2019年にチャンネルが開設され、「アーティストが一発撮りした動画」をメインにあげ続けるTHE FIRST TAKE。今を時めくアーティストからベテラン勢まで、有名アーティストが実力を見せる場として多方面で話題となっています。
2021年に入ってからは布袋寅泰など大御所も出演するほどのチャンネルへ成長。今回は2021年に公開された動画に注目し、特に話題となった楽曲をピックアップしていきます。
※再生回数は2022年1月現在の数字です。
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目次
YOASOBI 群青/優しい彗星
新型コロナウイルスの影響で自宅等にて撮影したものをアップしていたTHE HOME TAKE以来の出演となったYOASOBI。2021年は「群青」「優しい彗星」の2曲で参加しています。
「群青」は2021年2月に公開。THE HOME TAKEでは一人でのパフォーマンスでしたが、この楽曲で初のバンドスタイルでのパフォーマンスを披露しています。この曲の大きな特徴ともいえるコーラス部分も、メンバーのikuraが所属しているカバーソングユニット・ぷらそにかのメンバーが同席し担当。メディアでの初共演の場となりました。
公開に際し、Ayaseは「青の時代にもがき必死に生きる人の背中を押したい」という思いのこもったこの楽曲披露を通じ、あの空間にしかない緊張感を感じてほしいとコメント。企画に初参加したikuraは合唱パートの歌声の波に感動を覚えたとコメントしています。
プレミア公開での同時接続数はチャンネル最多の約13万人を記録。再生回数は5800万回超と2021年公開の動画では1位の数字を出しています。
群青の披露から1か月経った2021年3月、テレビアニメ『BEASTARS』第2期のエンディングテーマだった「優しい彗星」が公開。フルコーラスをTHE FIRST TAKEで初披露するという試みを行いました。
実はリリースされている楽曲と若干アレンジが異なります。というのも、この動画のためにアレンジを施したスペシャルバージョン。伴奏をピアノとストリングス中心でまとめ、より歌声にフォーカスできるようになっています。
再生数は群青に次ぐ2位。公開当時は未発表曲ということもあり、YouTubeの急上昇1位になるほど話題となりました。
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優里 ベテルギウス/シャッター
2020年のかくれんぼ披露以降、コンスタントに出演しているシンガーソングライターの優里。「THE FIRST TAKEを通じてファンになった」という人も多いはずです。
2021年に公開された動画には2本出演しています。
まず1本目がシャッター。
友人に向けた楽曲ということもあり、力を込めて歌ったとコメントしています。
2本目に公開されたベテルギウスはドラマ「SUPER RICH」の主題歌。フルコーラス初披露の場にTHE FIRST TAKEを選んでいます。
この動画のコメント欄は、日本語より海外からのコメントのほうが多くなっています。というのも、ドライフラワーの動画が海外で大きな話題に。歌唱力の高さが世界でも評価されているのが大きいでしょう。
また、すべての動画に英語版の歌詞字幕がついていることから歌詞の意味を正しく理解しながら聴けるのも海外の視聴者がつきやすい理由。日本語がわからなくとも、「J-Popの良さ」を知るきっかけを提供できています。
今回ピックアップしているアーティストの中でも比較的多くTHE FIRST TAKEという場を経験している彼。複数回経験しても、緊張感が消えないとコメントしています。
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Da-iCE CITRUS
結成から約10年、ダンスボーカルユニットというジャンルでは中堅・ベテランの域に入ってきているDa-iCE。ボーカルの大野雄大・花村想太がドラマ「極主夫道」の主題歌・CITRUSを披露。楽曲はサビのハイトーンから始まるように編成を変えたピアノアレンジバージョンとなっています。
この動画の固定コメントにて、大野は緊張があったものの自分達らしく気持ちを込めて表現ができたとコメント。花村は想い・魂を声に乗せて歌いあげ、一生できないパフォーマンスができたと言葉を残しています。
ちなみにパフォーマー3人は現場で見学をしていたそう。和田颯は後に見ているだけでも緊張してしまったと振り返っています。
そしてこの動画の特徴が、動画の再生数が2021年末から今現在伸びていること。この楽曲が第63回輝く!日本レコード大賞の大賞・優秀作品賞のW受賞を果たしたことがきっかけとなっています。
地上波でのパフォーマンス機会に恵まれず、実力者なのに有名ではないというジレンマを抱えていた彼ら。「やっと実力を認めてくれた」というファンの喜びの声だけでなく、「レコ大を見て世界観に引き込まれた」「もっと他の曲を聞いてみたい」というレコード大賞きっかけで彼らを知ったファンの驚きの声も多く残されています。
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変態紳士クラブ YOKAZE
2017年結成の変態紳士クラブ。2021年5月に2020年リリースの楽曲・YOKAZEが公開されました。歌声のアレンジなしで、思いと声を伝えられる曲として選んだとのことです。
普段バンドスタイルかつ横並びでのパフォーマンスをする彼ら。向かい合って行うのは新鮮であるものの、レコーディング等ある意味いつも通りのやり方ができたそう。意図はしていないと本人らは話しますが、コロナ禍で新しい当たり前を追いかける現代人の思いを代弁しているような歌詞と声が、視聴者に刺さりました。
彼らが話題になった大きな理由は、楽曲のジャンルにあります。2022年に入ってからジャニーズ出身アーティストが出演するなどジャンルの幅が広がりつつありますが、あくまでメインはJ-Popのソロアーティストやバンド。レゲエ・ヒップホップ出身の彼らの出演は意外でした。だからこそ、新たなジャンル開拓となった視聴者が多いです。
「レゲエやラップは避けてきたけど、心に沁みた」「今まで聞かなさそうな歌に出会えた」「本当にいい曲」とTHE FIRST TAKEを通じて彼らを知った視聴者からのコメントが多数見受けられます。
ちなみに、本人たちはライブが一番楽しいからライブに来てほしいとコメント。この動画をきっかけに彼らを好きになった方は一度ライブに足を運ぶのも良いかもしれません。
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milet×Aimer×幾田りら おもかげ(produced by Vaundy)
有名アーティストのコラボも多いTHE FIRST TAKE。2021年12月にアップされたこの楽曲は、公開から1か月ほどですが再生数は1400万回に迫り、2021年にアップされたコラボ動画では再生数1位となっています。
歌い手は東京オリンピックでのパフォーマンスも話題となったmilet、デビュー10周年を迎え鬼滅の刃・遊郭編のOPでも話題のAimer、そしてYOASOBIのikuraこと幾田りらの3名。そして楽曲提供をしたのがアーティストとしての活動も目覚ましいVaundyという2021年の話題をさらったアーティストが集結してこの楽曲ができています。
曲調はVaundyらしいアップテンポな仕上がりで、テーマは「愛」。Vaundyは「Aimerさん、miletさん、幾田りらさんの魅力を最大限に引き出せるようイメージして挑んだ」「実際レコーディングしたら想像をはるかに超えるかっこよさで、最高の仕上がりになりました」とコメントしています。
3人ともにVaundyらしさが前面に出ている曲だと評価。彼らしさが全開ながらも、「ハスキー」「厳格さ」「甘さ」という3人の個性ある声がうまくハマった1曲です。
後に公開されているポッドキャスト・THE FIRST TAKE MUSIC にて、3人ともに収録は非常に楽しかったと振り返ります。曲は聞いたことがあるものの初対面に近い3人でしたが、コラボ後に印象がだいぶ変わり、距離が近くなった様子もこのポッドキャストで伝わってきます。
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ポルノグラフィティ サウダージ
2021年のTHE FIRST TAKEでは、ベテラン・大御所アーティストの参加が目立ちました。キャリア20年を超えるポルノグラフィティもその1組。
彼らが挑んだのは2000年リリース、今でもライブのセットリストに入るほどの名曲・サウダージ。今回新藤晴一のアコースティックギターに加え、アコーディオン・カホン・ピアノで構成されたアコースティックアレンジで披露。ラテン調の雰囲気を残しつつ、ボーカルの岡野昭仁の声が伸びやかに伝わるアレンジとなっています。アレンジャーは彼らのファンの間ではおなじみのtasukuが手掛けています。
その仕上がりは非の打ち所がないほどハイクオリティで、「聞いていて飽きない」「ライブの生歌を超えている」など絶賛のコメントが並んでいます。国内に限らず海外でも評判のよい1本です。
岡野昭仁はTHE FIRST TAKEはライブとも違うヒリヒリ感があり、いつかやってみたかったとコメント。「サウダージを知らない世代も増える中どんな反応があるか知りたい」、「20年積み重ねたものが伝わる曲を披露したい」という思いからこの曲を選んだと話しています。
音楽キャリアが長いアーティスト参加の中でも大きな話題となったのが、デビュー50年を迎えた郷ひろみの参加です。
彼の代名詞である「2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―」、アメリカの音楽家バート・バカラックの名曲の日本語版アレンジである「狐火」を披露しています。
ダンディさを感じる深みのある声、そして誰よりも緊張して挑む姿勢が高く評価されています。
THE FIRST TAKE出演は一種の変化をもたらすと感じ、出演を決めたとのこと。音楽関係者ですら彼の出演は衝撃的でした。このコンテンツの影響力を感じさせる出来事でした。
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MAISONdes ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi
ソニー・ミュージックレーベルズが主宰し、「とあるアパートに暮らす住人が作った歌」を部屋ごとにアップするという音楽プロジェクト・MAISONdes。プロジェクトの代表曲ともいえるのがこの「ヨワネハキ」です。ボカロPとしても有名な和ぬかが楽曲制作を担い、シンガーソングライターのasmiが歌っています。
楽曲そのものは2021年5月にMAISONdesの公式YouTubeチャンネルにアップされており、TikTokを中心に若者の間で大流行。Billboard JAPANの「TikTok HOT SONG Weekly Ranking」4週連続1位獲得に代表されるよう、2021年最もSNSで聞かれた曲として有名です。その流行の中、同年8月にTHE FIRST TAKEに参加しています。
TikTokきっかけで楽曲を知っているユーザーが多いため、視聴前はサビの印象しかなかった視聴者が多数。「フルで聞いたらいい曲だった」というコメントや、そもそも誰が歌っているか詳しく知らなかったという声も。安定したハイトーンボーカルに対するコメントも多く見受けられます。
この楽曲の歌うasmi自身、ヨワネハキがきっかけで彼女自身のオリジナル曲にも注目が集まるようになり、TikTokでもよく使われるようになったそうです。
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ずっと真夜中でいいのに。 秒針を嚙む
YouTube発、顔出しNG、フロントマンACAね以外固定のメンバーがいないという特殊な編成のもと活動をしているずっと真夜中でいいのに。秒針を噛むはYouTubeチャンネルに初めてアップした処女作です。
バンドでのパフォーマンスが主軸の彼ら。この楽曲はTHE FIRST TAKE用にピアノとベースのみのアレンジが施されています。公開に際し、ACAねは通常のライブ同様、照明は落としてもらったものの歌っている姿を見られるのが初めてだと振り返っています。同時に「ほんとにFIRSTだった。見る方にも緊張の連鎖が伝われ◎」というコメントも残しています。
ACAねが公式YouTubeチャンネルを通してこの動画にコメントを残しているのですが、少し特殊。Google翻訳など自動翻訳ソフトに通した後の日本語のような文章でコメントを残しています。彼女自身がこの動画にある海外からのコメントを翻訳しながら確認していたことから派生したジョークなのかもしれません。
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番外編…THE FIRST TAKEの“パロディ”もアツい!?
新しい動画が上がるたびにSNSや各種メディアで話題になるほどの影響力をもつようになったTHE FIRST TAKE。YouTube急上昇ランキングで1位を取ることも増えています。その知名度が上がると同時に増えてきたのがパロディ動画。有名YouTuberが本家同様白背景・マイクを置くスタイルで歌を披露する動画が増えています。
寝起きで一発撮りなどネタ動画も多いですが、本気のTHE FIRST TAKEをアップしているYouTuberも増えています。その中でも注目されているのがTikTok発のYouTubeグループ・48(フォーエイト)。
2021年1月にAdoのうっせぇわをTHE FIRST TAKE風に撮影・録音した歌ってみた動画をアップ。再生数1000万回超と2021年に本家で公開された動画ランキング内に食い込むほどの数字をたたき出しています。
最後に
動画投稿を始めて約2年、ジャンルの幅を広げながらチャンネル登録者・注目度ともに急上昇しているTHE FIRST TAKE。このチャンネルに投稿された音源を販売する配信専用レーベル・THE FIRST TAKE MUSICでの配信リリースも軌道に乗ってきています。
2021年はこれまで多かったロック・ポップスに限らず、参加アーティストのジャンルを広げ、多くの音楽ファンに新しい感動と出会いを提供してました。
2022年に入り、すでに新しい動画を5本公開。今年の話題をさらう動画がいくつ出てくるのか、楽しみです!
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