コールドプレイが9月24日にリリースしたBTSとのコラボ曲「My Universe」は、アメリカやイギリスをはじめ世界中のチャートを席巻、日本語字幕バージョンも公開されるなど、現在「世界中で最も売れて、最もMVを観られた楽曲」とも言われています。
10月15日には、アートワークに惑星を配した9th アルバム「Music Of The Spheres」もリリースしました。
イギリスのロックバンドであるコールドプレイは、グラミー賞を7回とブリット・アワードを9回受賞し、アルバムの総売上が1億枚以上で楽曲の総ストリーミング回数は300億回以上であり、ウォール・ストリート・ジャーナルが世界中のレジェンドバンドから選出した「史上最も人気のある100のロックバンド」で25位に入っています。
2008年のSUMMER SONICではSMAPの「世界にひとつだけの花」を日本語カバーで演奏し、「SMAP×SMAP」にも出演するなど、大の親日家でもあります。
今回は、今世紀を代表するバンドとも称されているコールドプレイ特集です!
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目次
コールドプレイとは?
コールドプレイは友人のバンド名だった
21世紀を代表するバンドであり、世界で最もアリーナ(スタジアム)が似合うロックバンドとも言われるコールドプレイは、1996年から活動を始めました。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの学生寮で出会った、古代史を専攻していたヴォーカルのクリス・マーティンと天文学と数学を学んでいたギターのジョニー・バックランドは、ベースのガイ・ベリーマンを誘ってコールドプレイの前身バンドであるスターフィッシュを結成しました。
コールドプレイに改名した理由は、クリス・マーティンの大学の友人が組んでいたコールドプレイというバンド名を譲ってもらったことから。
1998年に、ピアノやギターなどいくつもの楽器を弾けたウィル・チャンピオンを、全くの未経験だったドラムとして勧誘し、現在の編成になりました。
デビュー後すぐに大ヒット
1998年5月にリリースしたEP「Safety」がすぐに話題となり、12月にはインディーズレーベルFierce Pandaと契約。
1999年4月のEP「Brothers & Sisters」でさらに注目を集めると、ビートルズ、クイーン、レディオヘッド、ブラーらも在籍した名門パーロフォンからのメジャーデビューが決まります。
この頃になるとコールドプレイの名前はロックシーンに知れ渡り、メジャーデビュー前から表紙を飾ったNMEは「UKで発掘された2000年最大の宝」とまで絶賛。
そして、制作中のデビューアルバムからの先行シングルとしてリリースした、2000年3月の「Shiver」と6月の「Yellow」という2枚のシングルで、早くも次世代を担うロックバンドとしての評価を得ました。
待望の1st アルバム「パラシューツ(Parachutes)」は、2000年7月のリリースと同時に全英チャート1位を獲得し、そのまま33週連続でトップ10を維持するほどの大ヒットを記録。
グラミー賞の最優秀オルタナティブ・ミュージックアルバム賞やブリット・アワードの最優秀ブリティッシュ・アルバム賞と最優秀ブリティッシュ・グループ賞、イギリスの音楽誌Qが選ぶQアウォードのベストアルバム賞なども受賞しています。
2006年にNMEが選出した「イギリスの偉大なアルバム100枚」の33位にもランクインされています。
続く2002年「静寂の世界(A Rush of Blood to the Head)」と2005年「X&Y」の初期3部作とも言われているアルバム3作にて、世界最高のロックバンドと呼ばれるまでになりました。
次第にスケールの大きな芸術性の高い音楽へと変化
オルタナティヴ・ロックバンドとして活動を始めたコールドプレイの楽曲の多くは、作詞も手掛けているヴォーカルのクリス・マーティンの女性的とも言われる繊細な内面が反映されています。
学生時代は内気でオタク系だったクリス・マーティンは自分に自信がなかったこともあって、女性にモテないからこそ真剣に曲作りに励んでいたそうです。
コールドプレイは当初、最小限の音で繊細な心情描写を歌っていましたが、次第に音が拡散していくアリーナやスタジアムで最も効果的に鳴り響くことを前提とした曲作りもするようになりました。
2008年6月リリースの4th アルバム「美しき生命(Viva la Vida or Death and All His Friends)」と、2011年10月の5th アルバム「マイロ・ザイロト(Mylo Xyloto)」で、アンビエント・ミュージックを確立した現代音楽家ブライアン・イーノとタッグを組んで以来、ポップでありつつも芸術性の高い楽曲を発表し続けています。
環境問題とも向き合う真摯な姿勢
クリス・マーティンが社会問題に熱心であることもあり、母体のコールドプレイも積極的に環境問題に取り組んでいます。
2016~2017年にかけての7th アルバム「ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ(A Head Full of Dreams)」のリリースツアーを五大陸で100公演を行ったクリス・マーティンは、『僕達の夢は、1つもプラスティック製品を使わず、太陽光発電でライブを行うことだ』と発言。
2019年11月の8th アルバム「エヴリデイ・ライフ(Everyday Life)」は環境に対するメンバーの気持ちを反映させたものであり、リリースに伴うツアーは行わずに、ヨルダンで行ったライブをYouTubeで有料配信とロンドン自然史博物館でのライブを開催し、それらの全収益を環境関係のチャリティーに寄付しました。
今後予定されているワールドツアーには、観客が動くと発電するキネティックフローリングを使用するなど、温室効果ガス排出量を前回ツアーの半分に減らす計画を発表しています。
現在世界規模で同時に直面している環境問題に真摯に向き合う姿勢こそが、世界最高のロックバンドである理由です。
コールドプレイのメンバー
クリス・マーティン(Vo/Pf)
- 生年月日 1977年3月2日
- 出身地 イギリス・デヴォン
公認会計士の父と音楽教師の母を持ち、5人兄弟の長男であり、曽祖父はサマータイムを提唱したウィリアム・ウィレットという名家の生まれです。
幼少期から家にあったピアノを弾きまくり、ギターも弾き始めました。
最初にバンドを組んだのは15歳の頃。
寮が完備されているシャーボーン・インターナショナルから、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンに進み、コールドプレイを結成します。
元々は内気な性格でしたが、バンドの成功に伴って次第に積極的になり、ソロとして他のジャンルのアーティストカニエ・ウェストやジェイ・Zとのコラボや、メンバーのジョニー・バックランドと映画「ショーン・オブ・ザ・デッド 」にもカメオ出演しています。
2003年から2014年まで結婚していた女優グウィネス・パルトローとの間に2人の子供がいます。
ジョニー・バックランド(Gt)
- 生年月日 1977年9月11日
- 出身地 イギリス・ロンドン
ロンドンで生まれましたが、4歳で自然豊かな北ウェールズに移り住み羊と戯れながら育ちました。
シューゲイザーの代表的なバンドマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのファンだった兄の影響から、11歳でギターを始めます。
他に影響を受けたのは、同じシューゲイザーのライドに、ストーン・ローゼズ、U2、ジミ・ヘンドリックス、ジョージ・ハリスンなど。
オルタナティヴ・ロックから始まったコールドプレイの音楽には欠かせない、バンドの要です。
ガイ・ベリーマン(Ba)
- 生年月日 1978年4月12日
- 出身地 イギリス・スコットランド
スコットランドで生まれ、12歳でイングランドのケントに引越しました。
16歳でベースを始め、ビートルズやピンク・フロイドの他に、ジェームス・ブラウンやクール・アンド・ザ・ギャングなどのブラックミュージックから多大な影響を受けました。
おとなしい性格でインタビューでは滅多に喋りませんが、バンドのファッションアイコンであり、メンバーで一番モテるそうです。
日常的にランニングしており、ツアーで訪れた場所にある公園や滞在しているホテルのまわりを走っています。
ウィル・チャンピオン(Dr)
- 生年月日 1978年7月31日
- 出身地 イギリス・サウサンプトン
父親はサウサンプトン大学の考古学教授です。
8歳からピアノとヴァイオリンを弾き、12歳でギターを始めました。
その後ヴィブラフォンやティン・ホイッスルなど様々な楽器に触れますが、コールドプレイに加入するまでドラムは未経験でした。
影響を受けた音楽も多種多様ですが、特にトム・ウェイツ、ニック・ケイヴ、そして伝統的なアイルランド民謡からの影響は多大です。
バンドで重大な決定をするときには、メンバーから最も頼りにされている存在です。
コールドプレイのオススメ曲
BTSとコラボした「My Univers」の他にも、コールドプレイの名曲の中からオススメを5曲ピックアップしました。
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Viva La Vida(美しき生命)
コールドプレイの代表曲で、スペイン語で「人生バンザイ」や「素晴らしき人生」といった意味がある「Viva La Vida」には、「美しき生命」という邦題が付いています。
初めて全米チャート1位を獲得し、2009年の第51回グラミー賞では最優秀楽曲賞と最優秀ポップ・ボーカル・パフォーマンス(デュオもしくはグループ)賞の2部門を受賞。
ライヴで演奏して欲しい曲でも1位に選ばれるなど、ファンからの人気も高い楽曲です。
ペット・ショップ・ボーイズやウィーザーなど、多くのアーティストからもカヴァーされている名曲です。
Something Just Like This
アメリカのEDMユニットザ・チェインスモーカーズとコラボした「Something Just Like This」は、2017年4月にリリースされたザ・チェインスモーカーズのデビューアルバム「Memories…Do Not Open」に収録されています。
全米と全英チャートでトップ3に入り、リリックビデオのYouTube再生回数は20億回、Spotifyでも16億回を超えている人気曲です。
東京ドームでのライブ映像と音源を使ったリミックス「Something Just Like This (Tokyo Remix)」も公開されています。
Yellow
1st アルバム「パラシューツ」にも収録されている、2000年6月リリースの2nd シングル「Yellow」で、コールドプレイは一躍注目の的となりました。
シンプルな曲名は、電話帳のイエローページからインスパイアされたものです。
オルタナティヴ・ロックを代表するMVのひとつである「Yellow」のMVは、晴れた日にイングランドの美しいビーチをバックにメンバー全員で撮影する予定でした。
しかしウィル・チャンピオンの母の葬儀と重なったことから、クリス・マーティン1人での撮影となり、当日は雨だったことでレインコートを着てビーチを歌いながら歩くものに。
スローモーションにする為通常の2倍の速度で撮影することになり、クリス・マーティンは2倍の速さで歌うことになったそうです。
Fix You
最低限の音数でゆったりと歌う「Fix You」は、『まるで讃美歌のようだ』とも称されています。
2005年9月にリリースされると、全英チャートで初登場4位にランクインし、そのまま25週連続トップ100を維持。
その後も断続的にチャートにランクインし、2011年5月にシンガポールで開催された東日本大震災被災者支援のチャリティープロジェクトで、18か国から49アーティストがこの曲のカヴァーをレコーディングしたこともあり、2011年にも計14週トップ100に入りました。
「My Universe」を発表する前に、BTSが「MTVアンプラグド」でカヴァーしています。
Higher Power
テイラー・スウィフトやマルーン5らを手掛けるマックス·マーティンをプロデューサーに迎えた「Higher Power」。
楽曲のスケールを表現した壮大なMVは、コールドプレイが名付けた、ゴミで埋め尽くされた惑星Kaotica(ケイオティカ)を舞台に展開されます。
このMVは、アメリカで最も有名なMV監督とも言われている映像作家デイヴ・マイヤーズが制作しました。
韓国のダンス集団アンビギュアス・ダンス・カンパニーが演じるストリートギャングのダンスにも注目です。
最後に
ロックシーンの先頭を走りながらも、芸術に傾倒することなくポップに偏ることもない絶妙なバランス感覚をコールドプレイは持ち合わせています。
とにかく良い曲を作るという地に足のついた活動を、コールドプレイはこれからも続けてくれることでしょう。