒頭と中間に挟まれる、剛健コンビの息の合ったラップパフォーマンスにも注目です。
V6の36枚目となるシングル『GUILTY』は、ドラマ「警視庁捜査一課9係 season4」の主題歌です。同シングルの2曲目に収録されている『逢いたくて』は、『GUILTY』のアンサーソングと言われており、主人公のその後が描かれています。切なさの中に、過去の思い出を愛おしむ気持ちが溢れるバラードです。
Sexy.Honey.Bunny!(発売:2011年8月24日)
V6にとって革命を引き起こしたと言っても過言ではないのが『Sexy.Honey.Bunny!』です。この楽曲は、80年代を彷彿とさせるディスコミュージックをコンセプトに、鮮烈な印象を植えつけたパーティーチューンです。手掛けたのは、J-POPを牽引する音楽プロデューサー西寺郷太(NONA REEVES)とサウンドプロデューサーのcorin.からなるタッグ、通称にしこりコンビです。
制作経緯としては、様々な作家から候補曲を集めて次回のリリース曲を決定するコンペで、corin.の制作した楽曲が採用され、その後、西寺がそのメロディーの中に歌詞を入れていったのだそう。西寺曰く、corin.の楽曲が自身にとてもフィットしたようで、締め切り間近だったにも関わらず、最後の最後までこだわり続けて『Sexy.Honey.Bunny!』という今までに無い斬新な楽曲が誕生したのです。
英語と日本語を絶妙に混ぜ合わせたこの楽曲。とても興味深いのは、日本語の歌詞をあえて英語のような発音に近づけて歌っている点です。レコーディング時のディレクションは西寺が直々に指導しており、制作陣の気合の入りようも見て取れます。聞き間違いの面白さや異質なものがないまぜになっていく様が、この楽曲の”ノリの良さ”を導き出したのでしょう。V6の新たな一面を引き出し、業界内外で大きな反響を呼んだ『Sexy.Honey.Bunny!』は、間違いなくV6の代表曲の1つとなりました。
V6の38枚目となるシングル『Sexy.Honey.Bunny! / タカラノイシ』は、「新・警視庁捜査一課9係 season3」の主題歌です。にしこりコンビは、このセクバニ以外にも『POINSON PEACH』や、”V6史上最大の問題作”と呼ばれた『keeP oN.』でタッグを組んでいます。
君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか(発売:2013年8月21日)
『君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか』は、V6がしっとりと歌い上げる大人の失恋ソング。その最大の注目ポイントは、メンバーだけで演奏されるコーラスです。初期の楽曲では、ユニゾンでメロディーを歌う印象が強かったV6。実は、全員が自在にハモれるという大きな強みを持っています。
V6は、過去のライブでもアカペラでハモったり、メインボーカルとハモリを巧みに歌い分け、その歌唱技術の高さでファンを楽しませてきました。この『君君』では、ピアノ伴奏のみというシンプルな編成が、メインボーカルの繊細なニュアンスと重厚なコーラスをより際立たせています。また、歳を重ねたV6だからこそ出来る表現がふんだんに盛り込まれており、至高のバラードに仕上がりました。
歌詞の内容は、恋人と過ごしたかつての記憶を辿る主人公が描かれています。彼は彼女に甘えすぎてしまっていた事を後悔しつつ、最後には「シアワセなんかに なっていないで」と本音を零します。その声はもう届かないと知りながら、彼の心に残るのは彼女への愛おしさだけなのでした。
42枚目のシングル『君が思い出す僕は君を愛しているだろうか』は、「警視庁捜査一課9係 season8」の主題歌。
Can’t Get Enough(発売:2017年3月15日)
『Can’t Get Enough』は日本語で「満足できない」という意味です。意中の相手への渇望をこの楽曲にクールに落とし込みました。
この楽曲の特色は、ずばり「ファルセット(裏声)」です。特に男性にとってファルセットで正しい音程で歌うのは難しく、正確な技術が必要とされる歌唱法です。しかし『Can’t Get Enough』を聞けば分かるように、V6はごく自然にフレーズを紡ぎ、ファルセットから実声への切替も非常にスムーズに歌いこなしています。
V6は、メンバーそれぞれが個性的な声質を持っているにもかかわらず、ユニゾンのシンクロ率が非常に高いグループです。その理由は、メンバー間における音程やリズムの”共有認識”の高さにあります。『Can’t Get Enough』では、メンバー同士の声をオクターブで重ねたフレーズがたくさん登場しますが、オクターブで声を重ねてここまでシンクロしているのは、V6が長年の活動の中で、楽曲の細かい歌いまわしを徹底して揃える習慣を付けてきたからに他なりません。
視点を少し変えてみると、さらにV6の凄いポイントを知ることが出来ます。ぜひ、通常盤に収録されているInstrumentalを聞いてみてください。すると、この楽曲が重低音のダンスビートを主体とした、非常にシンプルな構成であることが分かります。言い換えると、この楽曲の伴奏には、メロディーラインをリードする音がほとんど無いのです。V6は、音楽番組で当たり前のように披露していましたが、実は非常に難易度の高い楽曲なのです。
『Can’t Get Enough/ハナヒラケ』は、2017年3月15日に発売された47枚目のシングル。
表題曲は、セブンイレブンの春のキャンペーンソングと、井ノ原出演のハウス食品「とんがりコーン」のCMソングにそれぞれ起用されました。