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「Ditto」考察が盛り上がったMVを徹底解説 Part.2
「Ditto」ストーリーの意味は?
「Ditto」は、MVが公開されるとたちまち話題に。意味深なストーリーの解読が進み、様々な考察が生まれました。それでも、インタビューで「Bunnies(ファンクラブ名)とNewJeansが繰り広げるストーリーが盛り込まれている(ミン・ヒジン)」「ミン・ヒジン代表とのミーティングを通して、ファンとアイドルの関係性の話を描いてみたいと思いプロジェクトに参加した(シン・ウソク監督)」と発言していることから、「Ditto」で描かれている1番のテーマは、”ファンとアイドルと関係性”であることが分かります。
ギプスの寄せ書きから判明した主人公のフルネームは、バン・ヒス。NewJeansのファンクラブである”Bunnies(バニーズ)”を韓国の人名にしたもので、ファンを象徴した存在です。ヒスをファン、NewJeansをアイドルとして見ると、MV内での行動の意味合いが変わっていきます。
雨を一緒に浴びて帰る場面は、アイドルに降りかかった苦難を一緒に受けるファンを。そして、ギプスに励ましを書いてくれる場面は、苦しい状況の支えになってくれるアイドルを表していると取れます。寄せ書きにさりげなく書いてある「死なないで」という言葉から、いかにファンにとってアイドルが切実な存在かが分かるはずです。また、クラスメイトはヒスを冷ややかに見ており、アイドルに夢中になる行為が理解できない外からの視点までも描かれています。
ネットやテレビを通じてアイドルを見るように、ヒスはビデオカメラ越しにNewJeansを眺めています。近くにいる友達のようで遠い、そんな距離感が伝わります。MVでは、ビデオカメラがNewJeansとヒスを繋ぐ媒介です。そんなビデオカメラを壊し、1人になることは「ファンを辞める」ことを示唆します。また、楽曲の情景イメージである鹿も”近づきたくても近づけない距離感”を象徴する存在として登場。呆然としたヒスの前からいなくなる鹿からも「関係性の終わり」が分かります。
そして、物語の大きな救いになるのが最後のシーンです。大人になった主人公とは対照的に、昔の姿のままのNewJeansが部屋に入ってきます。かつて好きだったアーティストの楽曲は、いつ聴いても色褪せません。夢中だった当時の思い出が自然と蘇るものです。誰もが通る経験を描いた「Ditto」は、自分の体験までも引き出しノスタルジックな感情に浸らせてくれます。
最後に
今回は、NewJeansの「Ditto」の楽曲とMVの魅力をご紹介しました。
NewJeansの可愛くも儚い存在感と若手俳優の注目株であるパク・ジフとチェ・ヒョヌクの瑞々しい演技、DOLPHINERS FILMSの大胆な構想が幻想的で美しい作品を作り出しました。世界観も繊細で、短編映画を見ているかのような気分にさせてくれます。
実は、MVの主人公であるヒスが実際に存在したらどうか、というアイデアからYouTubeチャンネルも開設されています。そこに書いてあるヒスのコメントや映像を見ると作品のテーマである”ファンとアイドルの関係性”だけではない別のストーリーも感じられます。
考察の正解は、決して1つではありません。NewJeansは常に考える余白を与えてくれます。それが、私たちを惹きつけて離さない大きな理由なのかもしれません。