K-POPファンのための韓国語講座【第1回】BTSの“Dope”に隠された意味とは…?

K-POPファンのための韓国語講座【第1回】BTSの“Dope”に隠された意味とは…?

K‐POP好きのみなさん、今までにこういう経験はありませんでしたか?

「好きな曲の歌詞に知らない言葉が出てきて、和訳を見ても、辞書で探してみても、いまいち意味が理解ができない……」

「きっと現地特有の表現で、ネイティブじゃない私にはわからないんだろう……」

いいえ、そんなことありません!

韓国語は日本人にとって一番習得しやすい言語として知られています。
文法はほとんど同じで、両国ともに中国から伝わった漢字語が多いため、単語の発音も似ているものが多く非常に学びやすいのです。

それは文法や文化圏の全く異なる国の人たちよりも、日本人と韓国人はお互いの言葉に含まれる細かいニュアンスを比較的理解しやすいということを意味します。
「韓国語が好き!」という気持ちさえあれば、誰でもマスターできるのです!

実際、この記事を書いている私は日本で生まれ育った韓国人なのですが、母国語は日本語にもかかわらず、韓国語をマスターすることが出来ました。
ちなみに英語は10年近く勉強していますが、未だにカタコトですら喋れません(笑)

今回は、K‐POPの歌詞に出てくる韓国特有の表現やスラングなどをわかりやすく解説していきます!

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BTS(防弾少年団) / Dope

今や世界的に大人気のBTSですが、2015年にリリースされた“Dope”という楽曲には彼らの社会に対するリアルな心情が込められているのをご存じでしょうか?

今回の記事では、同曲の歌詞を解説していきます。

 

タイトルの意味

日本語の歌詞では“Dope”と英語のタイトルになっていますが、韓国語では“쩔어(チョロ)”というタイトルになっています。
“쩔어(チョロ)”は、「すごい」「ヤバい」「ハンパない」という意味になります。
このタイトルは、BTSのメンバーが自分たち自身のことを指して表現しているんです。

例えば、歌詞の中に


아 쩔어 쩔어 쩔어 우리 연습실 땀내 (ア ッチョロ ッチョロ ッチョロ ウリ ヨンスプシル ッタムネ)
意味)すげーヤバいよ 俺たちの練習室の汗の臭い

봐 쩌렁 쩌렁 쩌렁한 내 춤이 답해 (ブァ ッチョロン ッチョロン ッチョロンハン ネ チュミ タベ)
意味)見ろ 超ヤバい俺のダンスが答え

という部分がありますが、これはまさに彼らの過酷な練習生時代や舞台裏のことを表現していると言えます。

K‐POPアイドルというと華やかな舞台で皆の注目を集め、いつでもキラキラしているようなイメージがあります。
しかし、その裏では過酷な練習生時代があり、デビューした後も寝る暇もないほどの仕事に忙殺されて、精神的・身体的に限界に至ってしまうアイドルたちが少なくありません。この事実は近年問題になっているので、ご存じの方も多いかと思います。

そんな練習生時代の苦労や、今もなお気が抜けない努力の日々が土台にあってこその自分たち(BTS)なんだ、ということなのでしょう。

歌詞を全体的に要約すると、「俺たちはお前たちがアホ面下げてクラブで遊んでいるときも必死に練習に明け暮れて、青春のほとんどの時間を仕事に費やしたけど、それが今の“ヤバい”俺たちを作ったんだ。どうだ、イケてるだろ?」という内容になります。

なんか、言葉だけで聞くとちょっと鼻についてしまいますが(笑) しょうがないですよね、実際めちゃくちゃかっこいいんですもん。

ちなみに“쩌렁쩌렁한(ッチョロン ッチョロンハン)”というのは、「ガンガン」「朗々と響く」という意味です。

一般的には音や声に対して使われる擬声語ですが、ここではダンスの様子を表現するのに使われていますね。

“쩌렁 쩌렁 쩌렁한 내 춤( ッチョロン ッチョロンハン ネ チュム)”を和約すると「キレキレのダンス」といったところでしょうか。

녀석(ニョソク)


딴 녀석들과는 다르게 (タンニョソッドゥルグァヌンタルゲ)
意味)他のやつらとは違う

韓国ドラマが好きな人なら、“녀석(ニョソク)”という言葉を聞いたことがある人が多いんじゃないでしょうか?
“녀석(ニョソク)”とは、「野郎」「奴」という意味で、目下の男性に対して使われる言葉です。

主に罵り言葉として使われるこの“녀석(ニョソク)”ですが、相手に対する愛情を込めて使われる場合もあります。
例えば「お前は大したやつだ」を、“넌 대단한 녀석이야(ノンテダナンニョソギヤ)”と言ったりします。

ではここで、「野郎」「奴」を表す他の言葉も学んでみましょう。

“자식(チャシク)”

“자식”というのは直訳すると、「子息」なので、元々は自分の子どものことを指す言葉ですが、それが“이 자식!!”(「こいつめ!」)というように、目下の男性に怒るときの言葉としても使われます。

“놈(ノム)”

“놈(ノム)”は一番幅広く使われます。日本語でいう、「奴」ですね。
「この野郎!」を“이 놈!!(イ ノム)と言います。

その他にも、韓国には悪口が豊富です(笑)
韓国ドラマを見ているとおわかりの通り、比較的気性が荒い人が多いです。

私が今まで見てきた韓国ドラマの中で一番衝撃だったのは、キムチの食品産業を舞台にした「エブリバディ・キムチ!」というドラマの中でキムチで顔面を引っぱたかれるシーンです。

韓国ドラマにビンタはつきものだと思っていましたが、さすがにこれには驚きました。
一時期ネットでも話題になっていましたが、「面白いけど、キムチもったいない!」という書き込みが多数ありました。

みなさん、キムチはビンタに使わないで美味しく食べてくださいね!

6포세대(ユッポセデ)


3포세대? 5포세대? (サンポセデ? オポセデ?)
意味)3放世代?5放世代?

그럼 난 육포가 좋으니까 6포세대 (クロム ナン ユッポガ チョウニッカ ユッポセデ)
意味)俺はジャーキーが好きだから6放世代

日本では第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代を指す「団塊世代」、ゆとり教育を受けた「ゆとり世代」など世代別に名称がありますが、韓国にも世代別に付けられた名前があります。

韓国では、恋愛・結婚・子どもの3つを諦めた世代を「3放世代」、それに加えて就職とマイホームの5つを諦めた世代を「5放世代」、さらに人間関係と夢の7つを諦めた世代を「7放世代」、なにもかも全てを諦めた世代を「N放世代」といいます。

なんというか……希望の欠片もないですよね。韓国も日本と同様、不景気が続き、経済格差は広がり、人々が希望を持てなくなっているということなのです。
そんな暗い国の現実がBTSの歌の中に込められているなんて、ちょっと驚きですよね。

さて、最後に「俺は6放が好きだから、6放世代」という歌詞が出てきますが、“6放世代”とは、一体何のことなんでしょうか?
実はこれ、ダジャレなんです。
“ユッポセデ”の“ユッポ”とは韓国語で「ジャーキー」という意味なんです。

訳すと、「俺はジャーキーが好きだから6放(ユッポ=ジャーキー)世代だぜ!」という意味です。
言ってしまえば、これは「環境のせいにしてやりたいことを諦めている人たちに対する皮肉」の部分なのです。

どうでしょうか。今まで何気なく聞いていた歌が、歌詞に込められた意味を知ると、その深さに鳥肌が立ちますよね。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回はBTSの“Dope”からフレーズを抜粋しましたが、K‐POPは曲が良いだけでなく、歌詞が奥深いんだということを知っていただけたでしょうか?

今まで意味を知らないまま聞き流していた歌詞のフレーズを知れて良かった!と思っていただけたのなら幸いです。
では、また次回の記事でお会いしましょう。

또 봐요(ット ポァヨ)~!

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