唾奇|沖縄が生んだラッパーの生い立ちや楽曲を紹介!

唾奇|沖縄が生んだラッパーの生い立ちや楽曲を紹介!

地元沖縄から瞬く間にその名を広めたラッパー唾奇(つばき)。

独特のフロウと本質を突いたリリックで、ヒップホップ好きだけでなく多方面から支持を得ているラッパーです。
また、唾奇の類まれな才能に惹かれ、数々のアーティストから楽曲参加の依頼が寄せられています。

今回はそんな唾奇のプロフィールや生い立ちなどをご紹介!
「唾奇の曲をあまり聴いたことがない」という方にもおすすめの曲も紹介しているので要チェックです。

唾奇のプロフィール


活動名義:唾奇(つばき)
本名:未公表
生年月日:1991年8月4日
出身地:沖縄県那覇市
レーベル・クルー: 604、Pitch Odd Mansion、Final Weapon Company

名前の由来

唾奇という名前は、漫画「ソウルイーター」のキャラクター・中務椿(なかつかさつばき)に由来しています。椿の漢字のままだとホストをイメージしてしまうことから、唾奇に変更しました。

普段からアニメを見たり、アニソンを聴いたりするのが好きだという唾奇。自身が仲間と語り合うラジオ番組「Final Weapon Company RADIO」で、視聴者からの質問「おすすめのアニメは?」に対し、「ドロヘドロ 」や「Re:ゼロ」などを挙げていました。

漫画やアニメのファンタジーな世界観も、楽曲に影響しているのかもしれません。

所属するレーベル・クルーは?

604(ろくまるよん)

唾奇をはじめHANGMAVELなど、多数の実力派ラッパーが所属している沖縄拠点のヒップホップクルー。
もともとMAVELが住んでいたワンルームに、ホームレスになった唾奇が一緒に住みはじめたのが始まりです。徐々に仲間が集い出し、集団としての604ができました。

名前の由来はワンルームが604号室だったからです。

Pitch Odd Mansion(ピッチ オッド マンション)

アーティスト・クリエイター集団のPitch Odd Mansion(通称POM)。2017年に唾奇とともにその名を全国に知らしめたSweet Williamや、キャッチーな歌声のkiki vivi lily(キキビビリリー)などが所属しています。

記事の最後で紹介する楽曲「Made my day」のリリックに出てくる”國枝真太郎”とは、数々のヒップホップアーティストのMVを制作しているPOMの主宰です。

Final Weapon Company(ファイナル ウエポン カンパニー)

ラッパーのHANGが主宰するFinal Weappn Comnpany唾奇のほか、ラッパーのTOCCHIやビートメイカーのhokutoなども所属しています。

また、ラジオ番組「Final Weapon Company RADIO」をYouTube・SoundCloudで配信。唾奇・HANG・TOCCHIが視聴者から集めたお悩み相談に答えてくれます。「彼女に振られて立ち直る方法は?」「物事を続けるためにはどういうマインドでいれば良いか」など貴重な話も聴けちゃいますので要チェックです。

さまざまなアーティストとのコラボ

ヒップホップはもちろん、さまざまなジャンルのアーティストから楽曲制作の依頼が寄せられている唾奇。

日本武道館ライブが決定した変態紳士クラブのメンバーWILYWNKA(ウィリーウォンカ)の楽曲「Take It Easy」にも参加しています。
爽やかな夏風を想像させるカッティングのギターや、つい体を揺らしたくなるゆるいリズムが印象的です。

楽曲発表後、WILYWNKAはTwitterで「クソで最低な曲を唾奇と作りました」と投稿。仲の良い2人だからこそ生み出せた等身大のバースに注目です。

ほかにも、ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)の後藤正文(Gotch)や、Nulbarich(ナルバリッチ)の曲にゲストとして参加。

Nulbarichの既発曲「It’s Who We Are 」のリミックスバージョンは、洗練された極上ポップスに唾奇の確立された心地よいフロウが乗り全く新しい一曲となっています。

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過酷な生い立ち

ラッパー自身の過去の体験や生き様が現れやすいヒップホップ。
唾奇の作品も例外ではなく、過去の壮絶な体験からなる強い意思が感じられるものが多くあります。

上記の動画で唾奇が話しているように、彼は幼少期の頃から母親が家にほとんど戻ってこない状況で過ごしました。

祖母が持ってきてくれるご飯を食べたり、幼馴染の家で食べさせてもらったりしていましたが、食べるものがないときは姉が近所の商店で万引きしてきたものを2人で食べたこともあるのだとか。
更に、姉が家で友人7〜8名とシンナーを吸い、部屋中に匂いが充満していたエピソードも語っています。

仕事や学校へ通いながら、祖母の介護をしていた時期もある唾奇。幼い頃から辛さや悲しみを味わってきた中で、ずっと側で見守りながら育ててくれたのは祖母でした。そんな祖母と交わした会話や出来事を曲にしたのが、2018年にリリースされた1stソロアルバム「道-TAO-」に収録された「Kikuzato prod.TNG」です。

唾奇の曲には沖縄の方言が多く使われています。本作でもフラー(馬鹿)、ヤーのシージャー(お前の先輩)などの方言が使われており、イントロやアウトロに収録された祖母とのナチュラルな会話も聴きどころ。

祖母の愛を受けて育った唾奇が放つワードセンスと、心地よいフロウが心を揺さぶる一曲です。

唾奇の経歴


ディープな経験をしてきた唾奇が、沖縄を超え、更にヒップホップの枠を超えて支持されるまでの道のりを辿ります。

ヒップホップとの出会い

家に遊びに来ていた姉の彼氏がKGDR(キングギドラ)を流していたことが、唾奇とヒップホップの出会いです。
中学生になってからダンスを始めますが、体だけで自分を表現するのに限界を感じ、言葉で表現できるラップをスタート。

高校入学

2年遅れで入学した高校でラップに詳しい友人と出会い、ネットラップにはまります。その後、クラブイベントに出演することもありましたが、お客さんが全く入らないときも多々ありました。そんなときに、ライブを見ていた沖縄を代表するラッパーCHOUJIに「お前めっちゃかっこ良かった」と言われ、本格的に取り組むことを決意。自身で「HITOBASHIRA」というイベントも主催するようになります。

MEMO


ネットラップとは、トラックメイカーがインターネット上に提供した曲に、ラッパーがラップを乗せてネット上にアップするシーン。


Sweet Williamとの出会い

唾奇は高校に通いながら、夜は国際通りにある「パラバル」というバーで雇われ店長として働いていました。
お店に旅行で来ていたビートメイカー/プロデューサーのSweet Williamが入店し、連絡先を交換します。この出会いが、のちに傑作を生み出すことに…。

MEMO


唾奇が働いていたバーには地元のラッパーが集まり、店外でサイファーやフリースタイルを行なっていました。

高い評価を得た傑作「Jasmine」をリリース

2016年から徐々に世間に名を広め、翌年2017年には唾奇×Sweet William名義のアルバム「Jasmine」で更に注目される存在になった唾奇。
シンガーソングライター kiki vivi lilyや、個性派ラッパーJinmenusagi(ジンメンウサギ)が参加し、ヒップホップの枠にとどまらず幅広い層から支持を集めました。

また、同年にHANG×唾奇のユニットからアルバム「glitsmotel」をリリース、流派 BEST RAPPER AWARDS 2017で1位を獲得するなど確実に実力を積み上げてきました。

1stソロアルバム「道-TAO-」リリース

2018年に唾奇初の1stソロアルバム「道-TAO-」をリリース。
タイトルトラックにもなっている唾奇のクラシック「道 -TAO-」をはじめ、「Kikuzato prod.TNG」や同じ沖縄出身のラッパーCHICO CARLITOを迎えた「Let me」のリミックスバージョンなど全9曲が収録されています。

「愛のままに」で更に注目を集める


2018年にBASIがアナログ盤をリリース。その中の一曲「愛のままに」に唾奇がfeatで参加しています。

YouTubeにアップされたPVの再生回数は1500万回になり、発売から約3年立った今も多くの人に愛され続けている一曲です。

「愛」をテーマに作られた本作。BASI自身が「唾奇に愛を歌ってほしい」「彼が愛を歌ったらどうなるか興味がある」と唾奇にオファーしました。

時に冷徹さを感じるほど鋭い言葉を放つ唾奇の、温厚で愛の溢れたリリックに心が温まります。

その後もSUMMER SONIC 2018への出場、Reebok Classicとのタイアップなど多方面で活動している唾奇に、今後も目が離せません。

おすすめの楽曲

ここからは唾奇のおすすめの曲を紹介します。あまりヒップホップを聴いたことがない方も楽しめる3曲を厳選したのでぜひチェックしてみてください。

唾奇×HANG feat. MuKuRo「ame。」 (PARKGOLF Remix)

2017年にリリースされた本作は、HANG×唾奇によるアルバム「glitsmotel」の一曲。
メロディアスなフックを歌うのは同じ604のメンバーであるMuKuRoです。

原曲の良さを残しながら、次々と展開が変化する浮遊感のあるビート。痛みや苛立ちもプラスに昇華し、ラフな生き様を感じるリリックに勇気付けられます。
また、キャッチーなフックが話題となり、最近ではTikTokでも良く耳にするようになりました。


love me 空には星
笑い泣いた街
このままでいいかなって
本日は雨のち雨
そのままでいいさなんて
monday to sunday
たまに病んで
いつもがone day?

唾奇「道-TAO-」

「道-TAO-」は、2015年にYouTubeにアップしてから数年後にアナログ化・CD化された唾奇の代表作。
キラキラと粒立ったメロディアスなトラックは「KIKUZATO」同様、トラックメイカーTNGが担当しています。
唾奇のバックボーンを示唆した言葉や、温度や香り、情景が浮かぶ言葉たちによって聴いた後も余韻が残る一曲です。


交わりなくすれ違う
私は私なんて
掌に収まらない物ばっか増える今日も
もう時期にくる朝と空になる麻
パケの中身は無いバケット深く被って街に出るのさ

唾奇× Sweet William「Made my day」

2017年発売、全国から注目を集めた唾奇×Sweet Williamのアルバム「Jasmine」に収録された「Made my day」
唾奇の毒のあるワードとSweet Williamの繊細でジャジーなビートの融合がマッチしています。2人ならではの化学反応をぜひ感じてみてください。


安定は一生無い
俺もお前も一緒さ
墓に連れてく仲間 またな
何処かで会えたら
一発ヤらせてくれ マジでガチで

最新情報


9月24日にリリースされるビートメーカーhokutoの2ndアルバム「plums」に、Reebokとのタイアップ曲「Alright feat. 唾奇」のアルバムバージョンが収録されます。9月4日に「Alright」のみ先行配信されているので要チェックです。

最後に

今回は唾奇の経歴やおすすめの楽曲などを紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?

闇と向き合い続けた唾奇のタフな精神性が、言葉やエネルギーとなり聴く人の心に届くのでしょう。

今何かに迷っている人も、良い気分で踊りたいという人も、ぜひ唾奇を聴いてみてください。

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