山下達郎|珠玉の名曲「蒼氓」の魅力とは!?

山下達郎|珠玉の名曲「蒼氓」の魅力とは!?

2010年代、海外の音楽シーンでは、日本国内の80年代ポップスを象徴するいわゆるシティ・ポップに注目が集まり始めていました。

認知度の高い王道アーティストだけでなく、当時はそれほど注目されていなかったアーティストの隠れた名曲にスポットがあたり、EDMの流れを汲む「FUTURE FUNK」へと昇華されます。

そして、そのような音楽は、動画・楽曲配信などを通じて世界中に拡散されていくことになります。

中でも代表的なアーティストが山下達郎です。

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国内における山下達郎の評価

多ジャンルからの影響

それ以前から、国内のクラブシーンでは和モノというジャンルが確立され、海外と同様に、新たな視点から楽曲を見直す動きが盛んになっていました。
そんな和モノシーンにおいても、山下達郎の存在は別格です。

海外と国内で同時多発的に起きたムーブメントですが、なぜ山下達郎がこれほど神格化されたのでしょうか。

その答えの1つとして、まずは山下達郎がストックするその膨大な音楽の知識量が挙げられます。

ビーチボーイズをはじめとする、アメリカン・ポップス・ロックやドゥーワップ、スィートソウル、ソフトロック、ファンク、アーバンソウル、ガレージ、サーフなど、守備範囲の広さもさることながら、安易なオマージュに留まらない自身の楽曲へ落とし込みは、やはり皆さん納得されるところではないでしょうか。

アーティスト・山下達郎

創作される楽曲の幅も広く、編曲や楽器の演奏もほぼ1人でこなすことができる山下達郎。

ファンが聴けば、彼の演奏するカッティングギターは一瞬で「山下達郎だ!」と特定されるほどグルーヴ感に溢れており、FUTURE FUNKとも特に相性が良い側面もあります。

活動内容は年代によって様々ではあるものの、リリースされるものが現在まで注目され続け、更に過去の音源まで遡って支持され続けるというのも、山下達郎の魅力を象徴するものとなっています。

質の高いロックやR&B、1人多重録音、アカペラなど、ジャンルにとらわれない楽曲が多いことでも有名で、全曲名曲といっても過言ではないでしょう。

「蒼氓」の魅力

少々前置きが長くなりましたが、山下達郎の魅力を知って頂いたうえで、ゴスペルの要素を盛り込んだ「蒼氓」について紹介していきたいと思います。

楽曲を聴くと「どこかで耳にしたような…」という方も多いのではないでしょうか。リリースは1988年、アルバム「僕の中の少年」に収録されています。

2003年JACCSカードのCFソングとして使用され、シリーズのなかでも人気の高いストーリーなので印象に残っている方もいらっしゃると思います。

出演俳優には、村上淳と伊藤歩、フランスパン職人を目指す女性と、カメラマンの夢を捨てられないサラリーマンの葛藤、それぞれの旅立ちを描いた全6話の構成となっています。

通して観ると、ショートフィルムのような完成度で、思わず涙腺も緩んでしまいます。それも、山下達郎による「蒼氓」の効果が、かなりのウェイトを占めている、ということもご理解頂けると思います。

「蒼氓」はいわゆるバラードではありますが、前述したようにゴスペルに影響を受けた楽曲となっています。ゴスペルは、福音音楽とも呼ばれ、キリスト教の宗教音楽の1つを指しています。正規の讃美歌とは異なり、黒人ならではのリズム感、ハンドクラップやステップ、コーラスや独特の歌唱方法を強調した音楽で、今日では民族音楽の範疇に入るキリスト教音楽です。

「蒼氓」の中でも、終盤はコール&レスポンスを用いたコーラスが徐々に強調されていく展開となっており、ゴスペルの要素を感じ取ることができます。歌詞にあるように、未来への希望と生きる意味に共鳴するかのような「La,la,la…」はゴスペルならではのユニゾンで、心に染み入るメロディとなっています。

また、コーラスには奥様である竹内まりや、ご家族同士でお付き合いのある桑田圭祐、原由子夫妻が参加されています。よく耳を凝らしてみると、確かに特徴のある声色を窺うことができます。

まとめ

今回は、山下達郎「蒼氓」について紹介して参りました。

「蒼氓」が収録されたアルバム「僕の中の少年」は、2020年にリマスター化され、それにあわせて、オフィシャルよりMVも配信されています。

また「踊ろよフィッシュ」も、同じ動画内に続けて収録されており、30年以上も前にCM起用されたキャンペーンガール石田ゆり子が参加されているのも、感慨深いものがあります。

「クリスマス・イヴ」前夜、夏のイメージが色濃かった山下達郎の2楽曲を続けて視聴できるお得なMVです。

シティ・ポップ中心のシーンから少し距離を置き、ゴスペル・バラード「蒼氓」に浸ってみてはいかがでしょうか。

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